歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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番外編

一花への贈り物

<side征哉>

「一花。明日は、グリを連れて櫻葉の家に遊びに行こうか」

「わぁー! 嬉しい!」

一花は大喜びで、ケージの中にいるグリに話しかける。

「よかったねー、グリ。フランに会えるよー」

その言葉を理解したようにグリはケージから出て、ぴょんぴょんと一花の元に駆け寄ってくる。

「ぷぅぷぅ」

嬉しそうな声をあげ、一花と楽しそうに戯れる姿に思わず頬が緩む。
一花の笑顔を見られるのは、やはり幸せだ。

休日の前日は、平日の夜よりもたっぷりと愛し合うことにしているが、幸い明日から三連休。
だから、明日は櫻葉のお義父さんとの時間を作っても、夜には一花とゆっくり愛し合える。
それを見越してのこの提案だったが、少し誤算だったのは、一花のほうから誘ってきてくれたこと。

なんせ、翌日が休日の場合はいつも時間をかけてイチャイチャしているのだから、無理もない。

「おくに、いっぱいほしぃ……」

そうおねだりをされて、理性が飛びそうになったが、そこはグッと堪えた。
なんとか手加減をして、いつもよりは早く寝かせることに成功した。
さすがにあまりにも色気ダダ漏れ状態で、お義父さんの前に連れて行くわけには行かないからな……

それでも多分……気づくだろうな。口にはしないだろうが……

隣で眠る一花を見ながら、私は心の中で小さくため息を吐いた。


昼過ぎになり、予定よりも少し遅れて家を出た。
それもこれも、寝起きの一花が可愛すぎるのだから仕方がない。
昨夜手加減した分、欲望を抑えられなかった。
堪え性がない男だと思われているかもしれないが、理解してもらえるだろう。

櫻葉邸に到着すると、すぐに執事の二階堂さんが出てきた。
運転席の私を見て頭を下げると、一花が座る助手席の扉をさっと開ける。

「二階堂さん、ただいま」

その挨拶に、二階堂さんはそれはそれは嬉しそうな笑顔を見せる。
最初にこの家に来た時に、ここは一花の実家なのだから、とそう挨拶するように教えたのだが、それは正解だったようだ。

「一花さま。おかえりなさいませ。旦那さまが首を長くしてお待ちですよ」

二階堂さんは、一花が膝に抱えていたグリのケージを受け取る。
その間に私が運転席から助手席に回り、一花の手をとって車から下ろした。
抱きかかえて連れて行きたいところだが、一花がリハビリの成果を見せたいというのだからそれを尊重する。

ゆっくりと玄関に向かって歩き出す。
まだおぼつかない足取りだが、それでも確実に前に進んでいる。

「パパー!」

一花が開いた玄関に向かって声をかける。
すると、お義父さんが笑顔で玄関から飛び出してきた。
きっと一花が声をかけるのをずっと待っていたんだろう。

「一花、おかえり」

「ただいまー! わっ!」

あまりにも嬉しすぎて足がもつれて転びそうになった一花だったが、さっとお義父さんが一花を受け止める。

「大丈夫か?」

「うん。大丈夫。パパ、ありがとう」

そのまま一花を抱き上げるのを、私は黙って見ていた。
今日は一花とお義父さんを喜ばせるための日だからな。我慢だ。

そうして、そのまま家の中に入る。
まず向かうのは、一花の母、麻友子さんの仏壇。

「ママー。一花が会いにきたよー」

仏壇に飾られた写真に向かって笑顔を見せる一花の横で、お義父さんはほんのり涙を潤ませているように見えた。
手を合わせて、長く語りかけている内容は私にはわからない。
それでも、一花と麻友子さんには大事な時間。
それを邪魔するわけにはいかない。

麻友子さんとの話を終えた一花と一緒に、みんなでリビングに向かう。

二階堂さんが私たちの前に、さっと飲み物を出してくれたのを確認して、お義父さんが小さな箱を一花の前に置いた。

「パパ、これは?」

「一花への贈り物だ」

「贈り物? 開けてもいいの?」

「ああ。開けて見てくれ」

一花がそっと箱に触れる。
そして静かにリボンをほどき、蓋をあける。
出てきたのは、桜の花に戯れるウサギとミニチュアダックスフンドをモチーフにした可愛らしいキーホルダー。

「パパ、これ……っ」

「一花が頑張ってくれた証だ」

「えっ、じゃあ……」

「ああ、先日新メニューコンペが開催されて、一花の考えてくれたメニューが満場一致で商品化が決まった」

お義父さんのその言葉に、一花は喜びに身体を震わせ、キーホルダーをそっと胸に抱きしめた。
感想 560

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みんなの感想(560件)

四葩(よひら)
2026.03.25 四葩(よひら)
ネタバレ含む
2026.03.31 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
最後はやっぱり五十鈴さんでしめさせていただきました✨
朝見れなかった人たちはもちろん、朝も見た人も絶対に集まっちゃうので、大勢がロビーに集っちゃいました。
みんなさも偶然を装ってきてますが、バレバレですよね。
でも一花だけは気づいてなさそう(笑)
怪我をして歩けないはずの一花が一生懸命歩いて征哉の元に向かうのに、みんな涙流してます。
それほど感動的なシーン。
残念ながら見れなかった社員もいるかもなので、一花にはまたきてもらったほうがいいかもですね。
そのほうが社員のモチベーションが上がります。

征哉はしっかり守ってキス顔だけは見せませんが、
それも含めて尊いんですよね。

さて、コンペの結果も気になりつつ、次はサンタ編。
どうぞお楽しみに♡

解除
いぬぞ~
2026.03.25 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.03.31 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭一花と征哉の尊いラブが、櫻葉グループの恋人たちに火をつけちゃいましたね(笑)
でも、確かにこんないいシチュエーションないですよね。
落とすなら今!ってことで、旦那がニャンコ&彼女に告白しまくりwww
幸せになれたおかげで仕事のモチベーションも上がり櫻葉グループの業績も爆あがり。
最高ですね✨

さて、ようやくクリスマス(笑)
一花と面識のない、サンタになれる人ってことで今回は公康サンタになりましたが、確かに一花ならまだ候補者はいますね。
直くんが色んな人とあってるんで難しいところですね。
旦那はこぞってパパに顔が似てるんで、旦那たちにあってたらアウトですしね。
難しいところです。もう祐悟に完璧な変装ができる道具とか開発してもらうしかないですね(笑)

解除
四葩(よひら)
2026.03.04 四葩(よひら)
ネタバレ含む
2026.03.09 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
そうですね、ペンネームというのもよく分からなさそうなので、ひらがなで「さくらばいちか」が可愛いかもですね。
可愛いいちか先生の絵本。絶対に碧斗と琳のお気に入りだと思うので会えたら大喜びしそうですね。
多分出会った時30歳は過ぎてるだろう一花ですが、子どもたちの期待を裏切ることなく若くて可愛いお姫様みたいな姿で現れそうです(笑)

そろそろお迎え来るよね!って話が広がって、出待ち状態になってる櫻葉本社ロビー。
朝見た人からかなり話が広がってるので、絶対に見たいって陣取ってる人もいそうな予感。
社員がみんな集まってたらかなりすごいことになってそう(笑)

でも一花は変わらずいつものように歩いて征哉をお出迎え。
歩けないのも知っている社員たちは、まさにク⚪︎ラが歩いた状態でしょうね。
がんばれ!がんばれ!って心の中で応援しながら征哉の元に辿り着くのを見守ってますね。
そしてお帰りなさいのチュー。
征哉は本能で一花のチュー顔だけは見せないようにしてますね(笑)
でもチューした瞬間、見えてなくても大騒ぎなロビーwww
これは伝説になっちゃいましたね。

解除

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