心の中に

てらやゆま

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心の中に

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おばあちゃんが旅立って一年が過ぎました

元気にしていますか?
そっちの暮らしはどうですか?
慣れてきましたか?

寒くなってきて、スカーフ、ニット帽、あったかそうな羽織りなんか着て、あったかい飲み物を飲んでいるおばあちゃんが目に浮かびます
寒い季節なのに、おばあちゃんはいつもあったかそうでした

一年が過ぎ、少しおばあちゃんがいない世界が受け入れられるようになりました

最初の半年は特に辛かった
いつ、この当たり前にいたおばあちゃんの世界からおばあちゃんのいない世界に慣れるのか、受け入れてられるのか、不安でした

もう会えないんだ、話せないんだ
それを何度も繰り返しました

半年過ぎ、辛かったかと、反対に嬉しかったこと、たくさんありました
その感情が少しおばあちゃんのいない世界に導いてくれた気がしています

辛い時、おばあちゃんに心の中で話しかけました
きっとおばあちゃんはこう言うだろうと思いながら…
嬉しい時、おばあちゃんに話しかけました
きっとおばあちゃんはこう言うだろうと思いながら…

もう言うことは分かっている
辛い時は
もっと耐えなさい
まだまだ我慢が足りないよ


嬉しい時は
きっとおばあちゃんも嬉しくなって周りの人に自慢してるだろうな


それからこんなこともありました

母がおばあちゃんに作ってもらった着物
母はそれを着る機会がなくて、袖を通すことなく箪笥に眠っていた着物
私が親族の結婚式で着ることになった
母より身長があるため、袖が少し短い
でもすごく素敵な着物でした

優しい色合い、なめらかな生地、可愛らしい柄模様
おばあちゃんがこだわって作った着物なのだろうと
そして着た時、何とも言えない感情が溢れました
おばあちゃんといつも以上に一緒にいるような、あったかい気持ちに…


母にその着物を着た写真を送ると、母は涙を流し

きっとおばあちゃんも天国で喜んでるよ


私も涙が止まりませんでした


着物が大好きだったおばあちゃん
少しおばあちゃん孝行ができたのではないかと思えた瞬間でした

そんないろんな感情を感じながら、少しずつおばあちゃんがいない世界を受け入れられるようになりました

もちろん今でも毎日思い出す
だけど半年前の自分とは違う自分
心の中にいる感覚

時間は着実に過ぎていく
その中でたくさんの事が起こり、
色々な感情が芽生える
どん底に落ちたり、感無量なことがあったり…

当たり前だが、そんな日々がおばあちゃんとの記憶を前向きにさせてくれる

きっと見てくれているんだろうな



おばあちゃん
あなたの可愛がっていたひ孫が、詩で賞をもらったよ
とても可愛らしい詩でとっても前向きな明るい詩
読んでいてこちらまで楽しくなるような詩

きっと大喜びしたでしょ?
抱きしめたでしょ?
嬉しくなってお小遣いあげたでしょ?

そんなおばあちゃんが目に浮かびます
心の中に…



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