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第8話 ドーラとインプ ①
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メリルの屋敷で世話になり始めて、早くも三ヶ月が経っていた。
この世界に変化が起こるような事は未だに無い。メリルの言うところの来たるべき時に備えて、俺は日々鍛錬と学習に明け暮れている。
元々、適応力が高いと自画自賛しているのでこの世界の文化や生活をどんどん吸収している途中だ。
俺のいた世界と比べると様々な事が違うが、特に一番驚いたのは、やはり魔法の存在。
こちらの住人の少数だけが生まれ持っての能力として魔法を使える。
つまりは特別な存在として人々からは崇敬されていた。
だから、魔法の種類によって様々な地位や身分が保証されてるそうだ。
メリルは転生後に魔法に目覚めたが双子のトレマシーとドーラに関しては生まれ持っての魔法が使えたそうだ。
この双子の魔法力はメリルが見たところ、かなり強力でトレマシーは火系統の攻撃魔法、ドーラは召喚魔法を使えた。
特にドーラが使う召喚魔法は特別でこの世界では国を滅ぼしかねない禁忌魔法とされていた。
それはかつてプロメキアスという大召喚士がいて、この世界が大陸間戦争をしていた折の事。
プロメキアスが勝機を見いだし決戦として放った召喚魔法により世界の姿、形が変わってしまったという言い伝えがある。
だからここの大地はプロメキアス大陸と呼ばれるようになったそうだ。
国によっては召喚魔法を使えるものは処罰の対象としているところもあった。
ここアレクサンドリアでも存在自体が認められておらず召喚士だと分かると追放か処刑されてしまう。だからドーラの召喚魔法の事はメリルとトレマシーしか知らない秘密だった。幸いにも、まだドーラが使える召喚魔法は召喚魔法と呼べるような代物ではない。
ドーラの召喚魔法については屋敷で暮らすようになってから、己の肉体を鍛錬する為に幾度とドーラが呼び出してくれ練習相手として対峙していたから知っている。
そいつは【インプ】と呼ばれる体長30センチほどの頭から角が生えた醜悪な見てくれをしていて、簡単な言葉も話し口も悪い。
屋敷内にある広い中庭で、俺とインプはこの数ヶ月の間、日課として武術鍛錬する。
なんでも、メリルに言わせるところ俺のステータスは知力や運は良いものの体力が普通の人達と同程度化それよりか低い為、戦いが起こった時にこちらの騎士と闘ったららひとたまりもないそうだ。
確かに、信長さまに仕えて足軽をしていた時も俺は戦は苦手でいつも逃げまどってなんとか命をつないでいたからな。
出世出来たのは調略や武勇に優れた家来がいたからだ。最初から虎之介(加藤清正)や市松(福島正則)みたいな猛者でもないから苦労するし、この世界では未だ一兵卒。
だから、今は軍師もどきのメリルの指示に従うほかないからな。
鍛錬方法は至って単純で、インプと殴り合う。
即ち喧嘩だった。
武器として、こちらは木の枝に毛が生えたような木の棒を片手にインプは小鬼らしく、鉄の棒の先端にトゲトゲしい釘が出ている突起部がある武器を持っている。
インプが小さく体格差があるから、これぐらいは「ヒデヨシ、ハンデだばさ」と言うが、実際問題すばしっこいインプにとっては利点そのものじゃないか。
ちなみに双子も語尾に「だばさ」とつける事が多いが恐らくインプの口真似をしていると思われた。
いつも俺は木の棒を振り回しては空振りの連続で体力を消耗し、疲れてしまい隙が出来たところでインプの鉄棒というか、この場合は鬼の金棒を体中に受け、ほぼ死にかけていた。
そこでメリルの出番である。
インプに殴られて怪我をしている俺にメリルは得意の回復魔法をかけてくれた。
魔法をかけられると、それはケシの花を傷口に擦り込まれたかのように痛さを忘れるし頭から汁が出るかのように快楽を伴う気持ち良さがあった。
メリルも最初の頃は早い段階で回復させてくれたが、最近はそうでもなく、あと一撃くらったら召されるぐらいの段階、つまり瀕死の状態間際まで回復を渋る。
そうする事によって、俺自身も殺られてしまうかも知れない危機感から必死になり攻撃が当たらないように俊敏な動きになる。
まぁ、実際のところは運の値が高いからインプ自体が肝心な所で躓いたり空振りしたりするのだが、あくまでそれは運なので自身でコントロール出来ないからこちらは真剣にならざる得ない。
数字で表されるステータスの数値ではあまりピンとこないが、このインプとの鍛錬によって文字通り体力が上がった気がする。実際のステータスの値も以前よりかは高くなっているので成果ありって感じだ。
メリルによると体力のステータス上昇と筋肉痛からの復活過程は似ているとの事だった。
人間の身体とは不思議なもので、ふだん使っていないところや同じところを酷使するとその部位が時間が経つと痛みだす。
いわゆる筋肉痛と言うもので、使った筋肉が様々な要因で筋肉繊維に傷がつくから痛いのだそうだ。
だが、その痛いのは日にち薬で治り、治れば以前と同じような負荷をかけたぐらいでは筋肉痛にはならない。
この仕組みの事を筋肉組織の超回復と言う。そして、この筋肉の超回復に傷の治る速さや体組織そのものの復活を加味したものを総じて体力の向上と言うわけだ。
と言う訳で、インプとの鍛錬で生死を彷徨った分だけ体力値は以前より上がっているようだ。それはあくまで可視化出来る数字での話なのだが……。実際のところ実感はない。
「どれくらい強くなった?」
と、メリルに聞いたところ。
「そうですね。こちらの騎士と素手で殴りあって殺されない程度ですかね」
などと言われたところで更に実感はわかなかった。
この世界に変化が起こるような事は未だに無い。メリルの言うところの来たるべき時に備えて、俺は日々鍛錬と学習に明け暮れている。
元々、適応力が高いと自画自賛しているのでこの世界の文化や生活をどんどん吸収している途中だ。
俺のいた世界と比べると様々な事が違うが、特に一番驚いたのは、やはり魔法の存在。
こちらの住人の少数だけが生まれ持っての能力として魔法を使える。
つまりは特別な存在として人々からは崇敬されていた。
だから、魔法の種類によって様々な地位や身分が保証されてるそうだ。
メリルは転生後に魔法に目覚めたが双子のトレマシーとドーラに関しては生まれ持っての魔法が使えたそうだ。
この双子の魔法力はメリルが見たところ、かなり強力でトレマシーは火系統の攻撃魔法、ドーラは召喚魔法を使えた。
特にドーラが使う召喚魔法は特別でこの世界では国を滅ぼしかねない禁忌魔法とされていた。
それはかつてプロメキアスという大召喚士がいて、この世界が大陸間戦争をしていた折の事。
プロメキアスが勝機を見いだし決戦として放った召喚魔法により世界の姿、形が変わってしまったという言い伝えがある。
だからここの大地はプロメキアス大陸と呼ばれるようになったそうだ。
国によっては召喚魔法を使えるものは処罰の対象としているところもあった。
ここアレクサンドリアでも存在自体が認められておらず召喚士だと分かると追放か処刑されてしまう。だからドーラの召喚魔法の事はメリルとトレマシーしか知らない秘密だった。幸いにも、まだドーラが使える召喚魔法は召喚魔法と呼べるような代物ではない。
ドーラの召喚魔法については屋敷で暮らすようになってから、己の肉体を鍛錬する為に幾度とドーラが呼び出してくれ練習相手として対峙していたから知っている。
そいつは【インプ】と呼ばれる体長30センチほどの頭から角が生えた醜悪な見てくれをしていて、簡単な言葉も話し口も悪い。
屋敷内にある広い中庭で、俺とインプはこの数ヶ月の間、日課として武術鍛錬する。
なんでも、メリルに言わせるところ俺のステータスは知力や運は良いものの体力が普通の人達と同程度化それよりか低い為、戦いが起こった時にこちらの騎士と闘ったららひとたまりもないそうだ。
確かに、信長さまに仕えて足軽をしていた時も俺は戦は苦手でいつも逃げまどってなんとか命をつないでいたからな。
出世出来たのは調略や武勇に優れた家来がいたからだ。最初から虎之介(加藤清正)や市松(福島正則)みたいな猛者でもないから苦労するし、この世界では未だ一兵卒。
だから、今は軍師もどきのメリルの指示に従うほかないからな。
鍛錬方法は至って単純で、インプと殴り合う。
即ち喧嘩だった。
武器として、こちらは木の枝に毛が生えたような木の棒を片手にインプは小鬼らしく、鉄の棒の先端にトゲトゲしい釘が出ている突起部がある武器を持っている。
インプが小さく体格差があるから、これぐらいは「ヒデヨシ、ハンデだばさ」と言うが、実際問題すばしっこいインプにとっては利点そのものじゃないか。
ちなみに双子も語尾に「だばさ」とつける事が多いが恐らくインプの口真似をしていると思われた。
いつも俺は木の棒を振り回しては空振りの連続で体力を消耗し、疲れてしまい隙が出来たところでインプの鉄棒というか、この場合は鬼の金棒を体中に受け、ほぼ死にかけていた。
そこでメリルの出番である。
インプに殴られて怪我をしている俺にメリルは得意の回復魔法をかけてくれた。
魔法をかけられると、それはケシの花を傷口に擦り込まれたかのように痛さを忘れるし頭から汁が出るかのように快楽を伴う気持ち良さがあった。
メリルも最初の頃は早い段階で回復させてくれたが、最近はそうでもなく、あと一撃くらったら召されるぐらいの段階、つまり瀕死の状態間際まで回復を渋る。
そうする事によって、俺自身も殺られてしまうかも知れない危機感から必死になり攻撃が当たらないように俊敏な動きになる。
まぁ、実際のところは運の値が高いからインプ自体が肝心な所で躓いたり空振りしたりするのだが、あくまでそれは運なので自身でコントロール出来ないからこちらは真剣にならざる得ない。
数字で表されるステータスの数値ではあまりピンとこないが、このインプとの鍛錬によって文字通り体力が上がった気がする。実際のステータスの値も以前よりかは高くなっているので成果ありって感じだ。
メリルによると体力のステータス上昇と筋肉痛からの復活過程は似ているとの事だった。
人間の身体とは不思議なもので、ふだん使っていないところや同じところを酷使するとその部位が時間が経つと痛みだす。
いわゆる筋肉痛と言うもので、使った筋肉が様々な要因で筋肉繊維に傷がつくから痛いのだそうだ。
だが、その痛いのは日にち薬で治り、治れば以前と同じような負荷をかけたぐらいでは筋肉痛にはならない。
この仕組みの事を筋肉組織の超回復と言う。そして、この筋肉の超回復に傷の治る速さや体組織そのものの復活を加味したものを総じて体力の向上と言うわけだ。
と言う訳で、インプとの鍛錬で生死を彷徨った分だけ体力値は以前より上がっているようだ。それはあくまで可視化出来る数字での話なのだが……。実際のところ実感はない。
「どれくらい強くなった?」
と、メリルに聞いたところ。
「そうですね。こちらの騎士と素手で殴りあって殺されない程度ですかね」
などと言われたところで更に実感はわかなかった。
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