小説家お兄さんの家で養われることになった話

よる

文字の大きさ
23 / 33
それからの二人

編集さん

しおりを挟む
今日は榊さんの担当さんが打ち合わせで家に来るので、美味しいお菓子とお茶を用意した。
部屋はいつも以上に隅々まで綺麗にして、いつでも出迎えられるようにしてある。
ーピンポーン♪
「きた!」
この家に二人で住んでから、初めての来客だ。
以前兄が訪れたようだが、その時俺はいなかった。
最高のおもてなしがしたい。
榊さんが恥をかかないよう、今日まで色々と準備をした。
「あ、初めまして。担当編集の内海うつみです」
こんにちは、と挨拶し、今日のために用意したスリッパを出す。
榊さんはリビングで待っているので、そこまで案内した。
俺は邪魔をしてはいけないので、家事を再開する。
「久しぶり、榊」
内海さんはイスに座り、俺の出したお菓子とお茶を遠慮なく口に入れた。
二人は大学時代からの友人らしく、とても仲が良さそうだ。
今日は榊さんの小説が原作のドラマをやるということで、その打ち合わせらしい。
やっぱり榊さん、すごい。
「…で、その俳優さんたちとの顔合わせだけど」
先程まで楽しそうに会話していたのに、仕事の話になると突然モードが切り替わる。
かっこいい…。
皿洗いが終わったので、二人に声をかけて買い出しに向かう。
今日は夕飯も食べていって貰おう。
榊さんの、昔の話も聞きたい。

________________

「てか、お前マジで変わったな…」
しのが買い出しに行くと、内海は感慨深そうに言った。
「まあ、な。しのがいるおかげで締切もしっかり守れてるだろ」
「いや、それだけじゃなくてさ。
ほら、家も…前来た時はこんな綺麗じゃなかったろ」
確かに、ここ一年はしのがいるからと気をつかって、会う時は外に出ていた。
前と比べると、本当に変わったと思う。
「よかったな、マジで。
幸せオーラがだだ漏れですわ…」
半ば呆れたようにそう言われ、少しニヤける。
今日のしのは一段と奥様みたいだった。
俺の来客をもてなそうと、張り切って準備をしてくれていた。
「あれでいて、普段は甘えん坊なんだ。
今日は上品な奥様を気取ってたけど、本当はもっとふにゃふにゃ笑う」
それがかわいくて…とつい惚気けていると、ペンで頭を叩かれた。
「もうわかったから、打ち合わせさっさと終わらせるぞ」

_______________

夕飯は、ラザニアとコンソメスープ、フランスパンを切ってトースターでカリッと焼く。
デザートにはケーキを買ってきた。
事前にアレルギーの有無を聞いていたので、ナッツ類は避ける。
「わ…すげえ、これほんとに君が作ったの?」
内海さんは俺の料理を見ると、とてもよく褒めてくれた。
「いや、料理だけじゃなくて。
部屋もすっごい綺麗だし、収納も完璧…」
お世辞にしては嬉しいこと言ってくれるな~と嬉しくて、ついワインを飲みすぎてしまった。
うとうとして榊さんの肩に寄りかかる。
「さかきさ~ん…へへ、おれ、いっぱいほめられちゃった」
「しの…もうそれ以上はやめておけ…」
ワイングラスを取り上げられる。
「ん…らめ…まだのむ」
仕方なく自分のグラスは諦め、榊さんのグラスを口に運ぶ。
「おい、しの…内海が見てるぞ」
「ふぇ~?うちゅみしゃん~?ふふふ」
榊さんの顔がかっこよくて、抱えられたままほっぺにちゅーをする。
そのまま俺は、寝室で寝かされてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...