強制結婚させられた相手がすきすぎる

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かわいい店員さん

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「いらっしゃいませ~」
土曜日の昼下がり、零は子供たちを圭吾に預けて知り合いの営むお花屋さんで働いていた。
「零さん働いたことないってほんと?接客すごく上手!零さんの笑顔でお花たちも喜んでるよ~」
着古して色あせたエプロンを着る花屋の娘は、現在高校三年生の茉莉花まりかちゃんだ。
そして店の奥で足を庇いながらラッピング作業をするのがその母親のははさんで、その横でゆいと同い年の娘すみれちゃんが寝ている。
「ほんとだよ、高校卒業してすぐの年に結婚したからね。高校はバイト禁止だったし、一度は働いてみたかったから嬉しい」
店が少し落ち着いたので、3人で紅茶を飲む。
茉莉花は牛乳と砂糖をたっぷり入れ、
「あま~!」
と言って笑った。
「ほんとにありがとね、母の日で忙しくなるっていうのにこんなことになっちゃって、困ってたから助かったよ~」
花は数日前の雨の日、いつも通り店を閉めて上の自宅に続く外階段を登っていたところ、落ちていた葉っぱで滑ってしまい、足を捻挫してしまったのだ。
「いつも助けていただいてるので、少しでも力になれたなら良かったです。大好きなお花に囲まれて働くなんて、夢のようですよ」
花はゆいの小学校入学時に真っ先に声をかけてくれたママ友で、それから2年経った今でもたまにランチをする仲だ。
「すみませ~ん」
少し話していると、店先からお客さんの声がする。
「こちらのカーネーションですね、お支払いは現金のみですがよろしいですか?」
零は花の包んだカーネーションをお客さんに渡し、見送った。
「あ!まま!」
すると、お客さんと反対側から自分を呼ぶ声がする。
「あれ、みんな来てくれたの?」
全速力で走るゆいとその後ろからお兄ちゃんを追いかけるりおを抱きしめると、嬉しそうに笑った。
「あ、ゆいくんとりおくんだ!こんにちは~」
茉莉花はゆいとりおに一つずつ、お店に来た子供にあげている飴を選ばせる。
ゆいがリンゴ味を選ぶと、りおも同じリンゴ味を選んでお礼を言った。
「頑張ってるところごめんね。お散歩がてら見に来ちゃった」
圭吾は奥にいる花と茉莉花に挨拶をすると、
「お兄さん、このお花ください。お兄さんのラッピングで」
と言った。
「え!?僕、ラッピングはやったことがないんですけど…」
零が困っていると、後ろから花が大笑いして零を呼んだ。
「教えるから、やってみよ~!」
そう言うと、一番簡単なラッピングの仕方を教えてくれた。
店先では、茉莉花が今来たお客さんにカーネーションを売っている。
「わ~…これは売れるレベルじゃないですよ……」
零はラッピングが完成すると、花がラッピングしたものと見比べて眉をひそめた。
「え?上手いよ!零さん器用だし、初めてでここまで綺麗にできるのすごいから自信もって!ほら、旦那さんに渡してきな~」
店先で待っていた圭吾に俯きながらそれを渡すと、圭吾はにっこりと笑って少し多めに代金を支払った。
「素敵なお花をありがとう。大切に持って帰ります」
圭吾は零から受け取ったお花を大事に持つと、子供たちを連れて公園へ向かった。
「いや~、さすがだなあ零くんの旦那さん。ね、茉莉花」
「うん、お客さんとして来たんだね!零さん顔真っ赤!」
2人してあはは、と零を揶揄う。
結婚して十年目の今もまだ、こうして恋人同士のように振る舞われるとドキドキしてしまうのだ。
「もう、恥ずかしい…」
その後圭吾は零から買ったお花をドライフラワーにし、大切に保管するのだった。
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