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乱立するイベント
魔王がフードを外す時
「生徒達は若いですから、ノリと勢いで突き進むんですよ」
「私はオースティン先生が好きだと、結婚すると伝えても通じなくて」
「強く拒否すれば、反発も強くなるものです」
「でも抵抗しないなんて、できません。オースティン先生にも、好きだと言ってくれる人達にも失礼ですもの。そんな不誠実な事なんてできませんわ」
「リリアーヌ様の心は美しくて優し過ぎる。美しいモノを汚したくなるのは男のサガですよ」
闇夜の様なローブを着たデズモンド先生に抱き締められ、床に押し倒される。
「その様子では魔道士候補の生徒からも、口説かれましたか?」
何も言えずに顔を逸らすと、デズモンド先生の口が耳を舐めた。
「ひぁん」
「可愛らしい……耳が弱いのですね?抵抗なんて出来ないくらい舐めてあげますよ」
「でっ………デズモンド先生?……やめてください」
「聞けませんね。公爵婦人の愛人の座争奪戦に参戦するので……………と言いたいところですが、無理矢理は好みません。それに王族の中でもオースティン先生を選ばれたリリアーヌ様の判断は正しいと思っております」
私を抑えていた力が緩み、起き上がらされた。
「未来の王のエドワード様でも、立場を利用して無理矢理に婚約したランスロット様でもなく、双子の兄の婚約者と知りながら想いを隠そうともしなかったセシル様ではなく、思いをくすぶらせ続けリリアーヌ様の幸せの為ならと、1度は身を引くと決めた誠実なオースティン様を選ばれた。素直に祝福できます」
一番近くで私達を見ていたデズモンド先生に、祝福すると言われると嬉しくて胸が震えた。
セシル先生もオースティン先生ならと、見守ってくれている感じがして嬉しい。
「押すことしか知らぬ若い生徒達とは違って大人ですからね。彼等は、まだ愛する人を見守る喜びを知らないのです」
ヨシヨシと背中を優しく撫でられると、温かい気持ちになって涙が溢れ出した。
「秘密の恋人に、わたしを選んで下さい。時々一緒に、お茶会をしてくだされば良いのです。貴女と時間を頂ければ、わたしは幸せなのです。触るなと言われれば絶対に触れません。貴女の笑顔を曇らせる事だけは絶対にしません」
「秘密の恋人を作らなければいけないのでしょうか?」
「リリアーヌ様は、モテますから。手がいっぱいだと思わせる事も必要かも知れませんね。嘘も方便と申します。わたしを利用してください」
「利用だなんて…………そんな」
「わたしは、それを望んでいます」
「考えさせて下さい」
白い手が、そっと頭を撫でて優しく微笑んでくれている。
甘えても良いのかな?
「迷って居るなら、オースティン先生に相談してご覧なさい。もしかすると、リリアーヌ様から”助けて”と言われる事を待ってくれているかも知れませんよ」
あぁ、そうだった。
私はヒロインじゃない。
オースティン先生に相談すれば良いんだ。
なんで黙っていたんだろ?
「ありがとうございます。オースティン様に相談しなさいって言ってくれたのは、デズモンド先生だけです」
優しく両手で頬を包まれ、子供みたいに おデコにキスをされる。
「わたしは、これだけで充分に幸せなのです。貴女のためになるなら、いくらでも協力します」
「ありがとうございます。私………オースティン様に相談して来ます」
私は、お返しにデズモンド先生の右頬にキスをした。
「いってきます」
座ったままのデズモンド先生を振り返る勇気がなくて、足早に書庫から出てオースティン先生を探しました。
赤い顔で口に手を当て、悶えながら喜ぶ姿をマルガリータが覗き見した事を報告されたのは、次の日の事でした。
「私はオースティン先生が好きだと、結婚すると伝えても通じなくて」
「強く拒否すれば、反発も強くなるものです」
「でも抵抗しないなんて、できません。オースティン先生にも、好きだと言ってくれる人達にも失礼ですもの。そんな不誠実な事なんてできませんわ」
「リリアーヌ様の心は美しくて優し過ぎる。美しいモノを汚したくなるのは男のサガですよ」
闇夜の様なローブを着たデズモンド先生に抱き締められ、床に押し倒される。
「その様子では魔道士候補の生徒からも、口説かれましたか?」
何も言えずに顔を逸らすと、デズモンド先生の口が耳を舐めた。
「ひぁん」
「可愛らしい……耳が弱いのですね?抵抗なんて出来ないくらい舐めてあげますよ」
「でっ………デズモンド先生?……やめてください」
「聞けませんね。公爵婦人の愛人の座争奪戦に参戦するので……………と言いたいところですが、無理矢理は好みません。それに王族の中でもオースティン先生を選ばれたリリアーヌ様の判断は正しいと思っております」
私を抑えていた力が緩み、起き上がらされた。
「未来の王のエドワード様でも、立場を利用して無理矢理に婚約したランスロット様でもなく、双子の兄の婚約者と知りながら想いを隠そうともしなかったセシル様ではなく、思いをくすぶらせ続けリリアーヌ様の幸せの為ならと、1度は身を引くと決めた誠実なオースティン様を選ばれた。素直に祝福できます」
一番近くで私達を見ていたデズモンド先生に、祝福すると言われると嬉しくて胸が震えた。
セシル先生もオースティン先生ならと、見守ってくれている感じがして嬉しい。
「押すことしか知らぬ若い生徒達とは違って大人ですからね。彼等は、まだ愛する人を見守る喜びを知らないのです」
ヨシヨシと背中を優しく撫でられると、温かい気持ちになって涙が溢れ出した。
「秘密の恋人に、わたしを選んで下さい。時々一緒に、お茶会をしてくだされば良いのです。貴女と時間を頂ければ、わたしは幸せなのです。触るなと言われれば絶対に触れません。貴女の笑顔を曇らせる事だけは絶対にしません」
「秘密の恋人を作らなければいけないのでしょうか?」
「リリアーヌ様は、モテますから。手がいっぱいだと思わせる事も必要かも知れませんね。嘘も方便と申します。わたしを利用してください」
「利用だなんて…………そんな」
「わたしは、それを望んでいます」
「考えさせて下さい」
白い手が、そっと頭を撫でて優しく微笑んでくれている。
甘えても良いのかな?
「迷って居るなら、オースティン先生に相談してご覧なさい。もしかすると、リリアーヌ様から”助けて”と言われる事を待ってくれているかも知れませんよ」
あぁ、そうだった。
私はヒロインじゃない。
オースティン先生に相談すれば良いんだ。
なんで黙っていたんだろ?
「ありがとうございます。オースティン様に相談しなさいって言ってくれたのは、デズモンド先生だけです」
優しく両手で頬を包まれ、子供みたいに おデコにキスをされる。
「わたしは、これだけで充分に幸せなのです。貴女のためになるなら、いくらでも協力します」
「ありがとうございます。私………オースティン様に相談して来ます」
私は、お返しにデズモンド先生の右頬にキスをした。
「いってきます」
座ったままのデズモンド先生を振り返る勇気がなくて、足早に書庫から出てオースティン先生を探しました。
赤い顔で口に手を当て、悶えながら喜ぶ姿をマルガリータが覗き見した事を報告されたのは、次の日の事でした。
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