夢追人と時の審判者!(四沙門果の修行者、八度の転生からの〜聖者の末路・浄土はどこ〜)

一竿満月

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死役所

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吾輩は四年ぶりに中陰の【死役所】へやってきた。【死役所】は五年前の事件よりできた役所である。今までは、人間を初めとする全ての衆生は、よほどの善人やよほどの悪人でない限り、没後に亡者と呼ばれる存在となり、中陰の期間中に【死王所】で毎週初七日から七七日(四十九日)迄、七王の審判を受ける。また、百か日、一周忌、三回忌と、十王まで再審の裁きを受けることができたが、五年前から【死役所】が出来てからは事前申請という手続きが必要になった。
 今日、わざわざ【死役所】へやってきたのは、【生弓矢】の呪詛で亡くなった島津家久が気になったからである。


□□□□…………島津家久
 真っ暗な世界から灯のさす方向へ歩いていくと、急に目の前が明るく光り、沢山の机と椅子が置いてあり、町人風の男女と死に装束を着た透けて見える人がいる。
「んっ…ここはどこだ?」
『こんにちは』『あっすみません、すぐに担当者をお呼びいたしますので…』
「……」  
『遅くなってすみません。呪殺担当の浦見と申します』
「……」
『それでは手続きに関する説明を致します。こちらにお掛け下さい』 
「んっ…ここか?」
『はい!こちらで。呪殺された、お客様にはこちらの申請書を確認して頂いております』
〈【審判申請書(呪)】 呪てなんだ?…〉
 家久が申請書を覗き込むと、呪の文字が書かれている三角頭巾が落ちた。
「此れは?」
『これは天冠といいます。お客様が何で亡くなったか記載されています』
『たとえば(自)なら自殺、(他)なら他殺、(寿)なら寿命など…』
「そうですか、私は呪殺ですか…」 
『はいっ、特級呪詛具の【生弓矢】を使った呪殺になります』
「特級呪詛具?」
『昔、須佐之男が所持していた三種類の神器の一つであり、出雲地方の三種の神器と捉えられています。「生太刀」は生命の宿る剣で、「生弓矢」は生太刀と同じく生命の宿る弓矢、「天詔琴」は神のお告げに使う琴であります』
「神器が特級呪詛具?」
『人が使うと【魂】がすくないので…』
「そうですか…」
『では確認していきましょうか』
「……」
『お名前は“島津家久”様でよろしいでしょうか』
「はい」
『呪殺された場所は“根白坂”。呪殺された日は“天正十五年四月十七日”。呪殺された相手は“現在調査中”…』
「なに!調査中…どういうことだ」家久が声を荒げた。
『お客様、お静かに…お願い申し上げます』
「あっ、 すまん!」
『いえいえ、お気になさらないでください。亡者様はお客様ですから』
〈金の亡者というでしょう、いかん!顔が…〉
「しかし、……」
『島津様、お気持ちは大変よくわかります。まぁ落ち着いてゆっくり確認していきましょう』
「……」
『では、宗派は“曹洞宗”。ご本尊は“釈迦如来”様、脇侍は“弥勒菩薩”様、“阿弥陀如来”様でよろしいでしょうか』
「はい…」
『それでは、明日の審判は第七法廷“従五位下畜生界守泰山王”様になります』
「……」
『あと、装束は今のままで大体いいですが…。
 麻や木綿、紙布(しふ・和紙から紡いだ糸で織った布)できた「経帷子(きょうかたびら)」という着物を身に着けている。
「手甲(てっこう)」と呼ばれる布で上腕や手首・手の甲を覆い、数珠を持たせている。
 脚には「脚絆(きゃはん)」という装飾品をつけ、白足袋や草履を履かせている。
 頭には三角頭巾をつけている。編み笠はかぶっていないねぇ…。
 六文銭(ろくもんせん)が入った「頭陀袋(ずだぶくろ)」と呼ばれる布製の袋を首からかけている。編み笠は地下の売店で購入できるので購入してください』
「六文しかないが大丈夫か?」
『ここでは三途の川の渡り賃以外お金はいりません。あとは【徳】で支払いできます』
「【徳】とは?」
『人徳ですね。【徳】によって輪廻の行き先が分かれますので無駄遣いには気を付けてください』
「んっ、どういうことだ…」
『たとえばですよ、たとえば…【徳】が無いと地獄界。少ないと餓鬼界、畜生界。ほどほどで修羅界、人界。多いと天界などです』
「明日の審判が従五位下畜生界守泰山王殿だとすると儂は畜生界か?」
『いえ、それは関係ありません。島津様の場合天正十五年四月十七日に亡くなっているのですが、呪詛のためこちらに来られたのが天正十五年六月五日のため第七法廷になっただけです』
「そっ…そうか」
『それでは明日、巳ノ刻に死王所の第七法廷へお越しください。もし分からなければこちらの窓口に【ちょんの間】前に来ていただければ無料で特別に案内します。それと審判までの日にちもありませんので、この先に案内所と休憩室がありますので、そこで明日までおやすみになっては如何でしょうか。本日はありがとうございました。』
「分かりました、また、明日よろしくお願いいたす。」



■■■■…………吉川元長
『吉川さま、吉川元長さま、 いらっしゃいますか?』
「……」  
『遅くなってすみません。相談員の強井と申します』
「ちょっと聞いていい?」
『はい、どのようなことでしょうか?』
「ここどこ?」
『ここは【死役所】ですが…』
「いやぁ…なんで私がここに居るのか聞いてるの…」
『お亡くなりになったので、亡者としてこちらに来られたと思いますが…』
「あのねぇ 私さっきまで元気でピンピンしてたんですよ!!」
『良かったですね、ピンピンコロリですね…』
「……」〈話が通じない…〉
『それでは手続きに関する説明を致します。こちらにお掛け下さい』 
「んっ…ここか?」
『はい!こちらで。お客様にはこちらの申請書を確認して頂いております』
〈【審判申請(寿)】?〉 
 元長が申請書を覗き込むと、寿の文字が書かれている三角頭巾が落ちた。
「此れは?」
『これはと天冠いいます。お客様が何で亡くなったか記載されています』
『たとえば(自)なら自殺、(他)なら他殺、(寿)なら寿命など…』
「私は寿命ですか…」 
『はいっ、【魂】が無くなって寿命が尽きたと云うことになります』
「寿命って俺はまだ三十九才だぞ?」
『お客様が使った、「生弓矢」は生命の宿る弓矢でして。使用した者の【魂】を減らしながら相手に命中する神器なのです』
「神器?」
『神器を使用して【魂】が無くなると寿命になります…』
「そうですか…って納得できるか~!! いい加減にしろよ!」
 元長が急に強井の胸座を掴んで顔を思いっきり殴った。
「ポコッ」
 相談員は何も無かった様に笑いながら
『お客様、当死役所では、職員に問題や問題行動がないかを重要視します。利用者の理不尽な要求、暴言、暴力は絶対に許しません。優秀な人材を失っては、死民サービスの提供に支障をきたします。
 利用者の職員への暴力・暴言については、証拠を残した上で審判に提示し退去を勧告します。
 なお、お客様は霊魂の重さが二分六厘(1g以下)。私の重さが約十六貫(約60kg)なので力は六万分の一になります… 今後とも暴力は慎んで頂きますようよろしくお願いいたします』
〈最近こういう亡者さんが増えたようなきがしますねぇ〉
 元長が顔が引き攣らせながら頭をさげた。
「…すっ…すみません」
『いえいえ、お気になさらないでください。亡者様はお客様ですから 
 …では確認していきましょうか』
「……」
『お名前は“吉川元長”様でよろしいでしょうか』
「はい」
『神器を使用された場所は“根白坂”。神器を使用された日は“天正十五年四月十七日”。神器を使用された相手は“島津家久”…』
「なに!島津家久…どういうことだ儂は預かった弓矢で鷹を撃っただけじゃ…」元長が声を上げた。
『お客様、お静かに…お願い申し上げます』
「あっ、 すまん!」
『いえいえ、お気になさらないでください。』
「しかし、……」
『吉川様、お気持ちは大変よくわかります。まぁ落ち着いてゆっくり確認していきましょう』
「……」
『では、宗派は“臨済宗 妙心寺派”。ご本尊は“釈迦如来”様、脇侍は“摩訶迦葉”様、“阿難尊者”様でよろしいでしょうか』
「はい…」
『それでは、審判は第一法廷“従五位下餓鬼界守秦広王”様になります』
「…なぜ?…秦広王」
『あと、装束は今のままで大丈夫ですが…。
 麻や木綿、紙布(しふ・和紙から紡いだ糸で織った布)できた「経帷子(きょうかたびら)」という着物を身に着けている。
「手甲(てっこう)」と呼ばれる布で上腕や手首・手の甲を覆い、数珠を持たせている。
 脚には「脚絆(きゃはん)」という装飾品をつけ、白足袋や草履を履かせている。
 頭には三角頭巾をつけている。編み笠はかぶっている。
 六文銭(ろくもんせん)が入っていない「頭陀袋(ずだぶくろ)」と呼ばれる布製の袋を首からかけている。六文銭は地下の売店で購入できるので購入してください』
「金は持って無いが大丈夫か?」
『ここでは三途の川の渡り賃以外お金はいりません。あとは【徳】で支払いできます』
「【徳】とは?」
『人徳ですね。【徳】によって輪廻の行き先が分かれますので無駄遣いには気を付けてください』
「んっ、どういうことだ…」
『たとえばですよ、たとえば…【徳】が無いと地獄界。少ないと餓鬼界、畜生界。ほどほどで修羅界、人界。多いと天界などです』
「明日の審判が従五位下餓鬼界守秦広王殿だとすると儂は餓鬼界か?」
『いえ、それは関係ありません。吉川様の場合本日天正十五年六月五日に亡くなっているので、通常通り第一審から順番に廻って頂きます』
「そっ…そうか」
『それでは六日後、午ノ刻に【死王所】の第一法廷へお越しください。もし分からなければこちらの受付に【ちょんの間】前に来ていただければ案内します。もちろん【徳】は頂きますが… もし、自分で歩いていく場合はこの先に案内所と休憩室がありますので、そこで準備して西出口から出て西方に歩くと最初にあるのが、死天山で高さが八百里もあり、難行苦行して生前の業や煩悩を除き、六日間かけて辿り着くところが、賽の河原です初七日までに賽の河原に辿り着くと、とても大きな衣領樹という木が生えていて、木の袂に奪衣婆と懸衣翁が居て、亡者は奪衣婆に生前着ていた衣を剥ぎ取られます。懸衣翁は奪衣婆が剥ぎ取った衣を衣領樹に掛けて生前の業の深さを測られます。冥界と娑婆を分かつ川で、山水瀬・江深淵・有橋渡の三箇所がある三途の川の対岸に【死王所】があるので、速やかに彼岸へ渡って、初七日午ノ刻までに【死王所】の第一法廷へお越しください。本日はありがとうございました。』
「あのぅ… これからどうすれば…」
 職員は顔色一つ変えずに笑顔のまま。
『お客様、説明聴いてました? ここは、申請書の提出に必要な確認事項を行うとこです。この施設の利用方法については、この先に案内所があるので、そこを利用して下さい。最後に審判には遅刻しないようにお願いします。よろしいでしょうか、本日はありがとうございました。』
「あっ はい…」



□□□□…………島津忠隣
 忠隣は家久が来るのを待っていた。沢山の机と椅子が置いてあり、町人風の男女と死に装束を着た透けて見える人が沢山いる休憩所で。やがて、廊下の先からの見覚えのある亡者が見えた。
「叔父上、中書殿!」
「んっ…三郎次郎か?」
「はい、待っておりました」
「おぉ、元気そうでなによりと申したいのは山々じゃが、顔色が良くないのぉ…」
「叔父上は顔色がいいですね」
「「ウハハハハハァ…」」
 お互いが笑った後で顔を近づけて、忠隣が小声で話した。
「あの案内所の先に職員用の休養室があります、そこでお話ししたいことがあります」
「そうか、…しかし、その前に案内所で【死王所】の第七法廷の場所と明日の審判に必要な編み笠を地下の売店で購入しなくてはならぬ…」
「はっ、では私の編み笠をお使いくだされ、それと案内所で相談すると、西口から歩いて【死王所】へ行くように勧められるようなので、そこは注意してください。叔父上の場合、明日総合窓口に行けば北口に有る牛車に乗れば【死王所】まで直行で案内されるので大丈夫です。…叔父上それといくら腹が立っても、ここの職員さんには間違っても手を出さないようにしてくださいね。【徳】が異常に減るようです。では、案内所へいきましょうか?」
「そうか、度々すまぬ そちはどうするのじゃ、編み笠が無くては困らないのか」
「私はもう大丈夫です、義父金吾様が葬儀、法要等で【徳】を積んでくれたおかげで、なんとか修羅界に転生できるようになりそうです。明日の七七日(四十九日)の法要で積んで頂いた【徳】にもよりますが修羅界に有る【転生城】の十一面観音菩薩様をお守りする側になりそうです」
「そうか… ところで受付で申請書の確認している時に傍にいた鬼はなんじゃ…」
「亡骸から、精・魂・魄を取り除き冥界に送る三鬼内の一鬼、縛魄鬼です。【死役所】で申請書提出が終わると近づいてきて魄を取り除き冥界に送ります。【死王所】で審判が始まると奪魂鬼が近付いて魂を取り除き、結審すると奪精鬼が近付いて精気を取り除きに来ます。すると、亡者の霊魂が零魂に変化して、各界に送られるようです。」
「三郎…、良く丁寧に調べたな」
「はっ… 叔父上にお伝えするよう猿渡信兵衛殿を始め、我が島津のもののふが【徳】を使って調べてくれました。我が兵は皆、修羅界で待っております。私も明日の審判で皆のところへ参ります。
では、先に案内所へ…」
 忠親が家久を案内所近くまで連れて行き、半時程待っているとやっと家久が戻ってきた。
「すまぬ! 待たせたな、あの根倉と言うおなご、西口から歩いていくよう何度も繰り返し話してくるから、お前に借りた編み笠を脱いで天冠を見せたら謝ってこの施設の【版不霊戸】をくれた」
「おぉぉ 非売品の【版不霊戸】! これは、原則【網際網路】の【死役所・家頁】に表示されていて手に入らないそうです…。 叔父上、今から休養室へ…」
〈さっき職員さんが話していたことをそのまま受け売りで話してしまった〉
 ふたりは職員用の休養室へ入り朝までに出てこなかった。

 次の日、家久は【死王所】で泰山王により結審を受け、天界の極楽浄土へ行くことになった。
そして、【死警所】から従六位上天界介波旬補佐官の部下天人が迎えに来て、一緒に朧車に乗って天界へ旅立った。途中、死天山の上空から獄卒に追いかけられる吉川元長殿が見えた。
何故だか、遠くの方で「たすけてくれ~~~!」と言う空耳が残った。
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