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一緒に入ってもらえませんか?
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俺たちはといえば、展望台へと向かう予定だったけれど、今回の被害届を出す上で診断書が必要だと言うことですぐ近くにある診療所で検査を受けることになった。
あのドアマンの彼が新しい車を届けてくれたから、そのまま彼に診療所まで連れていってもらうことになった。
「私どもの宿で起きましたトラブルのせいでお客さま方にこのようなご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
事故車を見てあまりのひしゃげ具合に驚いていた彼は、青褪めた顔で俺たちに謝罪していたけれど、彼が謝る必要なんてどこにもない。
「いいえ、そんな……貴方や宿のせいなんかじゃないです。
大体俺が、いえ私が彼女たちに声をかけられるような隙があったからこんなことに……」
「藤乃くん、そんなことはない。あんなの逆恨みもいいところなんだから君が責任を感じることなんかないよ。
ねっ。気にしないで」
倉田さんにそう優しく慰められ、車は診療所へと着いた。
検査の結果、腕に数箇所の打撲と、やっぱり俺は足首を捻挫していたようだ。
しかもそれを隠していたことが倉田さんにバレて、なんですぐに言わなかったんだと怒られてしまった。
「ご、ごめんなさい……。そこまで痛みはなかったからすぐに治ると思って……」
しかし、痛みをおして歩いていたせいで少し酷くなってしまっているようだと診療所の先生に言われてしまい、倉田さんからは今日はもう歩いてはいけないと強く言われてしまった。
倉田さんも腕に少し打撲があったけれど、あれだけの衝撃で思えばものすごく軽傷で済んだことはラッキーだったと言える。
俺たちは診察後、そのまま宿に戻ることになった。
診察室で湿布と包帯を巻いてもらった後、看護師さんが松葉杖を用意してくれようとしたのを遮り、倉田さんは俺を軽々と抱きかかえた。
「えっ、ちょ――っ! 倉田さん??」
「松葉杖は慣れるまで大変だし、こっちの方が足を動かさずに済むだろう。
明日は西表まで行くんだし、早く治さないと困るだろう?」
そう矢継ぎ早に言われれば、もう『はい』としか言えなくなった。
倉田さんは満足そうに俺を抱きかかえたまま車に乗り込んだが、ドアマンの彼は俺が抱きかかえられている姿を見てもなんの表情も変えなかった。
こんな年になって抱っこされるなんて恥ずかしいと思ったけど、怪我してる時は抱きかかえられてもおかしくないのかもしれない。
倉田さんに抱っこされていると落ち着くし、安心するから気にしなくていいと思うと嬉しかった。
あの要塞のような壁を越え、宿の入り口に着くと大勢のスタッフさんが集まってくれていた。
「倉田さま、藤乃さま。おかえりなさいませ。この度はご無事でなによりでございました」
「ああ。すぐに車を用意してくれて助かったよ、ありがとう」
「いいえ、お役に立てましてよろしゅうございました」
先に車を降りた倉田さんは少しフロントの人と話をしてから、後部座席に座る俺を抱きかかえ離れの部屋へ連れていってくれた。
部屋に入り、畳の部屋の奥にある広縁の椅子に俺をそっと座らせると、倉田さんは俺の目の前に跪いた。
「くら、たさん……? どうしたんですか?」
「私のせいで君に痛い思いをさせてしまったな……。もっと早く君を抱き寄せていれば、捻挫などさせることもなかったのに……」
そっと足首の包帯を撫でながら、悲しげな表情を見せる彼の姿に心が痛んだ。
「何言ってるんですか! そんなことないですよ!
倉田さんのおかげで今こうして無事にここにいられるんですから。ねっ。顔を上げてください」
「藤乃くん……」
「ふふっ。もう手当もしてもらってほとんど痛みもないから大丈夫です。すぐ治りますよ」
まだ悲しげな表情を浮かべる彼に笑顔でそういうと、
「治るまで私が責任持って手助けするからな」
とキラキラとした顔で言われてしまった。
そんなに大した怪我でもないんだけどなと思ったけれど、その勢いに押され、
俺は『お、お願いします……』といってしまっていた。
「よし。じゃあ、まずは風呂だな」
「えっ……でも、この足じゃ……」
「大丈夫。私が手助けすると言ったろ?」
倉田さんはいそいそと俺の足にビニール袋を巻きつけ風呂に入る準備を始めた。
「そういえば、寝巻きがどうのって言ってたな? キャリーケースの中にあるなら私が取って来ようか?」
「ええっ!!! いや、それは……ちょっと……」
「だが、置いてある浴衣よりは着慣れた寝巻きの方がいいだろう。君も気に入っているって言ってたし」
それはそうなんだけど……。
俺の寝相じゃ浴衣だと眠れないだろうし……お願いするしかないか。
「あ、あの、じゃあ申し訳ないんですけど、キャリーケースをこっちに持ってきてもらえませんか?
そのまま見せるのはまだ心の準備ができてないんで……」
「そんなにまで隠されると逆にどんな寝巻きなのか気になるが……まぁ、いい。
ちょっと待ってて。すぐに持ってくるよ」
その言葉通り、倉田さんはすぐにキャリーケースごと持ってきてくれた。
俺は彼が他の支度をしている間に、自分のきていた水色のシャツを脱いでキャリーケースからさっと取り出した寝巻きにかぶせて胸に抱き締めた。
俺のその格好を見て、彼は驚いていたが『ふふっ』と笑って俺を抱きかかえて温泉の方へ連れていってくれた。
彼は俺を脱衣所の椅子に座らせると、棚に置かれた浴衣の隣に俺が手渡したシャツに包んだままの寝巻きを置いた。
椅子に座らせてもらってから気づいたけれど、そういえば温泉って裸なんだっけ……。
ヨーロッパでは水着を着て温泉入るらしいってテレビで見たことがるけれど、ここは日本だし、それに何より水着着てちゃ身体も洗えない。
明日は面接だからちゃんと風呂に入って髪も身体も綺麗にしておきたいしな。
1人で入れない以上、お願いするしかないんだよな……。
よし、こうなったら……。
「あ、あの……倉田さん」
「んっ? どうした? ああ、脱ぐの手伝おうか?」
「あっ、いや、そうじゃなくて……倉田さんも一緒に入ってもらえませんか?」
ズボンを捲り上げている倉田さんはきっと、俺の髪や身体を洗うのを介助してくれるだけのつもりなんだろうけど、俺1人だけが裸になるなんて恥ずかしすぎるじゃないか。
2人とも裸なら恥ずかしさは多少消えるはず。
そう思っての発言だったのだけど、倉田さんは俺の言葉に
「――っ! えっ? だが……いや、そんな……」
焦った様子を見せていた。
やっぱり図々しいお願いだったかなと思いつつ、
「だめですか……?」
ともう一度頼んでみると、彼はゴクリと喉を鳴らして『わかった』といってくれた。
倉田さんは温泉が好きそうだから裸を恥ずかしいなんて思わないと思ったんだけど、意外と他の人と入るのは苦手なタイプなのかもしれない。
そうだとしたら申し訳ないお願いをしちゃったのかもしれないな。
あのドアマンの彼が新しい車を届けてくれたから、そのまま彼に診療所まで連れていってもらうことになった。
「私どもの宿で起きましたトラブルのせいでお客さま方にこのようなご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
事故車を見てあまりのひしゃげ具合に驚いていた彼は、青褪めた顔で俺たちに謝罪していたけれど、彼が謝る必要なんてどこにもない。
「いいえ、そんな……貴方や宿のせいなんかじゃないです。
大体俺が、いえ私が彼女たちに声をかけられるような隙があったからこんなことに……」
「藤乃くん、そんなことはない。あんなの逆恨みもいいところなんだから君が責任を感じることなんかないよ。
ねっ。気にしないで」
倉田さんにそう優しく慰められ、車は診療所へと着いた。
検査の結果、腕に数箇所の打撲と、やっぱり俺は足首を捻挫していたようだ。
しかもそれを隠していたことが倉田さんにバレて、なんですぐに言わなかったんだと怒られてしまった。
「ご、ごめんなさい……。そこまで痛みはなかったからすぐに治ると思って……」
しかし、痛みをおして歩いていたせいで少し酷くなってしまっているようだと診療所の先生に言われてしまい、倉田さんからは今日はもう歩いてはいけないと強く言われてしまった。
倉田さんも腕に少し打撲があったけれど、あれだけの衝撃で思えばものすごく軽傷で済んだことはラッキーだったと言える。
俺たちは診察後、そのまま宿に戻ることになった。
診察室で湿布と包帯を巻いてもらった後、看護師さんが松葉杖を用意してくれようとしたのを遮り、倉田さんは俺を軽々と抱きかかえた。
「えっ、ちょ――っ! 倉田さん??」
「松葉杖は慣れるまで大変だし、こっちの方が足を動かさずに済むだろう。
明日は西表まで行くんだし、早く治さないと困るだろう?」
そう矢継ぎ早に言われれば、もう『はい』としか言えなくなった。
倉田さんは満足そうに俺を抱きかかえたまま車に乗り込んだが、ドアマンの彼は俺が抱きかかえられている姿を見てもなんの表情も変えなかった。
こんな年になって抱っこされるなんて恥ずかしいと思ったけど、怪我してる時は抱きかかえられてもおかしくないのかもしれない。
倉田さんに抱っこされていると落ち着くし、安心するから気にしなくていいと思うと嬉しかった。
あの要塞のような壁を越え、宿の入り口に着くと大勢のスタッフさんが集まってくれていた。
「倉田さま、藤乃さま。おかえりなさいませ。この度はご無事でなによりでございました」
「ああ。すぐに車を用意してくれて助かったよ、ありがとう」
「いいえ、お役に立てましてよろしゅうございました」
先に車を降りた倉田さんは少しフロントの人と話をしてから、後部座席に座る俺を抱きかかえ離れの部屋へ連れていってくれた。
部屋に入り、畳の部屋の奥にある広縁の椅子に俺をそっと座らせると、倉田さんは俺の目の前に跪いた。
「くら、たさん……? どうしたんですか?」
「私のせいで君に痛い思いをさせてしまったな……。もっと早く君を抱き寄せていれば、捻挫などさせることもなかったのに……」
そっと足首の包帯を撫でながら、悲しげな表情を見せる彼の姿に心が痛んだ。
「何言ってるんですか! そんなことないですよ!
倉田さんのおかげで今こうして無事にここにいられるんですから。ねっ。顔を上げてください」
「藤乃くん……」
「ふふっ。もう手当もしてもらってほとんど痛みもないから大丈夫です。すぐ治りますよ」
まだ悲しげな表情を浮かべる彼に笑顔でそういうと、
「治るまで私が責任持って手助けするからな」
とキラキラとした顔で言われてしまった。
そんなに大した怪我でもないんだけどなと思ったけれど、その勢いに押され、
俺は『お、お願いします……』といってしまっていた。
「よし。じゃあ、まずは風呂だな」
「えっ……でも、この足じゃ……」
「大丈夫。私が手助けすると言ったろ?」
倉田さんはいそいそと俺の足にビニール袋を巻きつけ風呂に入る準備を始めた。
「そういえば、寝巻きがどうのって言ってたな? キャリーケースの中にあるなら私が取って来ようか?」
「ええっ!!! いや、それは……ちょっと……」
「だが、置いてある浴衣よりは着慣れた寝巻きの方がいいだろう。君も気に入っているって言ってたし」
それはそうなんだけど……。
俺の寝相じゃ浴衣だと眠れないだろうし……お願いするしかないか。
「あ、あの、じゃあ申し訳ないんですけど、キャリーケースをこっちに持ってきてもらえませんか?
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その言葉通り、倉田さんはすぐにキャリーケースごと持ってきてくれた。
俺は彼が他の支度をしている間に、自分のきていた水色のシャツを脱いでキャリーケースからさっと取り出した寝巻きにかぶせて胸に抱き締めた。
俺のその格好を見て、彼は驚いていたが『ふふっ』と笑って俺を抱きかかえて温泉の方へ連れていってくれた。
彼は俺を脱衣所の椅子に座らせると、棚に置かれた浴衣の隣に俺が手渡したシャツに包んだままの寝巻きを置いた。
椅子に座らせてもらってから気づいたけれど、そういえば温泉って裸なんだっけ……。
ヨーロッパでは水着を着て温泉入るらしいってテレビで見たことがるけれど、ここは日本だし、それに何より水着着てちゃ身体も洗えない。
明日は面接だからちゃんと風呂に入って髪も身体も綺麗にしておきたいしな。
1人で入れない以上、お願いするしかないんだよな……。
よし、こうなったら……。
「あ、あの……倉田さん」
「んっ? どうした? ああ、脱ぐの手伝おうか?」
「あっ、いや、そうじゃなくて……倉田さんも一緒に入ってもらえませんか?」
ズボンを捲り上げている倉田さんはきっと、俺の髪や身体を洗うのを介助してくれるだけのつもりなんだろうけど、俺1人だけが裸になるなんて恥ずかしすぎるじゃないか。
2人とも裸なら恥ずかしさは多少消えるはず。
そう思っての発言だったのだけど、倉田さんは俺の言葉に
「――っ! えっ? だが……いや、そんな……」
焦った様子を見せていた。
やっぱり図々しいお願いだったかなと思いつつ、
「だめですか……?」
ともう一度頼んでみると、彼はゴクリと喉を鳴らして『わかった』といってくれた。
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