50 / 183
軍役定事
しおりを挟む
棄が生まれてから秀吉の機嫌が良くなったと思ったら、九月一日に一万石以上の諸大名に妻子の在京を命令した。
すると、九月三日に大坂城で関白殿の大事な刀が盗まれた。第十五代将軍・義昭から秀吉に贈られた童子切安綱は、平安時代の刀工・大原安綱が作った太刀で、ついに見つからなかった。よって多くの男女が磔にされ、浅野長政の甥も切腹したし、諸大名は動揺した。秀吉は一段と機嫌が悪い様子であった。
そんなところに、十月下旬、北条氏は真田領となった領分の拠点である名胡桃城に沼田城代猪俣邦憲を侵攻させ奪取、いわば先の秀吉の裁定を軍事力で覆した。
真田昌幸の家臣・鈴木重則が守る上野名胡桃城攻略の際、重則の家臣・中山九郎兵衛を内応させ、偽の書状によって重則を城外へと誘き出し、その間に九郎兵衛に城を乗っ取らせる謀略によって奪取した。北条の沼田城主 猪俣邦憲が真田領の名胡桃城を攻撃、占領する。名胡桃城主の重則は城を奪われた自分のふがいなさを恥じ、正覚寺で自害して果てた重則は、立腹といい、立ったまま切腹をした。
この事件は真田氏から徳川氏を通して秀吉に伝えられた。北条方からは弁明の使者として石巻康敬が上洛し、豊臣氏側からは先の沼田城引き渡しと同じ富田一白と津田盛月が派遣されて関係者の引き渡し・処罰を求めたが、北条方はこれを拒否した。秀吉はこの朱印状の中で「氏政上洛の意向を受け、それまでの非議を許し、上野沼田領の支配さえ許した。しかるに、この度の名胡桃攻めは秀吉の裁定を覆す許し難い背信」であると糾弾した。
十一月十日、秀吉は佐野房綱ら関東の領主に対し、氏政の上洛が無い場合、北条氏討伐のために関東に出馬することを伝えた。
十一月二十一日付で真田昌幸にも書状を送り、「今後北条氏が出仕したとしても、城を乗っ取った者を成敗するまでは北条氏を赦免しない」「来春(年頭)に出兵する」旨を記している。
十一月二十四日、秀吉が家康へ書状を送り、来春の出陣決定と陣触れを出したことを伝え、軍事の相談のため家康の上洛を要請した。また富田一白と津田盛月を派遣して家康領内の駿河国沼津の三枚橋城に在番させ拠点地としての用意をさせること、北条からの使者石巻康敬は北条氏の返事次第で国境で処刑することも要請した。このように家康に対しても北条討伐の意向を言明し、どちらかといえば北条氏と懇意であった家康の動向が注目されたが、秀吉と北条氏の仲介を断念した家康は十二月に上洛し、秀吉に同意の意向を伝えるとともに自身も対北条戦の準備を開始した。
また、 同日付で秀吉は北条氏に対し、五ヶ条の宣戦布告とされる書状を送った。この書状は十二月五日に三枚橋城に着いた富田一白と津田盛月により、北条氏へ届けられた。
これに対して氏直は遅れて十二月七日付の書状で、氏政抑留や北条氏の国替えの惑説があるため上洛できないことと、家康が臣従した際に朝日姫と婚姻し大政所を人質とした上で上洛する厚遇を受けたことを挙げた上で、名胡桃城事件における北条氏に対する態度との差を挙げ、抑留・国替がなく心安く上洛を遂げられるよう要請した。また名胡桃城事件については、氏政や氏直の命令があったわけではなく、真田方の名胡桃城主が北条方に寝返った結果であり、「名胡桃城は真田氏から引き渡されて北条側となっている城なので、そもそも奪う必要もなく、全く知らないことである」「名胡桃城は上杉が動いたため軍勢を沼田に入れたにすぎない」、「既に名胡桃城は真田方に返還した」と弁明している。
しかし同時期、上野鉢形城主である北条氏邦が下野の宇都宮国綱を攻めており、これも秀吉の施策に反する行為である。
秀吉は小田原征伐を前に、各大名に書状を発した。その書状中に「天道に背き、帝都に対して悪だくみを企て、勅命に逆らう氏直に誅伐を加えることにした」と述べ来春参戦するよう命じた。
十二月八日に秀吉が宮部中務卿法印へ軍役定事を下す。
その数、宮部継潤は2000人、垣屋恒総は400人、木下重堅は900人、亀井茲矩は550人、南条元続は1500人を動員するという編制であった。
十二月二十一日に秀吉が入京し聚楽第で初めて越年することとなった。年末まで爺様は取次として奔走し、息子の婿入先を決め、戦後の仕置きについて秀吉と調整しだした。
■■■■…………
十二月中旬、秀俊は山陰道の楽市の店主を京の下屋敷一角にお抱え商人の店舗として次々と開店した。飲食店、呉服屋、雑貨店と内容は多岐に亘るが、売り物は全て丹波・亀山の特産品の醤油・禅寺味噌・丹波栗・亀岡牛・まいたけ・犬甘野そば・黒豆・丹波松茸・陶器(須恵器)・鮎・筍だ。
だが商品が豊富にあろうと、購買する消費者が集まらなければ市は成立しない。
秀俊は商品の情報が効率良く人々に伝達・拡散される事が、消費者を集客する上で何よりも重要と考えた。
そこで彼は俊定に消費者の購買意欲を高める期限付き値引き札を作らせ、それを木版画で大量に印刷し、市場や居住地で値引き札の無料配布を行った。
値引き札を使った宣伝は瞬く間に京を駆け巡り、冷やかしや物珍しさに集まる者や、敵情視察を兼ねた商売人たちが足を運んだ。
消費者の購買や商人間取引が活発になり始めた頃、秀俊は軍馬購入のために、一定の税を課した。
税は一部の贅沢品にだけかかる物品税と、それ以外の消費税更に秀俊は徴収した税額、そして税金の使用用途を亀山の商人に公表した。
この様な事を秀俊が行っている理由は、家臣である亀山国人衆の能力がない事が原因だ。
秀俊は秀吉の力添えで城主に就いたが、幼少の身である彼は頼れる家臣が少なかった。
このままでは藩の運営は早々に頓挫する。そこで秀俊は秀吉から何人かの家臣を借りて足りない部分を補い、藩の運営を行おうと考えた。
秀吉は秀俊の要請に快く応じ、木下俊定を始めとした何人もの家臣を亀山へ派遣し、藩の業務を手伝わせていた。
また、優秀な国人を抱え込み、藩を成り立たせる運営方法は初めてではないし、若輩の秀俊が予想以上に頑張っていることに、秀吉は喜んでいた。
しかし、秀長が推挙する秀次が、秀吉の優秀な家臣を多数抱え込んでも、肝心の秀次は大名としての能力が十分と言えなかった。
また彼は権威を高める為に行った水争い裁きの調停は失敗し、秀吉は田中吉政を現地に派遣して調査した上で双方が納得する裁決を下した。
更に商人への横槍など経済活動をめぐる数々の失策や不行跡で周囲の不評を買い続けた。
様々な人間が秀次に対し不平不満を持っている事に秀吉は憂慮し、秀次へ反省を促す手紙を送った。
『およそ主人たるもの、一年使ひ見て、役に立たぬときは暇を遣はし、家来としては、三年勤めて悪ししと知らば、暇をとること、主従や友達の間が不和になるのは、わがままが原因だと民からの陰口が絶えませぬ。日ごろの行いをもっと反省し、民が陰口を叩くようになった原因を直しなさい』
手紙で叱るほど秀吉は秀次の失策続きに激昂していると家臣たちは怯えたが、当の本人である秀吉は徒労感が胸にしみていた。
身体的な疲れと精神的な疲れを解消するため、秀吉は僅かなお供を連れ棄の元を訪れる。
頭を空にして子供をあやす事が、秀吉の数少ないストレス解消法だからだ。
「ため息も出ぬ」
酒盃を傾けながら秀吉は愚痴を零す。酒が弱い秀吉が熱燗を煽るように呑む様子から、彼が多大なストレスを受けていた事を茶々は知る。天野酒は超濃厚甘口。「天野比類無シ」「美酒言語ニ絶ス」などと絶賛され、秀吉も度々使者を派遣して買い求めていた。「良酒造りに専念するように」と朱印状も出されたほどで、まさにお墨付きだ。それほど酒好きだった秀吉だが、酒に強かったわけではない。大坂城中の掟書といえる「壁書」には「一、酒者随根器、但大酒御制禁之事」とある
「心中お察し致します」
秀吉の気疲れを察した茶々だが、かける言葉が見つからなかった。中途半端な優しさは、優しさではない事を茶々は良く知っていた。そして秀吉が単なる優しさを求めていない事も理解していた。
「関白様、富田様がお着きになりました」
「通せ」
小姓へ短く返事を返した後、秀吉は酒盃の中身を一口で飲み干した。小姓たちにお猪口や徳利を片付けさせると同時、一白が爽やかな笑みを浮かべて部屋に入る。
一白一人なら特に気に留める事もなかった。だが一白に続き秀俊も部屋へ入ってきた事に、茶々は驚きを隠せなかった。
「殿。お話は聞いておりますぞ、心労をお察し致します」
挨拶しながら一白は適当な所に腰を下ろす。秀俊は秀吉と一白を一瞥した後、二人と茶々の間に腰を下ろした。見ようによっては二人から茶々を守っている位置でもある。
「おや、金吾殿に嫌われたようだ」
肩をすくめながら一白がからかうように言う。秀吉も秀俊の態度から見抜いたようで、口元を隠して笑いをこらえていた。
秀俊は二人の態度に対して気にする素振りを見せないが、茶々には秀俊が若干苛立っているように見えた。
しかし二人の態度に苛立っているというより、他の何かに対して苛立ちを覚えているように見えた。流石に何に対して秀俊が苛立っているかまでは、茶々も分からなかった。
「ふふっ、さて大真面目な話をしよう。知っての通り、秀次の失態は目に余る。しかし儂が秀次の名誉挽回を図ると、ヘソを曲げよる。しかし、放置すれば豊臣は内側から崩壊する」
「私の所にも幾つか話が来ております。特に田中殿を無視した口出しは、私の予想を超えて家中での不評を買っておるようです」
二人の話から秀次の失態は危険水準にまで達していると茶々は理解した。
「……秀次様の失態が問題なのは理解出来るのですが、私が聞いても良い話なのでしょうか」
「構わぬ。今は忌憚なき意見が欲しい所だ。茶々と金吾、二人にも今後の事を考えて欲しい。ただし、棄が大きくなって豊臣を担う迄は秀次と金吾が両輪となって支えてほしい」
下手をすると豊臣の命運を根底から覆す話になる。
それに参加させられた理由が分からなかった茶々だが、秀俊の返答で立場に縛られない人間の意見が欲しい事を理解する。
茶々は秀俊と顔を見合った後、小さく頷いた。
「殿や大和大納言様が元気に居られるのに大丈夫では在りませぬか……」
「義父上のどこまでお役に立てるか存じませぬが、私で良ければ協力は惜しみません」
「棄のこと…頼むぞ辰之助。儂も秀長も体調が優れぬゆえいつまで頑張れるかもわからん」
「殿。大納言様の病気のことは内密の事ゆえ…」
「構わん平右衛門(一白)。来年の小田原へは秀長は同行出来ぬゆえ、すぐに分かること…。代わりに秀次を総大将として家康の下で勉強させてみて器量を計り、一昨年生まれた秀次の娘、槿姫と棄を婚姻させる」
「「「………」」」
「出来れば、来年は京の街を改造して…洛中に散在していた寺院を東京極大路の東側に移転させ、寺院が整然と並べられて、門前町としての体裁が整えて、商店街を形成される。そして、東国のことが終われば唐入りに掛かりたい。」
「殿。それはいかにも性急では…」
「儂も五十を過ぎた…。棄のためにしてやれる時間が無いのじゃ、その為にも孫七郎(秀次)と辰之助(秀俊)には棄を支える大名になって欲しいのじゃ…儂は側に置いておそろしい奴は、遠くに飛ばす。徳川も伊達もそして、毛利も薩摩も唐国に、棄の脅威になるものは全てじゃ」
「「「………」」」
「そして、日の本を八つに分け、蝦夷に黒田長政、東北に細川忠興、関東に秀康と池田輝政、中部に秀次と蒲生氏郷、近畿に棄と儂の近習、中国に秀俊と浅野幸長、四国に秀勝と加藤嘉明、九州に加藤清正と福島正則を取次に置く、その為にも唐入りを行わなければならぬ」
「「………」」
「殿、分かり申した。その為にも、まずは北条に掛かりましょう」
「何も最初から軍を用意する必要はない。各地に御内書を送り、秘密裏に北条のみを政治・経済的に封鎖する包囲網を作り上げ、北条の勢力を弱める。程よく弱った所で諸国に軍勢の派遣を要請し、『逆賊討伐』の大義名分のもと北条を潰す。同盟衆を失った北条では籠城以外に手はない、この方法が最も効果的であろう」
一白の質問に秀吉が答える。秀吉は効果的と語ったが、今の北条は籠城以外の選択肢がないとも言える。
「なるほど、諸国の軍勢を利用するのですね」
「ふむ……仮に北条包囲網が出来るとして、今から取れる行動は何だ?」
秀吉の問いに三人は少し考えた後、それぞれの答えを口にした。
「物量を支える経済基盤ですね」
「物資の生産基盤を盤石にする事と思います」
「……色々とあるが長期戦に備え、相手の気力を刈り取ること、か」
一白、茶々、秀俊の答えはどれも重要であった。
「ならば今後はそれを目標とする、今年は京で越年することとしよう。明日、京に向かうとする」
秀吉の一声で各々がする方向性が決まった。まずは、兵糧二十万石を駿河 清水港へ水軍で輸送し、長期戦に備える。
◇◇◇◇
人々が年末年始の準備に取り掛かる頃、茶々を含む秀吉は京へ入る。今回は来年の軍事行動に向けた家臣たちを慰労する事が目的だ。
招待者が幕臣という関係から茶々だけでなく秀勝、秀康、秀俊、俊定に加え、宮部継潤、南条元続、亀井茲矩、木下重堅、と言った豊臣家の精鋭家臣団も従軍していた。
前田玄以や細川幽斎を始めとした豊臣家から天皇家へ出向中の家臣たち、曽呂利新左衛門や千利休、石田三成、堺の豪商など秀吉と協力関係のある人間が慰労会に呼ばれた。
中納言である秀次は多大なる迷惑を周囲に振りまく原因ゆえ、慰労会には招待されなかった。
慰労の料理を振る舞う大任を仰せつかった人物は坪内健三だ。
最近までは聚楽第の秀次邸で料理長をしていた彼だが、茶々の推挙により心を新たにして小太郎から料理を学ぶ内に料理人としての頭角を現した。
いつしか茶々姫の料理人だけでなく、秀吉の料理人としても取り立てられて、今では豊臣家の台所を預かる料理頭にまで出世していた。
最初は腰が引けた健三だが、身震いする心身に活を入れ、見事慰労会を大成功に導いた。
彼が作った料理はスペイン人、ポルトガル人や中国人と交易を行い、山海の珍味を食べ尽くしていると自負する堺の豪商たちも、旨いと太鼓判を押すほどだった。
特に水分を多く含む関係で日持ちしない生菓子は参加者の舌を唸らせた。
慰労会後、茶々や健三は小太郎から聞いた。大豆から作るきな粉、もち米から作る白玉粉、うるち米から作る上新粉、ジャガイモから作るデンプン粉、とうもろこしから作るコーンスターチなど、調理用の粉に関する製造法を秀俊お抱えの料理屋に伝授する。
ひと月も経てば秀俊お抱え商人の店でみたらし団子や白玉団子などが売られ、それらを求めて豪商や公家などの有力者たちが下屋敷の商店街へ金子を落としていく寸法だ。
秀吉に実子の棄が誕生すると、秀吉は四か月後鶴松と改名して豊臣氏の後継者として指名。そのため他の養子同様に思い思いの過ごし方をして、来年を迎えることになる秀俊は他家に出される前に自分から動くこと決めていた。
すると、九月三日に大坂城で関白殿の大事な刀が盗まれた。第十五代将軍・義昭から秀吉に贈られた童子切安綱は、平安時代の刀工・大原安綱が作った太刀で、ついに見つからなかった。よって多くの男女が磔にされ、浅野長政の甥も切腹したし、諸大名は動揺した。秀吉は一段と機嫌が悪い様子であった。
そんなところに、十月下旬、北条氏は真田領となった領分の拠点である名胡桃城に沼田城代猪俣邦憲を侵攻させ奪取、いわば先の秀吉の裁定を軍事力で覆した。
真田昌幸の家臣・鈴木重則が守る上野名胡桃城攻略の際、重則の家臣・中山九郎兵衛を内応させ、偽の書状によって重則を城外へと誘き出し、その間に九郎兵衛に城を乗っ取らせる謀略によって奪取した。北条の沼田城主 猪俣邦憲が真田領の名胡桃城を攻撃、占領する。名胡桃城主の重則は城を奪われた自分のふがいなさを恥じ、正覚寺で自害して果てた重則は、立腹といい、立ったまま切腹をした。
この事件は真田氏から徳川氏を通して秀吉に伝えられた。北条方からは弁明の使者として石巻康敬が上洛し、豊臣氏側からは先の沼田城引き渡しと同じ富田一白と津田盛月が派遣されて関係者の引き渡し・処罰を求めたが、北条方はこれを拒否した。秀吉はこの朱印状の中で「氏政上洛の意向を受け、それまでの非議を許し、上野沼田領の支配さえ許した。しかるに、この度の名胡桃攻めは秀吉の裁定を覆す許し難い背信」であると糾弾した。
十一月十日、秀吉は佐野房綱ら関東の領主に対し、氏政の上洛が無い場合、北条氏討伐のために関東に出馬することを伝えた。
十一月二十一日付で真田昌幸にも書状を送り、「今後北条氏が出仕したとしても、城を乗っ取った者を成敗するまでは北条氏を赦免しない」「来春(年頭)に出兵する」旨を記している。
十一月二十四日、秀吉が家康へ書状を送り、来春の出陣決定と陣触れを出したことを伝え、軍事の相談のため家康の上洛を要請した。また富田一白と津田盛月を派遣して家康領内の駿河国沼津の三枚橋城に在番させ拠点地としての用意をさせること、北条からの使者石巻康敬は北条氏の返事次第で国境で処刑することも要請した。このように家康に対しても北条討伐の意向を言明し、どちらかといえば北条氏と懇意であった家康の動向が注目されたが、秀吉と北条氏の仲介を断念した家康は十二月に上洛し、秀吉に同意の意向を伝えるとともに自身も対北条戦の準備を開始した。
また、 同日付で秀吉は北条氏に対し、五ヶ条の宣戦布告とされる書状を送った。この書状は十二月五日に三枚橋城に着いた富田一白と津田盛月により、北条氏へ届けられた。
これに対して氏直は遅れて十二月七日付の書状で、氏政抑留や北条氏の国替えの惑説があるため上洛できないことと、家康が臣従した際に朝日姫と婚姻し大政所を人質とした上で上洛する厚遇を受けたことを挙げた上で、名胡桃城事件における北条氏に対する態度との差を挙げ、抑留・国替がなく心安く上洛を遂げられるよう要請した。また名胡桃城事件については、氏政や氏直の命令があったわけではなく、真田方の名胡桃城主が北条方に寝返った結果であり、「名胡桃城は真田氏から引き渡されて北条側となっている城なので、そもそも奪う必要もなく、全く知らないことである」「名胡桃城は上杉が動いたため軍勢を沼田に入れたにすぎない」、「既に名胡桃城は真田方に返還した」と弁明している。
しかし同時期、上野鉢形城主である北条氏邦が下野の宇都宮国綱を攻めており、これも秀吉の施策に反する行為である。
秀吉は小田原征伐を前に、各大名に書状を発した。その書状中に「天道に背き、帝都に対して悪だくみを企て、勅命に逆らう氏直に誅伐を加えることにした」と述べ来春参戦するよう命じた。
十二月八日に秀吉が宮部中務卿法印へ軍役定事を下す。
その数、宮部継潤は2000人、垣屋恒総は400人、木下重堅は900人、亀井茲矩は550人、南条元続は1500人を動員するという編制であった。
十二月二十一日に秀吉が入京し聚楽第で初めて越年することとなった。年末まで爺様は取次として奔走し、息子の婿入先を決め、戦後の仕置きについて秀吉と調整しだした。
■■■■…………
十二月中旬、秀俊は山陰道の楽市の店主を京の下屋敷一角にお抱え商人の店舗として次々と開店した。飲食店、呉服屋、雑貨店と内容は多岐に亘るが、売り物は全て丹波・亀山の特産品の醤油・禅寺味噌・丹波栗・亀岡牛・まいたけ・犬甘野そば・黒豆・丹波松茸・陶器(須恵器)・鮎・筍だ。
だが商品が豊富にあろうと、購買する消費者が集まらなければ市は成立しない。
秀俊は商品の情報が効率良く人々に伝達・拡散される事が、消費者を集客する上で何よりも重要と考えた。
そこで彼は俊定に消費者の購買意欲を高める期限付き値引き札を作らせ、それを木版画で大量に印刷し、市場や居住地で値引き札の無料配布を行った。
値引き札を使った宣伝は瞬く間に京を駆け巡り、冷やかしや物珍しさに集まる者や、敵情視察を兼ねた商売人たちが足を運んだ。
消費者の購買や商人間取引が活発になり始めた頃、秀俊は軍馬購入のために、一定の税を課した。
税は一部の贅沢品にだけかかる物品税と、それ以外の消費税更に秀俊は徴収した税額、そして税金の使用用途を亀山の商人に公表した。
この様な事を秀俊が行っている理由は、家臣である亀山国人衆の能力がない事が原因だ。
秀俊は秀吉の力添えで城主に就いたが、幼少の身である彼は頼れる家臣が少なかった。
このままでは藩の運営は早々に頓挫する。そこで秀俊は秀吉から何人かの家臣を借りて足りない部分を補い、藩の運営を行おうと考えた。
秀吉は秀俊の要請に快く応じ、木下俊定を始めとした何人もの家臣を亀山へ派遣し、藩の業務を手伝わせていた。
また、優秀な国人を抱え込み、藩を成り立たせる運営方法は初めてではないし、若輩の秀俊が予想以上に頑張っていることに、秀吉は喜んでいた。
しかし、秀長が推挙する秀次が、秀吉の優秀な家臣を多数抱え込んでも、肝心の秀次は大名としての能力が十分と言えなかった。
また彼は権威を高める為に行った水争い裁きの調停は失敗し、秀吉は田中吉政を現地に派遣して調査した上で双方が納得する裁決を下した。
更に商人への横槍など経済活動をめぐる数々の失策や不行跡で周囲の不評を買い続けた。
様々な人間が秀次に対し不平不満を持っている事に秀吉は憂慮し、秀次へ反省を促す手紙を送った。
『およそ主人たるもの、一年使ひ見て、役に立たぬときは暇を遣はし、家来としては、三年勤めて悪ししと知らば、暇をとること、主従や友達の間が不和になるのは、わがままが原因だと民からの陰口が絶えませぬ。日ごろの行いをもっと反省し、民が陰口を叩くようになった原因を直しなさい』
手紙で叱るほど秀吉は秀次の失策続きに激昂していると家臣たちは怯えたが、当の本人である秀吉は徒労感が胸にしみていた。
身体的な疲れと精神的な疲れを解消するため、秀吉は僅かなお供を連れ棄の元を訪れる。
頭を空にして子供をあやす事が、秀吉の数少ないストレス解消法だからだ。
「ため息も出ぬ」
酒盃を傾けながら秀吉は愚痴を零す。酒が弱い秀吉が熱燗を煽るように呑む様子から、彼が多大なストレスを受けていた事を茶々は知る。天野酒は超濃厚甘口。「天野比類無シ」「美酒言語ニ絶ス」などと絶賛され、秀吉も度々使者を派遣して買い求めていた。「良酒造りに専念するように」と朱印状も出されたほどで、まさにお墨付きだ。それほど酒好きだった秀吉だが、酒に強かったわけではない。大坂城中の掟書といえる「壁書」には「一、酒者随根器、但大酒御制禁之事」とある
「心中お察し致します」
秀吉の気疲れを察した茶々だが、かける言葉が見つからなかった。中途半端な優しさは、優しさではない事を茶々は良く知っていた。そして秀吉が単なる優しさを求めていない事も理解していた。
「関白様、富田様がお着きになりました」
「通せ」
小姓へ短く返事を返した後、秀吉は酒盃の中身を一口で飲み干した。小姓たちにお猪口や徳利を片付けさせると同時、一白が爽やかな笑みを浮かべて部屋に入る。
一白一人なら特に気に留める事もなかった。だが一白に続き秀俊も部屋へ入ってきた事に、茶々は驚きを隠せなかった。
「殿。お話は聞いておりますぞ、心労をお察し致します」
挨拶しながら一白は適当な所に腰を下ろす。秀俊は秀吉と一白を一瞥した後、二人と茶々の間に腰を下ろした。見ようによっては二人から茶々を守っている位置でもある。
「おや、金吾殿に嫌われたようだ」
肩をすくめながら一白がからかうように言う。秀吉も秀俊の態度から見抜いたようで、口元を隠して笑いをこらえていた。
秀俊は二人の態度に対して気にする素振りを見せないが、茶々には秀俊が若干苛立っているように見えた。
しかし二人の態度に苛立っているというより、他の何かに対して苛立ちを覚えているように見えた。流石に何に対して秀俊が苛立っているかまでは、茶々も分からなかった。
「ふふっ、さて大真面目な話をしよう。知っての通り、秀次の失態は目に余る。しかし儂が秀次の名誉挽回を図ると、ヘソを曲げよる。しかし、放置すれば豊臣は内側から崩壊する」
「私の所にも幾つか話が来ております。特に田中殿を無視した口出しは、私の予想を超えて家中での不評を買っておるようです」
二人の話から秀次の失態は危険水準にまで達していると茶々は理解した。
「……秀次様の失態が問題なのは理解出来るのですが、私が聞いても良い話なのでしょうか」
「構わぬ。今は忌憚なき意見が欲しい所だ。茶々と金吾、二人にも今後の事を考えて欲しい。ただし、棄が大きくなって豊臣を担う迄は秀次と金吾が両輪となって支えてほしい」
下手をすると豊臣の命運を根底から覆す話になる。
それに参加させられた理由が分からなかった茶々だが、秀俊の返答で立場に縛られない人間の意見が欲しい事を理解する。
茶々は秀俊と顔を見合った後、小さく頷いた。
「殿や大和大納言様が元気に居られるのに大丈夫では在りませぬか……」
「義父上のどこまでお役に立てるか存じませぬが、私で良ければ協力は惜しみません」
「棄のこと…頼むぞ辰之助。儂も秀長も体調が優れぬゆえいつまで頑張れるかもわからん」
「殿。大納言様の病気のことは内密の事ゆえ…」
「構わん平右衛門(一白)。来年の小田原へは秀長は同行出来ぬゆえ、すぐに分かること…。代わりに秀次を総大将として家康の下で勉強させてみて器量を計り、一昨年生まれた秀次の娘、槿姫と棄を婚姻させる」
「「「………」」」
「出来れば、来年は京の街を改造して…洛中に散在していた寺院を東京極大路の東側に移転させ、寺院が整然と並べられて、門前町としての体裁が整えて、商店街を形成される。そして、東国のことが終われば唐入りに掛かりたい。」
「殿。それはいかにも性急では…」
「儂も五十を過ぎた…。棄のためにしてやれる時間が無いのじゃ、その為にも孫七郎(秀次)と辰之助(秀俊)には棄を支える大名になって欲しいのじゃ…儂は側に置いておそろしい奴は、遠くに飛ばす。徳川も伊達もそして、毛利も薩摩も唐国に、棄の脅威になるものは全てじゃ」
「「「………」」」
「そして、日の本を八つに分け、蝦夷に黒田長政、東北に細川忠興、関東に秀康と池田輝政、中部に秀次と蒲生氏郷、近畿に棄と儂の近習、中国に秀俊と浅野幸長、四国に秀勝と加藤嘉明、九州に加藤清正と福島正則を取次に置く、その為にも唐入りを行わなければならぬ」
「「………」」
「殿、分かり申した。その為にも、まずは北条に掛かりましょう」
「何も最初から軍を用意する必要はない。各地に御内書を送り、秘密裏に北条のみを政治・経済的に封鎖する包囲網を作り上げ、北条の勢力を弱める。程よく弱った所で諸国に軍勢の派遣を要請し、『逆賊討伐』の大義名分のもと北条を潰す。同盟衆を失った北条では籠城以外に手はない、この方法が最も効果的であろう」
一白の質問に秀吉が答える。秀吉は効果的と語ったが、今の北条は籠城以外の選択肢がないとも言える。
「なるほど、諸国の軍勢を利用するのですね」
「ふむ……仮に北条包囲網が出来るとして、今から取れる行動は何だ?」
秀吉の問いに三人は少し考えた後、それぞれの答えを口にした。
「物量を支える経済基盤ですね」
「物資の生産基盤を盤石にする事と思います」
「……色々とあるが長期戦に備え、相手の気力を刈り取ること、か」
一白、茶々、秀俊の答えはどれも重要であった。
「ならば今後はそれを目標とする、今年は京で越年することとしよう。明日、京に向かうとする」
秀吉の一声で各々がする方向性が決まった。まずは、兵糧二十万石を駿河 清水港へ水軍で輸送し、長期戦に備える。
◇◇◇◇
人々が年末年始の準備に取り掛かる頃、茶々を含む秀吉は京へ入る。今回は来年の軍事行動に向けた家臣たちを慰労する事が目的だ。
招待者が幕臣という関係から茶々だけでなく秀勝、秀康、秀俊、俊定に加え、宮部継潤、南条元続、亀井茲矩、木下重堅、と言った豊臣家の精鋭家臣団も従軍していた。
前田玄以や細川幽斎を始めとした豊臣家から天皇家へ出向中の家臣たち、曽呂利新左衛門や千利休、石田三成、堺の豪商など秀吉と協力関係のある人間が慰労会に呼ばれた。
中納言である秀次は多大なる迷惑を周囲に振りまく原因ゆえ、慰労会には招待されなかった。
慰労の料理を振る舞う大任を仰せつかった人物は坪内健三だ。
最近までは聚楽第の秀次邸で料理長をしていた彼だが、茶々の推挙により心を新たにして小太郎から料理を学ぶ内に料理人としての頭角を現した。
いつしか茶々姫の料理人だけでなく、秀吉の料理人としても取り立てられて、今では豊臣家の台所を預かる料理頭にまで出世していた。
最初は腰が引けた健三だが、身震いする心身に活を入れ、見事慰労会を大成功に導いた。
彼が作った料理はスペイン人、ポルトガル人や中国人と交易を行い、山海の珍味を食べ尽くしていると自負する堺の豪商たちも、旨いと太鼓判を押すほどだった。
特に水分を多く含む関係で日持ちしない生菓子は参加者の舌を唸らせた。
慰労会後、茶々や健三は小太郎から聞いた。大豆から作るきな粉、もち米から作る白玉粉、うるち米から作る上新粉、ジャガイモから作るデンプン粉、とうもろこしから作るコーンスターチなど、調理用の粉に関する製造法を秀俊お抱えの料理屋に伝授する。
ひと月も経てば秀俊お抱え商人の店でみたらし団子や白玉団子などが売られ、それらを求めて豪商や公家などの有力者たちが下屋敷の商店街へ金子を落としていく寸法だ。
秀吉に実子の棄が誕生すると、秀吉は四か月後鶴松と改名して豊臣氏の後継者として指名。そのため他の養子同様に思い思いの過ごし方をして、来年を迎えることになる秀俊は他家に出される前に自分から動くこと決めていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる