不死身の魔女との妖しい契り~そして俺は魔女の剣となる~

nene2012

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魔女エリノーラ

 俺は突然現れたローブの女に驚きつつも答えた。


「誰だ!?」

「何者なの!?」

「……」


 俺とニアが驚いて声を上げるが、ミラは無言だった。


「私も彼女と同じ魔女よ。私達によって彼女が捕らえられたことを伝えに来たんだけど……」


 女は淡々と話す。


「ランシーヌは無事なのか!?」

「今は無事だけど、そのうち命を落とすことになるでしょうね……」


 そう言うと、女の全身から禍々しいオーラのようなものが感じられた。


「私の名はエリノーラ……」


 そう言うと、フードを取った。すると、長い赤毛の髪の女性が現れた。

 顔は美しく整っており、切れ長の目が印象的であった。年齢は20代後半ぐらいだろう。

 口元には笑みをたたえており、どことなく妖艶な雰囲気がある。

 その後ろからローブ姿の男が見えた。フードを深く被っているので顔は見えない。


「あんたが、ランシーヌと同じ魔女か……」


 俺は警戒しつつ尋ねた。


「ええ……そうよ。そして、この人は私の守護者で恋人よ……」


 そう言うと、男を引き寄せて口付けをした。

 男は抵抗せずに受け入れている。口付けが終わると、女はニヤリと笑った。


「貴方達は運が良いわ……。今なら、見逃してあげることもできる……。大人しく立ち去るというのであれば、何もしないわ……」

「ランシーヌを返して貰おうか……」

「悪いけど、彼女は私が捕獲しているの……」

「じゃあ、力ずくで奪い返すまでだ!」


 俺は剣を抜いて構える。


「そう……。それならば仕方ないわね……」


 そういうと、女は片手を上に上げた。


「ユーザック、出番よ!」


 その言葉と同時に、ローブの男は呪文のような言葉を呟き始めた。

 すると、周りの景色がヤルトンの街並みではなく、見渡す限り何もない無の世界へと変わった。


「これは一体……」

「ここは彼の作り出した世界よ……」

「ユーザックって魔術師なのか……」


 俺は目の前の男を見ながら言った。


「彼は幻術に関しては天才的な才能を持っているわ……」


 女はそう言いながら、自分の唇に指を当てて舐めた。


「そして、私は不死身の魔女。貴方達に勝ち目はないわ……」


 女は不敵な笑みを浮かべている。


「けど、ここで貴方達を倒しても面白くないわ……」


 エリノーラは残念そうな表情をし、肩を落とした。


「だから、貴方達の力で私達を捜し出してみせなさい……。その時、また会いましょう……」

「逃がすと思っているのか!」


 俺は斬りかかるが、手応えがない。


「無駄よ……。この世界は現実ではないわ……」

「くそっ! 待ちやがれ!」


 俺は必死に追いかけるが、いつの間にか忽然とエリノーラ達の姿は消えていた。


「逃げられてしまったみたい……」


 ニアが悔しそうにしている。


「あの男の幻術に掛かってたのか……」

「多分ね……」


 ミラが俺の問いに答える。


「これからどうするの?」


 ニアが俺に尋ねてくる。

 どうすれば良い……。ランシーヌを助けるためにはどうしたら……。

 このままだと、ランシーヌが殺されてしまうかもしれない……。何とかしないと……。

 だが、エリノーラがどこに潜んでいるのか今は見当がつかなかった。

 今日は諦めて俺達は宿屋に向かった。辺りは暗くなり、夜を告げていた。

 

 ラドリックと双子達が宿屋で行為をしていた頃、ランシーヌはヤルトンの町に入ってから他の魔女の気配を感じて1人で探索していた。

 ランシーヌは、その気配を辿っていくと町外れにある廃墟となった館に辿り着いた。

 ランシーヌはその廃墟の中に入って行った。

 中に入ると、そこには魔女と思しき女性と40歳前後の男達がいた。

 ランシーヌは男女の前に姿を現す。

 魔女と思われる女性は、赤毛で長い髪をしており、目は切れ長である。整った顔立ちをしており、美しいのだが、どことなく近寄り難い雰囲気があった。

 一方、魔女の近くにいる男性は細身で髪は短く、整った顔をした紳士という風貌をしていた。

 他は長身の丸坊主頭と肥満体系のボサボサ髪の男達であった。


「あら? 珍しいお客さんが来たようね……」


 赤毛の魔女はランシーヌを見て微笑んだ。


「私の名はエリノーラ……。貴方は?」

「私の名前はランシーヌ。魔女よ……」


 それを聞いて男達は気が張り詰めるがエリノーラは受け流していた。

 そして、2人の会話が始まる。


「ここに何しに来たのかしら?」

「貴女に会いに……」

「どうして?」

「貴女が魔女だから……」

「ふーん……それで?」

「貴女を倒しに……」

「へぇ~……面白いことを言うのね」


 ランシーヌの言葉を聞いて、エリノーラは笑みを浮かべた。

 そして、後ろを振り向くと、後ろに控えている男達に指示を出した。

 男達はランシーヌを囲むように移動する。

 すると、エリノーラが口を開いた。


「私はね、魔女になって目覚めた時に思ったのよ……。なぜ、魔女として復活したのだろうかと……。魔女狩りによって処刑された為、同時にエルミス教にも強い復讐心が芽生えたわ……」

「魔女になる前の記憶があるの!?」

「ええ、あるわよ。それが何か問題かしら……」

「いえ……」


 ランシーヌは少々狼狽えていたが直ぐに冷静さを取り戻していた。


「私はね、魔女として目覚めた時の声に従うわ……。『他の魔女を打ち倒し最後の魔女となれ!』という言葉をね……」

「そう……」

「だから、貴女には死んでもらうしかないの……」

「それは無理よ……」

「どうかしら……」


 エリノーラはニヤリと笑った。


「貴方達、この女を捕らえて!」


 エリノーラの指示により、男達はランシーヌを捕らえる為に動き出した。


「物騒ね……」


 そう言うと、ランシーヌは何やら呪文を唱えた。


「視える者に闇の世界を!! 盲目となれ!」


 ランシーヌの魔力が男達を襲った。


「ぐぁ!」

「うぅ! 何も見えないぞ!」

「なんだ、これは!」


 急に視界を奪われた男達は混乱して叫びだした。

 ランシーヌは男達が混乱している間にその場から立ち去ろうとした。


「甘いわね……」


 エリノーラが呪文を唱える。すると、黒い霧のようなものがランシーヌの周りを取り囲んだ。


「きゃあ! 何これ……」


 ランシーヌは身体の自由を奪われ、意識も失いその場に倒れ込んだ。


「私の魔術で貴女の動きを封じさせて貰ったわ……」


 エリノーラはそういうと、ランシーヌにゆっくりと近づいていく。


「貴方達、今のうちに彼女を拘束しておきなさい……」


 エリノーラに言われて、男達は動けなくなったランシーヌを縄で縛り上げていく。

 そして、ランシーヌは捕らわれてしまったのであった。
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