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関ケ原二
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■■■■…………
「内府が早くも江戸を出立したとの事じゃ。いよいよ決戦の日も近いぞ!」
大谷吉継は、諸将の前で声高に語った。
大谷刑部少輔(吉継)・木下山城守(頼継)・朽木河内守(元綱)・小川土佐守(祐忠)・小川左馬助(祐滋)・脇坂中務少輔(安治)・脇坂淡路守(安経)・赤座久兵衛(直保)ら北国口方面の攻撃隊は美濃国から関ヶ原の松尾山の麓に向かった。
七月十七日に「内府ちがひの条々」が発給されて以降、大将毛利輝元と副大将宇喜多秀家は、全国各地の諸大名に決起を促す書状を散布した。その内奉行側、いわゆる西軍に旗幟を示した大名は、肥後国小西行長、土佐国主長宗我部盛親、筑前筑後国小早川秀秋、筑後国柳川立花宗茂、薩摩国島津義弘ら西国の強豪大名らである。毛利家には太守輝元以下、毛利秀元、吉川広家、安国寺恵瓊ら万石を越える譜代一門衆が旗下にある。これに石田三成ら奉行衆に加え、西国を中心とした小身の諸大名らの多くも追従し、更に東国では、征伐軍を組まれた上杉景勝が当然反家康側に加わり、三成と昵懇であった関東の雄佐竹義宣も、上杉支援の密約を結び、西軍に呼応する形となった。
しかし、大国の狭間に揺れる秀秋ら小大名衆の挙動は、微妙なモノである。
隣国の大領主が加担した側に付かなければ、一揉みに握りつぶされてしまう。各々の思いが交錯する中結成された混成軍の士気は、一様に低いのが実情であった。
七月十八日に開始された伏見城攻城戦では、それが見事に露呈している。秀吉の隠居地として京都に建設された伏見城は、彼の死後家康が入城し、政務の中心地となっていた。
会津征伐が決まり家康が出立すると、徳川譜代衆の鳥居元忠が留守居役として入城しており、奉行衆の決起を知った彼は即座に戦準備を始め、千八百程の主勢と共に立て籠もったのである。
「これは前哨戦として、またと無い戦であろう!」
宇喜多秀家は、早速大阪に結集した諸将に向け、攻撃軍を編成した。
宇喜多秀家、大谷吉継、毛利秀元、吉川広家、小早川秀秋、長宗我部盛親、長束正家ら錚々たる大名衆が大凡四万の兵を以て参加し、木下俊定を呼び戻した小早川軍も参加する事となる。
(ここは小太郎の思惑通り動くことも致し方無し……ここは目立たぬ様傍観せねば……)
秀秋は小太郎の指示に従い、西軍の一翼として活動を余儀なくされる。
当初、僅か千八百程の兵で籠城する平地の城など、瞬く間に落城するであろうと思っていたが、小太郎の思惑通り、西軍は苦戦を強いられた。
参加する諸将の思惑も、秀秋と同様であったのか、寄せ手の攻撃は何とも煮え切らず、然程の戦果も得られぬまま、数日が経過してしまう。
攻撃隊の大将となった宇喜多秀家は、憤りを隠さず各将をなじる。
「この様な小城に何をしておるのです! 皆が譲り合っては城など落ちる訳もございますまい!」
今や豊家の親族衆筆頭である秀家は、天下の号令の下招集した諸将の士気が一様に低い事に憤っている。
彼は備前国の梟雄宇喜多直家の嫡子として生まれ、秀吉の血縁者では無いが、幼少期から秀吉の寵愛を受け、実父直家の死後は猶子となり、更に秀吉養女の豪姫と婚姻する事で一門衆と同等の立場になっていた。この大乱における副官として、相応の将器を持つ秀家だが、富裕に育った彼には、人の心底を測り、罠に掛ける様な戦国武将に必要な武勇、知略、人望、忍耐力、そして戦術に乏しい。
皆が秀頼の為にこの戦に参加して当然と思い、豊家の秩序をかき乱す家康を討伐する事は至極自然であると思っていた。更に、宇喜多騒動により譜代の重臣を家康に奪われる形となった事に、内心憎悪を燃やしている。
彼は副官として、この前哨戦をいち早く勝利し、全軍の士気を盛り上げたいと考えている。しかし、参加する諸将の中に、戦功を上げようと自ら望んで先陣をきる者がいなかった。
秀秋は緊張感漂う軍議の上座に列座していたが、見渡せば大軍勢を擁する宇喜多秀家や毛利秀元、吉川広家ら毛利旗下の諸将さえも消極的に見える。
(これでは到底戦にならぬでは無いか……)
秀秋は、集結した大軍勢を見た時、状況によっては奉行方として積極加担すべきか迷っていた。しかし、彼らの士気の低さを垣間見ると、やはり小太郎の言う通り東軍勝利は揺るぎないと確信している。
(……内府に連絡する他あるまい……)
秀秋は改めて、小早川家は東軍派である事を奥平藤兵衛に伝えると同時に、いつ離脱すべきか逡巡しつつ、戦況を見守った。
敵将鳥居元忠の抵抗は激しく、寄せ手の攻撃を幾度となく跳ね返しては、実に十日間もの間抗ったが、やはり多勢に無勢であり、最期は内応者により内部から城壁が爆破され、寄せ手が乱入すると、鬼気迫る壮絶な乱戦の末、討ち死にを遂げた。
(これは思わぬ事態となってしまった……)
焼け落ちる城郭を見つめる木下俊定は、徳川譜代の臣を討ち取る戦に参加した事実を咎められぬかと内心焦燥するが、周囲を見渡せば、同様の表情を浮かべる者も多くいる。
秀秋は俊定の肩に手を置き、無言で頷いて見せた。
小敵に時間を費やした西軍は、その後伊勢道、北国口と分かれ、各地の徳川方に付いた諸将を攻める。大谷吉継は敵対した前田利長対策の為、北陸方面の軍事行動を開始し、秀秋は伊勢道から安濃津城へ向かった。
道中、秀秋は俊定に語り掛ける。
「何とも言えぬ戦であったな。お主はどう見る……」
移動する秀秋の横で馬首を並べる俊定は、おもむろに問われ口籠る。
秀秋は続ける。
「小太郎は信用置けぬ。優柔な世倅に戦を左右されてはかなわぬと思わぬか」
落ち着いた口調だが、語気は鋭い。
小太郎とは富田宗高の事である。
富田一白の孫である彼は、嫡男の富田信高に知幸が生まれるまでは富田家の後継者候補として大事に育てていたが、父高定の切腹未遂と知幸の出生に伴い、半ば強制的に冨田家に養子として出されてしまった。それだけに、その心中は複雑であろう。
「小太郎殿が敵方については、我らは一挙に不利になりますな……」
俊定は動揺を見せまいと、ゆっくりと反応する。
「場合によっては、戦の前に動かねばならぬかも……」
秀秋が不気味に呟くと、俊定は額に汗を浮かべ、押し黙った。
秀秋は密かに、小太郎の裏切りが発覚した時には暗殺するよう、幻陰の赤陰に命じていた。
秀秋は、伏見城の戦いにおける各将の動きを注視しており、消極的な武将へは寝返りを試みようと策を仕掛ける。特に吉川や毛利の戦意の低さは既に寝返ったと思っていた。
「儂は軽々に動けぬゆえ。お主達が頼みよ……」
一方で近江出身者の多い北陸衆には信用を置いている。秀秋は万が一裏切り者が出た時には、彼らの力を使い対抗しようと考えている。
「……当然じゃ。織田を忘れし痴れ者は、成敗せねばならぬ」
俊定が力強く呼応すると、秀秋はゆっくりと頷いた。
秀秋の所領は一族合わせ六十万石程であり、兵力も一万五千程である。毛利や宇喜多の様な兵力を有していない。
しかし内心逡巡する俊定には、この発言の意味が理解出来ずにいた。
(……まさか、儂も怪しまれているのか……)
不安の強まる俊定であったが、内に秘めた動揺をひた隠し、秀秋と昔話など交わしながら行軍する。
◇◇◇◇
そして秀秋の不安を他所に、北陸の戦線は西軍有利に運んでいった。
越前敦賀に入国した大谷吉継は、調略により丹羽長秀や山口宗永、上田重安ら越前加賀の諸大名を引き込む事に成功し、更に「大谷吉継の別働隊が、金沢城を急襲する為に海路を北上している」などの虚報を流し前田軍の動揺を誘うと、金沢へ後退させるに至ったのである。
この為激戦が予想された加賀北陸戦線は、丹羽長重を中心とした小国主の連合体による圧力により、加賀の太守前田家を釘付けにする事に成功したのであった。
好転する北陸路の戦線に睨みをきかす吉継の元に、使者の注進が届く。
「内府ははや江戸城に入城し、自らに味方する大名らを先行部隊として西上させております」
家康は会津征伐軍に参加していた諸将の大部分を率い反転し、八月五日には江戸城に入城すると、上洛の構えを示しているという。
家康加担を示した大名は、福島正則、池田輝政、細川忠興、加藤嘉明、蜂須賀至鎮、浅野幸長ら過去に石田三成を襲撃し、失脚させた武断派衆である。家康は見事に彼らの軋轢を利用する事に成功したのであった。
江戸城に入城した家康は、腹心の井伊直政を派遣し、福島正則や池田輝政、黒田長政らに先陣を切るよう指示を送った。
「憎き治部めに吠え面をかかせるのは今!」
三成憎しの彼らは挙って西上し、東海道を進軍する東軍に対して岐阜十三万石を領有していた織田秀信は、岐阜城を中心に数箇所に陣を張っていた。
これは、東軍がどこで木曽川を渡るかが推測できなかったため、兵力が分散してしまっていた。
二十二日明け方には池田輝政、浅野幸長、山内一豊率いる東軍一万八千は清須周辺に集結し、兵力を集中して、尾張国葉栗郡河田から美濃国羽栗郡河田島付近に進軍し、木曽川を渡河する。
これに対して西軍は鉄砲隊を中心に撃破を試みたが、東軍は木曽川の渡河に成功した。
東軍諸隊は、同日昼に美濃国羽栗郡米野村で西軍織田家の百々綱家ら三千と激突、陣を突破した。
西軍は九千を擁していたとはいえ、米野村には三千人程しか布陣していなかった。
追いつめられた秀信は二十二日夜、大垣城と犬山城に救援要請を行う。そして、援軍到着まで岐阜城に篭城、岐阜城と援軍で挟み撃ちを考えた。
家臣からは残存兵力を岐阜城に集め、徹底篭城の意見もでたが、秀信は各武将に命じ、岐阜城とそれを守る稲葉山砦、権現山砦、瑞龍寺山砦と岐阜城への入り口などを固める。
岐阜城は秀信と織田秀則、岐阜城へ向かう登山口四箇所には、津田藤三郎、木造長政、百々綱家らを布陣し、兵力を分散させた。
八月二十三日明け方、東軍は犬山城、大垣城からの援軍を警戒し、東の各務郡新加納村、長塚村、古市場村に山内一豊、有馬豊氏、戸川達安、堀尾忠氏らを配置、西の方県郡河渡には田中吉政、藤堂高虎、黒田長政らを布陣させた。
二十三日早朝、最初に瑞龍寺山砦へ浅野幸長ら攻撃を開始した。続いて井伊直政が稲葉山、権現山砦へ攻撃、城の登山口には福島正則らが殺到し、完全に岐阜城は包囲されてしまう。
この 時、当てにしていた犬山城からの援軍は無かった。犬山城城主の石川貞清は、稲葉貞通、稲葉典通、稲葉方通、加藤貞泰、関一政、竹中重門らと籠城していたが、極秘に東軍の井伊直政に密書を送り、内応を約定していた。
三成ら大垣城の増援は岐阜城に向かっていたが、高虎・長政らによって河渡で迎撃され敗走し、逆に東軍は垂井・赤坂まで侵攻した。三成は、岐阜城がわずか一日で陥落するとは想定していなかった。そのために対応が後手に周り、戦略を練り直さざるを得なくなった。
伏見城攻撃から始まった天下の動乱は、これに触発される様に各地で勃発し、西軍石川貞清の守る犬山城、東軍細川藤孝の籠る丹波田辺城、富田信高の伊勢安濃津城など、正に日本を二分する戦が続々と繰り広げられ始めていた。
そして九月一日、ついに家康が江戸城を出立すると、越前の戦線から反転した大谷吉継率いる北国口勢は、美濃国へと入国するのである。
江戸を出立した家康は、九日に岡崎、十日に熱田を経て、十三日に岐阜へと軍勢を進めていた。
家康が近づくにつれ、様々な情報が飛び込んで来る。
「東軍は、まず三成の本拠地佐和山城を叩く作戦であるらしい」
「東軍は大垣城を水攻めにするつもりらしい」
「東軍は北陸街道を使って、佐和山城を攻めるらしい」
石田三成や宇喜多秀家らは、虚々実々であろう様々な報告を取捨選択しつつ、野戦を展開する事に決した。
「内府の主力は未だ現われておらぬ。譜代は松平や井伊ら僅か三千あまり。福島や池田らの烏合の衆では我らに利があろう」
事実、家康の世子秀忠率いる譜代衆大凡三万八千の大軍勢は、西上道中にある真田昌幸、信繁親子の守る上田城を攻撃していたが、凄まじい抵抗を受け八日まで足止めされると、攻城を諦め、未だ中山道を西上中である。そして北方の脅威前田家が加賀に釘付けとなっている今、福島や池田、黒田らが挙って戦を仕掛けて来ても、背後に豊臣秀頼を擁している西軍が大義もあり、優勢であった。
現在前線に向かって来ている東軍の大部分は、徳川の譜代衆では無く、三成憎しで家康に味方する豊臣恩顧の大名衆である。大阪城の秀頼に弓を引くつもりは毛頭ない。
更に、西国より続々と結集している西軍は、予想を上回る大軍勢であった。
虚報であろうが、前線基地としている大垣城に籠り、素通りされて佐和山城に攻め込まれる様な危険を冒すよりも、現状の有利な条件下で決戦に当たる事が良いと決したのである。
首脳による作戦会議に参加した吉継は、三成や秀家の意見は道理に適っていると思いつつ、味方には向背疑わしい大名衆が多くいる事を懸念している。
「中納言殿はどうなっておる……」
ひと際冷静な口調で問う吉継に対し、三成は苦々しい面持ちで応えた。
「ここ大垣城に参る様伝令を送っているが、今どこにおるのか分からぬ状況じゃ……」
「……何とも忌々しき小倅じゃ……」
吉継は小声で嘆息しながら呟く。
吉継は小早川秀秋の動向が一番の気掛かりであり、伏見城陥落後から間者を放ち監視していた。
秀秋は、毛利勢と共に伊勢路の東軍諸城を攻撃しつつ前進する予定であったが、近江路で鷹狩をするなど、左顧右眄する様に進退し、間者の目を盗む様に、行方を眩ませていたのである。
「……懸念事案が多い事は、両軍とも同じじゃ。諜報戦は内府の得意とする所。しかし軍勢は我らが有利。秀頼様を守るという大義を持つ我らに、何故裏切る事があろうか。中納言殿もそこまで愚かではあるまい」
「……左様か」
吉継は暗い表情で応えた。
人の心の移り変わりの危うさを軽視する、三成の認識の甘さに危惧を感じるが、それ以上は反論しなかった。確かに状況は西軍有利で展開している。
岐阜城が早々に落城した事を除けば、徳川主力の秀忠軍が到着せず、越前加賀の前田が動けない状況という絶好の好機である。
そして、八月二十五日には伊勢の安濃津城が落ち、九月六日には細川幽斎の守る丹後田辺城が開城、そして九月七日には近江国の大津城攻撃が始まっている。
現在安濃津城を落とした毛利・長宗我部勢ら三万及び、丹後田辺城を落とした小野木重勝ら一万五千も美濃国へ向け進軍中である。更には、大津城を攻撃中の毛利元康、立花宗茂ら一万五千も、時期を待たずして到着するであろう。
戦機は熟しつつあった。
西軍の首脳らは、去就怪しい者を気にするあまり、戦機を失う事は避けたいと考え、参謀役である吉継もまた、危険と分かりつつも野戦に向かう事に応じたのである。
九月十三日
吉継は、自らが大将を務める北国口軍の内、戸田重政、平塚為広、赤座直保、小川祐忠、朽木元綱、脇坂安治らを集めると、今一度軍議を開いた。
「内府が目前まで迫っている以上、指を咥えて見ていても戦機を逃そう。ここは西軍の主力部隊を前進させ、迎え討とうと決した」
吉継は、越前、近江に縁が深く、旧知の間柄であった彼らを中心に、北国軍を編成させていた。
「それは願っても無い! 太閤殿下のご恩を裏切る痴れ者共など、悉く討ち取ってやりましょうぞ!」
戸田勝成は声高に語った。
「味方にも士気の低い者が多くおる。野戦に踏み切れば、そやつらの意気も上がるというもの」
横に控える平塚為広も力強く応答した。
吉継は、自ら北国軍に引き込んだ彼らを心底信頼している事に間違い無い。彼の懸念する気掛かりは小早川秀秋であり、北国衆の団結は揺るぎないと思っている。
軍議が煮詰まるにつれ、当初不安げな表情を崩さなかった赤座、朽木、小川ら諸将も、挙って決戦の意欲を示した。彼らも意を決した様子である。
吉継はゆっくりと頷き、諸将は団結を示した。
その様な最中、物見の武者が慌てて注進に駆け込んで来る。
「小早川秀秋様の部隊が、伝令なく松尾山城に現われ、守将の伊藤盛正様を追い出して入城されました!」
吉継は顔色を変え怒鳴った。
「何たる事か! あやつめは何を考えておる!」
居並ぶ諸将も色めき立つ。
「松尾山は要地なれば、急ぎ我らも前進し、陣を築かねば!」
吉継は慌てて使い番を送り、怒声が飛び交う中、北国軍八千は速やかに行軍を開始した。
(どいつもこいつも何を考えておるか分からぬ……! 戦が始まれば、内府側に付いて戦う事など到底出来まいぞ……)
「目指すは関ケ原! 最早後戻りは出来ぬぞ!」
吉継の鼓舞が響くと、兵達は力強く応じ、喊声を上げた。
「内府が早くも江戸を出立したとの事じゃ。いよいよ決戦の日も近いぞ!」
大谷吉継は、諸将の前で声高に語った。
大谷刑部少輔(吉継)・木下山城守(頼継)・朽木河内守(元綱)・小川土佐守(祐忠)・小川左馬助(祐滋)・脇坂中務少輔(安治)・脇坂淡路守(安経)・赤座久兵衛(直保)ら北国口方面の攻撃隊は美濃国から関ヶ原の松尾山の麓に向かった。
七月十七日に「内府ちがひの条々」が発給されて以降、大将毛利輝元と副大将宇喜多秀家は、全国各地の諸大名に決起を促す書状を散布した。その内奉行側、いわゆる西軍に旗幟を示した大名は、肥後国小西行長、土佐国主長宗我部盛親、筑前筑後国小早川秀秋、筑後国柳川立花宗茂、薩摩国島津義弘ら西国の強豪大名らである。毛利家には太守輝元以下、毛利秀元、吉川広家、安国寺恵瓊ら万石を越える譜代一門衆が旗下にある。これに石田三成ら奉行衆に加え、西国を中心とした小身の諸大名らの多くも追従し、更に東国では、征伐軍を組まれた上杉景勝が当然反家康側に加わり、三成と昵懇であった関東の雄佐竹義宣も、上杉支援の密約を結び、西軍に呼応する形となった。
しかし、大国の狭間に揺れる秀秋ら小大名衆の挙動は、微妙なモノである。
隣国の大領主が加担した側に付かなければ、一揉みに握りつぶされてしまう。各々の思いが交錯する中結成された混成軍の士気は、一様に低いのが実情であった。
七月十八日に開始された伏見城攻城戦では、それが見事に露呈している。秀吉の隠居地として京都に建設された伏見城は、彼の死後家康が入城し、政務の中心地となっていた。
会津征伐が決まり家康が出立すると、徳川譜代衆の鳥居元忠が留守居役として入城しており、奉行衆の決起を知った彼は即座に戦準備を始め、千八百程の主勢と共に立て籠もったのである。
「これは前哨戦として、またと無い戦であろう!」
宇喜多秀家は、早速大阪に結集した諸将に向け、攻撃軍を編成した。
宇喜多秀家、大谷吉継、毛利秀元、吉川広家、小早川秀秋、長宗我部盛親、長束正家ら錚々たる大名衆が大凡四万の兵を以て参加し、木下俊定を呼び戻した小早川軍も参加する事となる。
(ここは小太郎の思惑通り動くことも致し方無し……ここは目立たぬ様傍観せねば……)
秀秋は小太郎の指示に従い、西軍の一翼として活動を余儀なくされる。
当初、僅か千八百程の兵で籠城する平地の城など、瞬く間に落城するであろうと思っていたが、小太郎の思惑通り、西軍は苦戦を強いられた。
参加する諸将の思惑も、秀秋と同様であったのか、寄せ手の攻撃は何とも煮え切らず、然程の戦果も得られぬまま、数日が経過してしまう。
攻撃隊の大将となった宇喜多秀家は、憤りを隠さず各将をなじる。
「この様な小城に何をしておるのです! 皆が譲り合っては城など落ちる訳もございますまい!」
今や豊家の親族衆筆頭である秀家は、天下の号令の下招集した諸将の士気が一様に低い事に憤っている。
彼は備前国の梟雄宇喜多直家の嫡子として生まれ、秀吉の血縁者では無いが、幼少期から秀吉の寵愛を受け、実父直家の死後は猶子となり、更に秀吉養女の豪姫と婚姻する事で一門衆と同等の立場になっていた。この大乱における副官として、相応の将器を持つ秀家だが、富裕に育った彼には、人の心底を測り、罠に掛ける様な戦国武将に必要な武勇、知略、人望、忍耐力、そして戦術に乏しい。
皆が秀頼の為にこの戦に参加して当然と思い、豊家の秩序をかき乱す家康を討伐する事は至極自然であると思っていた。更に、宇喜多騒動により譜代の重臣を家康に奪われる形となった事に、内心憎悪を燃やしている。
彼は副官として、この前哨戦をいち早く勝利し、全軍の士気を盛り上げたいと考えている。しかし、参加する諸将の中に、戦功を上げようと自ら望んで先陣をきる者がいなかった。
秀秋は緊張感漂う軍議の上座に列座していたが、見渡せば大軍勢を擁する宇喜多秀家や毛利秀元、吉川広家ら毛利旗下の諸将さえも消極的に見える。
(これでは到底戦にならぬでは無いか……)
秀秋は、集結した大軍勢を見た時、状況によっては奉行方として積極加担すべきか迷っていた。しかし、彼らの士気の低さを垣間見ると、やはり小太郎の言う通り東軍勝利は揺るぎないと確信している。
(……内府に連絡する他あるまい……)
秀秋は改めて、小早川家は東軍派である事を奥平藤兵衛に伝えると同時に、いつ離脱すべきか逡巡しつつ、戦況を見守った。
敵将鳥居元忠の抵抗は激しく、寄せ手の攻撃を幾度となく跳ね返しては、実に十日間もの間抗ったが、やはり多勢に無勢であり、最期は内応者により内部から城壁が爆破され、寄せ手が乱入すると、鬼気迫る壮絶な乱戦の末、討ち死にを遂げた。
(これは思わぬ事態となってしまった……)
焼け落ちる城郭を見つめる木下俊定は、徳川譜代の臣を討ち取る戦に参加した事実を咎められぬかと内心焦燥するが、周囲を見渡せば、同様の表情を浮かべる者も多くいる。
秀秋は俊定の肩に手を置き、無言で頷いて見せた。
小敵に時間を費やした西軍は、その後伊勢道、北国口と分かれ、各地の徳川方に付いた諸将を攻める。大谷吉継は敵対した前田利長対策の為、北陸方面の軍事行動を開始し、秀秋は伊勢道から安濃津城へ向かった。
道中、秀秋は俊定に語り掛ける。
「何とも言えぬ戦であったな。お主はどう見る……」
移動する秀秋の横で馬首を並べる俊定は、おもむろに問われ口籠る。
秀秋は続ける。
「小太郎は信用置けぬ。優柔な世倅に戦を左右されてはかなわぬと思わぬか」
落ち着いた口調だが、語気は鋭い。
小太郎とは富田宗高の事である。
富田一白の孫である彼は、嫡男の富田信高に知幸が生まれるまでは富田家の後継者候補として大事に育てていたが、父高定の切腹未遂と知幸の出生に伴い、半ば強制的に冨田家に養子として出されてしまった。それだけに、その心中は複雑であろう。
「小太郎殿が敵方については、我らは一挙に不利になりますな……」
俊定は動揺を見せまいと、ゆっくりと反応する。
「場合によっては、戦の前に動かねばならぬかも……」
秀秋が不気味に呟くと、俊定は額に汗を浮かべ、押し黙った。
秀秋は密かに、小太郎の裏切りが発覚した時には暗殺するよう、幻陰の赤陰に命じていた。
秀秋は、伏見城の戦いにおける各将の動きを注視しており、消極的な武将へは寝返りを試みようと策を仕掛ける。特に吉川や毛利の戦意の低さは既に寝返ったと思っていた。
「儂は軽々に動けぬゆえ。お主達が頼みよ……」
一方で近江出身者の多い北陸衆には信用を置いている。秀秋は万が一裏切り者が出た時には、彼らの力を使い対抗しようと考えている。
「……当然じゃ。織田を忘れし痴れ者は、成敗せねばならぬ」
俊定が力強く呼応すると、秀秋はゆっくりと頷いた。
秀秋の所領は一族合わせ六十万石程であり、兵力も一万五千程である。毛利や宇喜多の様な兵力を有していない。
しかし内心逡巡する俊定には、この発言の意味が理解出来ずにいた。
(……まさか、儂も怪しまれているのか……)
不安の強まる俊定であったが、内に秘めた動揺をひた隠し、秀秋と昔話など交わしながら行軍する。
◇◇◇◇
そして秀秋の不安を他所に、北陸の戦線は西軍有利に運んでいった。
越前敦賀に入国した大谷吉継は、調略により丹羽長秀や山口宗永、上田重安ら越前加賀の諸大名を引き込む事に成功し、更に「大谷吉継の別働隊が、金沢城を急襲する為に海路を北上している」などの虚報を流し前田軍の動揺を誘うと、金沢へ後退させるに至ったのである。
この為激戦が予想された加賀北陸戦線は、丹羽長重を中心とした小国主の連合体による圧力により、加賀の太守前田家を釘付けにする事に成功したのであった。
好転する北陸路の戦線に睨みをきかす吉継の元に、使者の注進が届く。
「内府ははや江戸城に入城し、自らに味方する大名らを先行部隊として西上させております」
家康は会津征伐軍に参加していた諸将の大部分を率い反転し、八月五日には江戸城に入城すると、上洛の構えを示しているという。
家康加担を示した大名は、福島正則、池田輝政、細川忠興、加藤嘉明、蜂須賀至鎮、浅野幸長ら過去に石田三成を襲撃し、失脚させた武断派衆である。家康は見事に彼らの軋轢を利用する事に成功したのであった。
江戸城に入城した家康は、腹心の井伊直政を派遣し、福島正則や池田輝政、黒田長政らに先陣を切るよう指示を送った。
「憎き治部めに吠え面をかかせるのは今!」
三成憎しの彼らは挙って西上し、東海道を進軍する東軍に対して岐阜十三万石を領有していた織田秀信は、岐阜城を中心に数箇所に陣を張っていた。
これは、東軍がどこで木曽川を渡るかが推測できなかったため、兵力が分散してしまっていた。
二十二日明け方には池田輝政、浅野幸長、山内一豊率いる東軍一万八千は清須周辺に集結し、兵力を集中して、尾張国葉栗郡河田から美濃国羽栗郡河田島付近に進軍し、木曽川を渡河する。
これに対して西軍は鉄砲隊を中心に撃破を試みたが、東軍は木曽川の渡河に成功した。
東軍諸隊は、同日昼に美濃国羽栗郡米野村で西軍織田家の百々綱家ら三千と激突、陣を突破した。
西軍は九千を擁していたとはいえ、米野村には三千人程しか布陣していなかった。
追いつめられた秀信は二十二日夜、大垣城と犬山城に救援要請を行う。そして、援軍到着まで岐阜城に篭城、岐阜城と援軍で挟み撃ちを考えた。
家臣からは残存兵力を岐阜城に集め、徹底篭城の意見もでたが、秀信は各武将に命じ、岐阜城とそれを守る稲葉山砦、権現山砦、瑞龍寺山砦と岐阜城への入り口などを固める。
岐阜城は秀信と織田秀則、岐阜城へ向かう登山口四箇所には、津田藤三郎、木造長政、百々綱家らを布陣し、兵力を分散させた。
八月二十三日明け方、東軍は犬山城、大垣城からの援軍を警戒し、東の各務郡新加納村、長塚村、古市場村に山内一豊、有馬豊氏、戸川達安、堀尾忠氏らを配置、西の方県郡河渡には田中吉政、藤堂高虎、黒田長政らを布陣させた。
二十三日早朝、最初に瑞龍寺山砦へ浅野幸長ら攻撃を開始した。続いて井伊直政が稲葉山、権現山砦へ攻撃、城の登山口には福島正則らが殺到し、完全に岐阜城は包囲されてしまう。
この 時、当てにしていた犬山城からの援軍は無かった。犬山城城主の石川貞清は、稲葉貞通、稲葉典通、稲葉方通、加藤貞泰、関一政、竹中重門らと籠城していたが、極秘に東軍の井伊直政に密書を送り、内応を約定していた。
三成ら大垣城の増援は岐阜城に向かっていたが、高虎・長政らによって河渡で迎撃され敗走し、逆に東軍は垂井・赤坂まで侵攻した。三成は、岐阜城がわずか一日で陥落するとは想定していなかった。そのために対応が後手に周り、戦略を練り直さざるを得なくなった。
伏見城攻撃から始まった天下の動乱は、これに触発される様に各地で勃発し、西軍石川貞清の守る犬山城、東軍細川藤孝の籠る丹波田辺城、富田信高の伊勢安濃津城など、正に日本を二分する戦が続々と繰り広げられ始めていた。
そして九月一日、ついに家康が江戸城を出立すると、越前の戦線から反転した大谷吉継率いる北国口勢は、美濃国へと入国するのである。
江戸を出立した家康は、九日に岡崎、十日に熱田を経て、十三日に岐阜へと軍勢を進めていた。
家康が近づくにつれ、様々な情報が飛び込んで来る。
「東軍は、まず三成の本拠地佐和山城を叩く作戦であるらしい」
「東軍は大垣城を水攻めにするつもりらしい」
「東軍は北陸街道を使って、佐和山城を攻めるらしい」
石田三成や宇喜多秀家らは、虚々実々であろう様々な報告を取捨選択しつつ、野戦を展開する事に決した。
「内府の主力は未だ現われておらぬ。譜代は松平や井伊ら僅か三千あまり。福島や池田らの烏合の衆では我らに利があろう」
事実、家康の世子秀忠率いる譜代衆大凡三万八千の大軍勢は、西上道中にある真田昌幸、信繁親子の守る上田城を攻撃していたが、凄まじい抵抗を受け八日まで足止めされると、攻城を諦め、未だ中山道を西上中である。そして北方の脅威前田家が加賀に釘付けとなっている今、福島や池田、黒田らが挙って戦を仕掛けて来ても、背後に豊臣秀頼を擁している西軍が大義もあり、優勢であった。
現在前線に向かって来ている東軍の大部分は、徳川の譜代衆では無く、三成憎しで家康に味方する豊臣恩顧の大名衆である。大阪城の秀頼に弓を引くつもりは毛頭ない。
更に、西国より続々と結集している西軍は、予想を上回る大軍勢であった。
虚報であろうが、前線基地としている大垣城に籠り、素通りされて佐和山城に攻め込まれる様な危険を冒すよりも、現状の有利な条件下で決戦に当たる事が良いと決したのである。
首脳による作戦会議に参加した吉継は、三成や秀家の意見は道理に適っていると思いつつ、味方には向背疑わしい大名衆が多くいる事を懸念している。
「中納言殿はどうなっておる……」
ひと際冷静な口調で問う吉継に対し、三成は苦々しい面持ちで応えた。
「ここ大垣城に参る様伝令を送っているが、今どこにおるのか分からぬ状況じゃ……」
「……何とも忌々しき小倅じゃ……」
吉継は小声で嘆息しながら呟く。
吉継は小早川秀秋の動向が一番の気掛かりであり、伏見城陥落後から間者を放ち監視していた。
秀秋は、毛利勢と共に伊勢路の東軍諸城を攻撃しつつ前進する予定であったが、近江路で鷹狩をするなど、左顧右眄する様に進退し、間者の目を盗む様に、行方を眩ませていたのである。
「……懸念事案が多い事は、両軍とも同じじゃ。諜報戦は内府の得意とする所。しかし軍勢は我らが有利。秀頼様を守るという大義を持つ我らに、何故裏切る事があろうか。中納言殿もそこまで愚かではあるまい」
「……左様か」
吉継は暗い表情で応えた。
人の心の移り変わりの危うさを軽視する、三成の認識の甘さに危惧を感じるが、それ以上は反論しなかった。確かに状況は西軍有利で展開している。
岐阜城が早々に落城した事を除けば、徳川主力の秀忠軍が到着せず、越前加賀の前田が動けない状況という絶好の好機である。
そして、八月二十五日には伊勢の安濃津城が落ち、九月六日には細川幽斎の守る丹後田辺城が開城、そして九月七日には近江国の大津城攻撃が始まっている。
現在安濃津城を落とした毛利・長宗我部勢ら三万及び、丹後田辺城を落とした小野木重勝ら一万五千も美濃国へ向け進軍中である。更には、大津城を攻撃中の毛利元康、立花宗茂ら一万五千も、時期を待たずして到着するであろう。
戦機は熟しつつあった。
西軍の首脳らは、去就怪しい者を気にするあまり、戦機を失う事は避けたいと考え、参謀役である吉継もまた、危険と分かりつつも野戦に向かう事に応じたのである。
九月十三日
吉継は、自らが大将を務める北国口軍の内、戸田重政、平塚為広、赤座直保、小川祐忠、朽木元綱、脇坂安治らを集めると、今一度軍議を開いた。
「内府が目前まで迫っている以上、指を咥えて見ていても戦機を逃そう。ここは西軍の主力部隊を前進させ、迎え討とうと決した」
吉継は、越前、近江に縁が深く、旧知の間柄であった彼らを中心に、北国軍を編成させていた。
「それは願っても無い! 太閤殿下のご恩を裏切る痴れ者共など、悉く討ち取ってやりましょうぞ!」
戸田勝成は声高に語った。
「味方にも士気の低い者が多くおる。野戦に踏み切れば、そやつらの意気も上がるというもの」
横に控える平塚為広も力強く応答した。
吉継は、自ら北国軍に引き込んだ彼らを心底信頼している事に間違い無い。彼の懸念する気掛かりは小早川秀秋であり、北国衆の団結は揺るぎないと思っている。
軍議が煮詰まるにつれ、当初不安げな表情を崩さなかった赤座、朽木、小川ら諸将も、挙って決戦の意欲を示した。彼らも意を決した様子である。
吉継はゆっくりと頷き、諸将は団結を示した。
その様な最中、物見の武者が慌てて注進に駆け込んで来る。
「小早川秀秋様の部隊が、伝令なく松尾山城に現われ、守将の伊藤盛正様を追い出して入城されました!」
吉継は顔色を変え怒鳴った。
「何たる事か! あやつめは何を考えておる!」
居並ぶ諸将も色めき立つ。
「松尾山は要地なれば、急ぎ我らも前進し、陣を築かねば!」
吉継は慌てて使い番を送り、怒声が飛び交う中、北国軍八千は速やかに行軍を開始した。
(どいつもこいつも何を考えておるか分からぬ……! 戦が始まれば、内府側に付いて戦う事など到底出来まいぞ……)
「目指すは関ケ原! 最早後戻りは出来ぬぞ!」
吉継の鼓舞が響くと、兵達は力強く応じ、喊声を上げた。
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