10 / 11
神の声
しおりを挟む
頭の中に鳴り響く声に俺は驚愕する。この声は神だと言うのか……!?
「とうとう……俺にも神の声が聞こえてきたか……」
『選ばれし者……勇者……聖女……殺す……呪い……狂う……』
神の声は俺の心を見透かす様に、俺が聖女を殺した事について断片的な単語で語り掛けてくる。
どうやら、神は俺を平穏無事に死なす事には物言いをつけたいらしい……。そして、神の呪いが最終段階に入ったと悪魔が語っていたのだ。
俺は神が話し掛けてきた事に驚くと共に、神の声がいつまでも同じフレーズを続けるので心が乱れていた。
「話すだけ無駄か……」
そう呟くと頭に響いてくる声に対して無視する事にした。神は一方的にしか話さないのである。
『……衰弱……尊厳……死……どちらか……』
しかし、神は俺の心を揺さぶる様に有無を言わさず語り掛けてくる。
もしかしたら、アルティアも常に頭の中に神の声がこのように響いていたのかもしれない……。
「……」
神が語り掛けてくる言葉を無視してベッドに潜り込むと、静かに目を閉じて眠りに就こうとした。
『……選択を……』
声から逃れる様に必死で目を閉じて耳を押さえていても、直接頭の中で聞こえてくるのであった……。
『……選択を……』
神の声は俺に選択を与えようとしている。もう何も考えたくない……ただ静かに休みたいだけだ……。
『……選択を……』
無視しているのにも関わらず語り掛けてくる。まるで、俺が狂うのを待っているかの様に……。
「うるさい!黙れ!!」
思わず大声を上げてしまう。その声が寝室に響き渡ると、声を聞きつけたレ二が心配して部屋に駆け付けてくる。
「マルス!?」
彼女は心配そうな声で俺に話し掛ける。俺は頭を抱えながら苦しそうな表情で彼女の方を向くのであった。
「すまない……大声を出して……」
謝罪するが、神の声で苦しんでいる様子を理解できずレ二は困惑して立ち尽くしてしまう。
「マルス……どうしたの?」
「……声が……頭の中に響いてくるんだ……」
俺は彼女にそう答えると心配そうな顔で見るが、どうすればいいのか分からないと言った感じで言う。
「私には何も聞こえないけど……」
『選べ……衰弱……尊厳……』
頭の中で神の声が木霊する様に響き続ける。その声が続くためカッとなり、額に当てたレ二の手を払い除ける。
「うるさい!黙ってろ!!」
すると、彼女の手は払い除けられ部屋の壁に当たって鈍い音が鳴り響く。俺はハッと我に帰るとレ二は驚いた様子で立ち尽くしていた。
彼女に罪悪感を感じつつ、神の声が聞こえないように両手で耳を塞いでいた。
「すまない……今はそっとしておいてくれ」
「……マルス?」
彼女は心配そうに俺を見詰めるが、俺は耳から手を離す事は出来なかった。
『選べ……衰弱……尊厳……』
そんな時、まだ頭の中で神の声が響くのであった……。
俺は神の声に腹を立てていた。
「うるさい!!黙れと言っているのが聞こえないのか!?」
思わず怒声を発してしまう。俺の喚き声でレ二は怯えるのであった……。
「お願いだから……出て行ってくれ!」
彼女は驚いた表情で俺を見詰める。そして、レ二に出て行ってくれと頼むのであった。
『選べ……衰弱……尊厳……』
しかし、頭の中ではまだ神の声が聞こえるのである。その声を遮る様に目を瞑り必死に両手で耳を塞ぐのであった。
「……もう黙ってくれ!」
俺はそう叫ぶと、レニは驚き不愉快な表情で俺を見詰める。そして、彼女は俺と目を合わせず部屋を出て行くのであった……。
レニが部屋を出た事を確認すると耳を塞いでいた両手を放し目をゆっくりと開ける。
頭の中では変わらず神の声が木霊している。しかし、その声は次第に小さくなり始めていたのであった。
「ああ……やっと、消えた……」
俺の心の中には静寂が訪れる。神の声も遠くなっていき消えたように感じるのであった……。
それから何日か過ぎていた。俺は毎日、脳内で響き渡る神の声に悩まされる日々が続いていたのだ。
アルティアの亡霊に悩まされる事は無くなったが声が、こうも毎日聞こえると精神に異常をきたし発狂してしまう恐れがある。
「マルス……食事よ」
レニが夕食を作って部屋まで持ってきてくれたので、俺は食事を摂取する。彼女の作った料理は温かい家庭の味そのものだった。
俺の為を思い、毎日手料理を振る舞ってくれる彼女に感謝するのであった。
「ありがとう……」
礼を言って食事を摂る。しかし、神の声が聞こえるようになって心労で食も細くなっていた。
「マルス……あまり食べてないみたいだけど?」
彼女は心配そうな声で俺に言う。自分でも食欲が無い事を理解していた。
「心配かけてすまない……」
俺は彼女に謝罪すると食事を摂る。しかし、神の声が聞こえるのが嫌で内心は気が気ではなかったのである。
『選べ……死を……衰弱か……尊厳か……』
そんな時、頭の中に神の声が木霊するのであった。俺は食事を止めて耳を塞ぎ聞こえない様に心掛ける。
「マルス……?」
彼女は俺の様子が変だと感じていた。しかし、心を乱さないためにも無視しなければならなかったのだ。
「……何でもないよ」
そう答えるが、神は執拗に頭の中で叫び続けるのである。
『選べ……衰弱か……尊厳か……』
神の声は最初の頃は単語だけだったが今では、たどたどしいが文章として語り掛けてくる。
『衰弱か……尊厳か……選べ』
「黙れ!!」
俺は思わず神に向かって怒鳴ってしまう。すると、俺の怒鳴り声に驚いた彼女はビクッと体を震わせるのであった。
「……すまない」
怒鳴った後で、頭の中では神の声が一時的に聞こえなくなっていた……。
それから、レ二が食事を下膳してから俺は自身の最後について考えていた。
このままでは呪いで寝たきりになり、神の声で狂い彼女に大いに迷惑を掛けてしまう。
思い悩み悪魔が渡した安楽死用の薬を懐から取り出し、眺めながら呟くのであった。
「薬を飲めば……苦しまずに済む」
この薬を飲めば楽に苦しまずに死ねる……。俺自身も、この辛い現実から逃れられるし、レ二に迷惑を掛けずに済むのだ……。
「薬を飲めば……」
そう呟きながらも俺は頭の中で葛藤していた。このまま、簡単に死にたくは無い……しかし、苦しんで狂いたくもない。
だが、神の思惑通りに事を運ばせたくないという気持ちが沸々と沸きあがってくるのであった……。
「とうとう……俺にも神の声が聞こえてきたか……」
『選ばれし者……勇者……聖女……殺す……呪い……狂う……』
神の声は俺の心を見透かす様に、俺が聖女を殺した事について断片的な単語で語り掛けてくる。
どうやら、神は俺を平穏無事に死なす事には物言いをつけたいらしい……。そして、神の呪いが最終段階に入ったと悪魔が語っていたのだ。
俺は神が話し掛けてきた事に驚くと共に、神の声がいつまでも同じフレーズを続けるので心が乱れていた。
「話すだけ無駄か……」
そう呟くと頭に響いてくる声に対して無視する事にした。神は一方的にしか話さないのである。
『……衰弱……尊厳……死……どちらか……』
しかし、神は俺の心を揺さぶる様に有無を言わさず語り掛けてくる。
もしかしたら、アルティアも常に頭の中に神の声がこのように響いていたのかもしれない……。
「……」
神が語り掛けてくる言葉を無視してベッドに潜り込むと、静かに目を閉じて眠りに就こうとした。
『……選択を……』
声から逃れる様に必死で目を閉じて耳を押さえていても、直接頭の中で聞こえてくるのであった……。
『……選択を……』
神の声は俺に選択を与えようとしている。もう何も考えたくない……ただ静かに休みたいだけだ……。
『……選択を……』
無視しているのにも関わらず語り掛けてくる。まるで、俺が狂うのを待っているかの様に……。
「うるさい!黙れ!!」
思わず大声を上げてしまう。その声が寝室に響き渡ると、声を聞きつけたレ二が心配して部屋に駆け付けてくる。
「マルス!?」
彼女は心配そうな声で俺に話し掛ける。俺は頭を抱えながら苦しそうな表情で彼女の方を向くのであった。
「すまない……大声を出して……」
謝罪するが、神の声で苦しんでいる様子を理解できずレ二は困惑して立ち尽くしてしまう。
「マルス……どうしたの?」
「……声が……頭の中に響いてくるんだ……」
俺は彼女にそう答えると心配そうな顔で見るが、どうすればいいのか分からないと言った感じで言う。
「私には何も聞こえないけど……」
『選べ……衰弱……尊厳……』
頭の中で神の声が木霊する様に響き続ける。その声が続くためカッとなり、額に当てたレ二の手を払い除ける。
「うるさい!黙ってろ!!」
すると、彼女の手は払い除けられ部屋の壁に当たって鈍い音が鳴り響く。俺はハッと我に帰るとレ二は驚いた様子で立ち尽くしていた。
彼女に罪悪感を感じつつ、神の声が聞こえないように両手で耳を塞いでいた。
「すまない……今はそっとしておいてくれ」
「……マルス?」
彼女は心配そうに俺を見詰めるが、俺は耳から手を離す事は出来なかった。
『選べ……衰弱……尊厳……』
そんな時、まだ頭の中で神の声が響くのであった……。
俺は神の声に腹を立てていた。
「うるさい!!黙れと言っているのが聞こえないのか!?」
思わず怒声を発してしまう。俺の喚き声でレ二は怯えるのであった……。
「お願いだから……出て行ってくれ!」
彼女は驚いた表情で俺を見詰める。そして、レ二に出て行ってくれと頼むのであった。
『選べ……衰弱……尊厳……』
しかし、頭の中ではまだ神の声が聞こえるのである。その声を遮る様に目を瞑り必死に両手で耳を塞ぐのであった。
「……もう黙ってくれ!」
俺はそう叫ぶと、レニは驚き不愉快な表情で俺を見詰める。そして、彼女は俺と目を合わせず部屋を出て行くのであった……。
レニが部屋を出た事を確認すると耳を塞いでいた両手を放し目をゆっくりと開ける。
頭の中では変わらず神の声が木霊している。しかし、その声は次第に小さくなり始めていたのであった。
「ああ……やっと、消えた……」
俺の心の中には静寂が訪れる。神の声も遠くなっていき消えたように感じるのであった……。
それから何日か過ぎていた。俺は毎日、脳内で響き渡る神の声に悩まされる日々が続いていたのだ。
アルティアの亡霊に悩まされる事は無くなったが声が、こうも毎日聞こえると精神に異常をきたし発狂してしまう恐れがある。
「マルス……食事よ」
レニが夕食を作って部屋まで持ってきてくれたので、俺は食事を摂取する。彼女の作った料理は温かい家庭の味そのものだった。
俺の為を思い、毎日手料理を振る舞ってくれる彼女に感謝するのであった。
「ありがとう……」
礼を言って食事を摂る。しかし、神の声が聞こえるようになって心労で食も細くなっていた。
「マルス……あまり食べてないみたいだけど?」
彼女は心配そうな声で俺に言う。自分でも食欲が無い事を理解していた。
「心配かけてすまない……」
俺は彼女に謝罪すると食事を摂る。しかし、神の声が聞こえるのが嫌で内心は気が気ではなかったのである。
『選べ……死を……衰弱か……尊厳か……』
そんな時、頭の中に神の声が木霊するのであった。俺は食事を止めて耳を塞ぎ聞こえない様に心掛ける。
「マルス……?」
彼女は俺の様子が変だと感じていた。しかし、心を乱さないためにも無視しなければならなかったのだ。
「……何でもないよ」
そう答えるが、神は執拗に頭の中で叫び続けるのである。
『選べ……衰弱か……尊厳か……』
神の声は最初の頃は単語だけだったが今では、たどたどしいが文章として語り掛けてくる。
『衰弱か……尊厳か……選べ』
「黙れ!!」
俺は思わず神に向かって怒鳴ってしまう。すると、俺の怒鳴り声に驚いた彼女はビクッと体を震わせるのであった。
「……すまない」
怒鳴った後で、頭の中では神の声が一時的に聞こえなくなっていた……。
それから、レ二が食事を下膳してから俺は自身の最後について考えていた。
このままでは呪いで寝たきりになり、神の声で狂い彼女に大いに迷惑を掛けてしまう。
思い悩み悪魔が渡した安楽死用の薬を懐から取り出し、眺めながら呟くのであった。
「薬を飲めば……苦しまずに済む」
この薬を飲めば楽に苦しまずに死ねる……。俺自身も、この辛い現実から逃れられるし、レ二に迷惑を掛けずに済むのだ……。
「薬を飲めば……」
そう呟きながらも俺は頭の中で葛藤していた。このまま、簡単に死にたくは無い……しかし、苦しんで狂いたくもない。
だが、神の思惑通りに事を運ばせたくないという気持ちが沸々と沸きあがってくるのであった……。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる