婚約破棄された令嬢は海に愛される

月夜の庭

文字の大きさ
32 / 50
女神転生の目的

眠れない夜

しおりを挟む
薄暗い廊下をナイトドレスのまま、音を立てないように裸足で歩いていた。


ノースリーブタイプのワンピースで、前開きの白いシルクの合わせを青いリボンで何ヶ所か結ばれた膝丈の可愛らしいデザインで、ロゼッタと色違いです。


ロゼッタの赤いリボンも可愛らしいです。


扉の前で大きく深呼吸する。


コン…コンコンコン


ガチャ


「…………メデューサ?」


ここは、ポセイドン公爵家の別荘にあるメルビンの部屋の前です。


上半身裸でズボンだけ履いたメルビンが、わたくしを見て固まっている。


お風呂に入っていたのか、髪が濡れタオルを首から掛けている。


隆起した褐色の腹筋に目がいき、心臓がバクバクと音を立てる。


ふわりと潮風に乗った石鹸の香りが鼻をくすぐり、緊張で吐きそうです。


「よ………よ」


「よ?」



「…………夜這いに来ました」


「!!」


再び固まって動かないメルビンをドキドキしながら、涙目で見詰める。


「…………はぁ~何を言っているんだ」


その溜息は、わたくしの決意をへし折るには、充分な威力がありました。


「………ごめんなさい。忘れて」


溢れ出す涙が零れ落ちないように、慌てて背中を向ける。


「わたくしも……はしたないとは思ったの……でも一緒に居たくて……………やっぱり帰ります…グスッ」


走り去ろうと足を動かすけど、後ろからメルビンに抱き締められる。


「離して………ヒクッ…ごめんなさい………」


「違う!呆れたんじゃない!!」


「でも……グスッ……」


「このまま部屋に入ったら……我慢なんてできない。分かっているのか?俺はメデューサを愛しているんだ」


「1人で……波の音を聴きながら寝ていたら」


「怖かったのか?」


「……………温室での…とか………色々思い出して……あの……………寝るれなくなって」


「…………ゴクッ」


「処刑される切っ掛けの恐怖よりも、メルビンとの事を思い出して…………その確かな繋がりが欲しくて」


「もういい」


「でも」


「もういい!!」


強引に振り返らされ、逞しい腕に抱き寄せられ、大きな唇が、わたくしに噛み付く様にキスをした。


部屋の前の扉に押し付けられ、舌が口の中を動き回り、息が上がり始める。


「クチュ…チュッ…………このまま、この中に入ったら……」


グイッとお尻を大きな手が鷲掴みにして、割れ目に指を這わせられ背中を何かがゾワゾワと駆け上がった。


シルクの布越しに、指が奥に押し込まれ、擦り上げる。


「…アッ……」


「ここに……俺が入んるだぞ?」


グリグリと指で掻き回すように擦りられる。


何も考えずに、ここに、こんな時間に来たりしない。


「好き……あぁんっ……メルビンを奥で感じたいの………あの庭とフゥン…温室を見てから……色々と思い出して」


「怖い思いを忘「体か熱いの」」


きっと、怖い記憶を紛れさせる為に来たと、思われる事は分かっていました。


だから、恥ずかしいけど……わたくしからメルビンにキスをする。


首に腕を回し、薄着の身体を擦り寄せ、わたくしから彼の口の中に舌を入れる。


わたくしは、確かに処女です。


でも前世でメルビンと愛し合った記憶があり、その熱や快感を知っている。


固まって動かないメルビンの手が、ワキワキ動きながら、わたくしに触れる事を迷っている気配がしました。


ギリギリ理性が働いている。


そっと唇を離して、腕に力を入れ耳元で囁く。


「温室でとは言わないから、酔っていないメルビンに愛されたいの…………お願い……して?」


ビクっと肩が大きく動いた………理性を壊すまで、もう少しな気がする。


「下着……置いてきたの」

グイッと引き剥がされ、メルビンの目がわたくしの全身を見ている。


「それとも………はしたない…わたくしは、嫌い?」


ゆっくり胸元のリボンを解いてみせる。


これでダメなら自分の部屋に戻るつもりでした。


なんだか必死に誘惑してる自分が悲しくなってきた。

もう、メルビンの顔を見る勇気がありません。


「……………ごめんなさい」


メルビンの腕から逃れようる様に、わたくしは夜の廊下を走り出していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

処理中です...