婚約破棄された令嬢は海に愛される

月夜の庭

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序章

手に入れたのは自由?

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わたくしの婚約破棄の次の日には、国王陛下の病死が発表され、女王陛下が即位した。


そして第二王子は、隣国の留学が決まり、移動中の馬車が事故にあい行方不明となった。


よくある話です。



病死や行方不明の真相などは、一般市民には関係無いのです。



そして、わたくしとロゼッタは、姉達と一緒にゴルゴン公爵家の領地に戻って来ていました。


お父様とお母様は、事後処理の為に王都に残っています。




「でも、まさかメデューサに一目惚れした国王が、第二王子の嫁にしてから手を付けようとしていたなんて………屑ですわね」

ニコニコ微笑みながらも、冷気が漏れるステノーお姉様。



「しかも髪や目の色が同じって理由で、成人していない令嬢に、権力を振りかざして強引に肉体関係を持った上に妊娠させるなんて………女の敵」

切れ長の綺麗な目を細めて舌打ちするエウルアーリェお姉様。


「第二王子がバカで助かりましたわね。メデューサの美しさや優秀さに嫉妬していたとか言っているらしいですわ………身の程知らずが」

紅茶を飲みながら鼻で笑うロゼッタ。



四姉妹で、屋敷の庭園で”お疲れ女子会”開催中です。


「あの侯爵家の令嬢は、どうなりますの?お腹の子供にも罪はございませんわ」


わたくしは、国王………元国王と第二王子は、ハッキリ言って、どうでもいいですが、被害者である侯爵令嬢とお腹の子供の事が心配です。


「侯爵家次第になるかしらね」


ロゼッタが空を睨むように頭上を見上げる。


「令嬢は修道院に行く事になるでしょえね」


ステノーお姉様の言葉通り、未成年で無理矢理とはいえ、妊娠した事は事実で、知る者も数多い。


保護する意味でも、一度………一時的にでも修道院に行く事は、令嬢の為にも必要です。


「もしもの時は、子供は性別に関わらず、女王陛下が引き取るそうよ」


被害者の二人共が幸せになってくれる事を祈るばかりです。


話が落ち着くとステノーお姉様は趣味の園芸を楽しむべく温室にこもり、エウルアーリェお姉様は馬で遠乗りすると着替えて出ていった。


わたくしは、今まで勉強だのお稽古だのと時間に追われていたから、特に趣味とかは思い付かない。


「わたくしは………本当に成績だけの女ですわね」


「私だって趣味なんか無いよ。一緒に探そうよ!時間はタップりあるんだから」


思っていた事が口から出ていた事にビックリしたけど、わたくしは自由を手に入れたのだと再認識した。


自由とは、自分で選択して生きる事。


誰かに決めてもらったり、レールの上を歩くのはとても簡単で楽だけど、面白味は全く無い。


何を学び、何をして、何処に行くのか………全て自分で決めなくてはいけない。


不安で仕方ない…………こんな…詰まらない わたくしをメルビンは、また愛してくれるのかしら?他に好きな人ができ………もう居るかもしれない。


「メルビンに会いたいのに、それと同時に怖くて仕方ないの。彼にも成績だけの女だと思われたら、立ち直れないわ」


「う~ん……この際、メルビンを忘れたら?」


「え?」


この転生ってメルビンと一緒に居るためよね?


「確かに前世からの恋人同士だけどさ………正直に言うと、メルビン以外に素敵な男性は山ほど、それこそ星の数ほど存在するわよ。なんせ、この世界は私が地球の乙女ゲームに感化されて、素敵な要素をギューって押し込んで造ったんだから!だから転生した女の子が………ウザイ勘違いして好き勝手するという、由々しき事態になっているんだけどね……チッ」


「好き勝手?」


「ヒロイン補正だの、悪役令嬢だの勝手に決め付けて、他人を貶める馬鹿共に天誅を下すのが、今回の転生の目的なんだわ」


そっか……勘違いで悪役令嬢にされた娘は可哀想ね。


転生前は、確かに夢見がちな世界に夢中になったけど、メデューサとして記憶が戻った今なら分かる。


生きていく上で、絶対正義や絶対悪など存在しない。


悪役も立ち位置を変えたら正義なのだと。




「それ………わたくしも手伝うわ。わたくしは転生前に、勝手に化け物にされたんですもの。痛いほど気持ちが分かるわ。悪役令嬢なんて勝手に決め付けて失礼よ。それに、わたくし達は双子の姉妹ですもの。わたくしはロゼッタの味方よ」



「メデューサ、ありがとう。あの………素敵な恋もしてね」



前世の記憶が戻ったであろうメルビンの隣に、最愛の人がいない事を願いつつ、ロゼッタの言葉に頷いていた。
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