235 / 313
花束を君に
しおりを挟む
写真撮影も一段落して、そろそろ食事にと思っていたところに、
「貴船」
と天沢から声がかけられた。
「天沢、今日はありがとう。天沢が誘ってくれたおかげだ」
「いや、こちらこそだよ。こんな感動的な結婚式を見られるとは思わなかった。素敵な式にしてくれてありがとう。貴船と一花さんのおかげでいいパンフレットができそうだ。なぁ、千里」
「はい。一花さん、私……すごく感動しました。歩けるようになって良かったです」
千里さんの目はまだ涙で潤んでいる。
一花の頑張りはたくさんの人の心をとらえたようだ。
「あの、今日の結婚式のために私……これを作ったんです」
そう言って、千里さんが持っていた紙袋から取り出したのは、小さなブーケが二個。
「わぁ、とっても綺麗っ!!」
「一つは一花さんに今日の思い出として持ってていただきたくて、もう一つは貴船さんと一花さんの幸せを皆さんにお裾分けできたら……と思って」
「なるほど、ブーケトスか。和装だから考えてなかったな。千里さん、ありがとう」
「征哉さん、ぶーけとすって何ですか?」
「ふふっ。このブーケを花嫁である一花が投げて、それを取った人が次の花嫁になると言われているんだよ。一花もやってみないか?」
「わぁ! 素敵! 楽しそう!!!」
「それじゃあ、やってみようか」
まさか一花のブーケトスまで見られるとは思わなかったな。
だが、楽しくなりそうだ。
私は、参列者に向けて呼びかけた。
「美しいドレスや着物で私たちの結婚式に花を添えてくださった皆さま。一花がブーケトスで幸せのお裾分けをしますので、既婚、未婚、未成年問わず、どうぞ中央にお集まりください」
その声に、
「わぁー、楽しそう!!」
と一番乗りで声を上げてくれたのは、絢斗さん。
やっぱりこういう時に率先して声を上げてくれる存在は本当にありがたい。
「直くん、行こう行こう! ほら、尚孝くんも佳史くんたちも行くよ!」
絢斗さんが声をかけてくれたおかげで、美しいドレスや着物を着てくれた人たちが次々に集まってくる。
「征哉、私もいいかしら?」
「えっ? 母さんも?」
「ふふっ。だって、一花くんの幸せのお裾分け欲しいじゃない!」
そういうと、母は嬉しそうにその輪の中に入っていった。
まさか母までブーケトスに加わるとは思ってなかったが、みんなが楽しければそれでいい。
赤い絨毯の中央に母と絢斗さん、直純くん、谷垣くんに有原くん、史紀さんと浅香さんが集まると、花のような美しさに、彼らこそがブーケのように見えてくる。
この集団を見て、母以外は全て男性だとは誰も信じないだろうな。
そんな彼らの周りには、自分の愛しい伴侶のシャッターチャンスを逃さないようにしようと気迫たっぷりのスーツ集団が陣取っている。
もちろん手にはスマホを持ったままだ。
「じゃあ、一花。ブーケトス、始めるぞ」
私は一花の元に近づき、座っている椅子ごと持ち上げて、一花を後ろ向きに座らせた。
「一花、後ろに向かってポーンと投げるんだぞ」
「わぁ、難しそう。できるかな?」
「ふふっ。大丈夫。みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください」
そう声をかけると、みんなが数歩前に進んだ。
「いいよ、一花」
「はーい。じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!」
一花のか弱い力だとあまり飛ばないかもしれないと思ったが、千里さんの作ってくれた小さなブーケはちょうどいい風に運ばれて、彼らの真ん中にリボンを揺らしながら落ちていった。
「わぁーっ!」
その楽しげな歓声に、
「誰? 誰が取ったの?」
と一花も楽しそうに身体を向ける。
私はさっと一花を抱きかかえて、みんなの方を見せると、ブーケを手に真っ赤な顔をしている谷垣くんの姿が見えた。
「ああーっ、尚孝さんだ! おめでとう!!」
一花の声に連動するように、周りにいるみんなからおめでとう! と声がかかり、谷垣くんも嬉しそうだ。
すると、志摩くんがすかさず谷垣くんの元に駆け寄って、
「これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!」
と片膝をついてプロポーズすると、谷垣くんの周りにいた彼らがさっと離れて赤い絨毯の上は志摩くんと谷垣くんだけになっていた。
谷垣くんは目を潤ませて顔を真っ赤にしながらも、
「はい。僕でよければ喜んで……」
と手を差し出した。
その瞬間、大きな拍手とおめでとうの言葉が庭中に響き渡った。
「貴船」
と天沢から声がかけられた。
「天沢、今日はありがとう。天沢が誘ってくれたおかげだ」
「いや、こちらこそだよ。こんな感動的な結婚式を見られるとは思わなかった。素敵な式にしてくれてありがとう。貴船と一花さんのおかげでいいパンフレットができそうだ。なぁ、千里」
「はい。一花さん、私……すごく感動しました。歩けるようになって良かったです」
千里さんの目はまだ涙で潤んでいる。
一花の頑張りはたくさんの人の心をとらえたようだ。
「あの、今日の結婚式のために私……これを作ったんです」
そう言って、千里さんが持っていた紙袋から取り出したのは、小さなブーケが二個。
「わぁ、とっても綺麗っ!!」
「一つは一花さんに今日の思い出として持ってていただきたくて、もう一つは貴船さんと一花さんの幸せを皆さんにお裾分けできたら……と思って」
「なるほど、ブーケトスか。和装だから考えてなかったな。千里さん、ありがとう」
「征哉さん、ぶーけとすって何ですか?」
「ふふっ。このブーケを花嫁である一花が投げて、それを取った人が次の花嫁になると言われているんだよ。一花もやってみないか?」
「わぁ! 素敵! 楽しそう!!!」
「それじゃあ、やってみようか」
まさか一花のブーケトスまで見られるとは思わなかったな。
だが、楽しくなりそうだ。
私は、参列者に向けて呼びかけた。
「美しいドレスや着物で私たちの結婚式に花を添えてくださった皆さま。一花がブーケトスで幸せのお裾分けをしますので、既婚、未婚、未成年問わず、どうぞ中央にお集まりください」
その声に、
「わぁー、楽しそう!!」
と一番乗りで声を上げてくれたのは、絢斗さん。
やっぱりこういう時に率先して声を上げてくれる存在は本当にありがたい。
「直くん、行こう行こう! ほら、尚孝くんも佳史くんたちも行くよ!」
絢斗さんが声をかけてくれたおかげで、美しいドレスや着物を着てくれた人たちが次々に集まってくる。
「征哉、私もいいかしら?」
「えっ? 母さんも?」
「ふふっ。だって、一花くんの幸せのお裾分け欲しいじゃない!」
そういうと、母は嬉しそうにその輪の中に入っていった。
まさか母までブーケトスに加わるとは思ってなかったが、みんなが楽しければそれでいい。
赤い絨毯の中央に母と絢斗さん、直純くん、谷垣くんに有原くん、史紀さんと浅香さんが集まると、花のような美しさに、彼らこそがブーケのように見えてくる。
この集団を見て、母以外は全て男性だとは誰も信じないだろうな。
そんな彼らの周りには、自分の愛しい伴侶のシャッターチャンスを逃さないようにしようと気迫たっぷりのスーツ集団が陣取っている。
もちろん手にはスマホを持ったままだ。
「じゃあ、一花。ブーケトス、始めるぞ」
私は一花の元に近づき、座っている椅子ごと持ち上げて、一花を後ろ向きに座らせた。
「一花、後ろに向かってポーンと投げるんだぞ」
「わぁ、難しそう。できるかな?」
「ふふっ。大丈夫。みなさん、一花の投げるブーケが届くように前の方に来てください」
そう声をかけると、みんなが数歩前に進んだ。
「いいよ、一花」
「はーい。じゃあ、いきまーすっ!! えいっ!!」
一花のか弱い力だとあまり飛ばないかもしれないと思ったが、千里さんの作ってくれた小さなブーケはちょうどいい風に運ばれて、彼らの真ん中にリボンを揺らしながら落ちていった。
「わぁーっ!」
その楽しげな歓声に、
「誰? 誰が取ったの?」
と一花も楽しそうに身体を向ける。
私はさっと一花を抱きかかえて、みんなの方を見せると、ブーケを手に真っ赤な顔をしている谷垣くんの姿が見えた。
「ああーっ、尚孝さんだ! おめでとう!!」
一花の声に連動するように、周りにいるみんなからおめでとう! と声がかかり、谷垣くんも嬉しそうだ。
すると、志摩くんがすかさず谷垣くんの元に駆け寄って、
「これで、尚孝さんが次の花嫁ですね。私の花嫁になってください!」
と片膝をついてプロポーズすると、谷垣くんの周りにいた彼らがさっと離れて赤い絨毯の上は志摩くんと谷垣くんだけになっていた。
谷垣くんは目を潤ませて顔を真っ赤にしながらも、
「はい。僕でよければ喜んで……」
と手を差し出した。
その瞬間、大きな拍手とおめでとうの言葉が庭中に響き渡った。
2,411
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
死ぬ瞬間にだけ、愛してほしい
しょくぱん
恋愛
「代わって。死なない程度に、ね?」
異母姉リリアーヌの言葉一つで、エルゼの体は今日もボロボロに削られていく。
エルゼの魔法は、相手の傷と寿命を自らに引き受ける「禁忌の治癒」。
その力で救い続けてきたのは、初恋の人であり、姉の婚約者となった王太子アルベルトだった。
自分が傷つくほど、彼は姉を愛し、自分には冷ややかな視線を向ける。
それでもいい。彼の剣が折れぬなら、この命、一滴残らず捧げよう。
だが、エルゼの寿命は残りわずか。
せめて、この灯火が消える瞬間だけは。
偽りの聖女ではなく、醜く焼けた私を、愛してほしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる