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楽しい計画
「ご飯粒がついているよ」
唇の端についた米粒を取り、当たり前のようにパクっと食べて見せるとひかるは一瞬驚きを見せたが、同じように
「ふふっ。谷垣さんもご飯粒つけてますよ」
と志摩くんが谷垣くんの口についた米粒をとって口に運ぶのを目の当たりにして、しかも谷垣くんが
「えっ、あっ。ありがとうございます」
と頬を染めながらお礼を言っているのを見て、それが普通のことだと認識したようだ。
「征哉さん、ありがとうございます」
ひかるの太陽のような弾ける笑顔に心を鷲掴みにされる。
ああ、もうなんて可愛いんだろうな。
やはり志摩くんと谷垣くんにきてもらってよかった。
二人が同じことをしてくれたおかげで、ひかるは私の行動を嫌がることはなかったのだからな。
そっと志摩くんに視線を送るとニコッと笑顔で返してくれたが、あれは志摩くんにとってもラッキーだったのかもしれないな。
その後も私がひかるに食事を食べさせるのと同じように、志摩くんもまた谷垣くんに食事を食べさせる。
時折、谷垣くんが志摩くんに食事を食べさせているのを見て、ひかるも同じように私に食べさせてくれる。
ああ、なんて幸せな時間なんだ。
母はそんな私たちの様子をニコニコとしながらずっと見つめていた。
食事を終え、ひかるに薬を飲ませる。
いつもこのあとは昼寝の時間だ。
「ひかる、このままここで昼寝をしよう」
「えっ、でも……僕が寝ている間、みなさん暇じゃないですか?」
「ああ、それは気にしないでいい。志摩くんと谷垣くんには別行動で楽しんでもらうし、母さんはひかると一緒にここで休むから心配はいらないよ」
「え、でも征哉さんは……」
「私は、ひかるを膝に乗せて寝顔を見ているだけで楽しいよ」
「――っ、そんな……恥ずかしいです」
「ふふっ。家族なのだから気にしなくていい。ほら、ゆっくり休みなさい」
そう言って、私はひかるの体勢を寝やすいように変えてやる。
「会長、ブランケットを」
「ああ、ありがとう」
ひかるの身体にブランケットをかけて胸をトントンと優しく叩いてやると、ひかるはあっという間に眠りについた。
「久しぶりの外出で疲れたのかもしれませんね」
「ああ、昨夜は興奮して遅くまで起きていたからな。今朝も早起きしていたし。よほど楽しみだったようだ」
「ふふっ。動物たちを見たひかるさんの嬉しそうな声が聞こえてましたよ」
「志摩くん、さっきひかるが腕に抱いていたグリというウサギだが……引き取れるように交渉してくれないか?」
私の言葉に志摩くんはすぐに笑顔で返してきた。
「そう仰るだろうと思っていましたよ」
「そうか、さすがだな」
「これから話をしに行ってきます」
「ああ、頼むよ。一時間ほど寝かせるつもりだから、その間二人でのんびり過ごしてきたらいい」
「はい。ありがとうございます、では、谷垣さん。行きましょうか」
「は、はい」
もうすっかり当然のように手を繋いで歩いて行く。
恋人同士にしか見えない後ろ姿を見送っていると、
「ふふっ。羨ましいんでしょう?」
と母に揶揄われる。
「まぁ、少しはね。だが、焦ってはいないよ。こうしてひかると少しずつ距離を近づければいいと思ってるから」
「ふふっ。そうね。でも、志摩くんたちのおかげでひかるくんも自然にあなたのスキンシップを受け入れているわよ」
「ああ、それはありがたいな」
「ねぇ、征哉。外堀から埋める気なら、榎木先生たちにも協力していただいたら?」
「――っ、ああ、それはいい考えだな」
ひかるは愛というものを知らない。
だから男同士だからといって嫌悪感を覚えることはない。
志摩くんと谷垣くんが仲良くしている様子を見せるように、実際に恋人同士になっている榎木先生と有原くんの仲睦まじい様子を見せるのは、良いことだろう。
それにこれから先、ひかるが私を好きになってくれることがあったら、悩むことなく愛を伝えてくれるかもしれない。
そんな期待が上がる。
「来週自宅での榎木先生の診察が入っているし、お礼の意味も込めて有原くんを誘って食事会でもしようか。もちろん志摩くんと谷垣くんも誘って」
「ええ。ひかるくんもきっと喜ぶはずよ。みんなでワイワイとするのが好きみたいだから」
ずっと一人だったんだ。
人と話をすることに飢えていたんだろう。
「ひかるの喜ぶ顔が見られそうだな」
そう言いながら、膝の上で眠るひかるの頬をそっと撫でると、ひかるはふわっと笑顔を見せてくれた。
唇の端についた米粒を取り、当たり前のようにパクっと食べて見せるとひかるは一瞬驚きを見せたが、同じように
「ふふっ。谷垣さんもご飯粒つけてますよ」
と志摩くんが谷垣くんの口についた米粒をとって口に運ぶのを目の当たりにして、しかも谷垣くんが
「えっ、あっ。ありがとうございます」
と頬を染めながらお礼を言っているのを見て、それが普通のことだと認識したようだ。
「征哉さん、ありがとうございます」
ひかるの太陽のような弾ける笑顔に心を鷲掴みにされる。
ああ、もうなんて可愛いんだろうな。
やはり志摩くんと谷垣くんにきてもらってよかった。
二人が同じことをしてくれたおかげで、ひかるは私の行動を嫌がることはなかったのだからな。
そっと志摩くんに視線を送るとニコッと笑顔で返してくれたが、あれは志摩くんにとってもラッキーだったのかもしれないな。
その後も私がひかるに食事を食べさせるのと同じように、志摩くんもまた谷垣くんに食事を食べさせる。
時折、谷垣くんが志摩くんに食事を食べさせているのを見て、ひかるも同じように私に食べさせてくれる。
ああ、なんて幸せな時間なんだ。
母はそんな私たちの様子をニコニコとしながらずっと見つめていた。
食事を終え、ひかるに薬を飲ませる。
いつもこのあとは昼寝の時間だ。
「ひかる、このままここで昼寝をしよう」
「えっ、でも……僕が寝ている間、みなさん暇じゃないですか?」
「ああ、それは気にしないでいい。志摩くんと谷垣くんには別行動で楽しんでもらうし、母さんはひかると一緒にここで休むから心配はいらないよ」
「え、でも征哉さんは……」
「私は、ひかるを膝に乗せて寝顔を見ているだけで楽しいよ」
「――っ、そんな……恥ずかしいです」
「ふふっ。家族なのだから気にしなくていい。ほら、ゆっくり休みなさい」
そう言って、私はひかるの体勢を寝やすいように変えてやる。
「会長、ブランケットを」
「ああ、ありがとう」
ひかるの身体にブランケットをかけて胸をトントンと優しく叩いてやると、ひかるはあっという間に眠りについた。
「久しぶりの外出で疲れたのかもしれませんね」
「ああ、昨夜は興奮して遅くまで起きていたからな。今朝も早起きしていたし。よほど楽しみだったようだ」
「ふふっ。動物たちを見たひかるさんの嬉しそうな声が聞こえてましたよ」
「志摩くん、さっきひかるが腕に抱いていたグリというウサギだが……引き取れるように交渉してくれないか?」
私の言葉に志摩くんはすぐに笑顔で返してきた。
「そう仰るだろうと思っていましたよ」
「そうか、さすがだな」
「これから話をしに行ってきます」
「ああ、頼むよ。一時間ほど寝かせるつもりだから、その間二人でのんびり過ごしてきたらいい」
「はい。ありがとうございます、では、谷垣さん。行きましょうか」
「は、はい」
もうすっかり当然のように手を繋いで歩いて行く。
恋人同士にしか見えない後ろ姿を見送っていると、
「ふふっ。羨ましいんでしょう?」
と母に揶揄われる。
「まぁ、少しはね。だが、焦ってはいないよ。こうしてひかると少しずつ距離を近づければいいと思ってるから」
「ふふっ。そうね。でも、志摩くんたちのおかげでひかるくんも自然にあなたのスキンシップを受け入れているわよ」
「ああ、それはありがたいな」
「ねぇ、征哉。外堀から埋める気なら、榎木先生たちにも協力していただいたら?」
「――っ、ああ、それはいい考えだな」
ひかるは愛というものを知らない。
だから男同士だからといって嫌悪感を覚えることはない。
志摩くんと谷垣くんが仲良くしている様子を見せるように、実際に恋人同士になっている榎木先生と有原くんの仲睦まじい様子を見せるのは、良いことだろう。
それにこれから先、ひかるが私を好きになってくれることがあったら、悩むことなく愛を伝えてくれるかもしれない。
そんな期待が上がる。
「来週自宅での榎木先生の診察が入っているし、お礼の意味も込めて有原くんを誘って食事会でもしようか。もちろん志摩くんと谷垣くんも誘って」
「ええ。ひかるくんもきっと喜ぶはずよ。みんなでワイワイとするのが好きみたいだから」
ずっと一人だったんだ。
人と話をすることに飢えていたんだろう。
「ひかるの喜ぶ顔が見られそうだな」
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