強制結婚させられた相手がすきすぎる

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もしものふたり

二度目の検査薬

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※ もしものふたり の世界線です。
_____________

目が覚めると、零は突然の吐き気に見舞われ、ベットから急いで出ようとしたところで躓いた。
なんとかシーツを汚さずに耐えたが、この不快感の真相を、零はすぐに察した。
「圭吾さん!起きてください!」
圭吾はいつもの如く数回呼んだ程度では起きる気配がない。
それでもすぐに伝えたくて、必死に身体を揺する。
「…なに…零……」
漸く目を覚ました圭吾は、興奮した零に圧倒され、しばらく身動きが取れずにいた。
「圭吾さん!お腹が!あの、今日、起きたらお腹がなんか気持ち悪くて!吐いてはないんですけど、これって…!これってそうですよね?!?!!」
妊活を始めて約4ヶ月、念願叶って零のお腹には新たな生命が宿ったようだ。
圭吾はそれを聞くとすぐに飛び起き、そして急いで顔を洗って歯を磨く。
そして寝巻きのまま上着を羽織り、車の鍵と財布を手にそそくさと出かけて行った。
零は栄養を摂るため葡萄や林檎の皮を剥き、それを口に放り込む。
最初こそ自分も興奮していたが、それ以上に圭吾の方が慌てているようで、なんだか逆にゆったりとした気分でいた。
10分ほど待っていると、ガチャ、とドアが開く音がして、圭吾が帰ってきた。
手にはコンビニの袋がぶら下げられている。
「あ、圭吾さんおかえりなさい」
圭吾は優雅にフルーツを食べている零を見て安心したのか、
「零…とりあえず手洗ってくる」
と言って洗面所へ向かう。
コンビニの袋の中を覗くと、そこには3ヶ月前に零の心をぽっきりと折ってしまった妊娠検査薬。
これを使うのは自然と避けていた。
もちろんタイミングとしては何度かあったが、それでも確信がない限りは使えなかった。
それを、圭吾はついに買ってきたのだ。
零は決心したようにその箱を開け、中身を取り出す。
朝一なので陽性ならくっきりと線が出るだろう。
零は洗面所から戻ってきた圭吾と入れ違いに神妙な面持ちでトイレへ向かった。



「零…ほんとにこれ大丈夫かな…」
圭吾と零は、また3ヶ月前のように裏返した検査薬を挟んで向かい合う。
検査終了までの一分が、ものすごく長く感じる。
手には汗がじんわりと滲み、そして漸く一分が経過すると、二人はそっとそれを表にした。
「…………………ある…」
一本は終了の線、そしてもう一本の線は…
「零…!!これって……これって陽性だよね…?!?!赤ちゃんがいるってこと?!」
呆然と検査薬を見つめる零を、圭吾はぎゅ、と抱きしめる。
ずっと夢見ていたことが目の前で起きていることに、信じられずにいる。
「…あ…でも…病院にいかないとまだ…」
零は喜び以上に不安でいっぱいだった。
もしかすると子宮外妊娠の可能性もあるし、そもそも妊娠すらしていないかもしれない。
「…そうだね、病院が開いたらすぐに検査してもらおうか」
圭吾は一旦冷静になり、零をソファーに座らせて朝食を作った。



「うん、特に異常はありませんね。
おめでとうございます」
産婦人科の先生は、そうして零のお腹に赤ちゃんがいることを明確にしてくれた。
圭吾と零は安心し、ふう、とため息をつく。
エコーには零の子宮内が写され、
「ここが胎嚢って言ってね、うん、赤ちゃんいるね」
まだ豆粒だけどね~、と教えてくれる。
我が子の存在がはっきりしたことで、零はやっと涙を流すことが出来た。
嬉しくて、幸せで、こんなにも素晴らしいことがあるのだと、涙が止まらなくなった。

無事心拍も確認でき、そのままの足で母子手帳を貰いに行く。
それと同時に貰ったキーホルダーには、
「お腹に赤ちゃんがいます」
と書かれている。
零はそれを優しく撫で、さっそく自分のカバンにつけた。
「本当に…ここにいるんですね」
零は泣き腫らした目で愛おしそうに微笑む。
圭吾は零の頭を撫で、
「そうだね。よく頑張ったね」
と言う。
「これからの方がもっと大変かもしれませんけど、二人でこの子を大事に育てていきましょうね」
零の表情は、すっかり母親そのものになっていた。

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