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番外編
ハヤト捕獲計画
――明日の隼人の反応を見るのが楽しみ!
ヒロは寝る直前までそう言ってはしゃいでいた。
ヒロの頭の中が私以外のことで占められていることに嫉妬してしまうが、Mr.クマとハヤトがうまくいくことは私にとっても大きな利点がある。
彼はハヤトのためならどんなことでもすると言っていた。
だから、ハヤトが彼の大事な存在になれば、離れている間にハヤトを守るためにセキュリティを強度なものにするだろう。
ハヤトとヒロは大学では常に一緒に行動しているから、ハヤトのセキュリティが強くなればヒロの安全度も増すことになる。
私もヒロを守るために、ヒロには護衛をつけている。だが、守る人間は多ければ多いほどいい。
愛しい人の笑顔を守るためなら、どんなこともする。
Mr.クマとはその考えが一致しているから安心だ。
目覚めた私は、まだ眠っているヒロを起こさないように手を伸ばした。
枕元に置いていたスマホを手に取る。
メッセージの通知に思わず頬を緩めた。
すぐにメッセージを開く。
<今日の二人のお昼ご飯は、私が弁当を持たせるから用意しないでくれ。よろしく頼む>
その簡潔なメッセージに、昨夜はヒロの願い通りにならなかったと察した。
だが、Mr.クマが昼ご飯を持たせるということは、昨夜は彼の自宅にハヤトが泊まったというのは間違いない。
名前のようにガタイの良い男だったが、そういう意味では獣にはならなかった、ということか。
あれほどハヤトを手に入れるために画策していた男が、可愛いウサギをテリトリーに入れて食べずに我慢できるとはな……
Mr.クマの辛抱強さには驚かされる。
だが、考えてみれば今日はハヤトは大学に行く日だ。
Mr.クマも仕事があるだろう。
昨夜、勢いに任せて食らいついてしまったら、おそらくこの時間でも手放せない。
それは私が一番よくわかっている。
ヒロと初めて愛し合った日。
ヒロの負担を考えて一度だけで我慢しようと最初こそ思っていたが、
――我慢しないで、いっぱい愛してよ……
そう言われて、理性が飛んだ。
そこから半日以上ベッドでヒロを愛し続けた。
気づけば、ヒロは意識をなくしてベッドにぐったりと沈んでいた。
優しいヒロは私の愚行を許してくれたが、最愛の人との交わりというのは、人間を獣にするというのを身をもって体験した。あれから最初の日ほど理性を失うことは無くなったが、それでも一度で終われたことはない。
私がそうなのだから、ハヤトを手に入れたくて悶々とした日々を過ごしていたMr.クマが一度で終われるわけが無い。
彼は自分をわかっているからこそ、昨夜ハヤトに手を出さなかったのだろう。
とすると……
二人の初夜は、今夜か。
彼の手料理をヒロに食べさせるのは少し嫉妬してしまうが、二人の仲を進展させるのに必要なら受け入れよう。
Mr.クマとはこれからもいい協力者でいたいからな。
いつものように大学に向かうヒロを車で送りながら、今日はお昼を用意するのを忘れたとヒロに告げる。
『いいよ。隼人と学食に行くか、購買でなんか買うから。その代わり……キス、して』
信号停車の間にそんな可愛いことを言われて、身を乗り出して唇を重ねる。
ヒロにキスをせがまれるなんてなんと幸せなことだろう。
Mr.クマのおかげで、今日もいい一日が始まりそうだ。
そうして、裏門に向かう途中、一台の高級車とすれ違った。
運転席に目をやれば、Mr.クマが見える。
笑顔で合図をする彼にはヒロは気づいていない。
私もそっと彼に合図を送り、裏門に行くとハヤトが立っていた。
おおかた、Mr.クマを見送っていたのだろう。
ヒロはハヤトの姿を見つけて、嬉しそうに車から降りたが、ハヤトの様子がいつもと変わらないことに気づき、少しがっかりした表情をしていた。
ヒロの気持ちはわかるが、もしハヤトがそうなっていれば、今頃ここにはいない。
そう言ってやりたい気持ちを必死に抑えて、二人の会話を見届けた。
そしてしばらく経ったところで、ヒロに声をかけ、いつものキスをねだる。
ヒロはハヤトの前だったから、少し緊張しているようだったが、これを見せておくのはハヤトとMr.クマにとっていいことだ。
私はしっかりとヒロからキスをしてもらい、その場を離れた。
信号待ちの間に、彼に電話をかける。
ー今、いいかな?
ーええ。構いませんよ。
ーヒロがハヤトを見てがっかりしてたよ。まだなんだと理解したらしい。
そう告げると、一瞬の間を置いて彼が笑った。
ーこれでも必死に我慢したんですよ。腕に抱いて寝たので辛かったですけどね。
どうやらベッドに二人で入ることには成功したようだな。
それを聞けただけで安心だ。二人の仲は間違いなく進んでいる。
ーその気持ちはよくわかるよ。私も怪我でかなり我慢したから。
ーそうでしたね。今日はもちろん迎えに行かれるんでしょう?
ーもちろん。
ーじゃあ、夕方に。
私がそう言っただけでこの電話の意図を理解したようだ。
電話を終え、私は静かに頬を緩めた。
ヒロは寝る直前までそう言ってはしゃいでいた。
ヒロの頭の中が私以外のことで占められていることに嫉妬してしまうが、Mr.クマとハヤトがうまくいくことは私にとっても大きな利点がある。
彼はハヤトのためならどんなことでもすると言っていた。
だから、ハヤトが彼の大事な存在になれば、離れている間にハヤトを守るためにセキュリティを強度なものにするだろう。
ハヤトとヒロは大学では常に一緒に行動しているから、ハヤトのセキュリティが強くなればヒロの安全度も増すことになる。
私もヒロを守るために、ヒロには護衛をつけている。だが、守る人間は多ければ多いほどいい。
愛しい人の笑顔を守るためなら、どんなこともする。
Mr.クマとはその考えが一致しているから安心だ。
目覚めた私は、まだ眠っているヒロを起こさないように手を伸ばした。
枕元に置いていたスマホを手に取る。
メッセージの通知に思わず頬を緩めた。
すぐにメッセージを開く。
<今日の二人のお昼ご飯は、私が弁当を持たせるから用意しないでくれ。よろしく頼む>
その簡潔なメッセージに、昨夜はヒロの願い通りにならなかったと察した。
だが、Mr.クマが昼ご飯を持たせるということは、昨夜は彼の自宅にハヤトが泊まったというのは間違いない。
名前のようにガタイの良い男だったが、そういう意味では獣にはならなかった、ということか。
あれほどハヤトを手に入れるために画策していた男が、可愛いウサギをテリトリーに入れて食べずに我慢できるとはな……
Mr.クマの辛抱強さには驚かされる。
だが、考えてみれば今日はハヤトは大学に行く日だ。
Mr.クマも仕事があるだろう。
昨夜、勢いに任せて食らいついてしまったら、おそらくこの時間でも手放せない。
それは私が一番よくわかっている。
ヒロと初めて愛し合った日。
ヒロの負担を考えて一度だけで我慢しようと最初こそ思っていたが、
――我慢しないで、いっぱい愛してよ……
そう言われて、理性が飛んだ。
そこから半日以上ベッドでヒロを愛し続けた。
気づけば、ヒロは意識をなくしてベッドにぐったりと沈んでいた。
優しいヒロは私の愚行を許してくれたが、最愛の人との交わりというのは、人間を獣にするというのを身をもって体験した。あれから最初の日ほど理性を失うことは無くなったが、それでも一度で終われたことはない。
私がそうなのだから、ハヤトを手に入れたくて悶々とした日々を過ごしていたMr.クマが一度で終われるわけが無い。
彼は自分をわかっているからこそ、昨夜ハヤトに手を出さなかったのだろう。
とすると……
二人の初夜は、今夜か。
彼の手料理をヒロに食べさせるのは少し嫉妬してしまうが、二人の仲を進展させるのに必要なら受け入れよう。
Mr.クマとはこれからもいい協力者でいたいからな。
いつものように大学に向かうヒロを車で送りながら、今日はお昼を用意するのを忘れたとヒロに告げる。
『いいよ。隼人と学食に行くか、購買でなんか買うから。その代わり……キス、して』
信号停車の間にそんな可愛いことを言われて、身を乗り出して唇を重ねる。
ヒロにキスをせがまれるなんてなんと幸せなことだろう。
Mr.クマのおかげで、今日もいい一日が始まりそうだ。
そうして、裏門に向かう途中、一台の高級車とすれ違った。
運転席に目をやれば、Mr.クマが見える。
笑顔で合図をする彼にはヒロは気づいていない。
私もそっと彼に合図を送り、裏門に行くとハヤトが立っていた。
おおかた、Mr.クマを見送っていたのだろう。
ヒロはハヤトの姿を見つけて、嬉しそうに車から降りたが、ハヤトの様子がいつもと変わらないことに気づき、少しがっかりした表情をしていた。
ヒロの気持ちはわかるが、もしハヤトがそうなっていれば、今頃ここにはいない。
そう言ってやりたい気持ちを必死に抑えて、二人の会話を見届けた。
そしてしばらく経ったところで、ヒロに声をかけ、いつものキスをねだる。
ヒロはハヤトの前だったから、少し緊張しているようだったが、これを見せておくのはハヤトとMr.クマにとっていいことだ。
私はしっかりとヒロからキスをしてもらい、その場を離れた。
信号待ちの間に、彼に電話をかける。
ー今、いいかな?
ーええ。構いませんよ。
ーヒロがハヤトを見てがっかりしてたよ。まだなんだと理解したらしい。
そう告げると、一瞬の間を置いて彼が笑った。
ーこれでも必死に我慢したんですよ。腕に抱いて寝たので辛かったですけどね。
どうやらベッドに二人で入ることには成功したようだな。
それを聞けただけで安心だ。二人の仲は間違いなく進んでいる。
ーその気持ちはよくわかるよ。私も怪我でかなり我慢したから。
ーそうでしたね。今日はもちろん迎えに行かれるんでしょう?
ーもちろん。
ーじゃあ、夕方に。
私がそう言っただけでこの電話の意図を理解したようだ。
電話を終え、私は静かに頬を緩めた。
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