アヤカシバナシ『小説版』

如月 睦月

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青いクマさん

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質屋さんでバイトしていた時、連絡をいただくとその家に行き、

査定をしてお金と引き換えにモノをいただいてくる、

いわゆる引き上げ作業の助手の仕事もあった。



その日、1本の電話があった。

先輩と私が小型のトラックで現地に向かう。

申し出は『息子の遺品の引き上げ』だった。

気持ち悪い人は気持ち悪いと思うけれど、

お店によってはこうして亡くなられた人が生前大事にしていたものを

遺族が処分する、それを店で売り、誰かの手に渡る・・・

そんな流れも少なくなかった。

(あくまでもそのバイト先ではという話です、遺品は買い取らないとか、

そんな店もあると聞いたことがありますのでご注意を。)



お客様の家に着くと、少々疲れを感じる女性が出てきた。

家はお世辞でも綺麗とは言えないが、言い方を変えればレトロな雰囲気。

悪く言えば『出そう』な感じだったのを覚えている。

ただ、耳鳴りや寒気、頭痛に吐き気、そう言うモノは感じなかったので、

出そうなのは出そうな雰囲気なだけで、何もいないと自分の中で整理がついた。



女性が持って来たのは段ボールで2つ、90cm×90cmくらいの

大きめの段ボールにみっちり入っている様子でした。

先輩が『では失礼します』と言いながら箱を開けると、

顔をそむけたくなるようなカビ臭さが鼻を突いた。

失礼なので我慢しながら中を1つ1つ確認をする。

あくまでも記憶だが、青い熊のぬいぐるみや、120cmくらいの

服がたくさん入っていた、ロボットのおもちゃなんかもあったので、

男の子だったんだなと分かった。



残念ながらそういうものはまとめて『ひと山ナンボ』の世界でして、

それでも今なら小銭だろうけれど、札にはなった。

とは言え1000と5~6百円程度なのだが。



『キツかったな』



帰りの車中で先輩が言う。



『ええ、凄いカビ臭さでしたね』



『違うよ、あのお母さんだよ、査定してる間中、ずっとブツブツ言ってたぜ?

俺気持ち悪くてさぁ・・』




そんな事があって数日後、大きな催事場で引き上げ物を販売すると言うので、

深夜まで梱包作業の手伝いをしていた私。

積み込みと梱包に別れ、私はやたらと梱包が上手くてスピードが速いとのことで、

売り場で梱包を一人でやることになった。



午前1時を回った時、疲れたので珈琲で休憩を取っていた。



ペタペタペタ・・・



あれですよ、裸足で歩くあの吸い付くような足音がするんです。



ペタペタペタ・・・



小走りのちょっと遅い感じ、歩幅は小さめ。

しかし人が歩く時の振動みたいなものは無かった。



ペタペタ・・・ペタ・・・



足音が止まったので低い位置に構えて、

棚の下から覗き込むと、子供の足が見えた。

正直誰かの子供としか思わなかった。

でも・・・こんな時間に子供が走り回るのも・・・う・・・うーん・・



もう一度見ると誰も居なかった。

棚の裏に回ると、あの時の青い熊のぬいぐるみがあった。

何となく察した私は店長に相談し、青い熊のぬいぐるみは売らずに

お祓いの為にお寺へ持って行く事になった。



あの足音と足は亡くなった子かどうかは分からない。

眠気もあったので見間違いかもしれないけれど・・・



あの青い熊のぬいぐるみは、売ってはいけない気がしたのです。
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