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家康転封
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吾輩がご主人と一緒に小田原にきて三ケ月も過ぎ、小田原城の開城と忍城の水攻め後の復旧工事見学も終わって、関東の仕置きも終わり。ご主人の父上は奥州仕置軍として、秀次殿と一緒に北へ巡察行軍することとなり、諸城を抑えて各地で検地を実施することになった。
七月十三日、秀吉が小田原城で家康の関東転封を公表する。
関東仕置
徳川家康を旧北条領へ移封。榊原康政:上野国館林城、本多忠勝:上総国万喜城、井伊直政:上野国箕輪城、酒井家次:下総国臼井城、鳥居元忠:下総国矢作城、松平家忠:武蔵国忍城、家康の与力である信濃の国衆(木曽義昌、小笠原秀政、保科正直、諏訪頼忠)も関東へ移封。下野国のうち足利長尾・皆川領が徳川領となる、皆川広照は家康の家臣として安堵。
佐竹義宣は所領を安堵(義宣は朱印状を得て、翌年までに結城領の下舘・下妻を除く常陸国を支配下に置く)、宇都宮国綱、真田昌幸は所領を安堵。
結城晴朝は小山・壬生・日光領を加増。家康の次男で秀吉の養子となっていた秀康を養嗣子として迎え家督を継がせる、多賀谷重経は結城氏の家臣として安堵。
那須資晴は改易(その後息子 資晴に五千石を与えて復帰)。
旧佐野領は天徳寺宝衍(佐野房綱)に与える。(富田一白の五男富田信種が養子に入る)
由良国繁・長尾顕長は金山城を家康に与えたため堪忍分として常陸牛久を与え安堵。
里見義康は惣無事令に違反したため上総を没収、安房一国へ減封。
旧徳川領の三河・遠江・駿河には中村一氏:駿河国府中城、山内一豊:遠江国掛川城)、堀尾吉晴:遠江国浜松城)、池田輝政:三河国吉田城、田中吉政:三河国岡崎城、が入る。
七月十六日に秀吉が小田原城を出発、江戸城を経由して、七月二十六日に宇都宮へ到着した時に、織田信雄は尾張から旧徳川領への加増転封を拒否したため下野烏山へ流罪。
旧織田信雄領の尾張には豊臣秀次(尾張国清須城)が入る。北関東・奥羽諸大名を出頭させ、秀吉は伊達政宗の案内で宇都宮から会津へ出発した。
八月九日に会津黒川の興徳寺に入り、残りの奥州大名の仕置を実施。
奥羽仕置
南部信直、最上義光、戸沢盛安、津軽為信、秋田実季、岩城常隆、相馬義胤は所領を安堵。
伊達政宗は惣無事令違反や小田原遅参により会津郡、岩瀬郡、安積郡を没収、減封。
大崎義隆、葛西晴信、白河義親、石川昭光、田村宗顕、那須資晴、黒川晴氏、和賀忠親、稗貫広忠は小田原へ参陣せず、または遅れにより改易、大崎・葛西領には木村吉清が入る。
蒲生氏郷は伊勢松坂から転封となり会津へ入る。
八月十日に秀吉は石田三成へ奥羽地方の統治について七ヵ条の法令を出して。人身売買の禁止、永楽銭と鐚銭(びたせん)の交換比率、奥羽地方の刀狩りを指示した。
八月十二日に秀吉が浅野長政へ、会津と白川は秀次と宇喜多秀家に申し付けたこと、奥州の仕置は国人や百姓に納得いくよう申し聞かすこと、聞かない者がいればなで斬りにするよう伝える。
八月十六日に帰国へ向かう秀吉が浅野長政へ、奥羽地方の検地と刀狩りを実施すること、白河城などに兵糧を貯蔵する蔵を建設することを伝え、その後、豊臣秀次、蒲生氏郷、上杉景勝、前田利家、宇喜多秀家、浅野長政、大谷吉継ら奥州仕置軍が北へ巡察行軍、諸城を抑えて十月頃まで各地で検地を実施する。
九月一日、秀吉が京に凱旋した。
□□□□…………羽柴秀俊(信長)
五ヶ月に渡る北条との戦が終わった。伊達が秀吉側に着いた事と、兵糧が尽き直に撤退すると思っていたのに、一行いっこうに撤退する気配がない事。それに秀吉が笠懸山に築いた石垣山城が決め手になり、北条の心が完全に砕くけ散った。こうして北条は降伏したが、北条に対する秀吉の処分は重かった。秀吉は島津や長宗我部の様に、領地を大幅に減らすのでなく領地を全て没収し。
しかも秀吉との主戦派であった、事実上の当主である北条氏政、氏照を切腹、氏直は高野山への追放処分してしまった。
そして北条を倒した事と伊達が恭順したことにより、事実上の天下統一がここに成し遂げられた。
これは秀俊が夢にまで見た天下統一だが、秀俊は全然うれしくなかった。
なにせ天下を統一したのが、織田家を乗っ取った秀吉だったからと…、言うまでもないだろう。ゆえに目の前で秀吉が天下人を気取る姿を想像すると、吐き気さえ覚えた。
しかしここで逆らう気持などさらさらなく、「秀吉が天下取ることも果報がなければ実現できない。ここで行動することは果報を取逃がす、今は時期尚早と」秀俊はじっと我慢するしかなかった。
そして北条との戦いくさが終わり、徳川家康は三河みかわ、遠江、駿河、甲斐、信濃の五カ国の百三十万石の所領から。北条氏が所有していた伊豆、相模、武蔵、上野、上総、下総の六カ国と下野、常陸の一部、二百五十万石に国替えして、加増を受けていた。
秀吉が徳川に大盤振る舞いした様に見えるが、これは秀吉が徳川を大坂に近い東海から、関東に追いやる狙いがあった。
しかも二百五十万石と言っても、その土地にそれだけの石高を生み出す力があるだけで、実際の石高はこれより遥かに低い。それゆえこれは秀吉と家康の二人にとって、賭けと言ってもいい転封であった。
秀吉は大坂から遠ざける事と、もし家康が領国の経営に失敗して、大規模な一揆いっきでも起きたものなら。それを理由に家康を改易かいえきするか大幅に領地を没収するつもりだろう。
一方、家康も北条の領地をうまく治める事が出来れば、石高は一気に増えると言う利点と家臣を先祖伝来の土地から引き離す事が出来たのは、謀反の芽を摘むことになったから悪い話でもなかった。
勿論、不満を持つ家臣も多くいた事だろう。しかし、「秀吉様の命令だから仕方がない」「今は我慢の時じゃ!」と、秀吉のせいであると、責任の転嫁をした。秀俊は嫌な予感がしてならなかった。
だが今は秀俊にとって、現状もっと重要な事があった。それは秀俊の息子である織田信雄の事であった。
信雄は、秀吉から家康の所領に国替えを命じられていたが、これを固辞しようとしている噂を聞いたのだ。そうなればどうなのるか分かる物だが、信雄のぶかつにはそれが分かっていなかった……。
そこで秀俊は信雄が移封の命令に素直に従う様に説得しに、小田原城にいる信雄の元に向かった。
そして人づてに信雄の居場所を聞き、小田原城内のとある部屋いた信雄を尋たずねた。
すると信雄はこんな緊迫した状況にもかかわらず、のんきにお菓子かしを食べていた。それを見て秀俊はいら立ったが、これは信雄にとってはいつもの事だ。
「織田殿」
秀俊は信雄を呼ぶと、信雄は気の抜けた顔をして秀俊を見た。
「これは金吾殿、なんでしょうか?」
「秀吉様の国替えの命令を断るとお聞きしましたが、本当でしょうか?」
秀俊の問いに信雄は少し不機嫌ふきげんそうな顔をしながら。
「尾張は織田家が代々治めていた地、そこを離れたくはありません」
「そんな事を言ってる場合ではありません。この国替えを断ればただでは済みませんぞ!」
秀俊は秀吉は次々と織田家の勢力を削ぎにかかっていると考えており。秀吉のこの行動に待ったをかけた柴田勝家と織田信孝は秀吉に真っ向から反抗。いわゆる賤ヶ岳の合戦が起こり、秀吉は柴田勝家の領地である越前と信孝の領地であった岐阜を攻め落とします。信雄は勝家側につくか、秀吉側につくかと悩むのですが、最終的には秀吉につくことに。そして秀吉が岐阜の信孝を降伏させると、信雄が後見役となって安土城に入城。柴田勝家が切腹すると信雄は信孝に切腹を命令しました。
実はこの信孝の切腹には秀吉の思惑がありまして、秀吉からしたらこの頃はまだ織田家は主君筋。もし秀吉が信孝に切腹の命令を出そうものなら秀吉は『主君の息子を殺した謀反人』としてそれこそ明智光秀と同じ扱いを受けてしまい、丹羽長秀などといった秀吉についている織田家の家臣は黙ってはいません。そこでかねてより兄弟の問題があった信雄に信孝に対して切腹の命令を出すことによって秀吉は手を汚すことなく信孝を葬ることができる。信雄は要するにまんまと秀吉の策にはめられていたと思っている。
事実、秀吉は信長の後継者を気取っているが、織田家の人間には厳しかった。現に信長の弟の織田信包が北条氏政の助命を願い出た事で、謹慎と領地を減らされる処分を受けていた。
それと今まで秀吉の行動を見れば、秀吉の織田の人間に関する姿勢が分かるが、信雄にはそれが分かっていなかった……。
しかも信雄は小牧・長久手で秀吉と対立した過去がある。ゆえにその信雄を秀吉がいつまでもいい顔をしない事は明かだった。
「金吾殿、それは考えすぎですよ」
信雄は事の重大さが分かっていない様だった。
「織田殿。織田信包殿の件を忘れてはいけません。決して逆らわないのが、貴方様の生きる唯一の道なのです」
秀俊の言葉を信雄は信じようとしなかったので、秀俊は更に説得を試みようとした時。秀俊達の居る部屋に富田一白がやって来た。すると富田一白が。
「織田様。関白様がお呼びです」
「そうですか」
信雄のぶかつは畳から立ち上がり、秀吉の元に行こうとする。
「暫く、もう暫くお待ちください、まだ話は終わってません!」
秀俊は説得する為に引き止めようとするが、信雄は子供の説教臭い言葉を嫌ったのか「また今度お聞きします」と言って、逃げる様に富田一白と秀吉の元に言ってしまった。
「………」
もはや秀俊は言葉も出なかった。そして信雄の運命はここに決まった。もう秀俊にはどうしょうもなく、ただ信雄が秀俊の言う事を聞き入れるを願うしかない。
用事がなくなった秀俊は、小田原城から近くにある陣屋に戻った。その足取りは重く、寂しいものだった。
そしてその日の夜になった。
秀俊は小田原城の近くの陣屋、夕食を食べていた。すると木下俊定が部屋に入ってくると。
「殿。織田信雄様から書状が届きました」
「………」
秀俊は小性から書状を受け取り、急いで書状の内容を見た。するとそこにはあの後、信雄は秀吉に会うと、国替えの話を出された。
しかし信雄はこれを断ると、秀吉に烈火の如ごとく怒られ、謹慎の処分を受けた様だった。
しかも信雄の所領を没収する話も出ると、それでやっと事の重大さを理解した。そこで秀俊になんとか処分を甘くして貰う様に、嘆願して欲しいとお願いをして来た。
秀俊の説得を無視したのに、本当に虫のいい話だ。本来なら無視した所だが、手のかかる子供ほど可愛いと言う格言がある様に、秀俊はだめ息子である信雄を放っておけなかった。
そこで秀俊は急いで徳川殿の陣屋に会いに行くため俊定を先触れに使い、井伊直政を通して家康に謁見を願い出た。そして許可を取って、家康の部屋に直政と共に行くと、秀俊は深々と座礼をして。
「徳川大納言様。内府殿の件でお願いに参りました」
「内府殿とな!」
家康は信雄の名前を聞いて不思議そうな顔をした。
その顔を見て秀俊は、ある事を悟った。もしここで信雄の嘆願を家康にしよう物なら……、儂まで秀吉の怒りの炎が飛び火しかねない。
「大納言様なら、内府殿にどのような処分をされるのか、ご存じではないでしょうか?」
「もしかして金吾殿は、内府殿の嘆願に参られたのか?」
「いえいえ、どの様な処分が下るのか、お聞きしただけです」
「内府殿の所領は全て没収して、宇都宮下野守殿に預けるつもりだと聞いておりますが……」
「そうでございますか……関白様の命に背いたのですから、それくらいの処分は当然でしょう。では内府殿はお預かりで御座いますか?」
秀俊は流石に、信雄を救う気はなかった。これは全て信雄が軽率だった為に起こった事だ。
「金吾殿は関白殿の覚えも目出度い、直に関白殿に聞けばよかろうて…」
「いえ。大納言様なら、織田家とも縁が深い故、訊ねに参っただけでございます」
「ほうぅ。金吾殿がそう言われるなら、その様に取りはかろう。それにしても金吾殿も物好きだのう」家康は少し呆れた口調でそう言った。
「いえ、いえ、決してそのような…ただ、単に訊ねに参っただけでございます」
「あい、わかった。…心配せずとも、悪いようにはせぬ…」
「はっは、本日は為になるお話を聞くことができ。誠にありがたき幸せ…」
秀俊は深々と座礼をして、自分の陣屋へ戻って行った。
家康は直政に「あの小僧、頭を下げるだけで儂を関白の矢面に立たせよった…」と話すと大笑いした。
■■■■…………
小太郎が京の実家に戻って、爺様(富田一白)に、この度の交渉について教えてほしいとお願いすると満面の笑みを浮かべて喜んだ。
そして、奥座敷に小太郎を呼び、座布団に座らせてから足を崩すように言って話を始めた。
「よいか、小太郎。まずは交渉の大前提は相手の地位による自主的な裁量権を最大限尊重することに注意を怠ってはならぬ、他人からこうすべきですと言われて素直に受け入れる人は少ない、こうすればこうなりますという取りうる事例を述べ尽くす、そのうえで相手に決断を委ねてやるようにしなさい」と爺様が言うと、小太郎が「はい。」と返事を返した。
続けて、「自分で決断すればこそ成功したら自分が成し遂げたと誇れる。押しつけられれば、俺はあいつの傀儡か!と強い反発心が生じる。良好な関係を維持したいのであれば相手を立ててやるに尽きる。よいか相手を立ててやるのだぞ」と爺様が念を押すと、小太郎が「はい。」と返事を返した。
そして、爺様が「もし、相手が怒っていたら交渉せずに、相手の愚痴を聞いて不満が爆発しないように努める、冷静に判断できないときに交渉を持ちかけても後日覆されることが多い相手の愚痴を聞いてガス抜きをしてやれば相手は信頼を寄せてくる。相手が怒っていたら愚痴を聞くことに専念しなさい」と言うと、小太郎が「では、交渉が進みませんが」と返事を返したので。
爺様はにっこり笑って「相手が気分のいいときに交渉するのじゃよ。相手の気分がいいときは多少難しい要求でも飲んでくれることが多い、相手の機嫌に応じて交渉を進めることで、信頼関係を築いていく、無理をせずに時間を掛けて相手が気分のいいときに交渉するのじゃよ」
そして、「交渉が終われば速やかに存在を潜める、相手が交渉を受け入れたら、速やかに相手から離れて存在を潜める、相手が遂行に失敗したときに全責任を負わざるをえなくなるからな。相手が成功しても功績を誇らなければ次の交渉を有利に進められる。功績や名誉を挙げても独り占めしないこと」と話をしたが、爺様は顔を曇らせ小さな声で「殿下と徳川殿は軍略を使う」と言った。
小太郎が「軍略とは?」と聞き返すと「今は知らなくて良い!この続きはまた今度」と言ってお茶を飲んで部屋を出て行った。
□□□□…………富田一白
部屋に戻って、考えこんだ。この度の北条との取次は交渉と呼べるものではなかった。
儂程度が深慮を巡らせても、詮無き事と孫に話して気が付いた。(小田原城包囲戦が膠着する中、殿下は儂ではなく徳川殿を通じて虚偽の講和条件を籠城側に伝えた。それは「開城すれば武蔵、相模、伊豆の三国を安堵する」というもので、徳川殿は北条にこの条件を保証した。) とても儂にできることではない。
確かに言質だけとって交渉を成立させようと、相手を騙す交渉術がある。しかし、騙された相手はいずれ気づき、復讐心に火をつけることになる。騙された相手にとって「いいウソ」などありはしない、騙して交渉を成立させないこと。騙して成立させても長続きしないと儂は思っている。
だが殿下はこの約束を反故にしたうえ、氏政、氏照を切腹、氏直は高野山への追放処分してしまった。徳川殿も北条なき後の関東への国替えは決まっていた為、北条の統治機構を破壊せずに、なるべく無傷のまま極力混乱は避けたかった。
先ほどふっと「仏の嘘を方便と言い、武士の嘘を軍略と言う、百姓は可愛きことなり」と百姓程度の知恵はあるかと前向きに考えるようにした。そして、「信曰、果たして人言の如し、狡兎死して良狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵る。敵国破れて謀臣亡ぶと。天下已に定まる。我固より当に烹らるべし」とそろそろ孫の教育の為、隠居することを願い出るかと考えた。
七月十三日、秀吉が小田原城で家康の関東転封を公表する。
関東仕置
徳川家康を旧北条領へ移封。榊原康政:上野国館林城、本多忠勝:上総国万喜城、井伊直政:上野国箕輪城、酒井家次:下総国臼井城、鳥居元忠:下総国矢作城、松平家忠:武蔵国忍城、家康の与力である信濃の国衆(木曽義昌、小笠原秀政、保科正直、諏訪頼忠)も関東へ移封。下野国のうち足利長尾・皆川領が徳川領となる、皆川広照は家康の家臣として安堵。
佐竹義宣は所領を安堵(義宣は朱印状を得て、翌年までに結城領の下舘・下妻を除く常陸国を支配下に置く)、宇都宮国綱、真田昌幸は所領を安堵。
結城晴朝は小山・壬生・日光領を加増。家康の次男で秀吉の養子となっていた秀康を養嗣子として迎え家督を継がせる、多賀谷重経は結城氏の家臣として安堵。
那須資晴は改易(その後息子 資晴に五千石を与えて復帰)。
旧佐野領は天徳寺宝衍(佐野房綱)に与える。(富田一白の五男富田信種が養子に入る)
由良国繁・長尾顕長は金山城を家康に与えたため堪忍分として常陸牛久を与え安堵。
里見義康は惣無事令に違反したため上総を没収、安房一国へ減封。
旧徳川領の三河・遠江・駿河には中村一氏:駿河国府中城、山内一豊:遠江国掛川城)、堀尾吉晴:遠江国浜松城)、池田輝政:三河国吉田城、田中吉政:三河国岡崎城、が入る。
七月十六日に秀吉が小田原城を出発、江戸城を経由して、七月二十六日に宇都宮へ到着した時に、織田信雄は尾張から旧徳川領への加増転封を拒否したため下野烏山へ流罪。
旧織田信雄領の尾張には豊臣秀次(尾張国清須城)が入る。北関東・奥羽諸大名を出頭させ、秀吉は伊達政宗の案内で宇都宮から会津へ出発した。
八月九日に会津黒川の興徳寺に入り、残りの奥州大名の仕置を実施。
奥羽仕置
南部信直、最上義光、戸沢盛安、津軽為信、秋田実季、岩城常隆、相馬義胤は所領を安堵。
伊達政宗は惣無事令違反や小田原遅参により会津郡、岩瀬郡、安積郡を没収、減封。
大崎義隆、葛西晴信、白河義親、石川昭光、田村宗顕、那須資晴、黒川晴氏、和賀忠親、稗貫広忠は小田原へ参陣せず、または遅れにより改易、大崎・葛西領には木村吉清が入る。
蒲生氏郷は伊勢松坂から転封となり会津へ入る。
八月十日に秀吉は石田三成へ奥羽地方の統治について七ヵ条の法令を出して。人身売買の禁止、永楽銭と鐚銭(びたせん)の交換比率、奥羽地方の刀狩りを指示した。
八月十二日に秀吉が浅野長政へ、会津と白川は秀次と宇喜多秀家に申し付けたこと、奥州の仕置は国人や百姓に納得いくよう申し聞かすこと、聞かない者がいればなで斬りにするよう伝える。
八月十六日に帰国へ向かう秀吉が浅野長政へ、奥羽地方の検地と刀狩りを実施すること、白河城などに兵糧を貯蔵する蔵を建設することを伝え、その後、豊臣秀次、蒲生氏郷、上杉景勝、前田利家、宇喜多秀家、浅野長政、大谷吉継ら奥州仕置軍が北へ巡察行軍、諸城を抑えて十月頃まで各地で検地を実施する。
九月一日、秀吉が京に凱旋した。
□□□□…………羽柴秀俊(信長)
五ヶ月に渡る北条との戦が終わった。伊達が秀吉側に着いた事と、兵糧が尽き直に撤退すると思っていたのに、一行いっこうに撤退する気配がない事。それに秀吉が笠懸山に築いた石垣山城が決め手になり、北条の心が完全に砕くけ散った。こうして北条は降伏したが、北条に対する秀吉の処分は重かった。秀吉は島津や長宗我部の様に、領地を大幅に減らすのでなく領地を全て没収し。
しかも秀吉との主戦派であった、事実上の当主である北条氏政、氏照を切腹、氏直は高野山への追放処分してしまった。
そして北条を倒した事と伊達が恭順したことにより、事実上の天下統一がここに成し遂げられた。
これは秀俊が夢にまで見た天下統一だが、秀俊は全然うれしくなかった。
なにせ天下を統一したのが、織田家を乗っ取った秀吉だったからと…、言うまでもないだろう。ゆえに目の前で秀吉が天下人を気取る姿を想像すると、吐き気さえ覚えた。
しかしここで逆らう気持などさらさらなく、「秀吉が天下取ることも果報がなければ実現できない。ここで行動することは果報を取逃がす、今は時期尚早と」秀俊はじっと我慢するしかなかった。
そして北条との戦いくさが終わり、徳川家康は三河みかわ、遠江、駿河、甲斐、信濃の五カ国の百三十万石の所領から。北条氏が所有していた伊豆、相模、武蔵、上野、上総、下総の六カ国と下野、常陸の一部、二百五十万石に国替えして、加増を受けていた。
秀吉が徳川に大盤振る舞いした様に見えるが、これは秀吉が徳川を大坂に近い東海から、関東に追いやる狙いがあった。
しかも二百五十万石と言っても、その土地にそれだけの石高を生み出す力があるだけで、実際の石高はこれより遥かに低い。それゆえこれは秀吉と家康の二人にとって、賭けと言ってもいい転封であった。
秀吉は大坂から遠ざける事と、もし家康が領国の経営に失敗して、大規模な一揆いっきでも起きたものなら。それを理由に家康を改易かいえきするか大幅に領地を没収するつもりだろう。
一方、家康も北条の領地をうまく治める事が出来れば、石高は一気に増えると言う利点と家臣を先祖伝来の土地から引き離す事が出来たのは、謀反の芽を摘むことになったから悪い話でもなかった。
勿論、不満を持つ家臣も多くいた事だろう。しかし、「秀吉様の命令だから仕方がない」「今は我慢の時じゃ!」と、秀吉のせいであると、責任の転嫁をした。秀俊は嫌な予感がしてならなかった。
だが今は秀俊にとって、現状もっと重要な事があった。それは秀俊の息子である織田信雄の事であった。
信雄は、秀吉から家康の所領に国替えを命じられていたが、これを固辞しようとしている噂を聞いたのだ。そうなればどうなのるか分かる物だが、信雄のぶかつにはそれが分かっていなかった……。
そこで秀俊は信雄が移封の命令に素直に従う様に説得しに、小田原城にいる信雄の元に向かった。
そして人づてに信雄の居場所を聞き、小田原城内のとある部屋いた信雄を尋たずねた。
すると信雄はこんな緊迫した状況にもかかわらず、のんきにお菓子かしを食べていた。それを見て秀俊はいら立ったが、これは信雄にとってはいつもの事だ。
「織田殿」
秀俊は信雄を呼ぶと、信雄は気の抜けた顔をして秀俊を見た。
「これは金吾殿、なんでしょうか?」
「秀吉様の国替えの命令を断るとお聞きしましたが、本当でしょうか?」
秀俊の問いに信雄は少し不機嫌ふきげんそうな顔をしながら。
「尾張は織田家が代々治めていた地、そこを離れたくはありません」
「そんな事を言ってる場合ではありません。この国替えを断ればただでは済みませんぞ!」
秀俊は秀吉は次々と織田家の勢力を削ぎにかかっていると考えており。秀吉のこの行動に待ったをかけた柴田勝家と織田信孝は秀吉に真っ向から反抗。いわゆる賤ヶ岳の合戦が起こり、秀吉は柴田勝家の領地である越前と信孝の領地であった岐阜を攻め落とします。信雄は勝家側につくか、秀吉側につくかと悩むのですが、最終的には秀吉につくことに。そして秀吉が岐阜の信孝を降伏させると、信雄が後見役となって安土城に入城。柴田勝家が切腹すると信雄は信孝に切腹を命令しました。
実はこの信孝の切腹には秀吉の思惑がありまして、秀吉からしたらこの頃はまだ織田家は主君筋。もし秀吉が信孝に切腹の命令を出そうものなら秀吉は『主君の息子を殺した謀反人』としてそれこそ明智光秀と同じ扱いを受けてしまい、丹羽長秀などといった秀吉についている織田家の家臣は黙ってはいません。そこでかねてより兄弟の問題があった信雄に信孝に対して切腹の命令を出すことによって秀吉は手を汚すことなく信孝を葬ることができる。信雄は要するにまんまと秀吉の策にはめられていたと思っている。
事実、秀吉は信長の後継者を気取っているが、織田家の人間には厳しかった。現に信長の弟の織田信包が北条氏政の助命を願い出た事で、謹慎と領地を減らされる処分を受けていた。
それと今まで秀吉の行動を見れば、秀吉の織田の人間に関する姿勢が分かるが、信雄にはそれが分かっていなかった……。
しかも信雄は小牧・長久手で秀吉と対立した過去がある。ゆえにその信雄を秀吉がいつまでもいい顔をしない事は明かだった。
「金吾殿、それは考えすぎですよ」
信雄は事の重大さが分かっていない様だった。
「織田殿。織田信包殿の件を忘れてはいけません。決して逆らわないのが、貴方様の生きる唯一の道なのです」
秀俊の言葉を信雄は信じようとしなかったので、秀俊は更に説得を試みようとした時。秀俊達の居る部屋に富田一白がやって来た。すると富田一白が。
「織田様。関白様がお呼びです」
「そうですか」
信雄のぶかつは畳から立ち上がり、秀吉の元に行こうとする。
「暫く、もう暫くお待ちください、まだ話は終わってません!」
秀俊は説得する為に引き止めようとするが、信雄は子供の説教臭い言葉を嫌ったのか「また今度お聞きします」と言って、逃げる様に富田一白と秀吉の元に言ってしまった。
「………」
もはや秀俊は言葉も出なかった。そして信雄の運命はここに決まった。もう秀俊にはどうしょうもなく、ただ信雄が秀俊の言う事を聞き入れるを願うしかない。
用事がなくなった秀俊は、小田原城から近くにある陣屋に戻った。その足取りは重く、寂しいものだった。
そしてその日の夜になった。
秀俊は小田原城の近くの陣屋、夕食を食べていた。すると木下俊定が部屋に入ってくると。
「殿。織田信雄様から書状が届きました」
「………」
秀俊は小性から書状を受け取り、急いで書状の内容を見た。するとそこにはあの後、信雄は秀吉に会うと、国替えの話を出された。
しかし信雄はこれを断ると、秀吉に烈火の如ごとく怒られ、謹慎の処分を受けた様だった。
しかも信雄の所領を没収する話も出ると、それでやっと事の重大さを理解した。そこで秀俊になんとか処分を甘くして貰う様に、嘆願して欲しいとお願いをして来た。
秀俊の説得を無視したのに、本当に虫のいい話だ。本来なら無視した所だが、手のかかる子供ほど可愛いと言う格言がある様に、秀俊はだめ息子である信雄を放っておけなかった。
そこで秀俊は急いで徳川殿の陣屋に会いに行くため俊定を先触れに使い、井伊直政を通して家康に謁見を願い出た。そして許可を取って、家康の部屋に直政と共に行くと、秀俊は深々と座礼をして。
「徳川大納言様。内府殿の件でお願いに参りました」
「内府殿とな!」
家康は信雄の名前を聞いて不思議そうな顔をした。
その顔を見て秀俊は、ある事を悟った。もしここで信雄の嘆願を家康にしよう物なら……、儂まで秀吉の怒りの炎が飛び火しかねない。
「大納言様なら、内府殿にどのような処分をされるのか、ご存じではないでしょうか?」
「もしかして金吾殿は、内府殿の嘆願に参られたのか?」
「いえいえ、どの様な処分が下るのか、お聞きしただけです」
「内府殿の所領は全て没収して、宇都宮下野守殿に預けるつもりだと聞いておりますが……」
「そうでございますか……関白様の命に背いたのですから、それくらいの処分は当然でしょう。では内府殿はお預かりで御座いますか?」
秀俊は流石に、信雄を救う気はなかった。これは全て信雄が軽率だった為に起こった事だ。
「金吾殿は関白殿の覚えも目出度い、直に関白殿に聞けばよかろうて…」
「いえ。大納言様なら、織田家とも縁が深い故、訊ねに参っただけでございます」
「ほうぅ。金吾殿がそう言われるなら、その様に取りはかろう。それにしても金吾殿も物好きだのう」家康は少し呆れた口調でそう言った。
「いえ、いえ、決してそのような…ただ、単に訊ねに参っただけでございます」
「あい、わかった。…心配せずとも、悪いようにはせぬ…」
「はっは、本日は為になるお話を聞くことができ。誠にありがたき幸せ…」
秀俊は深々と座礼をして、自分の陣屋へ戻って行った。
家康は直政に「あの小僧、頭を下げるだけで儂を関白の矢面に立たせよった…」と話すと大笑いした。
■■■■…………
小太郎が京の実家に戻って、爺様(富田一白)に、この度の交渉について教えてほしいとお願いすると満面の笑みを浮かべて喜んだ。
そして、奥座敷に小太郎を呼び、座布団に座らせてから足を崩すように言って話を始めた。
「よいか、小太郎。まずは交渉の大前提は相手の地位による自主的な裁量権を最大限尊重することに注意を怠ってはならぬ、他人からこうすべきですと言われて素直に受け入れる人は少ない、こうすればこうなりますという取りうる事例を述べ尽くす、そのうえで相手に決断を委ねてやるようにしなさい」と爺様が言うと、小太郎が「はい。」と返事を返した。
続けて、「自分で決断すればこそ成功したら自分が成し遂げたと誇れる。押しつけられれば、俺はあいつの傀儡か!と強い反発心が生じる。良好な関係を維持したいのであれば相手を立ててやるに尽きる。よいか相手を立ててやるのだぞ」と爺様が念を押すと、小太郎が「はい。」と返事を返した。
そして、爺様が「もし、相手が怒っていたら交渉せずに、相手の愚痴を聞いて不満が爆発しないように努める、冷静に判断できないときに交渉を持ちかけても後日覆されることが多い相手の愚痴を聞いてガス抜きをしてやれば相手は信頼を寄せてくる。相手が怒っていたら愚痴を聞くことに専念しなさい」と言うと、小太郎が「では、交渉が進みませんが」と返事を返したので。
爺様はにっこり笑って「相手が気分のいいときに交渉するのじゃよ。相手の気分がいいときは多少難しい要求でも飲んでくれることが多い、相手の機嫌に応じて交渉を進めることで、信頼関係を築いていく、無理をせずに時間を掛けて相手が気分のいいときに交渉するのじゃよ」
そして、「交渉が終われば速やかに存在を潜める、相手が交渉を受け入れたら、速やかに相手から離れて存在を潜める、相手が遂行に失敗したときに全責任を負わざるをえなくなるからな。相手が成功しても功績を誇らなければ次の交渉を有利に進められる。功績や名誉を挙げても独り占めしないこと」と話をしたが、爺様は顔を曇らせ小さな声で「殿下と徳川殿は軍略を使う」と言った。
小太郎が「軍略とは?」と聞き返すと「今は知らなくて良い!この続きはまた今度」と言ってお茶を飲んで部屋を出て行った。
□□□□…………富田一白
部屋に戻って、考えこんだ。この度の北条との取次は交渉と呼べるものではなかった。
儂程度が深慮を巡らせても、詮無き事と孫に話して気が付いた。(小田原城包囲戦が膠着する中、殿下は儂ではなく徳川殿を通じて虚偽の講和条件を籠城側に伝えた。それは「開城すれば武蔵、相模、伊豆の三国を安堵する」というもので、徳川殿は北条にこの条件を保証した。) とても儂にできることではない。
確かに言質だけとって交渉を成立させようと、相手を騙す交渉術がある。しかし、騙された相手はいずれ気づき、復讐心に火をつけることになる。騙された相手にとって「いいウソ」などありはしない、騙して交渉を成立させないこと。騙して成立させても長続きしないと儂は思っている。
だが殿下はこの約束を反故にしたうえ、氏政、氏照を切腹、氏直は高野山への追放処分してしまった。徳川殿も北条なき後の関東への国替えは決まっていた為、北条の統治機構を破壊せずに、なるべく無傷のまま極力混乱は避けたかった。
先ほどふっと「仏の嘘を方便と言い、武士の嘘を軍略と言う、百姓は可愛きことなり」と百姓程度の知恵はあるかと前向きに考えるようにした。そして、「信曰、果たして人言の如し、狡兎死して良狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵る。敵国破れて謀臣亡ぶと。天下已に定まる。我固より当に烹らるべし」とそろそろ孫の教育の為、隠居することを願い出るかと考えた。
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