虐待されていた天使を息子として迎え入れたらみんなが幸せになりました

波木真帆

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番外編

楽しい昼食

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「わぁー! おいしそう!」

子どもたちの前に並ぶのは、母特製のお子さまランチ。
プレートには小さなオムライスとハンバーグ、ナポリタンにエビフライ。そして生クリームが乗ったプリンまでついている。

「おいちちょう、おいちちょう!」

直くんには少し量が多いが、昇や一花くんと同じものが並んでいる方が喜ぶだろうと思い、同じものにしたらしい。
母の思惑は見事あたり、直くんは二人と同じものであることに喜んでいるように見えた。

大人たちには熱々の鉄板で焼き上げたハンバーグ。
ソースはデミグラスと和風おろしとオニオンソースの三種類。
これなら年齢層の違う大人の私たちも楽しめる。
大人用のものは全て父が腕をふるったらしい。

私たちが子どもの頃は料理は母任せのようなところがあったが、私たちが家を出て二人暮らしになってからは父が腕を振るうことが増えたようだ。
元々手先が器用で、母が体調を崩した時には私たちの食事を作っていた父だからそこまで驚きはしないが、料理の腕が年々上がっていることには素直にすごいと感じる。

「いただくとしようか」

父の声かけに食事が始まる。

直くんは自分でフォークを使いながら食べるが、時折昇が食べさせてあげている。
一花くんも時折征哉くんに食べさせてもらっているが、その姿が微笑ましくて大人たちはついつい見惚れてしまっていた。

「ねぇ、せいくん。一花、せいくんのハンバーグも食べてみたい!」

「熱いから冷ましてからな」

征哉くんは自分の目の前のハンバーグを小さく切り分け、ソースはどれがいいと尋ねる。
一花くんはオニオンソースを指さすと、征哉くんはそれにつけて一花くんに食べさせた。

「んー!! すっごくおいしい!」

目をキラキラと輝かせて喜ぶ姿に父は満更でもなさそうだ。

「これ、ひろしおじちゃまがつくったの?」

「そうだよ。一花くんが気に入ってくれて嬉しいよ」

「うん! すっごくきにいったー!! おいしー!!」

一花くんのその笑顔に嫉妬したのだろう。
征哉くんはすぐに父を見た。

「磯山先生、今度このソースの作り方を教えてください!!」

「あ、ああ。構わないよ」

父は勢いに押されるように頷くと征哉くんはすぐに一花くんに視線を向けた。

「私が作り方を習ってさらに一花が気に入る味にするから楽しみにしててくれ」

「うん! せいくんのソース、たのしみにしてるね!!」

それだけで征哉くんのさっきの嫉妬の表情が笑顔に変わっていく。
一花くんと出会う前なら考えられなかったような征哉くんの変化に私たちは驚きつつも、微笑ましく見守った。

「おなかぽんぽんちたー」

直くんはどれも半分ほど口をつけてお腹がいっぱいになったようだ。
プリンまでは到達できなかったようだな。

「ぷいんー」

それだけが心残りのようだが

「大丈夫、後で食べよう。これは直くんのだから誰も食べないよ」

と絢斗が声をかけると安心したようだ。

プリン以外の残ったものは全て昇のお腹に入った。
そのために昇の量も変わらずにしたのだ。
きっとこうなるとわかっていたからな。

お腹がいっぱいになった直くんは安心したこともあって、眠気が襲ってきたらしい。

「じいちゃん、ばあちゃん。なおくんねむっちゃいそうだよ」

いち早くそのことに気づいた昇が声をかける。

「あそこに布団を敷いてるから卓、連れて行ってあげて」

私は直くんを抱っこして布団に連れて行った。

そのまま寝かせようかと思ったら、直くんが私から離れようとしない。

「直くん、卓さんの抱っこのまま寝たいんだよ」

「あらあら、すっかり直くんのお気に入りの場所になったのね」

保くんと会わせた時も寝る時は私の腕の中だった。
そうか……直くんのお気に入りの場所か。

小さな直くんの温もりが愛おしくてたまらなかった。

「ねぇねぇ、なおくんはいつからようちえんにいくの?」

一花くんが私と直くんのところに近づいてきて、そんな質問を投げかけてきた。

「そうだな。もうすぐ三歳になるから来年か、遅くても再来年には行かせようかと思っているよ」

三年保育にするか、二年保育にするかは直くん次第だな。

「そうなんだー。じゃあ、いちかとおなじさくらもりにきてー! そうしたらいちかがおせわするー!!」

桜守には行かせるつもりだったが、小学生の一花くんがお世話? どういうことだろう?
不思議に思っていると、すぐに絢斗が声をかけてくれた。

「桜守の初等部は幼稚園生のお世話をする日が月に二回かな。あるんだよ。交流を深めて小学校に上がるときの不安をなくすため、だったかな」

「なるほど。さすが桜守だな」

そんな交流があるのなら、やはり桜守一択だな。
あの可愛い制服を直くんが着るのかと思うと早く見たいと思ってしまう。
想像するだけで楽しくてたまらなくなってくるな。
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