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お宝のお礼に
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泊まりがけの遠出で疲れていた一花を休ませている間に、私は蓮見さんに電話をかけた。
ー今、お時間よろしいですか?
ーああ、構わないよ。saraさんの話かな? 彼の工房に行ってきたんだろう?
ーはい。その件も含めてお礼のお電話を差し上げました。
ーいや、礼を言われるほどのことはない。私が持っている情報を渡しただけだ。
ーおかげさまで、saraさんには一花の望むぬいぐるみを作っていただけることになりました。それが完成したら、あのベビー服を着せて実母である麻友子さんのお墓参りに行くつもりです。
ー櫻葉会長の奥さまもきっと喜ばれるはずだよ。そして、櫻葉会長も。
ーはい。一花にとっても大事な一歩を踏み出せそうな気がします。ありがとうございます。
ー今まで辛い思いをしてきた分、一花くんには幸せになってほしいな。
ーはい。私が絶対に幸せにすると誓います。
ーははっ。心強いな。
ーあの、それからもう一つお礼を申し上げたいのですが……。
ーああ、もしかしてアレか? ということは少しは役に立ったか?
ーはい。少しどころか、もうたっぷりと役に立ちました。
露天風呂での一花の初めての瞬間はもう手に入れることのできないものなのだから。
まさかあの瞬間をあんなにも鮮明に残せるなんて思いもしなかった。
あれを手に入れられただけで、最高の宝を手に入れた気さえしてくる。
ーははっ。それはよかった。
ー秘書の志摩も是非ともお礼をと申しております。
ーいや、そんな見返りを期待して教えたわけではないんだ。
ーそれは十分理解しておりますが、あれほどのものを頂いた以上、どうしてもお礼をさせていただきたいのです。何か、ご入用のものはございませんか? 私にできるものならなんでも……。
ー本当にお礼は必要ないんだ。だが、それだと君も志摩くんも納得しないようだな。そうだな……じゃあ、一つ無理なことを頼んでもいいか?
ーもちろん、なんでも仰ってください!
ー敬介と一花くんを数時間でいい、一緒に過ごさせてやりたいんだ。
ーえっ? 一花と浅香さんを……?
思いもかけない要望に、私は思わず聞き返してしまっていた。
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