小説家お兄さんの家で養われることになった話

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それからの二人

子猫中心

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それから、何度も動物病院に子猫達を連れて行く日々が続いた。
体はノミだらけで、軽い栄養失調だった。
ミルクも飲ませるのが大変だったけれど、それは榊さんも一緒に頑張ってくれたのでなんとか乗り越えた。
傷のあった子は内海さんが飼うと言い、順調に回復しているらしい。
「みゃあっみゃあっ」
子猫はよく鳴く。
常に様子を見ていたいので、寝室にはベットの横に付けるタイプのベビーベッドを買い、そこに子猫二匹を入れて寝ているが、何度も鳴き声に起こされる。
きっと、人間の赤ちゃんでも同じような環境になるだろう。
でも、全然苦じゃない。
目を離した隙に何かあってからじゃ遅いのだ。
榊さんには過保護だと言われたけれど、俺なりの向き合い方だ。
こうなったからには、絶対幸せにしてやる。

「みゃあっ!」
元気になった子猫達は、猫じゃらしのオモチャをプラプラすると、掴みかかるように飛び跳ねる。
それがまたかわいくて、榊さんに動画を撮るようお願いする。
意外だったのは、榊さんが子猫にデレデレだということ。
仕事の合間にリビングまで来て、子猫の様子を見る。
「かわい~な~おまえたち」
こんな榊さん、見たことがない。
若干の嫉妬を覚えながらも、二人と二匹で楽しく暮らしている。
「ゆずくん~つきちゃん~」
子猫の名前は、俺たち二人の下の名前からとった。
四ノ宮柚希の[ゆず]、そして榊伊月の[つき]。
今はお互い苗字とあだ名で呼び合っているので、被ることがなくていい。
それに、二人の名前を取って付けた命に、そこはかとない母性を感じた。
俺は正真正銘の男性だけど、それでもこの感情を母性と呼びたい。
ミルクをあげ、糞尿の世話をする。
寝床を整え、自分にできる最大限のことをする。
それは紛れもない子育てではないか。
「ふふ、榊さんゆずくんにまた引っかかれたの?」
オスのゆずくんは暴れん坊で、榊さんと遊んでいるとすぐに引っ掻いてしまう。
なぜか俺を引っかかないのは、本能的に弱い人間を傷つけないよう制御しているのだろうか。
まあ、そんなのはただのこじつけだけれど。
「ゆずくんつきちゃんご飯だよ~」
今はまだ、ミルクと離乳食がこの子達のご飯だ。
離乳食はカリカリフードをふやかして与える。
食べている時の、もちゃもちゃという音がなんとも言えないかわいさで、榊さんと俺はその様子に釘付けだ。
「かわいい~♡」
もうないのか?とでも言いたげな様子のゆずくんが、俺の指をちゅぱちゅぱと吸っている。
暴れん坊とはいえ子猫なので、まだあどけない感じが残っている。
これも今だけだと思うと、益々榊さんにカメラマンをお願いしなきゃ。
驚いたことに榊さんはカメラの才能がある。
本当になんでもできるんだなあ…と感心してしまう。
子猫がいるとなかなかそういうムードにもならず、最近はご無沙汰だが、今夜は誘ってみようかな。
カメラを構えて真剣に子猫達を撮る姿を見ていたら、溜まっていたものが溢れ出てくる。
あ、やばいかも…。
寝ていたモノがむくむくと…。
俺は慌ててトイレに駆け込んだ。
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