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13 決戦? それとも・・・
しおりを挟む片側二車線の道路を三台ぐらいの間隔を置いて後を尾行けた。
しかし、間男の車との間に置いた車は皆、シルバーの高級車を抜いて先に行ってしまう。何度もすぐ後ろに着く危険を冒しながら、とにかく見失わぬよう、信号で引き離されぬよう、追尾を続けた。
このまままっすぐ行けば高速のインターチェンジだ。だが、ラブホテルもある。
達彦はそこに賭けた。
だが彼は気づいていなかった。
五十キロ制限の道路を四十キロ程度しか出していないことに。間男の車を気づかれずに尾行しているつもりが、既に察知され、むしろ気を遣われてゆっくりと走行してもらっていることに。
読みは当たった。インターチェンジの入り口の手前にある何軒かのラブホテルに差し掛かり、車はスピードを落としてウィンカーを出した。その二件目の入り口の前で一度止まり、車は歩道を突っ切ってホテルの駐車場に入ろうとしている。慌ててバイクを止めバッグからカメラを取り出したが、遅かった。こういうことはやはりプロでない者には難しい。
決戦の時だ。もう、バレてもいい。
カメラを首からぶら下げたままバイクを出し、車に続いてホテルの駐車場に入る。
暗い駐車場の奥に目を凝らすと、ブレーキランプが赤く灯る車がある。その前にバイクを横に止め、カメラを構える。ブレーキランプが消え、運転席のドアに続いて助手席のドアも開く。二人の男女が車の左右にそれぞれ立った。
達彦は彼らにフラッシュを浴びせ続けた。
妻は眩しそうに眼を瞬かせつつ、じっとこちらを見ている。悪事を暴かれて動揺する者の眼ではない。しっかりとした覚悟を持った女の眼だ。
「達彦さん・・・」
と加奈子は言った。
「お前、こんなところで何をしている。コイツは誰だ。これはどういうことだ。いったいどういうつもりなんだ!」
「旦那さん。どうせなら中で話しませんか」
と間男が言った。
パネルに各部屋の写真が載っている。光っているのが開いている部屋だ。そのボタンを押すと灯りは消える。間男は一番高級な部屋のそれを押した。
「上です。どうぞ」
先に立って案内する男に従ってエレベーターに。達彦に続いて加奈子も乗った。ドアが閉まる。三人とも無言。沈黙が重い。
すぐに三階に着く。暗い廊下を歩く。左右にドアが並ぶ。黄色いランプが光っているのが使用中の部屋。今この階では三組のカップルが事に及んでいるわけだ。妻とこの男はこれからその四組目になるつもりだったのだろう。だが残念だったな。これから徹底的に追い詰めてやる。
青いランプの着いたドアの前でロマンスグレーの間男がクレジットカードを横のスロットに差し込む。カチとロックが外れる。男がドアを開け、
「どうぞ」
と言った。
ドアが開くと自動的に室内の明かりがつくシステムなのだろう。部屋は広かった。向こうの壁に大きなキングサイズのベッドがあり、手前に応接セット。右にはオーディオセットといろいろなグッズの自動販売機。左にはガラス張りのバスルームがある。
「どうぞ、おかけください」
言われるまま、ソファーに座る。男が正面に。そして加奈子は、備え付けのお茶を用意し始め、それをテーブルに並べ終わると、なんと男の横に座ってがっしりと彼の腕を取った。その上で達彦をまっすぐに見つめてくる。
あの中央駅で感じたショックがまた威力を増して達彦を襲った。膝が震える。それを抑えようと膝を掴んだ。
「私はこういう者です」
社名の下に男の名前と肩書がある。渋谷というのか。代表取締役。会社の経営者か・・・。
「内田さん。私はあなたの奥様と不倫関係になっております。もう関係はひと月ほどになります。奥様に最初からあなたという旦那さんのいることは承知しておりました。内田さんのお気持ちを考えますと大変申し訳ない思いをいたしております。この通りです。申し訳ございませんでした」
徹底的に事実をに追及するつもりが、頭を下げる間男を前にしてその必要が無くなったことに気が抜けかけた。が、事は謝って済む問題ではない。そのことを言おうとすると、
「お腹立ちはごもっともです。この上は内田さんに対して慰謝料を含む誠意のある謝罪を考えております」
頷きはしなかったが、当然のことだと胸を張った。しかし次の言葉で達彦は激高した。
「その上でお願いがあります。今後も私たちの関係をお認め頂くわけにはまいりませんでしょうか」
はあ?
あらためて目の前の間男、渋谷という男を、まるで異次元から来た生物のように見つめた。
「あんた、今なんて言ったの?」
「ハイ。この加奈子との付き合いを今後もお認め頂きたいのです」
「・・・あのね。大人しく黙って聞いてればなに? なんてこと言い出すんだ。しかも他人の嫁呼び捨てにして。そんなの、認められるわけないだろう。もういい。わかった。この後はベンゴシを通しましょう。おい、加奈子。帰るぞ」
席を立った達彦を加奈子はじっと見上げた。渋谷の腕に回したその手にさらに力を込めて。
「そんな男といつまで腕なんか組む。いい加減にしろ。帰るぞ。来いよ」
「いや。」
訊き間違いかと思ったが、妻の頑なな表情は明らかに彼女の硬い意志を裏付けていた。
「もう、あの家には帰らない。あなたと暮らしたくない。あなたと一緒の空気を吸いたくない。あなたと人生という大切な時間を共有したくないの」
また、あの「どお~ん」が来た。
それは過去最大級の衝撃で達夫の心だけでなく腰や膝まで打ち砕いた。ソファーの背に寄りかかり、身体を支えねばならないほどだった。
「必要なものはもう全部運びだしてあるから。わたしの口座の通帳も印鑑も。里香のおもちゃも服も全部。
残してあるものは使うなリ売るなり捨てるなりしてください。共有の口座に残ったお金もマンションの権利も放棄しますから慰謝料代わりにお納めください。
知らなかったでしょう。あなたはわたしや里香に関心がなかったものね。いつも自分中心で、自分さえよければ後はどうでもいい人だったものね。
今だってそう。里香がどこへ行っているのかも気にしてないでしょう。
里香はね、彼の、渋谷さんの奥さんに迎えに来てもらったの。駅まで。渋谷さんとは彼の奥さんも公認のお付き合いなの。
あなたが関心を持ったのはわたしの下着だけでしょう。ある程度遺してあるから好きなように使って思う存分オナニーでもして。わたしが知らないとでも思ってたの? 最低過ぎて恨んだり憎んだりする気も起らない。もう、わたしと里香の前から消えてほしいのよ」
そう言って加奈子は立ち上がりスカートの中に手を入れてショーツを脱いだ。青いTバックのもので、そこには少しシミが付いていた。
「欲しいでしょ。脱ぎたてホヤホヤだよ。ほら、まだあったかい。車の中でこれから彼に抱かれることばかり考えてたら濡らしちゃったの。そのほうがいいでしょ。
最後の思い出に、あげるわ」
そういってその青いTバックショーツをテーブルの上に投げ出した。
「あなた、いいかな。わたしもう、我慢できないの」
「そうか。僕はいつでもいいよ。シャワーを浴びてきたからきみさえよければすぐにでも」
「わたしも朝出るときに浴びてきたの」
「なんだ。ガッカリだな。きみの起き抜けのそこの匂いを嗅ぐの、楽しみにしてたのに」
「ウフフ。そうなんだ。じゃあ、今度するときはシャワー浴びないで来ようかな」
「おいで、加奈子」
「はい、あなた・・・」
妻と間男。
二人はもうそこに加奈子の夫である達彦の存在など無いかのように彼らだけの世界を作っていて、連れ立ってベッドへと向かった。妻のサマードレスのファスナーが下ろされ、彼女の白い肌が曝されてゆく。男の手が肩にかかったストラップを滑らせるとその下はもう何もない全裸だった。ブラジャーもしていない。
達彦の股間が急にいきり勃った。それは痛いぐらいに反り返り、ジーンズと下着の刺激で暴発しそうなほどになっていた。
素裸の加奈子が男の服を脱がせ愛おしそうに抱いてハンガーにかけて行く。スーツもシャツも、靴下まで。傅いて脱がせ、きちんと畳んでベッドサイドの椅子に掛けて行く。そしてトランクスを脱がせると、それがダラリと姿を現した。
加奈子は跪き、嬉しそうにそれに頬ずりを始めた。
そして舌を這わせる。
下から何度も舐め上げ、唾液を塗し、亀頭を両手で大事そうに包み込んで揉み込み、その間に陰嚢を含んで吸ったり舐めたりを繰り返した。
「美味しいかい」
「うん。とっても美味しい」
うわーっ!
いつのまにか男に殴り掛かっていた。そのはずが、くるっと天井を向いてカーペットの上に倒れてしまっていた。何が起こったのかさっぱりわからない。あっという間の出来事だった。
「私も歳を取りまして、若いころのように手加減するのがだんだん難しくなってきております。よろしかったらソファーなりに掛けていただいて、ご静粛にお願いしたいのですが」
「まだいたの。見てるのが嫌なら帰っていいわよ」
「それがね、このホテル、一度入ったら清算するまで出られないんだ。止めて彼を送ってくかい?」
「イヤよ、そんなの。トイレにでも籠って耳塞いでればいいんじゃない?」
加奈子はそのように夫に向かって吐き捨てるとフェラチオの続きをした。
惨めさに涙がでた。
「ウウッ・・・、アウウッ・・・」
女のように嗚咽を漏らす達彦のすぐそばで、一生懸命に首を振り男の分身を唇で扱きしゃぶり続けながら、妻は目尻で自分を睨んでいる。やがて睨むのも止め、吐息を漏らしながら激しく喉を使い続けた。男の腰を両手で掴み、一心不乱に首を振り続けている。こんなに激しい、まるで獲物に喰らいつく猛獣のような妻を、達彦はそれまで見たことが無かった。
その姿に昂奮し、ガマンしきれなくなって下着の中に射精した。
「ああっ、く、来るっ! 這入って来るぅっ! ああ、ああいいっ、いいのォ。きもじいいいいいっ、きもちいいいよおおっ! あえぐぅ、いぐぅ、ああいくううううんんんん・・・っはあ、あああまだ、また、またっ!・・・うごいううう、しびれでるゥ、しびれるのォおおんんっ!・・・すごいのいい・・・いよおおああんっ!」
加奈子はいつもの渋谷とのベッドよりはるかに昂っている自分を感じていた。尻を突き出し、そこをぐりゅんぐりゅん弄り周り突きまくる渋谷の分身がいつもと違う。いつもよりはるかに強力に加奈子を責めているのを感じていた。
きっと、達彦に見られているせいだ。それでいつもより昂奮し感じているんだ。
加奈子を責め続けている渋谷にもそれは伝わっているだろう。そう思うと、余計に昂ってしまう。真っ赤に染まった首筋を浮き立たせ、脂汗を噴き出させ、身体中ヌルヌルになりながらなお、雄叫びのような嬌声を上げ続けている。
達彦はもうカーペットに転がってはいなかった。ソファーにもいない。トイレの中で加奈子の嬌声を聞きながらシゴいてでもいるのだろう。もう、どうでもいい。この圧倒的な快楽の最中にそんな下らないことはもう、考えたくない。
「あいぐぅっ、いぐっ、いぐのおおおおおあああああんんんんっ・・・」
何度目かの絶頂に激しく痙攣する身体をひっくり返され、加奈子の両足が高く開かされ、再びそこに挿入れられた。さらに深い。さらに奥に、さらに奥を突かれてたちまちのうちにまた絶頂する。
「もう、ダメああっ! ・・・いいのおォォっ、そこああっ、おく奥ぅっ、あえぐうぅ、またえぐぅよあああっ・・・んんんんんんんっ、ああ、ああ、ああまた、そごあああっ・・・」
渋谷の頭にしがみつき、唇を夢中で吸い舌を絡ませ続ける加奈子の視界に達彦が現れた。渋谷の肩越しに見る彼は、ジーンズを膝の下まで下ろして下半身を露出し、虚ろな目をして片手の親指をしゃぶり続けている。
「加奈子。そろそろ、いいかな・・・」
「いいわっ、イッて、中で出してっ! いっぱい、たくさん出してェェェっ!・・・」
熱い樹液を子宮の奥に感じて加奈子は今日最後の絶頂をした。ベッドの上でぴちぴち跳ねる魚のように痙攣した。それが収まると達彦を探した。
彼は黙ってソファーにかけ、指をしゃぶり続けている。
まだ動悸の残る胸を押さえながら、加奈子はベッドを降りてソファーに歩み寄った。
「・・・どう、わたしの、セックス。見た? わたしの、乱れた姿」
彼はボンヤリと加奈子を見上げた。
「あなたが、どうしても、わたしと、別れたく、ないなら、・・・一つだけ、方法がある。
知りたい?」
虚ろな目が閉じ、開いた。そこに微かな光を加奈子は見た。
達彦の前のテーブルに腰を下ろし、脚を開いた。爛れて開ききったヴァギナから、放出されたばかりの渋谷の白い涙が流れ落ちている。それを指で掬い、脚の指に塗り付けた。
「わたしと、別れたくないなら、舐めて」
そう言って加奈子は達彦の顔の前に足の指を突きつけた。
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