120 / 240
英雄奪還編 前編
五章 第七話 海面のモンド
しおりを挟む
トキワが帰ってきてから数日が経った。帰ってきてからお父さんの話を聞いたが本人はいつになく清々しい、そして幸せそうな顔だった。また今回の旅でガルミューラとの絆も深まったようで前よりも二人で一緒にいるという光景をよく見るようになった。もう後悔は無いとのことらしい。そして何故か感謝された。
その後しばらくして三日に一度くらいのペースで魔力波を飛ばしてくるゲルオードから会談の日時が決まったという知らせを聞いた。そして現在、総合室に集まり円卓を囲みながら全員で話し合いをしているという状況だ。いつもは外にいる閻魁も、他に便乗して来たという感じで椅子に座っている。
「ジン、ぼくやっぱり行くのはやめておいた方がいいと思うんだよね」
「ジン様、恐れながら私もゼステナと同意見です。危険が伴うかもしれません」
そう言っていつになく真剣な顔で口を開いたゼステナにクリュスも続いた。
「ゼステナ、クリュス。あなた達にしては随分とらしくない考えですね。本来なら喜んで付いてきそうですが」
「べ、別に何も無いけどさ。ゼグトスこそ······心配じゃないの?」
「ええもちろん心配ですとも、ですがジン様の強さはあなた達の想像を遥かに超えます。帝王如きでは及びませんよ。それにもしものために私達がいるのでしょう。それともあなたもようやくジン様に心酔しましたか?」
「····あっ、ああそうだよ!! 何か悪いか!!」
顔を赤らめながら叫んだゼステナを見て周りからは笑い声が起こった。
「ともあれだ、帝王連中と良好な関係を築いておくのは必要だ。ジン、じいちゃんも心配だが頑張って来い」
「うん、それと言い忘れてたけど会談は三日後だって」
「それでだ、誰が護衛に向かうかをこの場で決める。私とガルは確定だ。ゼフは防衛のためここに残ってもらう。ここの安全を確保する必要もあるが、護衛に手を抜くつもりはない。それで聞くが、今現在で護衛として付いてくるつもりの奴は手を挙げろ」
クレースの言葉を聞いて周りにいたもの達はかなりの人数が手を挙げた。
「えっ」
素で声が出た。
「流石に多すぎだ。何人かは妥協しろ」
「そうですね、おそらく帝王は後ろに三人ほどの護衛をつけているでしょう。ですが私の特殊空間を用いればそれに加えて他の方もすぐに出られるようには出来ます」
「パール、危ないからお留守番できるかな」
「で、でもジンといっしょにいきたい」
「すぐに帰ってくるから」
「······うん」
優しく抱っこすると落ち着いた。まだまだ甘えたい時期なのかもしれない。私もお母さんがいれば今になっても離れないくらいに甘えている自信がある。
「ではゼグトスもだな。あともう一人は······」
すると閻魁が再び手を挙げ、キリッとした顔をする。
「そうだな、我とかどう?」
「却下だ、静かに座っていられないだろう」
「まあそう言うではない、我ならば多少の顔見知りもいる。それに我は強いからな、もしものことが起きても全員我を前にして恐れ慄くだろう。どうだジン」
「そうだッ—」
「待って、ぼくとクリュス姉が行く」
ゼステナは言葉を遮って机をバタンと叩いて立ち上がった。
「三人も四人も一緒だよ、ガルも行くんだからさ、いいでしょ?」
「我は」
「ジン様、ぜひお供させて下さい」
「じゃあ閻魁はまた今度ね。留守番よろしく。ボル、申し訳ないんだけど一日だけ二人の仕事を引き継げないかな?」
「モチロン。安心して行ってキテ」
ということで行く護衛のメンバーはガル、クレース、ゼグトス、ゼステナ、クリュスということになった。ゼグトスのいう特殊空間を使えば転移魔法を少しだけ応用したものらしく必要に応じて魔力波で呼び出した相手をすぐに転移させられるらしい。
「そうだジン。この際だからさ、昨日決め終わったやつだけでもみんなに発表しようよ」
「そうだね」
元々は位や称号を考えるつもりだったが、そこから派生して部隊の編成まで決めてしまった。ちなみに位はほとんど決まらず称号に至っては一旦は保留し、また今度ということになった。
「それじゃあぼくから説明させてもらうよ。この国はまだ多くの国から小国と言われて舐められているみたいだね。部隊編成や位は他国への戦力の誇示だけでなく全員の士気にも関わってくる。とは言っても今決まった位は幹部だけだね。ということでまずは部隊について。
これは戦闘面のバランスや相性の良さを考慮して考えたよ。戦闘能力に大きく左右されるね」
ゼステナが円卓の中心に手を向けると魔力によって空中に文字が現れた。
「一番上が部隊名だよ」
ー黒金の槌ー
・幹部 ボル
・構成員 傭兵軍団 エルダン 他剛人族
—骸の軍団—
・幹部 クシャルド
・構成員 ハバリ ギルス 他骸族
「まず第一、第二部隊。ボルが率いる部隊とクシャルドの率いる部隊だ。第一部隊は力と機動力を備えた構成になっていて第二部隊は持久力重視になっている。どちらも地上戦に良い部隊だと思うよ」
「えっ、ボク幹部ナノ」
「ボルお願い」
「ワカッタ」
「わ、私が幹部でもよろしいのでしょうか」
クシャルドはとても申し訳なさそうに気まずい表情をした。
「クシャルドは骸族のみんなの統率も取れるし経験も豊富だからさ。きっと大丈夫」
「はい······それでは慎んで勉めさせて頂きます」
そう、骸族を完全に統率できるのはクシャルドしかいないのだ。
「次行くね」
ゼステナが瞬きをすると文字が変化し次の内容が表示された。
ー炎の槍ー
・幹部 トキワ
・構成員 ゼステナ リンギル ガルミューラ他ヒュード族
—ガルドのカラクリ—
・幹部 ギルバルド
・構成員 機械兵
「次に第三、第四部隊だね。第三部隊はトキワが幹部だ。ぼくもこの前戦って強さは分かってる。三人が意思持ちの武器を所有している部隊だね。それと機械兵のことはぼくもよく分からないんだけど、ゼグトスが制作に協力したみたいだからね。機械兵には防衛や遠距離攻撃の役割をしてもらうよ」
「分かったぜ、任せな」
ギルバルドはその場にいなかったが後で伝えよう。大丈夫、きっと了承してくれるはず。
「次が最後だよ」
ー龍星群ー
・幹部 エルバトロス
・構成員 クリュス ラルカ 他龍人族
ー癒す者ー
・幹部 リエル ルース
・構成員 エルフ族
「第五部隊にはクリュス姉他、エルバトロスやラルカ達龍人族だ。クリュス姉もいるから戦力的にはかなり大きな部隊にはなるけど正直奥の手みたいなところもあるね。クリュス姉は外交関係の仕事を兼任しているから幹部はエルバトロスに頼むよ。最後の第六部隊は回復部隊だ。幹部には二人についてもらう。戦闘に直接参加はほとんどしないけど治癒魔法をこれからさらに習得してていってもらうよ」
「うむ、任せてくれ」
「ええ、分かりましたわ」
「とまあ、こんな感じだけど何か質問はある?」
「わ、我は?」
閻魁は立ち上がり、まるで子どもがおもちゃを買ってくれなかった時のように悲しそうな瞳でゼステナを見つめた。
「ああ、言い忘れてた。今表示されなかった人で戦闘系の人は基本的には全員ジンの護衛だ。必要に応じて出陣するといった感じだけど今は戦争中でもないから具体的にはいざという時に適宜対応してほしい。それと各部隊の番号に優劣はないからね」
「ほう、ならばよい」
「まあ分からないことがあれば適宜聞いてくれ」
そして中央に表示されていた文字はスッと消え去った。
「みんな一ついいかな」
その声とともに全員の注目がジンへと移る。
「ボルとゼグトス、それにインフォルが考えてくれて作成までしてくれたんだけどゼグトスのつくった海上の特殊空間を増築する形で全員が安全に利用できる訓練施設を作ってくれたんだ。それ以外でも使おうと思うんだけど」
「もう完成したのか」
「ウン。魔法を使用したのと構造が少し特殊だカラネ。」
ゼフの膝の上に静かに座っていたインフォルが机の上に立って中央に向かって手をかざした。すると今度は文字ではなく設計図が出てきたのだ。
「「おおぉ」」
設計図を見て皆が目を輝かせて思わず声が漏れた。
「これが今回完成した建物の設計図や。水圧にも暴風にも、それと外部からの攻撃にも耐えられる設計になっとる。設計図がここにあるから今ここで説明させてもらうで。まずここからは少しだけ距離を置いた海面に設置予定で向こうへは転移魔法陣で移動する。外観としては海面に中心が置かれた球形や。半球が海の中に沈んどるが周りに不可視の結界を張っとるから動かず球形がどこかに行くことはない。もちろん、海洋に影響が出んようにしっかり対策もした。中には扉が複数あって開けると広い部屋に繋がっとる。耐久性はゼグトスはんお墨付きや、安心しい。内装は出来とるが設置後安全性の為少しの間点検させてもらう。一度海の底から引っ張り上げて結界を張らなあかんからな、今のタイミングで言おう思ったんや」
「今から見れるのか !?」
閻魁は話を聞いてからもう落ち着きがない。
「もうジンちゃんからの許可は出とるからある程度の準備は終わったで。球形の設置をまず初めにする。お前さんらには点検が終了次第中に物を運ぶんを手伝うてもらう。今中には一切何も無い、中は安全やさかいうちっ側に入っても全く問題ない。そいでや、今から全員集めて球形のお披露目会と行こうやないか。建物の名前は名付けて『モンド』や。きっとこの国の名所の一つになんで」
「「おおおおぉ」」
再び歓声が部屋に溢れた。
そして外に出て皆が海の近くに集まった。皆が見守る中、ゼグトスが空中に浮遊して海上に留まる。
「ジン様、よくご覧になられてくださいね」
「うっ、うーん! 気をつけて!!」
かなり見て欲しそうでゼグトスのすごく興奮している様子が伝わってきた。設計図は見ているものの未だに完成した外観は見ていない。
「では、いきます」
ゼグトスが指をパチンっと鳴らすと海から地響きのような音が聞こえてきて近くの地面が揺れ始めた。海面から陽の光に照らされて光る物体に大量の海水が持ち上げられながらその姿を現した。現れたのは海の色に溶け込む半球で出現と同時に結界が張られその場に留まった。
建物自体は中の様子が見えないが透明で周りの環境に合わせて色を変化させられるらしい。それにしてもすごい。みんなは口をポカンと開けたまま、目の前のモンドに釘付けになっていた。
「じゃあそういうことや、転移魔法の設置はもうしばらく待っといてくれ」
インフォルはそう言い残すと一度土の中へと帰っていった。そしてしばらく見てみんなは笑顔で元いた場所へと戻っていった。こうしてモンドのお披露目会は無事皆の期待と共に大成功したのだった。
その後しばらくして三日に一度くらいのペースで魔力波を飛ばしてくるゲルオードから会談の日時が決まったという知らせを聞いた。そして現在、総合室に集まり円卓を囲みながら全員で話し合いをしているという状況だ。いつもは外にいる閻魁も、他に便乗して来たという感じで椅子に座っている。
「ジン、ぼくやっぱり行くのはやめておいた方がいいと思うんだよね」
「ジン様、恐れながら私もゼステナと同意見です。危険が伴うかもしれません」
そう言っていつになく真剣な顔で口を開いたゼステナにクリュスも続いた。
「ゼステナ、クリュス。あなた達にしては随分とらしくない考えですね。本来なら喜んで付いてきそうですが」
「べ、別に何も無いけどさ。ゼグトスこそ······心配じゃないの?」
「ええもちろん心配ですとも、ですがジン様の強さはあなた達の想像を遥かに超えます。帝王如きでは及びませんよ。それにもしものために私達がいるのでしょう。それともあなたもようやくジン様に心酔しましたか?」
「····あっ、ああそうだよ!! 何か悪いか!!」
顔を赤らめながら叫んだゼステナを見て周りからは笑い声が起こった。
「ともあれだ、帝王連中と良好な関係を築いておくのは必要だ。ジン、じいちゃんも心配だが頑張って来い」
「うん、それと言い忘れてたけど会談は三日後だって」
「それでだ、誰が護衛に向かうかをこの場で決める。私とガルは確定だ。ゼフは防衛のためここに残ってもらう。ここの安全を確保する必要もあるが、護衛に手を抜くつもりはない。それで聞くが、今現在で護衛として付いてくるつもりの奴は手を挙げろ」
クレースの言葉を聞いて周りにいたもの達はかなりの人数が手を挙げた。
「えっ」
素で声が出た。
「流石に多すぎだ。何人かは妥協しろ」
「そうですね、おそらく帝王は後ろに三人ほどの護衛をつけているでしょう。ですが私の特殊空間を用いればそれに加えて他の方もすぐに出られるようには出来ます」
「パール、危ないからお留守番できるかな」
「で、でもジンといっしょにいきたい」
「すぐに帰ってくるから」
「······うん」
優しく抱っこすると落ち着いた。まだまだ甘えたい時期なのかもしれない。私もお母さんがいれば今になっても離れないくらいに甘えている自信がある。
「ではゼグトスもだな。あともう一人は······」
すると閻魁が再び手を挙げ、キリッとした顔をする。
「そうだな、我とかどう?」
「却下だ、静かに座っていられないだろう」
「まあそう言うではない、我ならば多少の顔見知りもいる。それに我は強いからな、もしものことが起きても全員我を前にして恐れ慄くだろう。どうだジン」
「そうだッ—」
「待って、ぼくとクリュス姉が行く」
ゼステナは言葉を遮って机をバタンと叩いて立ち上がった。
「三人も四人も一緒だよ、ガルも行くんだからさ、いいでしょ?」
「我は」
「ジン様、ぜひお供させて下さい」
「じゃあ閻魁はまた今度ね。留守番よろしく。ボル、申し訳ないんだけど一日だけ二人の仕事を引き継げないかな?」
「モチロン。安心して行ってキテ」
ということで行く護衛のメンバーはガル、クレース、ゼグトス、ゼステナ、クリュスということになった。ゼグトスのいう特殊空間を使えば転移魔法を少しだけ応用したものらしく必要に応じて魔力波で呼び出した相手をすぐに転移させられるらしい。
「そうだジン。この際だからさ、昨日決め終わったやつだけでもみんなに発表しようよ」
「そうだね」
元々は位や称号を考えるつもりだったが、そこから派生して部隊の編成まで決めてしまった。ちなみに位はほとんど決まらず称号に至っては一旦は保留し、また今度ということになった。
「それじゃあぼくから説明させてもらうよ。この国はまだ多くの国から小国と言われて舐められているみたいだね。部隊編成や位は他国への戦力の誇示だけでなく全員の士気にも関わってくる。とは言っても今決まった位は幹部だけだね。ということでまずは部隊について。
これは戦闘面のバランスや相性の良さを考慮して考えたよ。戦闘能力に大きく左右されるね」
ゼステナが円卓の中心に手を向けると魔力によって空中に文字が現れた。
「一番上が部隊名だよ」
ー黒金の槌ー
・幹部 ボル
・構成員 傭兵軍団 エルダン 他剛人族
—骸の軍団—
・幹部 クシャルド
・構成員 ハバリ ギルス 他骸族
「まず第一、第二部隊。ボルが率いる部隊とクシャルドの率いる部隊だ。第一部隊は力と機動力を備えた構成になっていて第二部隊は持久力重視になっている。どちらも地上戦に良い部隊だと思うよ」
「えっ、ボク幹部ナノ」
「ボルお願い」
「ワカッタ」
「わ、私が幹部でもよろしいのでしょうか」
クシャルドはとても申し訳なさそうに気まずい表情をした。
「クシャルドは骸族のみんなの統率も取れるし経験も豊富だからさ。きっと大丈夫」
「はい······それでは慎んで勉めさせて頂きます」
そう、骸族を完全に統率できるのはクシャルドしかいないのだ。
「次行くね」
ゼステナが瞬きをすると文字が変化し次の内容が表示された。
ー炎の槍ー
・幹部 トキワ
・構成員 ゼステナ リンギル ガルミューラ他ヒュード族
—ガルドのカラクリ—
・幹部 ギルバルド
・構成員 機械兵
「次に第三、第四部隊だね。第三部隊はトキワが幹部だ。ぼくもこの前戦って強さは分かってる。三人が意思持ちの武器を所有している部隊だね。それと機械兵のことはぼくもよく分からないんだけど、ゼグトスが制作に協力したみたいだからね。機械兵には防衛や遠距離攻撃の役割をしてもらうよ」
「分かったぜ、任せな」
ギルバルドはその場にいなかったが後で伝えよう。大丈夫、きっと了承してくれるはず。
「次が最後だよ」
ー龍星群ー
・幹部 エルバトロス
・構成員 クリュス ラルカ 他龍人族
ー癒す者ー
・幹部 リエル ルース
・構成員 エルフ族
「第五部隊にはクリュス姉他、エルバトロスやラルカ達龍人族だ。クリュス姉もいるから戦力的にはかなり大きな部隊にはなるけど正直奥の手みたいなところもあるね。クリュス姉は外交関係の仕事を兼任しているから幹部はエルバトロスに頼むよ。最後の第六部隊は回復部隊だ。幹部には二人についてもらう。戦闘に直接参加はほとんどしないけど治癒魔法をこれからさらに習得してていってもらうよ」
「うむ、任せてくれ」
「ええ、分かりましたわ」
「とまあ、こんな感じだけど何か質問はある?」
「わ、我は?」
閻魁は立ち上がり、まるで子どもがおもちゃを買ってくれなかった時のように悲しそうな瞳でゼステナを見つめた。
「ああ、言い忘れてた。今表示されなかった人で戦闘系の人は基本的には全員ジンの護衛だ。必要に応じて出陣するといった感じだけど今は戦争中でもないから具体的にはいざという時に適宜対応してほしい。それと各部隊の番号に優劣はないからね」
「ほう、ならばよい」
「まあ分からないことがあれば適宜聞いてくれ」
そして中央に表示されていた文字はスッと消え去った。
「みんな一ついいかな」
その声とともに全員の注目がジンへと移る。
「ボルとゼグトス、それにインフォルが考えてくれて作成までしてくれたんだけどゼグトスのつくった海上の特殊空間を増築する形で全員が安全に利用できる訓練施設を作ってくれたんだ。それ以外でも使おうと思うんだけど」
「もう完成したのか」
「ウン。魔法を使用したのと構造が少し特殊だカラネ。」
ゼフの膝の上に静かに座っていたインフォルが机の上に立って中央に向かって手をかざした。すると今度は文字ではなく設計図が出てきたのだ。
「「おおぉ」」
設計図を見て皆が目を輝かせて思わず声が漏れた。
「これが今回完成した建物の設計図や。水圧にも暴風にも、それと外部からの攻撃にも耐えられる設計になっとる。設計図がここにあるから今ここで説明させてもらうで。まずここからは少しだけ距離を置いた海面に設置予定で向こうへは転移魔法陣で移動する。外観としては海面に中心が置かれた球形や。半球が海の中に沈んどるが周りに不可視の結界を張っとるから動かず球形がどこかに行くことはない。もちろん、海洋に影響が出んようにしっかり対策もした。中には扉が複数あって開けると広い部屋に繋がっとる。耐久性はゼグトスはんお墨付きや、安心しい。内装は出来とるが設置後安全性の為少しの間点検させてもらう。一度海の底から引っ張り上げて結界を張らなあかんからな、今のタイミングで言おう思ったんや」
「今から見れるのか !?」
閻魁は話を聞いてからもう落ち着きがない。
「もうジンちゃんからの許可は出とるからある程度の準備は終わったで。球形の設置をまず初めにする。お前さんらには点検が終了次第中に物を運ぶんを手伝うてもらう。今中には一切何も無い、中は安全やさかいうちっ側に入っても全く問題ない。そいでや、今から全員集めて球形のお披露目会と行こうやないか。建物の名前は名付けて『モンド』や。きっとこの国の名所の一つになんで」
「「おおおおぉ」」
再び歓声が部屋に溢れた。
そして外に出て皆が海の近くに集まった。皆が見守る中、ゼグトスが空中に浮遊して海上に留まる。
「ジン様、よくご覧になられてくださいね」
「うっ、うーん! 気をつけて!!」
かなり見て欲しそうでゼグトスのすごく興奮している様子が伝わってきた。設計図は見ているものの未だに完成した外観は見ていない。
「では、いきます」
ゼグトスが指をパチンっと鳴らすと海から地響きのような音が聞こえてきて近くの地面が揺れ始めた。海面から陽の光に照らされて光る物体に大量の海水が持ち上げられながらその姿を現した。現れたのは海の色に溶け込む半球で出現と同時に結界が張られその場に留まった。
建物自体は中の様子が見えないが透明で周りの環境に合わせて色を変化させられるらしい。それにしてもすごい。みんなは口をポカンと開けたまま、目の前のモンドに釘付けになっていた。
「じゃあそういうことや、転移魔法の設置はもうしばらく待っといてくれ」
インフォルはそう言い残すと一度土の中へと帰っていった。そしてしばらく見てみんなは笑顔で元いた場所へと戻っていった。こうしてモンドのお披露目会は無事皆の期待と共に大成功したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる