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新居
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これは某所の某デパートでアルバイトしていた頃の話です。
デパートはなかなか出入りの激しい業界ですが、割と長続きしていたアルバイトさんがいました。休憩に誘ってあげたり、ジュース奢ったり、サボったりするうちに、とても仲良くなったある日の事、そのアルバイトのA子が言いました。
『先輩、独り暮らし始めるんですけど、お母さん霊感強いんですよね?一度部屋見てもらえますか?』
『いやいやいや、A子のお母さん霊感強いんですよね?って言ったじゃん、霊感あるのは母親で、私じゃないのわかってるよね?ね、勘弁仕り候だから!御免!ドロン!』
『いあ昭和のノリいらないです!ドロンってなんですか?何か嫌な感じとかそういうので良いんです、ね、ね、お願いです!』
『うーん・・・』
確かに空気の違いや、人じゃない何かを感じると吐き気がしたり、耳鳴りがしたりするので、まんざらそういう力が無いわけでもない…なのかな。。。。そう思うと、A子も必死で可愛そうなのでOKした。
2人が休みの日に合わせて、私はA子が契約するか迷っていて、少し待ってもらっていると言うアパートへ向かった。
地図を頼りに方向音痴の私がちゃんと辿り着いたのは奇跡に近い。車を止めてアパートを真正面に見ると周囲より暗くは見えた。いや、感じたと言うべきか。影を落とす高いビルも周囲にはないのだが、薄暗い。
『あ!先輩!』
門の裏にしゃがんでいたA子と合流し、早速2階への階段を上った。建物はコンクリートに塗装した壁、階段は鉄そのもののやつで、
一歩一歩カンカンと、少しうるさいくらいの音を奏でる。『夜中に帰ってきたら迷惑だな』そう感じながらドアの前へ到着。鍵を開けて、丸いドアノブを一ひねりして引くと、
何処かに引っかかってバイイイイインとドアが小刻みに揺れた。2人は立つことができないくらいの玄関、コンクリートむき出し。そこに足を踏み入れた瞬間大きな眩暈がした。
怖がるので躓いた事にして壁に寄りかかり、休んでから中に入った。
時期は夏、蒸し暑い空気が絡みつき、嫌でも薄気味悪さが増す。『いい部屋だね』って言おうと思っていたのだが、社交辞令すら出ない重い空気に押しつぶされそうだった。A子は何ともない様子だが、住むとなると良いものではない気がした。
ふと目をやると、部屋の壁に1つ鏡があった。銭湯で貼ってあるような四角い飾りっ気のない鏡。
『あれは最初から?』
『うん、決めたら取るけど』
何となく鏡が気になって『日焼けしてない?』なんて都合よい言葉を並べてごまかしながら鏡を外した。裏を返すとガムテープで十字に何かが貼られている。
『A子・・・なんだと思う・・・?』
『え?何すか?へそくりとか?』
そう言うとキャッキャしながらA子はガムテープを剥し、くっついている白い紙をはぎ取って中身を見ようとした。ギャ!と言ってA子はその紙を放り投げた。よく見ると黒い髪の毛が束になって入っていたのだった。
『A子、この部屋のあちこちちゃんと探してくれない?御札とかあると思うんだけど』
そうA子に指示をして私も探した。
私が思うに髪の毛は思いや呪いじゃないかと。だとすれば何らかの現象がこの部屋で起こり、それを鎮める為に御札を貼った可能性があると考えた。つまり御札が見つかればここはいわくつき確定と言って良いかと。
暫く探し回り、トイレに入ってまさかとは思ったけれど、貯水タンクの蓋を開けた。一瞬言葉が出ませんでした。蓋の裏に御札が3枚貼りつけられていたのです。でもなぜ貯水タンクの裏・・・・
しかし御札を見つけた私にはそんなことはどうでも良かった。御札を見つけたからなのか、髪の毛を見つけたからなのか、空気が一変して冷房でも効いているかのように寒かったからです。映画などの知識ですが、そういうモノの力が作用しているときは寒いと聞いていたから、ヤバいと感じたのです。そして声が遠くに聞こえるほどの強い耳鳴り・・。
『A子、ここはダメ、命に係わるからやめな』
そう言って部屋を出て、その足で不動産屋に連れて行き、キャンセルさせ、私の家でお祓いをしました。
それから数年後、ネットで何気なく事故物件が掲載されたサイトを見ると、あのアパートが載っていました。そこには女性が自殺と言う文字があったのを覚えています。
デパートはなかなか出入りの激しい業界ですが、割と長続きしていたアルバイトさんがいました。休憩に誘ってあげたり、ジュース奢ったり、サボったりするうちに、とても仲良くなったある日の事、そのアルバイトのA子が言いました。
『先輩、独り暮らし始めるんですけど、お母さん霊感強いんですよね?一度部屋見てもらえますか?』
『いやいやいや、A子のお母さん霊感強いんですよね?って言ったじゃん、霊感あるのは母親で、私じゃないのわかってるよね?ね、勘弁仕り候だから!御免!ドロン!』
『いあ昭和のノリいらないです!ドロンってなんですか?何か嫌な感じとかそういうので良いんです、ね、ね、お願いです!』
『うーん・・・』
確かに空気の違いや、人じゃない何かを感じると吐き気がしたり、耳鳴りがしたりするので、まんざらそういう力が無いわけでもない…なのかな。。。。そう思うと、A子も必死で可愛そうなのでOKした。
2人が休みの日に合わせて、私はA子が契約するか迷っていて、少し待ってもらっていると言うアパートへ向かった。
地図を頼りに方向音痴の私がちゃんと辿り着いたのは奇跡に近い。車を止めてアパートを真正面に見ると周囲より暗くは見えた。いや、感じたと言うべきか。影を落とす高いビルも周囲にはないのだが、薄暗い。
『あ!先輩!』
門の裏にしゃがんでいたA子と合流し、早速2階への階段を上った。建物はコンクリートに塗装した壁、階段は鉄そのもののやつで、
一歩一歩カンカンと、少しうるさいくらいの音を奏でる。『夜中に帰ってきたら迷惑だな』そう感じながらドアの前へ到着。鍵を開けて、丸いドアノブを一ひねりして引くと、
何処かに引っかかってバイイイイインとドアが小刻みに揺れた。2人は立つことができないくらいの玄関、コンクリートむき出し。そこに足を踏み入れた瞬間大きな眩暈がした。
怖がるので躓いた事にして壁に寄りかかり、休んでから中に入った。
時期は夏、蒸し暑い空気が絡みつき、嫌でも薄気味悪さが増す。『いい部屋だね』って言おうと思っていたのだが、社交辞令すら出ない重い空気に押しつぶされそうだった。A子は何ともない様子だが、住むとなると良いものではない気がした。
ふと目をやると、部屋の壁に1つ鏡があった。銭湯で貼ってあるような四角い飾りっ気のない鏡。
『あれは最初から?』
『うん、決めたら取るけど』
何となく鏡が気になって『日焼けしてない?』なんて都合よい言葉を並べてごまかしながら鏡を外した。裏を返すとガムテープで十字に何かが貼られている。
『A子・・・なんだと思う・・・?』
『え?何すか?へそくりとか?』
そう言うとキャッキャしながらA子はガムテープを剥し、くっついている白い紙をはぎ取って中身を見ようとした。ギャ!と言ってA子はその紙を放り投げた。よく見ると黒い髪の毛が束になって入っていたのだった。
『A子、この部屋のあちこちちゃんと探してくれない?御札とかあると思うんだけど』
そうA子に指示をして私も探した。
私が思うに髪の毛は思いや呪いじゃないかと。だとすれば何らかの現象がこの部屋で起こり、それを鎮める為に御札を貼った可能性があると考えた。つまり御札が見つかればここはいわくつき確定と言って良いかと。
暫く探し回り、トイレに入ってまさかとは思ったけれど、貯水タンクの蓋を開けた。一瞬言葉が出ませんでした。蓋の裏に御札が3枚貼りつけられていたのです。でもなぜ貯水タンクの裏・・・・
しかし御札を見つけた私にはそんなことはどうでも良かった。御札を見つけたからなのか、髪の毛を見つけたからなのか、空気が一変して冷房でも効いているかのように寒かったからです。映画などの知識ですが、そういうモノの力が作用しているときは寒いと聞いていたから、ヤバいと感じたのです。そして声が遠くに聞こえるほどの強い耳鳴り・・。
『A子、ここはダメ、命に係わるからやめな』
そう言って部屋を出て、その足で不動産屋に連れて行き、キャンセルさせ、私の家でお祓いをしました。
それから数年後、ネットで何気なく事故物件が掲載されたサイトを見ると、あのアパートが載っていました。そこには女性が自殺と言う文字があったのを覚えています。
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