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男の後悔 1
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▫︎◇▫︎
テオドール・ギーストには、初恋のお花のような少女が存在していた。名前はマギー、愛称しか分からなかった彼女とは、王家主催の王子のお友達作りの場で出会った。
たくさんの女の子たちが、臭い香水の匂いをバシャバシャとかぶっている中で、彼女だけは、野花のような優しい、ありのままの香りを身に纏っていた。
『テオール!!だいすき!!』
自分のことを、自分の愛称を明るい声で呼ぶ、愛らしいマーガレットのようなオレンジ色のふわふわした髪に、広い空を移したかのような、空色の瞳を持つ少女。やんちゃでいながら美しい所作に、幸薄そうな、けれど楽しそうな笑み。守らなければと思った。両親の話を一切しない彼女が、両親から不当な扱いを受けていうのは、簡単に分かったからだ。
結婚も約束した少女とは、王子のお友だち探し終了と共に会えなくなった。けれど、テオドールは1日たりとも彼女のことを忘れなかった。両親や周囲に頼み込んで、彼女のことを探してもらった。
たくさん時間がかかった。だが、テオドールの中には『諦め』の2文字は存在していなかった。
けれど、数年後、テオドールの願いは、思いは、いとも簡単に踏み躙られていた。社交界で彼女のことを見つけたときに思ったのは落胆と絶望。テオドールの愛してマギーは、男遊びに溺れ、たくさんの男を侍らせていた。家は歴史のある名高い公爵家なのにも関わらず没落し、娼婦と化している彼女に、初めに湧いたのはなんだったのか、もう覚えていない。
だが、これだけは覚えている。
数刻後、抑えようのない怒りが湧いた。
だが、同時にチャンスだとも思った。だから、婚約を申し込んだ。無理矢理ねじ込むように、婚約を結ばせた。そして、拉致するようにこの家に連れてきて、執事に婚姻を結ばせるように命じた。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
読んでいただきありがとうございます(*´꒳`*)
テオドール・ギーストには、初恋のお花のような少女が存在していた。名前はマギー、愛称しか分からなかった彼女とは、王家主催の王子のお友達作りの場で出会った。
たくさんの女の子たちが、臭い香水の匂いをバシャバシャとかぶっている中で、彼女だけは、野花のような優しい、ありのままの香りを身に纏っていた。
『テオール!!だいすき!!』
自分のことを、自分の愛称を明るい声で呼ぶ、愛らしいマーガレットのようなオレンジ色のふわふわした髪に、広い空を移したかのような、空色の瞳を持つ少女。やんちゃでいながら美しい所作に、幸薄そうな、けれど楽しそうな笑み。守らなければと思った。両親の話を一切しない彼女が、両親から不当な扱いを受けていうのは、簡単に分かったからだ。
結婚も約束した少女とは、王子のお友だち探し終了と共に会えなくなった。けれど、テオドールは1日たりとも彼女のことを忘れなかった。両親や周囲に頼み込んで、彼女のことを探してもらった。
たくさん時間がかかった。だが、テオドールの中には『諦め』の2文字は存在していなかった。
けれど、数年後、テオドールの願いは、思いは、いとも簡単に踏み躙られていた。社交界で彼女のことを見つけたときに思ったのは落胆と絶望。テオドールの愛してマギーは、男遊びに溺れ、たくさんの男を侍らせていた。家は歴史のある名高い公爵家なのにも関わらず没落し、娼婦と化している彼女に、初めに湧いたのはなんだったのか、もう覚えていない。
だが、これだけは覚えている。
数刻後、抑えようのない怒りが湧いた。
だが、同時にチャンスだとも思った。だから、婚約を申し込んだ。無理矢理ねじ込むように、婚約を結ばせた。そして、拉致するようにこの家に連れてきて、執事に婚姻を結ばせるように命じた。
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読んでいただきありがとうございます(*´꒳`*)
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