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第五章

奇跡の星巫女様

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 そう少女は言って自分がどんな転生者か話を始めた。

「まず、今の私の名前はレイト・ミルウェールです。そして昔の名前は07号と呼ばれていました。」

「うわ、あの女神の名前が入ってるの?可哀想~したの名前だけ変えた方ががいいんじゃない?」

そう、言うとレイトは下を向いて少し黙った。おいおい、冗談で言ったのに満更でもない感じなのがあの女神を本当に嫌っていることが分かる。

「んで?昔の君はどんな子だったの?」

「施設に兄とくらしていました。毎日毎日変なお薬を体に入れられたりしてて、あんまりいい思い出は無いんですけど‥でも!お兄ちゃんがいたから!」

なるほどね?でその兄がここにいないってことは‥

「離れ離れにされちゃったのね」

「はい‥転生が決まったあの日から私は兄と別々に暮らす事になりました。でも、最初は!ただの事故と女神様は言ってたんですけど‥探してくれますかてお願いしたのに、会いに来てくれるたびに「忙しくて、探せてないの」とか「ごめんなさい!その話は後でね?」てはぐらかすんです。でも、一年前程に聞いちゃったんです。女神様が"本当はお兄ちゃんを探してなくて殺そうとしてること"」

はい、出たのお人形【転生者】が自分の考えたストーリーにそぐわないことすると原因を消して軌道修正しようとする所。‥昔と何一つ変わってないなぁあの女神

「まあ、それがあの女神の本性だからね?自分の慈愛はちゃんとレールに乗っている者だけに配るそんな女神だぜあれ?」

それを信仰している、奴等は本当に可哀想としか言えない‥だってあいつは信者でさえもアクセサリーとしか見ていないからだ。どれだけの者が自分を信仰しているのかさえ、分かっていない。
少なくとも司教と大司教くらい覚えていないといけないのにそれすら知らない。適当にテンプレみたいな名前を連呼して当たるまで遊んだり、自分好みの名前決めて改名させたりするのがあの女神様だ。まあ、改名させても覚えていないが。

「君があの女神を嫌っているのは分かった。それで?どうしたいの?あの女神を殺すの手伝ってくれるの?」

「それは、出来ません‥一応命の恩人なのと、あの方を信仰されている、信者の方を裏切るなんて私には」

まじ?折角共闘者だと思ったのになぁ‥残念。まあ、どうもあの女神の好きそうな子だからなぁこの子。優しくて、頑固で、そしてなにより【不幸な女の子】て所が、しかもかなりお気に入りと見た。
だって会いにくるんだろ?あいつは転生させたら色々用意してあとはポイだからな。あのエルフの森姫は多分、飽きてあそこに幽閉するストーリーを考えて閉じ込めていたのだろう、それで自分は最近のお気に入りの子に会いに来ていたて所か

「最近は全くこないので、多分捨てられたんじゃないかと思うんです。だって女神の寵愛が一つしか発動しないので」

「へーあの女神寵愛なんてくれるんだ、どんな寵愛?」

「どんな、"攻撃も一度だけ防いでくれる鏡みたいな障壁"です。」

ん?それどっかで見たぞ?どこだったかなぁ‥いや覚えていないのならその程度だったてことか

「でも、その寵愛はもう使っちゃたからないんです。なので、しっかりと魔法の勉強したいんですけど‥」

「ん?すれば良くない?‥あ~ごめん、それがあの女神のストーリーに組み込まれてないなら覚える所か行うことも出来ないのか‥」


頷くレイト、本当にめちゃくちゃするなあの女。他の"管理者共も大概イカれてる"けどこの女神は一番イカれてるため、管理者達の間でも転生者にされたら可哀想と満場一致になるレベルだ。

「じゃあ、あれか‥めちゃくちゃ強力なプライズを貰ったんだよね?レイトは」

「はい2つほど、一つ目が星級魔法の無詠唱スキル、その星級魔法が使える権利。二つ目が奇跡を集約して解放するスキルと固有スキルを貰いました。」


は?やばすぎないか上には上がいるなぁ‥この子こそ、チートofチートではないか。俺が一番欲しいぞ最初のスキル‥

「えぇ‥それだけ使えるのなら勉強する必要なくない?」

「いえ、だからこそです。星級魔法は確かに凄い魔法ですが、これはあくまで"星を作る魔法"なんです。だから攻撃にも、防御にも使えません。奇跡を集約して解放するスキルは補助スキルなため、誰かがいないと何の意味も無いんです‥だから自衛手段がなくて」

「‥‥‥‥」

言葉が出ない‥あの女神やっぱり頭悪すぎないか?これでは、ただの可愛い置物ではないか、この子にどんな配役を与えていたのだろうか?

「なので‥今はその奇跡の星巫女様なんて呼ばれちゃってます」

           ※※※※※※※※※※

「なるほどね‥大体分かった。じゃあまずはあの土地神の厄を浄化して貰ってから話を進めようか」

「お願いします、あの神様を助けたいんです」

そうゆうと少女は頭をぺこりと下げる。俺もあの神が良くないものではないと感じてはいたが、まさかあの女神がこの子為に用意した物とは恐れ入った。だが、もうあの女神はこの子に興味がない。ならばこの子の為に用意した神ではなく、ただの災厄をばら撒く神として顕現してしまっている。その経緯がなんなのかは分からないが

「そういうことなら、お助けしますよ?私は」

私はそう言ってレイトの部屋を後にする。向かう場所は勿論‥



議会が行われている。女神の間だ
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