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アオイ
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可能な限り足を運ぶと浅野は言ってくれたが、随分と無理をしているようだった。三年前とは立場が違うらしい浅野は、多忙なようだ。
店の外で会ってくれないか、と浅野に提案されたのは、そんなとき。翌週から、アオイも新しい仕事がはじまるというタイミングだった。
仕事がはじまれば、これまでのように勤務はできない。
元No.1が戻ってきたとあって、アオイの予約を取るのは一苦労だ。出勤が減れば更に集中することは目に見えている。多忙な浅野には尚更店に通うことは難しくなるだろう。
店に払うのと同じ額を払うから、と言われ迷ったのは一瞬だった。アオイは承諾した。
学生の頃、何度か食事に連れて行ってもらったこともあった。自分じゃ到底入れないお高いホテルの高層階のレストランや、高級焼肉。外で会うこと自体にはさほど抵抗もない。
そして何より、自分が必要とされることが嬉しかった。
初めての約束の日は、再就職して初めての休日だった。
昼間は勉強会があるという浅野の都合に合わせ、日曜日の夕方、ふたりは駅前のカフェで待ち合わせた。
「新しい仕事はどう?」
セルフ型のカフェで、アオイの分のブレンドコーヒーを渡しながら浅野は近況をたずねる。
「んー、まだはじまったばかりだから、何とも言えないけど。上司も同僚もいい人っぽいよ」
「それはよかった」
そんな風に、しばらくはコーヒーを飲みながら他愛もない話をした。
「そろそろ行こうか?」
目に妖しい光を宿した浅野に誘われると、ゾクゾクと背中が粟立つ。
これは、期待だ。
浅野に外で会おうと誘われたその瞬間から、〝続き〟をアオイは期待していたのだ。
*
「ん……ふぅ、あ……!」
一時間後、アオイはシティホテルのベッドの上にいた。
医者である浅野はひょっとすると人間の性感帯という性感帯を熟知しているのだろうか。そう疑いたくもなるほどに、的確に感じるポイントをついてくる。
「ここだね?」と囁いた低い声が笑う。
アオイのペニスが弾けてしまうギリギリまで、その太く長い指でナカまで開かれてグズグズに蕩けていた。
職業ゆえか単に経験の差か、浅野は巧みだ。アオイ自身、初めてなのにここまで感じるとは思っていなかった。さすが医者――それって関係ない?
「よさそうだね」
ずるりと指が出ていってしまうと、かわりに立派に育った浅野のペニスが押し当てられる。
ずくずくとゆっくり、ナカに侵入してくると、アオイはあまりの圧迫感に呻き声をあげた。
「アオイ、力抜いて?」
「う、うぅ……」
「そう、上手だね。あー……もうすぐ全部入るよ……あー……入った……」
「あっ……う……」
「苦しい? 大丈夫だよ……すぐに気持ちよくしてあげるからね」
はふはふと上がった息を整えようとしているところに、突然律動が始まった。
「あぁ……ッ! んっ、だめ、動いたら、あ、あ……」
「可愛いね、アオイ」
ベッドに四つん這いになった状態で後ろから貫かれたアオイは、ただただ喘ぐしかない。
ただの圧迫感が次第に快楽を伴ってくると、強請るように無意識に腰が揺れた。
「可愛いね、アオイ。可愛い……」
浅野はうわ言の様に呟きながら、切なげに額をシーツに擦りつけていたアオイの顎を掴み後ろからキスをする。
「んっ、んっ……」
浅野とキスをするのは、それが初めてだった。
店でのプレイ中も、浅野はチュッチュと頬にたくさんキスをしてくる。いつもだんだんと唇に近付いてくるのでさりげなく避けていたのだが、今そんな余裕はない。
舌を根元から絡めとられ、軽く吸われ、ぼんやりする頭で思った。
この人、キスまで上手いのか……。
止まらない抽挿に、ペニスまで扱きたてられアオイは悲鳴を上げながら何度も射精した。
それでも浅野は止まることなく、アオイのナカを掻き回しながら達したばかりのペニスを扱き続ける。アオイの悲鳴は浅野の咥内に吸い込まれ、消えていく。
その日、アオイは生まれて初めて潮を吹いた。
店の外で会ってくれないか、と浅野に提案されたのは、そんなとき。翌週から、アオイも新しい仕事がはじまるというタイミングだった。
仕事がはじまれば、これまでのように勤務はできない。
元No.1が戻ってきたとあって、アオイの予約を取るのは一苦労だ。出勤が減れば更に集中することは目に見えている。多忙な浅野には尚更店に通うことは難しくなるだろう。
店に払うのと同じ額を払うから、と言われ迷ったのは一瞬だった。アオイは承諾した。
学生の頃、何度か食事に連れて行ってもらったこともあった。自分じゃ到底入れないお高いホテルの高層階のレストランや、高級焼肉。外で会うこと自体にはさほど抵抗もない。
そして何より、自分が必要とされることが嬉しかった。
初めての約束の日は、再就職して初めての休日だった。
昼間は勉強会があるという浅野の都合に合わせ、日曜日の夕方、ふたりは駅前のカフェで待ち合わせた。
「新しい仕事はどう?」
セルフ型のカフェで、アオイの分のブレンドコーヒーを渡しながら浅野は近況をたずねる。
「んー、まだはじまったばかりだから、何とも言えないけど。上司も同僚もいい人っぽいよ」
「それはよかった」
そんな風に、しばらくはコーヒーを飲みながら他愛もない話をした。
「そろそろ行こうか?」
目に妖しい光を宿した浅野に誘われると、ゾクゾクと背中が粟立つ。
これは、期待だ。
浅野に外で会おうと誘われたその瞬間から、〝続き〟をアオイは期待していたのだ。
*
「ん……ふぅ、あ……!」
一時間後、アオイはシティホテルのベッドの上にいた。
医者である浅野はひょっとすると人間の性感帯という性感帯を熟知しているのだろうか。そう疑いたくもなるほどに、的確に感じるポイントをついてくる。
「ここだね?」と囁いた低い声が笑う。
アオイのペニスが弾けてしまうギリギリまで、その太く長い指でナカまで開かれてグズグズに蕩けていた。
職業ゆえか単に経験の差か、浅野は巧みだ。アオイ自身、初めてなのにここまで感じるとは思っていなかった。さすが医者――それって関係ない?
「よさそうだね」
ずるりと指が出ていってしまうと、かわりに立派に育った浅野のペニスが押し当てられる。
ずくずくとゆっくり、ナカに侵入してくると、アオイはあまりの圧迫感に呻き声をあげた。
「アオイ、力抜いて?」
「う、うぅ……」
「そう、上手だね。あー……もうすぐ全部入るよ……あー……入った……」
「あっ……う……」
「苦しい? 大丈夫だよ……すぐに気持ちよくしてあげるからね」
はふはふと上がった息を整えようとしているところに、突然律動が始まった。
「あぁ……ッ! んっ、だめ、動いたら、あ、あ……」
「可愛いね、アオイ」
ベッドに四つん這いになった状態で後ろから貫かれたアオイは、ただただ喘ぐしかない。
ただの圧迫感が次第に快楽を伴ってくると、強請るように無意識に腰が揺れた。
「可愛いね、アオイ。可愛い……」
浅野はうわ言の様に呟きながら、切なげに額をシーツに擦りつけていたアオイの顎を掴み後ろからキスをする。
「んっ、んっ……」
浅野とキスをするのは、それが初めてだった。
店でのプレイ中も、浅野はチュッチュと頬にたくさんキスをしてくる。いつもだんだんと唇に近付いてくるのでさりげなく避けていたのだが、今そんな余裕はない。
舌を根元から絡めとられ、軽く吸われ、ぼんやりする頭で思った。
この人、キスまで上手いのか……。
止まらない抽挿に、ペニスまで扱きたてられアオイは悲鳴を上げながら何度も射精した。
それでも浅野は止まることなく、アオイのナカを掻き回しながら達したばかりのペニスを扱き続ける。アオイの悲鳴は浅野の咥内に吸い込まれ、消えていく。
その日、アオイは生まれて初めて潮を吹いた。
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