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第3話:我が家が山賊に囲まれている(3)
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少しずつ近づいてくる山賊らしき集団。
足元には何故か燃えている数々のゴルフボール。
そして背後には恐ろしい重圧をかけてくる愛しき妻・・・。
「やってやるぞォッ!!」
私は5番アイアンでまず1つめのボールをスイングした。
低い弾道のボールは見事に山賊らしき集団の1人に直撃した。
「ギャアアアア!! アヂィィィィ!!」
悲鳴が響き渡る。
「ウオォォ!!」
私は次々とスイングしていくが見事に山賊らしき集団に直撃していく。
「パパ凄い。」
美佳が外に出てきていた・・・
右手にはテニスラケット、左手に鍋のフタを装備していた。
熱さと痛みでのたうち回る山賊らしき集団・・・
私は思い出していた。
そう・・・5年前だった。
お得意様との接待ゴルフのために泣く泣くゴルフセットを購入した。
仕事終わりで練習をして恥をかかないように心掛けた。
しかし・・・
しかし・・・本番で恥をかくどころかお得意様に恥をかかせてしまった。
奇跡のバ-ディーラッシュでお得意様を打ちのめしてしまった。
1Hイ-グル、2Hバーディーの時点で手を抜くつもりだったのだが、
「山田さん・・・遊びだからって手を抜いたり情けをかけるのはやめてくださいね。」
お得意様の沈んだ声・・・
「山田くん、どうなっているんだね!!」
課長の怒り・・・
ずっと挟まれ続けてヤケクソで振り回し続けた結果がスコア69・・・。
キャディさんは大絶賛。
「山田さん・・・サラリーマンよりプロゴルファー目指したらどうですか?」
お得意様の沈んだ声・・・。
商談は破談となり責任をとって課長は鳥取支社に異動という名の島流し・・・。
私は課長から恨み節を異動の日まで聞かされ続けたため鬱になりかけた。
それからずっと封印していたゴルフだったがこんなところで花開くとは・・・。
余韻に浸っていると・・・
「パパ!! 危ないって!!」
美佳の声。
山賊らしき・・・いやどう見ても山賊だ・・・
そう山賊が2人こっちに向かって走ってくる。
涙目で刀を振り回しながらだ・・・マジ怖い。
「美佳・・・下がれ!!」
私は5番アイアンからサンドウェッジに持ち替えた。
しかし震えが止まらない。
持ち替えた意味もよくわからない。
「くだばれい、物の怪!!」
山賊の1人が刀を振りかざした。
「父さん、しゃがんで!!」
岳人の声だ。
思わずしゃがんだ私の頭上で鈍い音がした。
「!?」
しゃがんだ私の目の前で白目をむいて倒れている山賊。
「ぎゃぱあああ!!」
更にもう1人の山賊も白目をむいて吹っ飛んでいった。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
岳人は●太を手にしていた。
「みんな・・・●太は持ったな!! 行くぞ!!」
朋美も●太を持っていた。
「いいところに●太があったな。」
美佳も●太を手にしていた。
「わんわんわん(ああラッキーだった)。」
サスケは尻尾を振って岳人の周りを走り回る。
「どこに●太があったの? ねえ、なんでこの辺りに●太あるの?●太って自生しているの?」
ひとしきり取り乱した私だが・・・
「どちらにせよ、この状況が普通じゃない・・・ここはどう考えても昔の日本だろう。」
我が家が建っている小高い山の上から見下ろした先には・・・
更に無数の灯火が近づいてきていた。
「そろそろ本気でヤバい状況だぞ、お前たち。」
私が言って家族たちの方を振り向くと・・・。
「おおおおッ!! やめろ!! 何すんだ!!」
なんと朋美、美佳、岳人・・・愛すべき家族3人が・・・
愛すべきアクセラに・・・
みんなでディズニーランドに行ったこともあった。
みんなで袋田の滝を観に行ったこともあった。
みんなでバナナワニ園に行ったこともあった。
アクセラでのドライブは楽しかったことばかりだっただろうが。
そんな我が家の愛車アクセラに・・・
アクセラに●太を載せようとしているではないか・・・。
「●太を積んだらパパが山賊に突っ込んでいってくれるから」
朋美はそう言うと私に親指を立ててウィンクしたのだった。
足元には何故か燃えている数々のゴルフボール。
そして背後には恐ろしい重圧をかけてくる愛しき妻・・・。
「やってやるぞォッ!!」
私は5番アイアンでまず1つめのボールをスイングした。
低い弾道のボールは見事に山賊らしき集団の1人に直撃した。
「ギャアアアア!! アヂィィィィ!!」
悲鳴が響き渡る。
「ウオォォ!!」
私は次々とスイングしていくが見事に山賊らしき集団に直撃していく。
「パパ凄い。」
美佳が外に出てきていた・・・
右手にはテニスラケット、左手に鍋のフタを装備していた。
熱さと痛みでのたうち回る山賊らしき集団・・・
私は思い出していた。
そう・・・5年前だった。
お得意様との接待ゴルフのために泣く泣くゴルフセットを購入した。
仕事終わりで練習をして恥をかかないように心掛けた。
しかし・・・
しかし・・・本番で恥をかくどころかお得意様に恥をかかせてしまった。
奇跡のバ-ディーラッシュでお得意様を打ちのめしてしまった。
1Hイ-グル、2Hバーディーの時点で手を抜くつもりだったのだが、
「山田さん・・・遊びだからって手を抜いたり情けをかけるのはやめてくださいね。」
お得意様の沈んだ声・・・
「山田くん、どうなっているんだね!!」
課長の怒り・・・
ずっと挟まれ続けてヤケクソで振り回し続けた結果がスコア69・・・。
キャディさんは大絶賛。
「山田さん・・・サラリーマンよりプロゴルファー目指したらどうですか?」
お得意様の沈んだ声・・・。
商談は破談となり責任をとって課長は鳥取支社に異動という名の島流し・・・。
私は課長から恨み節を異動の日まで聞かされ続けたため鬱になりかけた。
それからずっと封印していたゴルフだったがこんなところで花開くとは・・・。
余韻に浸っていると・・・
「パパ!! 危ないって!!」
美佳の声。
山賊らしき・・・いやどう見ても山賊だ・・・
そう山賊が2人こっちに向かって走ってくる。
涙目で刀を振り回しながらだ・・・マジ怖い。
「美佳・・・下がれ!!」
私は5番アイアンからサンドウェッジに持ち替えた。
しかし震えが止まらない。
持ち替えた意味もよくわからない。
「くだばれい、物の怪!!」
山賊の1人が刀を振りかざした。
「父さん、しゃがんで!!」
岳人の声だ。
思わずしゃがんだ私の頭上で鈍い音がした。
「!?」
しゃがんだ私の目の前で白目をむいて倒れている山賊。
「ぎゃぱあああ!!」
更にもう1人の山賊も白目をむいて吹っ飛んでいった。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
岳人は●太を手にしていた。
「みんな・・・●太は持ったな!! 行くぞ!!」
朋美も●太を持っていた。
「いいところに●太があったな。」
美佳も●太を手にしていた。
「わんわんわん(ああラッキーだった)。」
サスケは尻尾を振って岳人の周りを走り回る。
「どこに●太があったの? ねえ、なんでこの辺りに●太あるの?●太って自生しているの?」
ひとしきり取り乱した私だが・・・
「どちらにせよ、この状況が普通じゃない・・・ここはどう考えても昔の日本だろう。」
我が家が建っている小高い山の上から見下ろした先には・・・
更に無数の灯火が近づいてきていた。
「そろそろ本気でヤバい状況だぞ、お前たち。」
私が言って家族たちの方を振り向くと・・・。
「おおおおッ!! やめろ!! 何すんだ!!」
なんと朋美、美佳、岳人・・・愛すべき家族3人が・・・
愛すべきアクセラに・・・
みんなでディズニーランドに行ったこともあった。
みんなで袋田の滝を観に行ったこともあった。
みんなでバナナワニ園に行ったこともあった。
アクセラでのドライブは楽しかったことばかりだっただろうが。
そんな我が家の愛車アクセラに・・・
アクセラに●太を載せようとしているではないか・・・。
「●太を積んだらパパが山賊に突っ込んでいってくれるから」
朋美はそう言うと私に親指を立ててウィンクしたのだった。
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