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しおりを挟むそれからしばらく月日が流れ私の夢は、『輝きの丘』の続編として発売されることになった。
先週発売された乙女ゲーム雑誌で初お披露目。
悪役令嬢エミリーに転生したオタクOLが、破滅ルートを回避するため思いついたのは、乙女ゲームからアドベンチャーにジョブチェンジ?
女魔王の魂を浄化するため、最果ての地に牢獄されているクード神を探しに大冒険が今始まる。
バトルシステムに困惑する人達は一定数いたけれど、楽しみにしてくれる人達の方が多かった。
そのバトルシステムも対策はバッチリしてある。
イージーモードには使い魔の助言があって、その通りに進んでいけば楽々クリアが出来る。もちろんノーマルモード、ちょい難しいハードモードも用意済み。
実は隠しコマンドを入れるとナイトメアーモードもあるんだけれど、これはレベル100+戦略を組まないとクリアは不可能。
クリア出来たのは、当事者の友太先輩と峰岸さんの二人だけ。
ナイトメアモードをクリアすると隠しスチルがあるから、クレームの荒らしにならないか心配なんだよね?
その前に誰が最初にナイトメアモードの存在に気づくか気になる。
「朋子、お疲れ。これから一杯どうだ?」
「お疲れ様です。はい、是非」
久しぶりに残業が二時間で終わり帰る準備をしていると、同じく帰ろうとしていた友太先輩から嬉しい誘いを受ける。嬉しさのあまり顔がほころび大きな声で頷いてしまう。
友太先輩は三つ上の先輩で優秀なプログラマー。
私と花音の教育係だったんだよね? 仕事面以外でも何かと良くしてくれ、休日にはよく遊びに連れてってもらっている。お兄さんと言うべき存在。
「おお。良い返事だな」
「なんか今夜は焼き肉が食べたい気分です」
「焼き肉か。となると満腹でいいか?」
「異議なし」
調子よく焼き肉のリクエストをすれば、同意見だったのか笑顔を浮かばせ採用となった。
不意打ちで見せる笑顔は反則技だ。ドキッとなって友太先輩の顔がまともに見られない。
友太先輩は優しい頼りになるになる先輩。
それ以上でもそれ以下でもないのに、たまに妙に意識しちゃうんだよね?
なんでだろう?
「そう言えば花音は、彼氏と誕生日デートらしいがいよいよなのか?」
「多分。付き合って三年ですからね」
ちょうど良い具合に話題は、花音のことに変わる。
朝からるんるん気分で幸せそうな我が親友。一時間前にスキップ寸前の軽い足取りで帰っていった。
花音が結婚したらちょっと寂しいけれど、悔しいとか妬ましいと言う感情はまったくない。
「結婚を先されるのは先輩として微妙ではあるが、そうなったら明日にでも二人で盛大にお祝いしような」
「ですね? 報告来たら連絡しますね」
「おつかれ、二人とも何をそんなに盛り上がってんだ? もしこれから呑みに行く話なら、あたしも行くぞ」
友太先輩も私と同じで嬉しいなと思っていたら、上層部から呼ばれていたリーダーが帰って来て話に加わる。
呼ばれて出て行った時は心底機嫌が悪かったのに、今はまれに見る機嫌の良さ。
「あ、リーダーお疲れ様です。もちろんです」
「お疲れ様です。私達焼き肉満腹に行こうとしてたんです」
「そりゃいい。ビールとの相性は最高だな。急いで帰る用意をするから待っててくれ」
焼き肉は正義である。
最高な組み合わせを言われて思わずゴクンと唾を飲み込んでしまう。友太先輩も同じだった。
今日は暑かった上仕事終わりの焼き肉ビールは最早最強。しっかり自我を持たないと明日は二日酔いになりそう。明日も仕事だしそう言う訳にはいかないんだよね?
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