歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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久しぶりの診察

昇&直純のお話とわけたので今日の分の更新が無くなっちゃいました。
と言うわけでこんな時間に更新です。
せっかくなのでかなり久しぶりな人を登場させてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡

  *   *   *

<side一花>

「あっ、榎木先生!」

「ああ、一花くん。すっかり顔色が良くなったね。しっかりご飯を食べているみたいだね」

「はい。毎日ご飯が美味しいです」

「そうか、それはよかった。じゃあ、診察をしようね」

今日は経過観察のために、病院からわざわざ榎木先生が診察に来てくれた。
本当は僕が病院に行く予定だったけれど、征哉さんがどうしても外せないお仕事があるとかで、先生の方がこっちに来てくれることになったんだって。

「痛みはどう?」

「普段はあまり痛みは感じなくなりました。リハビリの時とか、車椅子から移る時とかはたまに痛みがあります」

「そうか、それなら経過は良好だね。これからも無理しない程度にリハビリ頑張って。全体的にだいぶ脂肪も筋肉もついてきてるね。体重も増えてきたかな?」

「あの、毎日本当にご飯がおいしくてついいっぱい食べちゃうんですけど、食べ過ぎじゃないですか?」

「ははっ。その心配はないよ。毎日食べているものも先に見せてもらったけど、栄養バランスもいいし、元々が痩せすぎだったからね、今でもまだ同年代の子に比べたら痩せている方だよ」

そう言われて、ホッとする。

「何か心配事があったのかな?」

「あの……」

「ふふっ。私は一花くんの主治医だからね。なんでも気になることは話してくれていいんだよ」

「あの、いつも征哉さんが抱っこしていろんなところに連れて行ってくれるんですけど……」

「うん、車椅子だといけない場所も多いからね」

「そうなんですけど……あんまり、重くなっちゃったら抱っこしてもらえなくなっちゃうかなって……」

「――っ、ああ。そういうことか。ふふっ」

突然榎木先生が笑い出してびっくりしてしまう。

「あの、僕……変なこと言っちゃいましたか?」

「ああ、違う、違う。あんまり可愛いこと言うもんだからつい、ね」

「可愛い? 何がですか?」

「ふふっ。一花くんが、だよ。それって、征哉さんに抱っこしてもらうのが好きってことだよね?」

「はい。だって、征哉さんに抱っこされるのホッとします」

「そうか、よかった。でも、気にしないでいいよ。征哉さんはかなり鍛えてるから、今の一花くんが五人いても余裕で抱っこできるよ」

「えっ? 五人?」

驚きの答えが返ってきて、僕は驚きしかなかった。

でもそれならまだまだずっと征哉さんに抱っこしてもらえるなって、嬉しい気持ちが止まらなかった。

それから、僕は榎木先生の診察の合間に、初めて温泉に入ったことを話した。

「そうか、征哉さんならお医者さんだから、安心してお風呂も任せられるね」

「はい。洗ってくれるのもすごく気持ちよかったです。お医者さんってみんな髪を洗うの上手なんですか?」

「んっ? あー、うん、そうだね。手先は器用だから上手かもしれないね」

「やっぱりそうなんですね。あんなふうに誰かにゆっくり洗ってもらうのもお風呂に入るのも初めててすごく楽しかったです」

「そうか、温泉は身体にいいから、また連れて行ってもらうといいよ」

「はい。征哉さんにお願いしてみます」

そういうと、榎木先生は嬉しそうに笑っていた。
きっと榎木先生も温泉好きなんだろうな。


<side征哉>

一花の診察に間に合うように急いで帰ってきたところで、玄関でちょうど榎木くんに会った。

少しだけ話がしたいと声をかけ、私の部屋に向かった。

「どうだった?」

「征哉さんも医師ですから、彼の経過が良好なのはご存知でしょう?」

「ああ、それはもちろん。だが、一応主治医は榎木くんだからな。それに……あんなに元気になったと見せてやりたかったんだよ。榎木くんもニュースを見て驚いただろう?」

「はい。ニュースで見て、すぐにひかるくんのことだと、ああ、今は一花くんですね。一花くんのことだと分かりましたが、あんなに酷い目に遭う前から、あんな辛い運命を背負っていたんだとびっくりしましたよ。でも、そう考えれば考えるほどあの時未知子さんや征哉さんと知り合えたのは本当にいいタイミングでしたよ。そうでなければ、櫻葉さんにお会いすることもなく、短い生涯を終えていたかもしれません」

「本当に……あの時、救いだせて本当によかった……その言葉に尽きるよ」

「ふふっ。征哉さんはこれからもしっかりと鍛えておいてくださいね」

突然、笑いを含んだ声でそんなことを言われて、それが何のことだか全くわからない。

「?? それはどう言う意味だ?」

「ふふっ。一花くんの望みなんです」

「一花の望み?」

「ええ、ずっとどこに行くにも抱っこ、してほしいそうですよ」

「――っ!!! 一花が、そんなことを?」

「ええ。いっぱい食べるようになって、太ったら抱っこしてもらえなくなるかもって心配してましたから、一花くん五人くらいなら平気だって伝えておきました。だから、頑張ってくださいね」

一花が、私に抱きかかえられることをそんなに喜んでくれていたとは……。
ああ、本当にこれはいいことを聞いたな。

「ああ、じゃあトレーニングルームの機械を新調しておくとしよう」

「ああ、いいですね。じゃあ、私も御相伴に預かってもいいですか? 最近、ジムに通う暇がなくて」

「ははっ。有原くんも喜ぶだろうから、好きに使っていいぞ」

「ははっ」

こうして榎木くんと冗談を言って惚気あう機会ができるなんて……一花と出会う前なら信じられないな。
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