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御手伝
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吾輩はいつもの別荘ではなく、主に聚楽第の葡萄を守れと云われて鳥を威嚇するために聚楽第の屋根の上に隠れている。そして、夜中に主が収穫に来るまで任務が続くが、美味しい夜食を持って来てくれる主を待っているのだが、ここの葡萄はワイン用でタンニンの含まれる部分(種や皮)が多く、酸味が強いため、あるじは楽第葡萄と呼んでいる。
昨日の昼間にふと聚楽第の秀次邸を見ると、吾輩が一番働き者だと思っていた女中が暇を出された事を過労で倒れた主のために報告しておこう。
天正十六年八月二十二日、氏政の弟・北条氏規が上洛。聚楽第で秀吉に謁見する。
北条が服属したことにより、秀吉は佐竹氏ら関東大名、伊達政宗・最上義光ら奥羽大名に上洛を要請、国境を定めることを伝える。
里見義康の要請により、秀吉が北条・里見領の境界裁定を行う。里見領は安房国、上総国〈東金、土気、万喜土岐、長南武田を除く〉となる。
九月になると浅井三姉妹の長女 茶々〈淀殿〉が秀吉の側室となる。この頃、黒田官兵衛が豊前 中津城を築城する。秀吉は対馬の宗氏を服属させたことで李氏朝鮮も服属できたものと判断し、宗氏に朝鮮国王の上洛を求める。しかし宗氏は朝鮮の藩臣であり、板挟みとなった当主の宗義智はあくまで通信使の派遣として嘆願することとした。宗義智は家臣の柳川調信、堺の豪商島井宗室を連れ朝鮮へ渡り、使節の派遣を求める事になる。
□□□□…………お菊
「早く出て行ってください。あなたのように我の強い、地味な顔立ちの女中はこのお屋敷に似合わないと思っていましたから」
つまるところそれは「退職勧告」だった。
女中頭のお藤とお菊の間にあるのは、見事なまでに割れた皿。
「女中頭、この皿を割ったのはわたしではありません……わたしはこの皿が置かれている座敷に入ったことは今までに一度もないのですから」
「黙らっしゃい。あなたがこの皿を落として、割って逃げ出したのを目撃した女中は何人もいるんですよ」
「そんな……」
「ともかく、これは決定事項です。このお屋敷を、栄えある羽柴秀次家を出て行けばそれだけで不問にすると言っているのです」
「で、でも、ほんとうにわたしがやったのでは……」
「それともあなたの安い給金でこの皿を賠償するというのですか? 時価二百両と言われているこの皿を?」
「そ、そんなの……できません」
「では、早々に荷物をまとめて出て行きなさい。今日中に。それと今をもって他の使用人との一切の会話を禁じます。いいですね」
これで話は終わりだと言わんばかりに立ち上がると、女中頭は部屋の扉を開いて横に仁王立ちした。
出て行けというのだろう。菊はショックに打ちひしがれ、おもむろに立ち上がるとゆっくりと歩いて廊下に出た。それでも彼女は頭を下げながら、
「短い間でしたが、お世話になりました。皆様の今後のご健康とご多幸を…」
バタン。裏の台所の扉は閉じられた。
「…………」
菊は自分でも歩いているのかどうかわからない足取りで自室へと向かう。
ここは羽柴秀次の下屋敷で、住み込みで働く女中や小間使いといった使用人たちの部屋がある。
全部あわせて三十人以上いる。それ以外に馬廻りや小姓等家臣もいるのだ。
それほどの人数を雇えるほどには羽柴秀次は裕福だった。
やがて菊は自室へとたどり着いた。部屋にある菊の荷物はほんとうに少ない。荷物を詰めようと取り出した「振り分け荷物」とは、昔は皆が使っていた小型の鞄で、形は、竹で編んだ四角い籠のような行李に手ぬぐいを結び付け、もう一方の端は風呂敷包みになっていた。その鞄は菊が三年前にこのお屋敷にやってきたときに持ってきたものだ。
菊、お前が大きくなったら大きな行李を買ってやろうと思っていたんだけど、お前は小さいまま働きに出ることになってしまったね。だからしようがない、私が小さいころに使っていたお下がりだけど、まだまだ使えるからこれを持っていきな。女中の技術を完璧に仕込んでくれた師匠がくれた鞄。
「……師匠、ごめんなさい」
荷物を詰めながら、悔しさに涙があふれてくる。
「わたし……まだまだお屋敷のために働けたはずなのに出て行くことになってしまいました……」
三歳で家事の手伝いを始め、五歳のころには家事の素質を師匠に見込まれ、師匠とともに働き始めた。十二歳には師匠のお墨付きが出て、菊はひとり、前の羽柴秀次邸へやってきた。
あれから三年、聚楽第に越してきて半年、菊は今、十五歳。
まさかこんな形で、身に覚えのない…罪で追い出されることになるとは思いもしなかった。
「……わたしの最後のお仕事が、ここを『出ていくこと』なら、ちゃんとやらなきゃ」
師匠の教えを思い出す。
女中はいつだって仕事を完璧にこなすものだ。目立ってはいけないよ、目立つのはご主人様たちの仕事だからね。
小さな鏡で身だしなみを整える。綺麗な黒髪を後ろで束ねているだけの、「元結掛け垂髪」で、ほつれたところを手早く直す。
まつげは涙に濡れている。手拭いで拭いてなるべく元に戻そうとする。
私服は持っていない。口入れ屋の仲介で、毎年三月四日の「出替りの日」に奉公先の秀次邸に就職した。奉公の条件は三食付き、着衣貸与で年に二両ほどの給金であった。一年契約の年季奉公であったが、働きが真面目であったり主人のお気に入りになったりすると、次の年も引き続いて奉公することがあり、「重年」や「居なり」と言った。女中服があれば街に出ていてもおかしくないし、女中に休日はほとんどない。休暇を取っている女中もいるにはいたが、菊は、自分が一日休むことで他の使用人の業務が滞るのが嫌だったので休まなかった。
菊は女中服の上に外套を羽織った。
「あ、そうだ……引き継ぎをしておかないと——」
今をもって他の使用人との一切の会話を禁じます。そうだ、もう誰とも話してはいけないのだ。
「…………」
満足に引き継ぎもできないまま出ていかなければならない。
「……でも、せめてこれくらいは」
自分でまとめておいた紙を取り出す。このお屋敷を訪れるお客様の名前とその特徴、食事の好みや注意しなければいけない点をまとめたものだった。
誰かに渡せば、きっと役立ててもらえる。
菊は、三年を過ごした部屋に向かって一礼する。
布団は片付け、荷物もない部屋の隅にもほこりひとつ落ちていない、完璧に世話が行き届いた部屋。
「ねえ、あれ」
「あ~……今日クビになったお菊じゃない?」
廊下に出ると、
「次の天下人と呼び声のある羽柴秀次様のお屋敷にあんな地味な子がいるのってどうかと思ってたのよねえ」
「しっ。聞こえちゃうわよ」
「いいよ。だってもう、お屋敷と関係のない人でしょ?」
他の女中たちがくすくすと笑っている。
彼女たちの着ている服こそ女中服だったが、入念に手入れされた髪とさりげない簪は、お屋敷のご主人様のお手つきになることを望んでいるからこそだった。
ご主人様の側室になれば贅沢も思いのままだ。女中のお亀は僧侶の子であったが、昨年産んだ槿姫の母と云われて、彼女は正二位権中納言・持明院基孝の養女とされていたことから「中納言」と称されていた。
それでも菊は、そのうちのひとりに近づいた。
「……なによ」
嫌そうな顔をした女中に、菊は紙を差し出した。
「こ、これは会話ではなく独り言です。お屋敷を訪れたお客様についてまとめた紙です。きっとお役に立つと思います」
「「「…………」」」
「ここに置いていきますから」
相手が一向に受け取らないので、菊は足元に紙を置いて彼女たちに背を向けた。
菊は、師匠の推薦で若御前付き女中としてこのお屋敷にやってきた。
お茶も堪能で礼儀作法もよくできる。
菊は女中としてよく働いたのだけれど、それ以外のことも気になってしまった。
廊下は汚れ、食事の出し方も雑で、お坊ちゃまたちの教育も行き届いていない。
それはすべて、当主の秀次が女中の採用を「見た目」重視にしてしまっているからだった。
もちろん見た目のよさが必要な接客用の女中もいる。
しかし、客と接しない女中も見た目で選んでしまったものだから、業務が滞っていたのだ。
それを解決したのが、菊だ。
これほどに広いお屋敷であっても、菊はたったひとりのあらゆる仕事をこなした使用人だったのだ。
〈この後……どうなっちゃうんだろう〉
一瞬、菊は自分がいなくなった後にこのお屋敷がどうなってしまうのか、考えてしまったが、すぐに首をぶんぶんと横に振った。
〈きっと女中頭は、私がいなくなった後でもお屋敷がちゃんと回るようにちゃんと手配をしてくださっているはず〉
向こうも心配して欲しいとは思っていないだろう。さすがに、女中頭はわかっているはずだと菊は思ったが、不幸なことに女中頭はわかっていなかった。
菊は「女中は出しゃばるな」という師匠の言いつけを守り、すべてを密やかに行ったのだった。
働き出してから一年してようやく若御前が菊の存在に気がつき、名前を聞いたほどだ女中だというのに。
これからのことを考えて歩きながらも、菊は鏡の曇りを見つけると帯から取り出した手ぬぐいで拭き取り、吹き込んでいた落ち葉を拾い上げ、出しっぱなしだった箒を片づける。
ひとつひとつの動作に澱みがなく、彼女が歩いた後には塵ひとつ落ちていない、きらきらの廊下があった。このレベルに到達してしまうと他の女中が気づかないのはある意味仕方がなかった。他の女中は菊のすごさがわからず、菊もそれを誇らない。不幸なすれ違いだった。
「……あ」
ふと菊は、廊下の隅を見た。菊が初めて下屋敷にやって来たときに謎のシミがあった場所だ。それを時間を掛けて落としたのを思い出したのだ。
向こうの窓は高いところにあるので庭師に頼み込んでハシゴを貸してもらい、拭くことにした。
使用人の食事は作り置きのものを手の空いた時間に食べるので、冷め切った料理が多く、料理人と話し合って冷たくなっても食べられる食事を考えたり、使用人の寮とは言え、そのあちこちに菊は手を入れた。
「…………」
菊が最後に通りかかったのは厨房だった。本宅の料理人でもある坪内健三が使用人のためにも腕を振るってくれている。午前中のこの時間はここにいるはずで、厨房からはトントントンという包丁の音が聞こえる。
〈健三さんは天才的な料理人〉
若御前ですら、本館の厨房に用があるときには一度女中に合図をさせるほどだ。
礼を尽くして迎えた料理長だと菊は聞いていたし、それほどの腕もあるとわかっていた。
〈そのぶん食材の仕入れには厳しくて、完璧なタイミングで上質な季節の食材を仕入れないといけない……〉
一言云うべきではないかと、そう思ったけれど、菊は首を横に振った。
そして厨房の前を通り過ぎた。
「…?」
健三が、ちらりと振り向いたがそれだけだった。お屋敷から出ると下屋敷の西外門まで塀と堀が続いて、門から出ると、南に歩き丸太町通りへ出ると多くの人が集まり、賑わっている左京へ向かった。
「どこへ行こう……」
菊はひとりだった。ひとりぼっちで人の往来を眺めていた。
「そっか……わたしはずっと、お屋敷で働くことがすべてだったから」
最初は褒められることがうれしくて家事を手伝い。
師匠に女中としての才能を見いだされてからはどんどん知識を吸い込んだのが楽しかった。
給金の大半は、田舎の実家に仕送りをしていたけれど、少し残したものを菊は使わなかったので貯金はできた。
その額は二両、一年分の給金だ。節約すれば、菊なら半年は暮らせるだろう。住む場所があったら一年は行ける。
「……実家に帰る? ううん。帰っても迷惑なだけだし」
実家は農家で、さほど裕福ではなく、家事を手伝えるだけの自分が転がり込んでも収入が増えるわけではない。帰っても持て余されてしまうだろう。
「ん……」
そのときふと、耳に聞こえてきた馬の蹄の音。人馬継所、問屋場とも呼び、荷物輸送の事務を執った。そしてその横には口入屋があった。三年前に師匠と一緒に来た店だ。
□□□□…………小太郎
小太郎が口入屋に入ったときに、すぐに揉め事に気がついた。女中ふうの少女がからかわれていること。彼女には受けられる依頼がないということ。
〈飛彩から聞いていた女中かもしれない、働きたくても働けない……チャンスかも〉
そう思うと小太郎は行動に移っていた。少女、菊に手伝いの依頼を発注し、受けてもらった。
そしていまだ状況を把握し切れていない菊を連れて口入屋の外へと出た。
「……ごめん、ありがと。もう落ち着いたわ。あんた、あたしを助けてくれたのね」
「違いますよ。僕は、お菊さんに助けてもらおうと思ったんです」
ふたりは街中にある茶店にいた。茶店とは言ってもお酒がおいてあるような茶店ではなく、黄な粉をまぶしたお餅を親指サイズに千切って竹串に刺し、炭火であぶって香ばしい焦げ目をつけたら、絶妙な甘さの特製白みそだれを絡めて仕上げる名物あぶり餅と、ちょっとした椅子がいくつかある茶店だ。ひとりぶん間を空けて、並んで座ったふたり。
「手伝い依頼のこと? ……でも、あたしには無理なの。聞いてた? あたしは女中だけど料理はできないから」
そう、超優秀な女中お菊の弱点は料理の味付けが下手なこと。食べて意見は言えるが料理が下手だと思い込んでいる。
「大丈夫です——えっと、たぶん、大丈夫です。僕がお願いしたいのは郊外にある、別荘の管理と手伝いですから」
「ああ。管理人のことね。確かに料理以外は大丈夫よ。任せて!……」
「そうですか料理以外は自信ありますか!? 菊さんは食べる方で、食べるものは僕が作ります!」
ひとりぶん空いていた間が半分になるくらい食いついてきた小太郎に、菊はちょっと引く。
「え、ええ……あるはあるけど」
「よかった! 僕、掃除と洗濯、家事の経験がほとんどないので自信がありません。それで手伝いをお願いしたいのです」
「手伝いっていうか家事でしょ。それくらいなら構わないけど」
ていうか、依頼は受けちゃったし、と菊は続ける。
小太郎は揉めていたあの場を、菊に「依頼」するという形で口入屋を通し、連れ出したのだ。
依頼者と問題を起こしたら、求職者は口入屋からにらまれてしまう。
「では行きましょう!」
「え、今から?」
「はい。問題がありますか?」
「もうお昼時だし、今から出たら別荘に着くの夜になるよ」
「大丈夫です雪ちゃんがいます!」
「マジで今から行くの?」
「ダメ……でしょうか」
しゅん、と元気がなくなった小太郎に、菊は謎の罪悪感を覚える。
「それじゃ、夜食の準備をしてから行こうか」
「はい! お菊さんの指示に従います!」
「……いや、あんたが雇い主だからね? あと『お菊さん』って呼び方は止めてよ。そしたらあたしだってあんたを『小太郎さん』って言わなきゃいけなくなるでしょ」
「う……わかりました。菊!」
「うーん、まあ、それくらいなら。でもあたしはあんたのこと、ご主人様って呼ぶね」
「構いません!」
「ふふ。変な依頼主」
「そうですか?」
「そうよ。別荘の手伝い依頼なんて聞いたことないわ」
二人が街で買い物をして、雪ちゃんに二人乗って西山の別荘に向かった。
◇◇◇◇
別荘に着くと、小太郎が夜食の準備にとりかかった。
「では、ここからは僕の出番ですね!」
腕まくりして食料を取り出す小太郎に、
「え? あんた料理できるの?」
「お任せください」
小太郎は手のひらを胸に当てて恭しく頭を垂れると、仕草のいちいちが優雅だと菊は思う、料理の腕を振るった。
「死ぬ……」
このまま死んでもいい、とまでは言い過ぎだが、菊はそれくらいの幸せに包まれていた。
衝撃だった。食事がこれほど美味しくなるだなんて、料理人の健三さんより美味い…。
「お腹いっぱいで死ぬ……」
街で購入したものはふだん菊が使っている店だからそうおかしなものはなかった。
だけれど、小太郎の料理は知らない材料や手が込んでいた。
茹でる前に肉の表面を脂で焼いたり、菊が知らない香辛料を数種類入れたり、極めつけはいくつもの調味料だった。見た目は真っ赤なトマトと云う野菜の汁物なのに、今まで食べたことがないほどの奥深い味わいで、菊は思わずおかわりをしたのだ……鍋ごとおかわりを。
「お気に召したようでよかったです」
「お気に召すもなにも、あんた料理人でやってけるよ。まさかこんなに美味しい汁物を食べられるなんてさ……あぁまただ…あんた、と喋ると言葉づかいがおかしくなっちゃう」
「そうだ、 それでは小太郎さんはお休みになります?」
「………!」
「えっ、えっ?」
「見ればご主人様はだいぶお疲れのようです。少しでもこうして力を抜いていただければ……」
「えぇ」
身体に指を這わせ、ここぞという場所でぐぐいと力を込められる。ビリという電流のような感覚のあと、身体の力が抜けていく感覚がある。マッサージだ。
「ふにゃぁ……」
「手伝いとして雇っていただいてありがとうございます。今は力を抜いてくださいませ」
「ふにゃ、ふにゃぁ……」
気持ちよい刺激に身体の力が抜けていくのを小太郎は感じる。すぐそばでは囲炉裏の火が爆ぜ、周囲は夜の闇に静まり返っている。
うとうととした一瞬の気の緩みで、小太郎は眠りに落ちた。深い眠りについた、…筈だった。
「いててててぇ、江ちゃん止めてぇ!」
「ご主人様どうかしましたか…江ちゃんって何ですか」
『忘れてたよね…小太郎』
「忘れてないよぉ…いててててぇ」急に痛みを覚えて目が覚めた。
この後、お菊さんに付喪神のことを話して、理解してもらうまでに朝まで掛かった。
〈何故か、お菊さんのことを駄メイドと頭に浮かんだことは内緒にしておこう〉
昨日の昼間にふと聚楽第の秀次邸を見ると、吾輩が一番働き者だと思っていた女中が暇を出された事を過労で倒れた主のために報告しておこう。
天正十六年八月二十二日、氏政の弟・北条氏規が上洛。聚楽第で秀吉に謁見する。
北条が服属したことにより、秀吉は佐竹氏ら関東大名、伊達政宗・最上義光ら奥羽大名に上洛を要請、国境を定めることを伝える。
里見義康の要請により、秀吉が北条・里見領の境界裁定を行う。里見領は安房国、上総国〈東金、土気、万喜土岐、長南武田を除く〉となる。
九月になると浅井三姉妹の長女 茶々〈淀殿〉が秀吉の側室となる。この頃、黒田官兵衛が豊前 中津城を築城する。秀吉は対馬の宗氏を服属させたことで李氏朝鮮も服属できたものと判断し、宗氏に朝鮮国王の上洛を求める。しかし宗氏は朝鮮の藩臣であり、板挟みとなった当主の宗義智はあくまで通信使の派遣として嘆願することとした。宗義智は家臣の柳川調信、堺の豪商島井宗室を連れ朝鮮へ渡り、使節の派遣を求める事になる。
□□□□…………お菊
「早く出て行ってください。あなたのように我の強い、地味な顔立ちの女中はこのお屋敷に似合わないと思っていましたから」
つまるところそれは「退職勧告」だった。
女中頭のお藤とお菊の間にあるのは、見事なまでに割れた皿。
「女中頭、この皿を割ったのはわたしではありません……わたしはこの皿が置かれている座敷に入ったことは今までに一度もないのですから」
「黙らっしゃい。あなたがこの皿を落として、割って逃げ出したのを目撃した女中は何人もいるんですよ」
「そんな……」
「ともかく、これは決定事項です。このお屋敷を、栄えある羽柴秀次家を出て行けばそれだけで不問にすると言っているのです」
「で、でも、ほんとうにわたしがやったのでは……」
「それともあなたの安い給金でこの皿を賠償するというのですか? 時価二百両と言われているこの皿を?」
「そ、そんなの……できません」
「では、早々に荷物をまとめて出て行きなさい。今日中に。それと今をもって他の使用人との一切の会話を禁じます。いいですね」
これで話は終わりだと言わんばかりに立ち上がると、女中頭は部屋の扉を開いて横に仁王立ちした。
出て行けというのだろう。菊はショックに打ちひしがれ、おもむろに立ち上がるとゆっくりと歩いて廊下に出た。それでも彼女は頭を下げながら、
「短い間でしたが、お世話になりました。皆様の今後のご健康とご多幸を…」
バタン。裏の台所の扉は閉じられた。
「…………」
菊は自分でも歩いているのかどうかわからない足取りで自室へと向かう。
ここは羽柴秀次の下屋敷で、住み込みで働く女中や小間使いといった使用人たちの部屋がある。
全部あわせて三十人以上いる。それ以外に馬廻りや小姓等家臣もいるのだ。
それほどの人数を雇えるほどには羽柴秀次は裕福だった。
やがて菊は自室へとたどり着いた。部屋にある菊の荷物はほんとうに少ない。荷物を詰めようと取り出した「振り分け荷物」とは、昔は皆が使っていた小型の鞄で、形は、竹で編んだ四角い籠のような行李に手ぬぐいを結び付け、もう一方の端は風呂敷包みになっていた。その鞄は菊が三年前にこのお屋敷にやってきたときに持ってきたものだ。
菊、お前が大きくなったら大きな行李を買ってやろうと思っていたんだけど、お前は小さいまま働きに出ることになってしまったね。だからしようがない、私が小さいころに使っていたお下がりだけど、まだまだ使えるからこれを持っていきな。女中の技術を完璧に仕込んでくれた師匠がくれた鞄。
「……師匠、ごめんなさい」
荷物を詰めながら、悔しさに涙があふれてくる。
「わたし……まだまだお屋敷のために働けたはずなのに出て行くことになってしまいました……」
三歳で家事の手伝いを始め、五歳のころには家事の素質を師匠に見込まれ、師匠とともに働き始めた。十二歳には師匠のお墨付きが出て、菊はひとり、前の羽柴秀次邸へやってきた。
あれから三年、聚楽第に越してきて半年、菊は今、十五歳。
まさかこんな形で、身に覚えのない…罪で追い出されることになるとは思いもしなかった。
「……わたしの最後のお仕事が、ここを『出ていくこと』なら、ちゃんとやらなきゃ」
師匠の教えを思い出す。
女中はいつだって仕事を完璧にこなすものだ。目立ってはいけないよ、目立つのはご主人様たちの仕事だからね。
小さな鏡で身だしなみを整える。綺麗な黒髪を後ろで束ねているだけの、「元結掛け垂髪」で、ほつれたところを手早く直す。
まつげは涙に濡れている。手拭いで拭いてなるべく元に戻そうとする。
私服は持っていない。口入れ屋の仲介で、毎年三月四日の「出替りの日」に奉公先の秀次邸に就職した。奉公の条件は三食付き、着衣貸与で年に二両ほどの給金であった。一年契約の年季奉公であったが、働きが真面目であったり主人のお気に入りになったりすると、次の年も引き続いて奉公することがあり、「重年」や「居なり」と言った。女中服があれば街に出ていてもおかしくないし、女中に休日はほとんどない。休暇を取っている女中もいるにはいたが、菊は、自分が一日休むことで他の使用人の業務が滞るのが嫌だったので休まなかった。
菊は女中服の上に外套を羽織った。
「あ、そうだ……引き継ぎをしておかないと——」
今をもって他の使用人との一切の会話を禁じます。そうだ、もう誰とも話してはいけないのだ。
「…………」
満足に引き継ぎもできないまま出ていかなければならない。
「……でも、せめてこれくらいは」
自分でまとめておいた紙を取り出す。このお屋敷を訪れるお客様の名前とその特徴、食事の好みや注意しなければいけない点をまとめたものだった。
誰かに渡せば、きっと役立ててもらえる。
菊は、三年を過ごした部屋に向かって一礼する。
布団は片付け、荷物もない部屋の隅にもほこりひとつ落ちていない、完璧に世話が行き届いた部屋。
「ねえ、あれ」
「あ~……今日クビになったお菊じゃない?」
廊下に出ると、
「次の天下人と呼び声のある羽柴秀次様のお屋敷にあんな地味な子がいるのってどうかと思ってたのよねえ」
「しっ。聞こえちゃうわよ」
「いいよ。だってもう、お屋敷と関係のない人でしょ?」
他の女中たちがくすくすと笑っている。
彼女たちの着ている服こそ女中服だったが、入念に手入れされた髪とさりげない簪は、お屋敷のご主人様のお手つきになることを望んでいるからこそだった。
ご主人様の側室になれば贅沢も思いのままだ。女中のお亀は僧侶の子であったが、昨年産んだ槿姫の母と云われて、彼女は正二位権中納言・持明院基孝の養女とされていたことから「中納言」と称されていた。
それでも菊は、そのうちのひとりに近づいた。
「……なによ」
嫌そうな顔をした女中に、菊は紙を差し出した。
「こ、これは会話ではなく独り言です。お屋敷を訪れたお客様についてまとめた紙です。きっとお役に立つと思います」
「「「…………」」」
「ここに置いていきますから」
相手が一向に受け取らないので、菊は足元に紙を置いて彼女たちに背を向けた。
菊は、師匠の推薦で若御前付き女中としてこのお屋敷にやってきた。
お茶も堪能で礼儀作法もよくできる。
菊は女中としてよく働いたのだけれど、それ以外のことも気になってしまった。
廊下は汚れ、食事の出し方も雑で、お坊ちゃまたちの教育も行き届いていない。
それはすべて、当主の秀次が女中の採用を「見た目」重視にしてしまっているからだった。
もちろん見た目のよさが必要な接客用の女中もいる。
しかし、客と接しない女中も見た目で選んでしまったものだから、業務が滞っていたのだ。
それを解決したのが、菊だ。
これほどに広いお屋敷であっても、菊はたったひとりのあらゆる仕事をこなした使用人だったのだ。
〈この後……どうなっちゃうんだろう〉
一瞬、菊は自分がいなくなった後にこのお屋敷がどうなってしまうのか、考えてしまったが、すぐに首をぶんぶんと横に振った。
〈きっと女中頭は、私がいなくなった後でもお屋敷がちゃんと回るようにちゃんと手配をしてくださっているはず〉
向こうも心配して欲しいとは思っていないだろう。さすがに、女中頭はわかっているはずだと菊は思ったが、不幸なことに女中頭はわかっていなかった。
菊は「女中は出しゃばるな」という師匠の言いつけを守り、すべてを密やかに行ったのだった。
働き出してから一年してようやく若御前が菊の存在に気がつき、名前を聞いたほどだ女中だというのに。
これからのことを考えて歩きながらも、菊は鏡の曇りを見つけると帯から取り出した手ぬぐいで拭き取り、吹き込んでいた落ち葉を拾い上げ、出しっぱなしだった箒を片づける。
ひとつひとつの動作に澱みがなく、彼女が歩いた後には塵ひとつ落ちていない、きらきらの廊下があった。このレベルに到達してしまうと他の女中が気づかないのはある意味仕方がなかった。他の女中は菊のすごさがわからず、菊もそれを誇らない。不幸なすれ違いだった。
「……あ」
ふと菊は、廊下の隅を見た。菊が初めて下屋敷にやって来たときに謎のシミがあった場所だ。それを時間を掛けて落としたのを思い出したのだ。
向こうの窓は高いところにあるので庭師に頼み込んでハシゴを貸してもらい、拭くことにした。
使用人の食事は作り置きのものを手の空いた時間に食べるので、冷め切った料理が多く、料理人と話し合って冷たくなっても食べられる食事を考えたり、使用人の寮とは言え、そのあちこちに菊は手を入れた。
「…………」
菊が最後に通りかかったのは厨房だった。本宅の料理人でもある坪内健三が使用人のためにも腕を振るってくれている。午前中のこの時間はここにいるはずで、厨房からはトントントンという包丁の音が聞こえる。
〈健三さんは天才的な料理人〉
若御前ですら、本館の厨房に用があるときには一度女中に合図をさせるほどだ。
礼を尽くして迎えた料理長だと菊は聞いていたし、それほどの腕もあるとわかっていた。
〈そのぶん食材の仕入れには厳しくて、完璧なタイミングで上質な季節の食材を仕入れないといけない……〉
一言云うべきではないかと、そう思ったけれど、菊は首を横に振った。
そして厨房の前を通り過ぎた。
「…?」
健三が、ちらりと振り向いたがそれだけだった。お屋敷から出ると下屋敷の西外門まで塀と堀が続いて、門から出ると、南に歩き丸太町通りへ出ると多くの人が集まり、賑わっている左京へ向かった。
「どこへ行こう……」
菊はひとりだった。ひとりぼっちで人の往来を眺めていた。
「そっか……わたしはずっと、お屋敷で働くことがすべてだったから」
最初は褒められることがうれしくて家事を手伝い。
師匠に女中としての才能を見いだされてからはどんどん知識を吸い込んだのが楽しかった。
給金の大半は、田舎の実家に仕送りをしていたけれど、少し残したものを菊は使わなかったので貯金はできた。
その額は二両、一年分の給金だ。節約すれば、菊なら半年は暮らせるだろう。住む場所があったら一年は行ける。
「……実家に帰る? ううん。帰っても迷惑なだけだし」
実家は農家で、さほど裕福ではなく、家事を手伝えるだけの自分が転がり込んでも収入が増えるわけではない。帰っても持て余されてしまうだろう。
「ん……」
そのときふと、耳に聞こえてきた馬の蹄の音。人馬継所、問屋場とも呼び、荷物輸送の事務を執った。そしてその横には口入屋があった。三年前に師匠と一緒に来た店だ。
□□□□…………小太郎
小太郎が口入屋に入ったときに、すぐに揉め事に気がついた。女中ふうの少女がからかわれていること。彼女には受けられる依頼がないということ。
〈飛彩から聞いていた女中かもしれない、働きたくても働けない……チャンスかも〉
そう思うと小太郎は行動に移っていた。少女、菊に手伝いの依頼を発注し、受けてもらった。
そしていまだ状況を把握し切れていない菊を連れて口入屋の外へと出た。
「……ごめん、ありがと。もう落ち着いたわ。あんた、あたしを助けてくれたのね」
「違いますよ。僕は、お菊さんに助けてもらおうと思ったんです」
ふたりは街中にある茶店にいた。茶店とは言ってもお酒がおいてあるような茶店ではなく、黄な粉をまぶしたお餅を親指サイズに千切って竹串に刺し、炭火であぶって香ばしい焦げ目をつけたら、絶妙な甘さの特製白みそだれを絡めて仕上げる名物あぶり餅と、ちょっとした椅子がいくつかある茶店だ。ひとりぶん間を空けて、並んで座ったふたり。
「手伝い依頼のこと? ……でも、あたしには無理なの。聞いてた? あたしは女中だけど料理はできないから」
そう、超優秀な女中お菊の弱点は料理の味付けが下手なこと。食べて意見は言えるが料理が下手だと思い込んでいる。
「大丈夫です——えっと、たぶん、大丈夫です。僕がお願いしたいのは郊外にある、別荘の管理と手伝いですから」
「ああ。管理人のことね。確かに料理以外は大丈夫よ。任せて!……」
「そうですか料理以外は自信ありますか!? 菊さんは食べる方で、食べるものは僕が作ります!」
ひとりぶん空いていた間が半分になるくらい食いついてきた小太郎に、菊はちょっと引く。
「え、ええ……あるはあるけど」
「よかった! 僕、掃除と洗濯、家事の経験がほとんどないので自信がありません。それで手伝いをお願いしたいのです」
「手伝いっていうか家事でしょ。それくらいなら構わないけど」
ていうか、依頼は受けちゃったし、と菊は続ける。
小太郎は揉めていたあの場を、菊に「依頼」するという形で口入屋を通し、連れ出したのだ。
依頼者と問題を起こしたら、求職者は口入屋からにらまれてしまう。
「では行きましょう!」
「え、今から?」
「はい。問題がありますか?」
「もうお昼時だし、今から出たら別荘に着くの夜になるよ」
「大丈夫です雪ちゃんがいます!」
「マジで今から行くの?」
「ダメ……でしょうか」
しゅん、と元気がなくなった小太郎に、菊は謎の罪悪感を覚える。
「それじゃ、夜食の準備をしてから行こうか」
「はい! お菊さんの指示に従います!」
「……いや、あんたが雇い主だからね? あと『お菊さん』って呼び方は止めてよ。そしたらあたしだってあんたを『小太郎さん』って言わなきゃいけなくなるでしょ」
「う……わかりました。菊!」
「うーん、まあ、それくらいなら。でもあたしはあんたのこと、ご主人様って呼ぶね」
「構いません!」
「ふふ。変な依頼主」
「そうですか?」
「そうよ。別荘の手伝い依頼なんて聞いたことないわ」
二人が街で買い物をして、雪ちゃんに二人乗って西山の別荘に向かった。
◇◇◇◇
別荘に着くと、小太郎が夜食の準備にとりかかった。
「では、ここからは僕の出番ですね!」
腕まくりして食料を取り出す小太郎に、
「え? あんた料理できるの?」
「お任せください」
小太郎は手のひらを胸に当てて恭しく頭を垂れると、仕草のいちいちが優雅だと菊は思う、料理の腕を振るった。
「死ぬ……」
このまま死んでもいい、とまでは言い過ぎだが、菊はそれくらいの幸せに包まれていた。
衝撃だった。食事がこれほど美味しくなるだなんて、料理人の健三さんより美味い…。
「お腹いっぱいで死ぬ……」
街で購入したものはふだん菊が使っている店だからそうおかしなものはなかった。
だけれど、小太郎の料理は知らない材料や手が込んでいた。
茹でる前に肉の表面を脂で焼いたり、菊が知らない香辛料を数種類入れたり、極めつけはいくつもの調味料だった。見た目は真っ赤なトマトと云う野菜の汁物なのに、今まで食べたことがないほどの奥深い味わいで、菊は思わずおかわりをしたのだ……鍋ごとおかわりを。
「お気に召したようでよかったです」
「お気に召すもなにも、あんた料理人でやってけるよ。まさかこんなに美味しい汁物を食べられるなんてさ……あぁまただ…あんた、と喋ると言葉づかいがおかしくなっちゃう」
「そうだ、 それでは小太郎さんはお休みになります?」
「………!」
「えっ、えっ?」
「見ればご主人様はだいぶお疲れのようです。少しでもこうして力を抜いていただければ……」
「えぇ」
身体に指を這わせ、ここぞという場所でぐぐいと力を込められる。ビリという電流のような感覚のあと、身体の力が抜けていく感覚がある。マッサージだ。
「ふにゃぁ……」
「手伝いとして雇っていただいてありがとうございます。今は力を抜いてくださいませ」
「ふにゃ、ふにゃぁ……」
気持ちよい刺激に身体の力が抜けていくのを小太郎は感じる。すぐそばでは囲炉裏の火が爆ぜ、周囲は夜の闇に静まり返っている。
うとうととした一瞬の気の緩みで、小太郎は眠りに落ちた。深い眠りについた、…筈だった。
「いててててぇ、江ちゃん止めてぇ!」
「ご主人様どうかしましたか…江ちゃんって何ですか」
『忘れてたよね…小太郎』
「忘れてないよぉ…いててててぇ」急に痛みを覚えて目が覚めた。
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〈何故か、お菊さんのことを駄メイドと頭に浮かんだことは内緒にしておこう〉
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