アヤカシバナシ『小説版』

如月 睦月

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それは優雅で威風堂々

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これはつい先日、私が体験した不思議な話です。



※登場人物や性別、人間関係などは全て変更しております。



作者である私、如月の実家へ帰った時に、有名な羊羹ようかんをいただきました。私の住む街でこの羊羹の製造会社名を言うと、知らない人は子供以外居ないだろうと思う程有名で、それはそれはとても美味しい羊羹だ。



いただいたと言うにはあまりに多いので、会社の同僚よう子(仮名・羊羹だけに)に助けを求めたところ『あ!私のお母さん甘い物大好き!でもその量は重すぎるので、お母さんの家経由で私を途中まで送ってくれるなら契約成立』との事。



私の負荷が大きくないか?と感じつつも、この羊羹は貰ってもらわないと処理できないので、契約を成立させた。



その日の帰り道、よう子の母親の家に到着し、羊羹を届けに行って来るよう子を車内で待っていると、よう子の母親が出てきて挨拶をしようとしているのがわかった。よう子の母親は足が悪いと聞いていたので直ぐに車を下りて玄関前の階段を駆け上がり、降りて来る負担を少なくするために自ら側に行く。



『すみませんこんなにいただいて、あとよう子がいつもお世話になって、気遣いもしていただいているようで…』



『いえいえいえいえ、とんでもありません、私の方こそ助けてもらってるんですよ、よう子さんが居ないと無理ですもん』



『そうなんですかぁ?それは良かった』



『あ、お母さん羊羹お好きです?押し付けちゃって迷惑じゃないですか?』



『甘い物だーーーいすきっ』と言ってピョンと飛び跳ねるお茶目さにほっこりしているとお母さんが『あ!羊羹によく合うお茶があるからあげる!いらっしゃい』と言って玄関の中に案内された。



程なくしてお母さんが飼い猫であろう真っ黒な猫と一緒にガラス扉を開けてやってきた。『あれー猫ちゃんおいで』と私は言いながらしゃがんだのですが、よう子は『あ、如月さん動物懐くからくるかもしれない、おいで』と言って足元の猫じゃない方に声をかけていた。若干違和感を感じたものの、ガン見しているわけではなく私の視界に入る程度の事なのでスルーした。



私が手を差し伸べた猫は『な~』と一声あげると、方向転換をし、黒くて長い尻尾を悠々と揺らし、威風堂々とした後ろ姿で立ち去ろうとした。お母さんがお茶を手渡ししようとしてくれたので、いただくために目線を黒猫から外し、お礼を言って目線を黒猫に戻すと、扉の向こうの階段を上って行くのが見えた。



流石に即懐かないか、そう思った。



車に乗ると黒猫の話になった。

『玄関の扉の向こうに猫が居たから懐くかどうか検証できなかったね』



『え?お母さんと一緒に玄関に来た黒猫でしょ?』



『ううん、玄関には来てないよ、ガラス戸の向こう』



『いやいやいや、お母さんの足元にまとわりついて、長い尻尾を優雅に振ってた子いたじゃん。』



『居ないよ、ガラス戸の向こうだよ、そしてうちの黒猫は尻尾が生まれつき短いの』



『居たって、絶対居たって』



『待ってね』よう子が閻魔帳えんまちょうとニックネームを如月に付けられた、何でもメモしている手帳を開く。



『あ、初代の黒猫のマミちゃんはとっても優雅で尻尾が長かったよ』



『初代?ごめんだけど死んでるよね』



『うん、とっくに』



『そのマミって黒猫を私は見たって事かな』



『そうだね、猫は亡くなると家に憑くって聞いたことあるよ』と言いながら閻魔帳えんまちょうをペラペラとめくるよう子。



『あああああああああああああああああああ!』



『ちょ!!!!!』思わずブレーキを踏んで車を路肩ろかたに寄せる。

『なによう子、どうしたの?』



『7月27日、今日はマミちゃんの命日って書いてる』
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