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03 嘘
部活が終わった。
テニス部の女子更衣室。練習を終えたコたちが発する汗の匂い。レナはこの女臭い匂いが嫌いだった。
同じ二年生の子たちの談笑が聞こえて来た。だけど「付かず離れず」の付き合いをキープしている彼女はそこには加わらない。
「あんた、また胸大きくなってない~?」
「そうなんだよー。あー。この解放感。またするの、やだなー」
「ほーんとだ。デカイわ」
「いーな。少しちょうだい」
「ねえ、レナ」
BGMぐらいに聞いていた級友の雑音の中に自分の名前が出て、我に還った。
「なあに」
汗かきのレナはいつも替えのブラジャーを持っている。
「今度の日曜さあ、ヒマ?」
「んー、なんで」
「部活休みだからさー、あたしと、ちーでダブルデートするんだ。あんたもどう? いるんでしょ、」
同級生は、カ・レ・シ、と口パクして 補った。
「えー、いないよー。ずっと空き家だよ、ウチ。誰か紹介して欲しいくらい」
「嘘をつくなって。授業終わるとすぐスマホ持ってトイレ駆け込むくせに。彼氏とLINEしてるんだろう。正直に、吐け」
「ホントだってば」
「だってさ、去年の夏らへん、タイチといい感じだったじゃん」
「なんもなかったよ。ホントだって」
実際、ヤろうとして挿入前に暴発してしまったなんて。彼は絶対に口外しないだろう。レナも、あれは初体験ではなかったとしてあげるほうがいいかもしれないと思っていた。今はもう彼とは何の交渉も、接点すらなかった。
それに、サキさんは彼氏ではなく、ご主人様だ。だから、ウソはついてない。
「これからどう呼べばいいですか」
「僕にはサキっていう名前があるよ」
「サキさんって、苗字ですか」
「『サキ』は『サキ』だよ。因みに『サキ』で検索してもAV女優か、僕のブログにしか辿り着かないからね」
あのコーヒーショップで羞恥のプレイをした日から一週間が経った。
レナは毎日サキさんにLINEした。電話は、こちらからかけることが出来なかった。かけても繋がらないことが、多かった。
次のプレイの日が決まるまで、レナは課題を与えられた。
「出来るだけ頻繁に、オナニーしなさい。するときは、僕を思い浮かべてね。この間のことを思い出してもいいし、ブログの写真を想像してもいい。自分が僕に責められているのを想像してすること。課題を実行したら、すぐLINEすること。できれば、その時の詩織のオ●ンコの写真付きで。出来るかい?」
もちろんレナは、はい、と答えた。
「ところでレナはどういうプレイをしてもらいたいの?」
サキさんは言った。
「・・・縛って欲しいです」
勇気を出して、そう答えた。
「いいよ。じゃあ、今度のプレイのテーマは拘束だ。それと・・・、」
「はい?」
「毛を剃るのはどう? 考えた?」
「どうしても剃らなくちゃいけませんか」
「そんなことはないよ。タトゥであれ、ピアスであれ、毛であれ、自分の体を変えるのは、あくまで詩織の意思で決めるべきだ。でも、前にも言った通り、僕の本当のスレイヴになりたいなら、僕の快楽を思ってくれるはずだよね。それに、」
「・・・はい」
「僕に心の底から服従することが、最終的に詩織の究極の快楽になる。毛を剃るのはその証だ。これは詩織のためでもあるんだよ。僕をどう呼ぶか、どう呼びたいかも、結局、同じフィールドの要素だよ。全て、詩織次第だ」
レナは、サキさんに嘘をついている。
自分は大学生ではなく、詩織という名前でもない。17才の高校生の、レナだ。
経験だって、たった一人。それも、たった一回。愛も何もない、ただ突っ込まれて出されただけのセックス。そのことが、サキさんにウソをついていることが、気掛かりだった。気掛かりになるほど、レナはサキさんに傾倒し始めていた。
「次の予定が決まったらLINEする。それまで、課題を励みなさい」
同じ部活のコ達と一緒に校門を出ようとしたところで、
「あ、忘れ物」と踵を返した。
「ごめんね、また明日ね」
本当にするのを忘れたのだから、ウソは吐いてない。
校舎に飛び込んで、誰もいないであろう三年生のフロアのトイレに向かった。彼らは今日明日、大学入試説明会や何やかやのガイダンスで全国に散りじりになっていたのだ。
個室に入り、ジャージのズボンを脱ぎ、ショーツを下ろした。便器に腰掛け、おもむろに、手を伸ばした。剛毛がさわさわと掌を撫で、指先が包皮に触れた。さっきからムズムズしていたから、多少の潤いがある。ヴァギナから掬ったそれを滑らせながら、包皮を剥いた。刺激が、強い。
「本当にオナニーを楽しみたいなら、包皮をめくって、直にクリトリスを刺激しなさい」
サキさんにそう言われ、すぐ実践した。最初は痛さに戸惑ったが、二三日で極上の快感に変わった。心なしか、大きくなったような気がする。
「プレイが始まったら、クリトリスの吸引もするからね」
と、サキさんは言った。
「毎回すると、すぐに大きくなって興奮する度に包皮から顔を出すようになる。そうするとショーツなんか穿けなくなるよ。擦れて、痛いほどの快感に、堪らなくなる」
もし、そうなったら・・・。
部活もしにくくなってしまうな。それが小さな悩みでもあった。
脳裏に描いたのは、あの髪の長い大学生風の女の人の写真だった。妄想の中で、レナはサキさんに縄を打たれていた。
後ろ手に縛られ、その縄がさほど大きくないレナの胸を上下に這い、括った。鏡の前に立たされ、耳元で卑猥な言葉を囁かれた。それからリクライニングに座らせられ、両足を大きく開かされ、固定された。サキさんは、レナの股間を凝視して、再び卑猥な言葉で責めた。そして、レナの頭をのけぞらせて、自分のモノを口に押し当てた。レナは、その大きさに驚きながら、唇をつけ、舌を這わせ、含んだ。それだけで、もうレナの股間は潤ってしまう。彼を迎え入れる準備が出来た。そして、彼のが這入って来た。レナは歓喜の声を上げ、すぐに果てた。それでも彼は休みなくレナを責め続け、もう何度目のだかわからないほどの絶頂の中で、レナの中にドクドクと樹液を注いだ。
鞣革の黒い手錠。
レナは、この淫靡な拘束具に、もう捉えられてしまっていた。
どこにいても。何をしていても。授業中でさえ。この手錠はレナを縛った。
もう、逃れられない。
「あ、・・・っく・・・、・・・クッ・・・・! ! !」
顎を突き上げ、ピン、と足を張ってしまい、ローファーでドアを蹴ってしまった。
これはたぶん、自分の癖だ。
荒い息を抑えつつ、スマートフォンを取り出し、股を大きく広げ、股間の写真を撮った。激しい手淫の跡の股間は、包皮から飛び出したクリトリスがヒクヒクと蠢き、ヴァギナから溢れだした愛液でキラキラとぬめっていた。人差し指と中指とで広げられたラビアの奥で、赤い肉襞が妖しく、蠢いていた。そして、それはレナが嫌っている女くさい匂いを強烈に、放っていた。
(イヤらしい・・・)
レナは、スマートフォンの画面に映った自分の秘部を見て、そう、呟いた。
写真をLINEに添付し、送信した。ペーパーで簡単に後始末をして、何食わぬ顔をして、トイレを出た。
家に帰ると、ヨウジが先に帰っていた。
ウザイ・・・。ウザすぎるっ!
居間でTVを見ながらカップラーメンを食べていた。無視して冷蔵庫を開け、中を物色していると、姉ちゃん、と声をかけられた。
「・・・チッ! なんだよ」
「あのさー、今日、姉ちゃん紹介してって言われた」
「誰に」
「部活の先輩」
ヨウジはレナとは別の高校の柔道部に入っていた。バカだが、ガタイだけはいい。レナの高校は歩いて通えるが、ヨウジはバカ過ぎて受けられなかった。だから弟が先に帰ってるなんて、珍しかった。
「お前の高校の先輩なんて、知らんわ」
「去年の学園祭で見たんだってよ。それからだって」
タイチが暴発して、部活やめちゃって、むしゃくしゃしてたときか。また、サイアクな時に見染められたもんだ・・・。
「で?」
グレープフルーツジュースをグラスに注ぎながらヨウジを促した。
「で、って?」
「だから、どうしてくれっての」
「どうしてって?」
「・・・お前、ホントに、バカだな」
次いで、戸棚を開け、お菓子を物色した。
「だから。何すりゃいいのっての。メールとかしたいのか、ただデートしたいだけなのか、付き合って欲しいのか、一回セックスしたいだけなのか。どうせ、お前の高校の先輩なんて、ただサカってるだけなんじゃないの? どうなの? どれなんだって聞いてるの!」
「そりゃ、やっぱ、・・・セックス?」
即座にヨウジの頭を張り倒した。
「・・・っイッテーなー」
「お前。あたしのプリン、知らん?」
「・・・食った」
再びグーで素早くヨウジの頭をどついた。
ヨウジは咄嗟に蹲ったものの、長年磨き上げた姉の打擲テクニックは避けようもなく、ヨウジは頭を擦りながら呻いた。
「・・・っ痛ってェ・・・」
「お前の小遣いで補充しとけ、このドアホ。
・・・あのねー、お前の高校なんて、やだよ。バカばっかじゃん。たとえデートだけっつっても。絶対に、死んでもヤダ」
「高校じゃないよ。大学生」
「どこ大学?」
ヨウジは学校の名前を言った。
「余計悪いわ。パス」
「なんて言えばいいの」
「テキトーに言っとけ」
「先輩の大学じゃダメって?」
「バカか、お前はっ!」
再び殴ろうとしたが、今度はヨウジも警戒していた。
「言い方あるでしょう。姉貴、今付き合ってる人いるみたいで、役に立てなくて、済みません、とかさ。ストレートすぎんだよ。大体、失礼だろうが、誰だか知らないけど」
「姉ちゃん、今誰かと付き合ってんの?」
「カンケーねえよ、お前に」
「あれか、この間の、テレフォンセックスの人?」
レナは包丁を掴んだ。
「・・・殺すよ。・・・終いには」
弟ながら、ここまでデリカシーに欠けているとは思わなかった。・・・情けない。
「正直に言っていいよ。ウチの姉貴、雑過ぎて、狂暴すぎて、ボク、毎日命の危険に曝されてるんです、先輩も殺されちゃうかも、って。そうすりゃ、笑ってカンベンしてくれるんじゃないの?」
「あのね、噂だけどね」
ヨウジは急に声音を落とした。
「その先輩、デカイらしいよ」
「何が」
ヨウジはドヤ顔をして、こう言った。
「ちんちんが」
姉に殺される前にさっと身を翻し、ヨウジは階段を駆け上がって自室に逃げ込んだ。
バカ大学の柔道部ごときに、すぐヤれそうな女と見られているとは屈辱だった。気分が悪い。こういう時は、ブログを見て、オナニーでもするに限る。
ドアにカギをかけ、パソコンを開くと、LINEのチャイムが鳴った。
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