婚約者をNTRた公爵令嬢が悪役だと誰が決めた?!!

月夜の庭

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動き出す攻略対象者達

空気を読むことを止めた魔道士

スパーン!!


空き教室で扉を開け放つ音が響き渡る。


「そこまで」


ツカツカと近寄って来たゼロにエドワード様が引き剥がされた。


「リリアーヌを襲ったって言われたくなければ離れて」


「…………リリアーヌ……僕は本気だ」


それだけ言うと、エドワード様は教室から出て行った。


頭が混乱していて、段々足の力が抜けてしまい、床に座り込んでしまう。


「これが18禁仕様の恋愛ゲームなんだね」


顔を上げると、すぐ側に膝を付いて私を見ているゼロと目が合った。


「僕は魔法に関する知識が豊富なんだよ」


ゼロの手が私の頬を撫でた。


「東洋の文字も読める」


「読めない振りをしたのね?」


「うん。リリアーヌが読めない振りをしたし、転生して前世の記憶があるから東洋の文字が勉強しなくても読めると勘違いしている事は、チラッと読んだ手紙で分かったから」


「私はゲームの内容を知らないの」


「でも、前世の記憶がある」


ゼロの手が、私の前髪に触れている。


「でなきゃ東洋の文字が解読出来ることを黙っている必要はないよね?」


「…………合わせてくれたのね」


「僕もリリアーヌが好きだからね」





落ち着き始めた頭が、また混乱する。


「王族同士のリリアーヌをめぐる争いの脇から、魔道士登場」


少しづつ後退るけど、ゼロを腕を掴まれ動けなくなる。


金色の目が妖しく細められる。


「実験してみない?」


「え?何を?」


「リリアーヌに愛がこもったキスをしたら、ラフレアが近寄れなくなる可能性」


掴まれた腕を引き寄せられ、勢い余ってゼロの胸に飛び込む体制になっていた。


「リリアーヌは良い匂いがする」


耳の後ろに鼻を擦り寄せられ、息が掛かって背中がゾワゾワする。


「んぅんっ」


「………リリアーヌは耳が弱いの?」


「耳元で喋らないで……んぁ………んっ」


耳を手で触りながら、ゼロに唇を奪われる。


引けていた腰を腕で強く抱き寄せられ、重なる唇の角度が変わる。


抵抗したいのに耳を撫でられる度に力が抜けて、思うように引き離せない。


「明日から覚悟してね。隙あらばリリアーヌにキスするから」


私は手で口を押さえて首を横に振る事しかできない。


「空気を読んで王族にリリアーヌを譲るのを止めたんだ」


立ち上がったゼロに腕を掴まれ、私を引き寄せ立たせると、おデコにキスをした。


「小さい頃から好きなんだ」


私の手を取り唇に寄せる。


「今日は帰ろう。これ以上はしないから」


頭が混乱し、足元がおぼつかない私の手を引いて、ゼロが教室に連れて来てくれた。


「また明日」


鞄を持って教室を出ていくゼロの背中を自分の席に着きながら見送った。


椅子に座らないと、また床に崩れ落ちてしまいそうでした。


ランスロット様との婚約は、私に選択権などありませんでした。


エドワード様の婚約者候補として会いに行った、その日に婚約者がランスロット様に変更され、ランスロット様の騎士としての地位が確立する迄は公にはしないで、表面上はセシル様の婚約者候補とされる言われた。


そこに私の意思など存在しない。


貴族としての立場が、拒否などさせてはくれません。


私が婚約者であるランスロット様以外の人に、心を奪われた未来は、本当に幸せになれるのでしょうか?


逆に、ランスロット様と結婚して、私は幸せになれるの?


ランスロット様は私に優しく、格好が良いけど、恋をする前に婚約したから、それ以上に考えた事がありませんでした。


他の人の手を取る事も考えられなかった。


貴族の役目だと、諦めていたから。


婚約者のランスロット様。

最初から好意を隠そうともしないセシル様。


小さい頃から婚約者だと言われていたエドワード様。


そして幼なじみのゼロ。


考えても答えなど出ない事は頭では分かっていても、思いを巡らせずにはいられなかった。


ランスロット様と結婚する以外の未来の可能性を前して、私の心は揺れ動いていました。


もし叶うなら、エドとの婚約が確定したと言われた時に諦めると決めた初恋をの人の隣に立つ未来があれば良いのに。


そんな気持ちにストップを掛けるのは、忌々しい前世の記憶でした。


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