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一花そっくりの……
「この写真を一花にもあげるよ」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。ちょっとスマホを借りてもいいかな?」
「は、はい」
櫻葉会長は一花の手からスマホを受け取ると、今の待受画面に目をやった。
「ああ、これもいい写真だな。一花が幸せそうにしてる。じゃあ、私たちの家族写真はホーム画面の方にしておこうか」
「ほーむ、がめん?」
「ふふっ。これだよ」
そう言って、ささっと操作するとロック画面の方にはこの前ふれあいパークで撮った写真が、ホーム画面には櫻葉会長からもらった写真が現れた。
「わぁーっ!! お父さん、すごいです!!」
「ふふっ。そんなに褒められると照れるな」
満更でもなさそうな櫻葉会長のその表情に少し嫉妬しそうになるが、二人の間に恋愛の情が見えないから我慢できる。
私ももう少し寛大にならないとな。
そう思った次の瞬間には
「メッセージアプリも使えるようにしておこう」
と手慣れた手つきでスマホを操作する櫻葉会長を尊敬の眼差しで見つめる一花の姿にまた独占欲が湧き上がる。
ああ、もう本当に私はどうしようもない。
「一花。何かメッセージを送ってくれないか?」
「はい」
一花は少し悩みながらもゆっくりと一文字一文字書いていく。
「できました!」
嬉しそうに送信ボタンを押すと会長のスマホからピロンと音が鳴る。
会長が嬉しそうに開くと、一気に涙を潤ませる。
なんて書いてあったのだろう……。
気になるがここで聞くのは流石に無粋だろう。
そう思っていたが、会長の方から画面を見せてくれた。
よほど嬉しかったんだろう。
そっと視線を向けると、そこには
<今度お母さんのお墓参りに連れて行ってください>
と書かれていた。
いつの間にか漢字変換もできるようになっている。
きっと会長との再会のために練習したのだろうな。
「ああ、一花……。きみはなんて優しい子なんだ。もちろん、行こう。麻友子も大きくなった一花に会えたら喜ぶよ」
「――っ、よかった。嬉しいです!! あの、征哉さんも一緒に行ってくれますよね?」
「私も一緒に行ってもいいのか?」
「一緒がいいです。お父さん……いいですか?」
「ふふっ。もちろんだよ。征哉くんは一花の大事な人で私と麻友子にとっても息子なんだ。未知子さんもぜひ一緒に行きましょう」
「ええ。久しぶりに麻友子さんとお話ができるなんて嬉しいわ」
母さんの目にも涙が潤んでいる。
今回の再会がみんなにとって幸せになったのは間違いないな。
「そろそろ私はお暇しよう。一花も疲れただろう?」
「えっ、あっ、でも……」
「ふふっ。大丈夫。これで最後じゃないだろう? 会長とはもういつだって会えるよ」
「一花、そんな心配をしてくれたのか? 何も心配はいらないよ。いつでも電話もメッセージも待っているし、会いたいと行ってくれたら何をおいても飛んでくるよ。私は今はもう気楽な立場だからね」
会長の言葉に一花は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、一花。また来るからね。麻友子のところに行く話は征哉くんと話を進めておくから心配しないで」
「はい。お父さん……気をつけて」
「――っ、ああ。ありがとう」
「一花、私は会長を下まで見送ってくるよ」
そう声をかけて、会長と共に部屋を出た。
部屋を出た瞬間、会長からギュッと手を握られた。
「征哉くん、本当にありがとう。一花のこと、よろしく頼むよ」
「はい。絶対に幸せにします。どうぞお任せください」
会長の言葉に負けないように、キッパリと告げると会長は安心したように笑顔を見せた。
「これから、征哉くんとはいろんな相談をすることになるだろう。奴らの制裁も含めてな」
「はい。私が知っていることの全てをお伝えします。一花と会長ご夫妻を傷つけた奴らを野放しにするつもりは私もありませんから」
「ありがとう。きみが味方で心強いよ。ああ、見送りはもういいよ。早く一花のところに戻ってやってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「一花にメッセージを送ると伝えてくれ」
そう言って帰っていく会長の心からの嬉しそうな笑顔を見ながら、今日の再会が大成功に終わったことをホッとした。
部屋に戻ると、一花は嬉しそうに麻友子さんの作ったベビー服を見つめていた。
「一花」
「あ、征哉さん。お父さん、帰られたんですか?」
「ああ。一花にまたメッセージを送ると言っていたから楽しみにしているといい」
「はい」
一花は嬉しそうにスマホを手に取り、ロック画面とホーム画面を交互に見ては幸せそうに微笑んでいる。
「一花、よかったな。お母さんも喜んでいるよ」
「このお洋服、すっごく可愛くて……着られなかったのがもったいないですね」
「そうだな……」
そう答えながら、私は一花の隣にいるゾウのセイに目を向けた。
「ああっ! そうだ!」
「どうしたんですか?」
私が突然大きな声を出したものだから一花はびっくりしてこっちを見ている。
「いや、せっかくだからその服が着られる一花そっくりのぬいぐるみを作ったらどうかと思ったんだ」
「えっ……僕そっくりの?」
「ああ、それならその服も無駄にはならないだろう?」
「じゃあ、征哉さんそっくりのぬいぐるみも欲しいです!!」
「えっ? 私も?」
「だって、僕一人じゃ寂しいですよ。征哉さん、ずっと僕のそばにいてくれるって言ったでしょう? ぬいぐるみの僕の隣にも征哉さんがいて欲しいです……」
「――っ!!!!」
「ふふっ。征哉、一花くんの言う通りだわ。いつでも二人は一緒じゃないとね」
「母さん……」
話を聞いていた母さんの口添えもあって、ぬいぐるみを二体作ることになった。
さて、どうしようか。
とりあえず、洋服の件も含めて蓮見さんに相談してみるとするか。
「えっ、いいんですか?」
「ああ、もちろんだよ。ちょっとスマホを借りてもいいかな?」
「は、はい」
櫻葉会長は一花の手からスマホを受け取ると、今の待受画面に目をやった。
「ああ、これもいい写真だな。一花が幸せそうにしてる。じゃあ、私たちの家族写真はホーム画面の方にしておこうか」
「ほーむ、がめん?」
「ふふっ。これだよ」
そう言って、ささっと操作するとロック画面の方にはこの前ふれあいパークで撮った写真が、ホーム画面には櫻葉会長からもらった写真が現れた。
「わぁーっ!! お父さん、すごいです!!」
「ふふっ。そんなに褒められると照れるな」
満更でもなさそうな櫻葉会長のその表情に少し嫉妬しそうになるが、二人の間に恋愛の情が見えないから我慢できる。
私ももう少し寛大にならないとな。
そう思った次の瞬間には
「メッセージアプリも使えるようにしておこう」
と手慣れた手つきでスマホを操作する櫻葉会長を尊敬の眼差しで見つめる一花の姿にまた独占欲が湧き上がる。
ああ、もう本当に私はどうしようもない。
「一花。何かメッセージを送ってくれないか?」
「はい」
一花は少し悩みながらもゆっくりと一文字一文字書いていく。
「できました!」
嬉しそうに送信ボタンを押すと会長のスマホからピロンと音が鳴る。
会長が嬉しそうに開くと、一気に涙を潤ませる。
なんて書いてあったのだろう……。
気になるがここで聞くのは流石に無粋だろう。
そう思っていたが、会長の方から画面を見せてくれた。
よほど嬉しかったんだろう。
そっと視線を向けると、そこには
<今度お母さんのお墓参りに連れて行ってください>
と書かれていた。
いつの間にか漢字変換もできるようになっている。
きっと会長との再会のために練習したのだろうな。
「ああ、一花……。きみはなんて優しい子なんだ。もちろん、行こう。麻友子も大きくなった一花に会えたら喜ぶよ」
「――っ、よかった。嬉しいです!! あの、征哉さんも一緒に行ってくれますよね?」
「私も一緒に行ってもいいのか?」
「一緒がいいです。お父さん……いいですか?」
「ふふっ。もちろんだよ。征哉くんは一花の大事な人で私と麻友子にとっても息子なんだ。未知子さんもぜひ一緒に行きましょう」
「ええ。久しぶりに麻友子さんとお話ができるなんて嬉しいわ」
母さんの目にも涙が潤んでいる。
今回の再会がみんなにとって幸せになったのは間違いないな。
「そろそろ私はお暇しよう。一花も疲れただろう?」
「えっ、あっ、でも……」
「ふふっ。大丈夫。これで最後じゃないだろう? 会長とはもういつだって会えるよ」
「一花、そんな心配をしてくれたのか? 何も心配はいらないよ。いつでも電話もメッセージも待っているし、会いたいと行ってくれたら何をおいても飛んでくるよ。私は今はもう気楽な立場だからね」
会長の言葉に一花は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、一花。また来るからね。麻友子のところに行く話は征哉くんと話を進めておくから心配しないで」
「はい。お父さん……気をつけて」
「――っ、ああ。ありがとう」
「一花、私は会長を下まで見送ってくるよ」
そう声をかけて、会長と共に部屋を出た。
部屋を出た瞬間、会長からギュッと手を握られた。
「征哉くん、本当にありがとう。一花のこと、よろしく頼むよ」
「はい。絶対に幸せにします。どうぞお任せください」
会長の言葉に負けないように、キッパリと告げると会長は安心したように笑顔を見せた。
「これから、征哉くんとはいろんな相談をすることになるだろう。奴らの制裁も含めてな」
「はい。私が知っていることの全てをお伝えします。一花と会長ご夫妻を傷つけた奴らを野放しにするつもりは私もありませんから」
「ありがとう。きみが味方で心強いよ。ああ、見送りはもういいよ。早く一花のところに戻ってやってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「一花にメッセージを送ると伝えてくれ」
そう言って帰っていく会長の心からの嬉しそうな笑顔を見ながら、今日の再会が大成功に終わったことをホッとした。
部屋に戻ると、一花は嬉しそうに麻友子さんの作ったベビー服を見つめていた。
「一花」
「あ、征哉さん。お父さん、帰られたんですか?」
「ああ。一花にまたメッセージを送ると言っていたから楽しみにしているといい」
「はい」
一花は嬉しそうにスマホを手に取り、ロック画面とホーム画面を交互に見ては幸せそうに微笑んでいる。
「一花、よかったな。お母さんも喜んでいるよ」
「このお洋服、すっごく可愛くて……着られなかったのがもったいないですね」
「そうだな……」
そう答えながら、私は一花の隣にいるゾウのセイに目を向けた。
「ああっ! そうだ!」
「どうしたんですか?」
私が突然大きな声を出したものだから一花はびっくりしてこっちを見ている。
「いや、せっかくだからその服が着られる一花そっくりのぬいぐるみを作ったらどうかと思ったんだ」
「えっ……僕そっくりの?」
「ああ、それならその服も無駄にはならないだろう?」
「じゃあ、征哉さんそっくりのぬいぐるみも欲しいです!!」
「えっ? 私も?」
「だって、僕一人じゃ寂しいですよ。征哉さん、ずっと僕のそばにいてくれるって言ったでしょう? ぬいぐるみの僕の隣にも征哉さんがいて欲しいです……」
「――っ!!!!」
「ふふっ。征哉、一花くんの言う通りだわ。いつでも二人は一緒じゃないとね」
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さて、どうしようか。
とりあえず、洋服の件も含めて蓮見さんに相談してみるとするか。
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