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恋人たちの夜 <伊吹&史紀編 1>
一花と征哉の結婚式に出席したラブラブカップルのそれぞれの夜。
伊吹&史紀が完結を迎えたので独立させました。
これから他のカップルも増やしていきます。どうぞお楽しみに♡
* * *
<side史紀>
いくつもの幸せなサプライズと感動に溢れた最高の結婚式だった。
つい数ヶ月前までは、こんな日が訪れるなんて夢にも思っていなかった。
生まれたばかりの一花くんが病院から忽然と姿を消し、そのショックが祟って麻友子さんが亡くなり、残された一眞さんは自分の人生を賭けて一花くんを探し続け、死ぬよりも辛い日々を過ごしたことだろう。僕はそんな一眞さんの心に寄り添いながら必死でこの十八年、櫻葉グループのために身を粉にして働いてきた。一眞さんはもちろん辛かっただろうが、僕にとっても試練の日々だった。
その大変な日々をずっとそばで見守り、支えてくれていた伊吹には感謝している。伊吹という存在がいなかったら、僕はあまりの重圧に早々に押し潰されてしまっていたかもしれない。そんな伊吹と今日の結婚式に一眞さん公認のカップルとして参加できたことはすごく嬉しかった。
感動で胸がいっぱいになった結婚式がお開きになり、それぞれ保養所に向かうことになった時、
「史紀、明日は休みだから安城くんと観光でもして帰ったらどうだ? 車は私のを使えばいい」
という提案を一眞さんがしてくれた。
「えっ? でもそれじゃあ一眞さんが困るのではないですか?」
「いや、私はこの式の間に征哉くんに別の車を用意してもらったから、二階堂と一緒に帰るよ。だから、ここからは別行動でいい。せっかくの休日を楽しみなさい」
「ありがとうございます」
一眞さんの優しさに触れながら伊吹と二人で車に乗り込み、今日の宿泊所である保養所に向かった。
「一眞さんのおかげでこんなに早く二人っきりになれたな」
「もう伊吹、こっちばっかり見てないで安全運転して」
「わかってるって。可愛い史紀を助手席に乗せて事故ったりしないから安心しろ」
伊吹の手が僕の手に優しく触れる。それだけでドキドキしてしまうのは、さっき結婚式を挙げようなんて話をしたからかもしれない。
「それにしてもまさかドレス姿の史紀を助手席に乗せられるとは思わなかったな」
「僕も驚いてる。でもみんな着替えてたし……」
「ああ、そうだな。特に緑川教授はノリノリだったな。そういえばドレスか着物かはどうやって決めたんだ? 史紀がドレスを着てみたかったのか」
「ううん、絢斗さんがすぐに僕にはドレスが似合うって仰ってあっという間に決まったんだよ」
「そうなのか。確かにそのドレスはよく似合ってる。緑川教授のおかげで史紀のこんな可愛い姿が見られてよかったよ。誘ってもらって感謝しないとな。それに……みんなの前で史紀からキスもしてもらえたし」
「――っ!! あ、あれは罰ゲームだって」
「それでも俺には幸運でしかなかったよ」
満面の笑顔を向けられてドキドキしてしまう。人前では自分のことを私と呼ぶのに、僕の前では俺になる。この瞬間、伊吹が僕だけのものになった気がしてたまらなく嬉しい。
「史紀からのキス……部屋に着いたらまた貰ってもいいか?」
「いいよ。今日ついてきてくれたお礼をいっぱいしてあげる」
いつもなら恥ずかしくて言えない言葉も今日なら言える。
そう思えるのは一花くんと貴船さんをはじめ、幸せな夫夫やカップルをいっぱい間近で見られたからかもしれないな。
あっという間に保養所の駐車場に到着した。
伊吹にエスコートされながらフロントに向かい、さっと手続きをして部屋に案内される。
「わぁー、素敵な部屋。テラスに露天風呂がある!」
あまりにも素敵な景色に思わずテラスに飛び出してしまった。
僕が大きなテラスと素敵な露天風呂に気を取られている間に、伊吹はスタッフさんとのやりとりを終えていた。
子どもみたいにはしゃいでしまって恥ずかしい。僕の方が六つも年上なのに、伊吹の方が年上みたいだ。
「んっ? 史紀、どうかしたか?」
僕がテラスからボーッと息吹を見つめているとすぐに近づいてきて腕の中に抱きしめられる。その温もりについ本音をこぼしてしまった。
「いや、はしゃいで恥ずかしかったなって……」
「何言ってるんだ。そこが可愛くてたまらないのに」
「伊吹……」
「スタッフに可愛い伊吹が見られてしまったのが嫉妬したけどね」
「ウソばっかり」
「本当だって。これからどれだけ嫉妬したかたっぷり寝室で教えようか?」
「ばかっ」
「冗談だよ。今から寝室に入ったら食事も温泉も堪能できずに朝になってしまうからな」
「――っ!!!」
朝まで伊吹にたっぷり愛される。自分のそんな姿がありありと想像できて身体の奥がキュンと疼くのがわかった。
伊吹&史紀が完結を迎えたので独立させました。
これから他のカップルも増やしていきます。どうぞお楽しみに♡
* * *
<side史紀>
いくつもの幸せなサプライズと感動に溢れた最高の結婚式だった。
つい数ヶ月前までは、こんな日が訪れるなんて夢にも思っていなかった。
生まれたばかりの一花くんが病院から忽然と姿を消し、そのショックが祟って麻友子さんが亡くなり、残された一眞さんは自分の人生を賭けて一花くんを探し続け、死ぬよりも辛い日々を過ごしたことだろう。僕はそんな一眞さんの心に寄り添いながら必死でこの十八年、櫻葉グループのために身を粉にして働いてきた。一眞さんはもちろん辛かっただろうが、僕にとっても試練の日々だった。
その大変な日々をずっとそばで見守り、支えてくれていた伊吹には感謝している。伊吹という存在がいなかったら、僕はあまりの重圧に早々に押し潰されてしまっていたかもしれない。そんな伊吹と今日の結婚式に一眞さん公認のカップルとして参加できたことはすごく嬉しかった。
感動で胸がいっぱいになった結婚式がお開きになり、それぞれ保養所に向かうことになった時、
「史紀、明日は休みだから安城くんと観光でもして帰ったらどうだ? 車は私のを使えばいい」
という提案を一眞さんがしてくれた。
「えっ? でもそれじゃあ一眞さんが困るのではないですか?」
「いや、私はこの式の間に征哉くんに別の車を用意してもらったから、二階堂と一緒に帰るよ。だから、ここからは別行動でいい。せっかくの休日を楽しみなさい」
「ありがとうございます」
一眞さんの優しさに触れながら伊吹と二人で車に乗り込み、今日の宿泊所である保養所に向かった。
「一眞さんのおかげでこんなに早く二人っきりになれたな」
「もう伊吹、こっちばっかり見てないで安全運転して」
「わかってるって。可愛い史紀を助手席に乗せて事故ったりしないから安心しろ」
伊吹の手が僕の手に優しく触れる。それだけでドキドキしてしまうのは、さっき結婚式を挙げようなんて話をしたからかもしれない。
「それにしてもまさかドレス姿の史紀を助手席に乗せられるとは思わなかったな」
「僕も驚いてる。でもみんな着替えてたし……」
「ああ、そうだな。特に緑川教授はノリノリだったな。そういえばドレスか着物かはどうやって決めたんだ? 史紀がドレスを着てみたかったのか」
「ううん、絢斗さんがすぐに僕にはドレスが似合うって仰ってあっという間に決まったんだよ」
「そうなのか。確かにそのドレスはよく似合ってる。緑川教授のおかげで史紀のこんな可愛い姿が見られてよかったよ。誘ってもらって感謝しないとな。それに……みんなの前で史紀からキスもしてもらえたし」
「――っ!! あ、あれは罰ゲームだって」
「それでも俺には幸運でしかなかったよ」
満面の笑顔を向けられてドキドキしてしまう。人前では自分のことを私と呼ぶのに、僕の前では俺になる。この瞬間、伊吹が僕だけのものになった気がしてたまらなく嬉しい。
「史紀からのキス……部屋に着いたらまた貰ってもいいか?」
「いいよ。今日ついてきてくれたお礼をいっぱいしてあげる」
いつもなら恥ずかしくて言えない言葉も今日なら言える。
そう思えるのは一花くんと貴船さんをはじめ、幸せな夫夫やカップルをいっぱい間近で見られたからかもしれないな。
あっという間に保養所の駐車場に到着した。
伊吹にエスコートされながらフロントに向かい、さっと手続きをして部屋に案内される。
「わぁー、素敵な部屋。テラスに露天風呂がある!」
あまりにも素敵な景色に思わずテラスに飛び出してしまった。
僕が大きなテラスと素敵な露天風呂に気を取られている間に、伊吹はスタッフさんとのやりとりを終えていた。
子どもみたいにはしゃいでしまって恥ずかしい。僕の方が六つも年上なのに、伊吹の方が年上みたいだ。
「んっ? 史紀、どうかしたか?」
僕がテラスからボーッと息吹を見つめているとすぐに近づいてきて腕の中に抱きしめられる。その温もりについ本音をこぼしてしまった。
「いや、はしゃいで恥ずかしかったなって……」
「何言ってるんだ。そこが可愛くてたまらないのに」
「伊吹……」
「スタッフに可愛い伊吹が見られてしまったのが嫉妬したけどね」
「ウソばっかり」
「本当だって。これからどれだけ嫉妬したかたっぷり寝室で教えようか?」
「ばかっ」
「冗談だよ。今から寝室に入ったら食事も温泉も堪能できずに朝になってしまうからな」
「――っ!!!」
朝まで伊吹にたっぷり愛される。自分のそんな姿がありありと想像できて身体の奥がキュンと疼くのがわかった。
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