くま先生とおっきなわんこに気にいられてお嫁入り?しちゃいました

波木真帆

文字の大きさ
16 / 16

試してみようか?

「じゃあこっちも食べてみて」

「えっ」

驚いている間に、おかずが差し出される。
それからも食べたいと思ったものを次々に差し出されて、俺はまるで雛のようにご飯を食べさせられていた。

「あの、先生も食べてください」

「大丈夫。ちゃんと食べてるよ。ほら」

先生の器を見せられる。
もうほとんどおかずは無くなっている。

「ほんとだ……なんで……?」

いつの間に食べていたのかもわからない。
それだけ、俺が先生に気を取られてたってことだ。

「あっ。ほら、口元」

「え?」

不意に顔を覗き込まれて、動きが止まる。

「ソース、ついてるよ」

「あ、すみま――」

言い終わる前に、先生の顔がスッと近づいた。
びくっと身体が跳ねる。

「ん……」

ちゅっと唇が重なったと思ったら、そのまま舌で舐め取られる。
何が起こっているのかわからなくて、頭が真っ白になった。

「美味しいな」

ゆっくりと離れていった先生が、さらりとそんなことを言う。
余計にどうしていいかわからない。

「な、なに言ってるんですか……っ」

顔が熱くて仕方ない。まともに目も見られない。

「嫌だったか?」

まっすぐに見つめられて、言葉が詰まる。

「嫌じゃ、ないです……」

やっとの思いでそういうと、先生はふっと目を細めた。

「よかった」

その声があまりにも優しくて、胸がぎゅっと締め付けられる。

食事を終えても、さっきの感触が頭から離れない。

落ち着こうとしても全然無理だ。

「隼人くん」

「は、はい」

呼ばれるだけで、びくっとしてしまう。

「さっきの続き、してもいいか?」

どくん、と大きく心臓が跳ねた。

正直いうと、まだ心の準備ができていない。
しかもさっきのキスで、緊張が増してしまっている。

でも……拒みたくない。

「は、はい……」

少し震える声で小さく返事をした瞬間、そっと抱き寄せられる。

今度はさっきよりも深く、長く触れられるキス。
息がうまくできなくて、無意識に先生の服を掴んでいた。

「隼人くん……」

名前を呼ばれて、さらに身体が熱くなる。

「これ以上は、場所を変えたほうがいいな」

先生の低くドキドキする声に、理性が揺らぐ。

「寝室に行こう」

その言葉に、今度ははっきりと意味がわかってしまう。
それでもやっぱり拒むなんてできなかった。

「はい……」

小さく答えた瞬間、ふわりと身体が浮いた。

「えっ……」

抱き上げられて、思わず先生の首に腕を回す。

「アレックス。部屋に行ってろ」

先生の低い声に反応して、アレックスが素直に部屋へ走っていく。
その背中を見送りながら、俺はもう逃げ場がないことを理解した。

先生の腕の中で、心臓の音だけがやけに大きく響いていた。
そして、そのまま寝室へ運ばれていった。

昨日、一緒に寝ていたベッドが目の前に現れて、一気に緊張が襲ってきた。

「あ、あの……このまま?」

「ああ、私はそれで構わないが、どうした? 風呂に入りたいか?」

そう尋ねられて、なんと答えるべきか迷ってしまう

こういうときって、先に風呂に入るもの?
それともこの流れに乗るものなのか……

経験がないから、どうしていいいかわからない。

「どうした?」

「あの……こういうときって、どうしたらいいんですか……?」

「えっ?」

「ごめんなさい……俺、何もわからなくて……」

呆れられただろうか。
この歳になって、俺は何も知らない。

恥ずかしくて先生の胸元で顔を隠した。

すると、先生がふっと笑った気がした。

「謝ることはないよ」

優しい声が聞こえて、少しだけ緊張がほぐれる。

「でも……先生は慣れてるんですよね」

ぽつりとそう言ってしまってから、しまったと思った。
変な言い方をして、怒らせたかもしれない。

けれど先生は、少しだけ間を置いてから答えた。

「慣れているように見えるか?」

「えっ、あの……」

恋人はいないと言っていたけれど、これまでの人生でずっといなかったとは思えない。

「先生、かっこいいから……」

「隼人くんにそう言ってもらえるのは嬉しいが、答えはノーだ。知識としてはあるけど、実際にそういう意味で・・・・・・・の経験はないよ」

「うそ……っ」

「嘘かどうか、試してみようか」

そういうと、先生は俺の耳元で囁いた。

「一緒に、風呂に入ろう」

その甘い声に、誘われるように俺は小さく頷いた。
感想 22

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(22件)

いぬぞ~
2026.04.14 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.04.20 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
突然の隼人からの好き発言ですもんね。
興奮しまくりですよね〜。ずっと待ってたので、色々頭の中がすごいことになってます。
本当嬉しいでしょうね。アレックスも仲間かなと思うくらいおっきなわんこになってます(笑)

このままなら普通に寝室直行でしたが、ニャンコのお腹がなったら旦那はちゃんと食べさせないとですよね。
愛し合うのはその後でもたっぷりできますし。

流れるように隣の席に案内。
これも今日からここが指定席になりますね。
あ、いや指定席は膝の上でもいいかな。

初っ端からアーンできて幸せなくま先生。

こことあっちが仲良しなのいいですね、楽しそう。
紳士に見せかけてかなり腹黒で色々考えまくっている三枝&球磨。
これは仲良しの線、ありそうですね(笑)

解除
いぬぞ~
2026.03.24 いぬぞ~
ネタバレ含む
2026.03.28 波木真帆

いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ずっと手に入れるために画策していた相手に好きかもって言われたら、抱きしめちゃいますよね。
ご飯は食べさせてあげたいところですが、くま先生に我慢してもらわないとですね。
愛し合って、病院に行った球磨先生を見た看護師さんたちの様子はぜひ書きたいところですね(笑)
穂積も知成も、かなり雄のオーラを漂わせて学校行っちゃいそうですから
(多分その日はとしくんも一実くんもおやすみwww)
どちらの学校もその日からしばらく盛り上がりそうですね(笑)

解除
四葩(よひら)
2026.03.24 四葩(よひら)
ネタバレ含む
2026.03.28 波木真帆

四葩さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭とうとうですね。
ついに自覚しちゃいました。
それが嬉しすぎてつい抱きしめちゃったくま先生。
この後食事できるかなぁ(笑)
小鹿確定は間違いなしですねwww

解除

あなたにおすすめの小説

わたくしのものを私物化するお姉様が、社交界で大変なことになってしまったそうです

柚木ゆず
恋愛
「あら? そのネックレスは、アリス様がミファレア様に贈ったものですよね?」  わたくしミファレアの姉エミーリラお姉様がパーティーに着けていったネックレスは、以前わたくしから奪い取ったもの。参加者のおひとりがその事実に偶然気付かれ、『妹への贈り物を自分のものと言い張り身に着けている』と大騒ぎになってしまったそうです。  これにより演じ続けていた『妹想いの優しい姉』像は崩壊し、白い目で見られるようになってしまったお姉様。そんなエミーリラお姉様はわたくしに八つ当たりをしたあと、どうにかして丸く収めようと作戦を練り始めたのですが――

親友の恋を応援するたび、私は少しずつ失恋していた

ちょこまろ
恋愛
一番近いのに、恋人じゃない。 紗奈は、親友の颯太にずっと片想いしていた。 けれど颯太が好きになるのは、いつも紗奈ではない誰かだった。 彼女ができた日も。 恋愛相談をされた日も。 別れた夜に頼られた時も。 紗奈はずっと笑って、颯太の恋を応援してきた。 でも本当は、そのたびに少しずつ失恋していた。 文化祭前、颯太からまた恋愛相談をされた紗奈は、ついに親友でいることに限界を迎える。 これは、好きな人の一番近くにいた女の子が、親友のふりをやめて、自分の恋を始めるまでの物語。

とある文官のひとりごと

きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。 アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。 基本コメディで、少しだけシリアス? エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座) ムーンライト様でも公開しております。

「お従妹様の看病で五年、夜会に出ておりませんの」

歩人
ファンタジー
侯爵令嬢イレーネは婚約者アーロンの要請で、五年にわたり彼の「病弱な従妹」クレアを看護してきた。夜会も社交も諦め、毎晩クレアの枕元で看護した。だが二十三歳の誕生日、医師会の抜き打ち健診でクレアは「むしろ同世代で最も健康」と診断される。イレーネが見せてもらった五年分の薬代明細には、存在しない薬品と架空の処置が並んでいた。アーロンは慌てる。「誤解だ。クレアは本当に弱くて……」イレーネは微笑んだ。「では、五年分の看護費と、わたくしが失った社交時間を、具体的な数字にして頂戴いたしましょう」。医師会長が断言する。「詐病誘導と医療費架空請求。司法に回します」。

婚約者が私の見舞いには来ず、他の女の茶会に行っていたので――気づいた時には、もう愛は完全に冷めていました

唯崎りいち
恋愛
見舞いにも来なかった婚約者が、他の令嬢の茶会には出席していた。 その事実に気づいた時、私の愛は完全に冷めていた。 静かな婚約破棄の先で明かされる王家との繋がりと、彼の後悔。

「お前の座る席はない」と言われた令嬢ですが、夜会の席を決めたのは私です

さんご従五位
恋愛
両親を亡くし、伯母の家で肩身の狭い思いをして暮らす令嬢エリザベス。春の夜会に連れて行かれたものの、伯母からは「あなたに踊る資格はない」と言い渡され、壁際で大人しくしているよう命じられてしまう。 けれどその夜会の来客名簿も席順も贈答品の順番も、実はすべてエリザベスが裏で整えたものだった。伯母が自分の手柄にしようとして帳面を持ち出した結果、会場は大混乱。さすがに見かねたエリザベスが修正に乗り出すと……。 壁際に追いやられていた令嬢が、自分の力と居場所を取り戻すお話。

俺の彼氏は真面目だから

西を向いたらね
BL
受けが攻めと恋人同士だと思って「俺の彼氏は真面目だからなぁ」って言ったら、攻めの様子が急におかしくなった話。

妹の旦那に鞭を振るう姉

ジュリルン
恋愛
変態のお話では無いので安心して読んで下さい!