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団長の行方
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<sideジョバンニ>
クリスティアーノ団長が騎士団の訓練を終えて帰宅中に、隣国からの刺客に命を狙われたと報告を受け、騎士団の者たちと急いで加勢に向かった時には、すでにならずものは一人残らず命を落としていた。
さすが、団長だと褒め称えたのも束の間、どこを探してもクリスティアーノ団長の姿が見えない。
隙を突かれ傷を負っていたという証言もある中、団員たち総動員で捜索したもののクリスティアーノ団長の姿はどこにも見当たらなかった。
「クリスティアーノ団長はどこにいかれたのだ? 姿を消す意味がわからない」
なす術もなく、数日かけかなり範囲を拡大して捜索をさせている最中、団員の一人が襲撃事件の場所の近くに住むという男を連れてやってきた。
「ジョバンニ副団長!この者がクリスティアーノ団長の行方に心当たりがあるそうなのですが……」
「なに? すぐに申せ!」
「ですが……あまりにも眉唾な話でして……」
「なんだと?」
「嘘ではありませんっ!!! 私は確かにこの目で見たのです!!! 騎士団長さまのお身体が突然眩い光に包まれたと思ったら、目を開けた時にはどこにもいらっしゃらなかったのです」
「なんだとっ??? それは真なのか?」
「はい。神に誓って私は嘘偽りを申してはおりません」
確かに。
この者がこのような嘘をつく理由がない。
捜査を撹乱して困らせてやろうという意図も見えない。
ならば、この話が事実だということか?
「副団長! どう思われますか?」
「そうだな。私にはこの者は嘘をついていないようだ。ただそれが事実だとすれば、クリスティアーノ団長がいなくなったのには通常では考えられない力が働いているということだ」
「それはどういうことですか?」
「いや、これから先はこちらの領域だ。とりあえず、今、捜索している場所をもう一度念入りに捜索するように皆に伝えてくれ」
「はっ」
私は団員を見送りながら、
「其方の証言が重要な事実をもたらすかもしれぬ。このことは誰にも口外せぬように、良いな?」
目の前の男にそういうと、彼はまっすぐな瞳で
「はい。私は決して口外致しません」
とはっきりと言い、頭を深々と下げ自分の家へと戻っていった。
その者と入れ替わるようにクリスティアーノ団長のお父上でいらっしゃるバーンスタイン公爵がやってきた。
団長がまだ見つからないことにひどくご立腹のようだが、もしかしたら団長が異世界に迷い込んでいるのかも知れないという可能性を告げると、驚きに満ち溢れた表情で神殿へと駆けていかれた。
神殿長に相談をなさるのだろう。
だが、それが吉と出るか、凶と出るかわからない。
そうならないために私は確かめておきたいことがあった。
それを確かめるため、すぐに私は城内にある王家の書庫に向かった。
確か、ここに異世界から来られたお方のことが書かれていたはず。
先先代の国王であったジューリオさまの弟筋を曽祖父に持つ私は現国王からは遠戚ではあるが、歴とした王家の一員として、異世界より現れてこの国を救った救世主さまの話は知らされていた。
とはいえ、実際に救世主さまが現れたのはもう数百年も前のこと。
この時代にもう起こるとは思っても見なかったが、あの者の話を聞いてこのことを思い出したのは、偶然ではないだろう。
私の推測が正しいとするならば、おそらくクリスティアーノ団長が異世界に飛ばされたのは我が国の救世主さまを連れ帰ってくるためではないか?
「やはり、そうだ!!」
書庫の奥深くに隠されるように眠っていたかなり古い書物に救世主さまのことが書かれていた。
「私と彼の思いが通じ合ったその時、突然我々はこのビスカリア王国に転移した。それは異世界に飛ばされた時と同じ、一瞬の出来事であった。混乱し泣き叫ぶ彼を抱き寄せ、必死に愛を囁くと彼はようやく落ち着きを取り戻した。我々がこの世界に戻ったと同時に、世界の混乱はピタリと止まり平和な日常が戻った。これは全て救世主である彼のおかげだ。故郷も何もかも捨て私と共にこの国で生きていく決意をしてくれた彼を、私は自分の命を賭して一生守り抜く。そして、将来私と同じように異世界で愛する人に出会った子孫よ……。決して、その愛する人を裏切ってはならぬ。もし裏切れば、その瞬間、世界は滅びる……」
クリスティアーノ団長はおそらく、今、この国を救う救世主さまのもとにいらっしゃるのだ。
もし、神殿長の力で思いが通じる前に無理やり団長を呼び戻し、二人を引き離すようなことがあれば……。
――決して、その愛する人を裏切ってはならぬ。もし裏切れば、その瞬間、世界は滅びる。
このような事態になってしまうのではないか?
それはまずいっ!!!
私は神殿長とバーンスタイン公爵さまを止めるべく、その書物を手に急いで神殿へと向かった。
「すぐに開けてくれっ!!」
「なりませぬ。今、バーンスタイン公爵さまが神殿長さまと大切なお話をされております。誰も中には入れるなと申しつかっておりますのでジョバンニ副団長さまといえども、お通しするわけにはまいりませぬ」
「国家の一大事なのだぞ!! 責任は全て私が取るっ!! 急いで開けるんだ!!」
神殿の入り口を守っていた神官たちは私の勢いに慄き、ようやく扉を開けてくれた。
急げっ!!
間に合わない事態になれば、とんでもないことになってしまう!!
やっと神殿に辿り着き、思いっきり扉を開け
「お待ちくださいっ!!!!」
大声で叫ぶと、突然神殿内がとてつもないほどの眩い光に包まれた。
クリスティアーノ団長が騎士団の訓練を終えて帰宅中に、隣国からの刺客に命を狙われたと報告を受け、騎士団の者たちと急いで加勢に向かった時には、すでにならずものは一人残らず命を落としていた。
さすが、団長だと褒め称えたのも束の間、どこを探してもクリスティアーノ団長の姿が見えない。
隙を突かれ傷を負っていたという証言もある中、団員たち総動員で捜索したもののクリスティアーノ団長の姿はどこにも見当たらなかった。
「クリスティアーノ団長はどこにいかれたのだ? 姿を消す意味がわからない」
なす術もなく、数日かけかなり範囲を拡大して捜索をさせている最中、団員の一人が襲撃事件の場所の近くに住むという男を連れてやってきた。
「ジョバンニ副団長!この者がクリスティアーノ団長の行方に心当たりがあるそうなのですが……」
「なに? すぐに申せ!」
「ですが……あまりにも眉唾な話でして……」
「なんだと?」
「嘘ではありませんっ!!! 私は確かにこの目で見たのです!!! 騎士団長さまのお身体が突然眩い光に包まれたと思ったら、目を開けた時にはどこにもいらっしゃらなかったのです」
「なんだとっ??? それは真なのか?」
「はい。神に誓って私は嘘偽りを申してはおりません」
確かに。
この者がこのような嘘をつく理由がない。
捜査を撹乱して困らせてやろうという意図も見えない。
ならば、この話が事実だということか?
「副団長! どう思われますか?」
「そうだな。私にはこの者は嘘をついていないようだ。ただそれが事実だとすれば、クリスティアーノ団長がいなくなったのには通常では考えられない力が働いているということだ」
「それはどういうことですか?」
「いや、これから先はこちらの領域だ。とりあえず、今、捜索している場所をもう一度念入りに捜索するように皆に伝えてくれ」
「はっ」
私は団員を見送りながら、
「其方の証言が重要な事実をもたらすかもしれぬ。このことは誰にも口外せぬように、良いな?」
目の前の男にそういうと、彼はまっすぐな瞳で
「はい。私は決して口外致しません」
とはっきりと言い、頭を深々と下げ自分の家へと戻っていった。
その者と入れ替わるようにクリスティアーノ団長のお父上でいらっしゃるバーンスタイン公爵がやってきた。
団長がまだ見つからないことにひどくご立腹のようだが、もしかしたら団長が異世界に迷い込んでいるのかも知れないという可能性を告げると、驚きに満ち溢れた表情で神殿へと駆けていかれた。
神殿長に相談をなさるのだろう。
だが、それが吉と出るか、凶と出るかわからない。
そうならないために私は確かめておきたいことがあった。
それを確かめるため、すぐに私は城内にある王家の書庫に向かった。
確か、ここに異世界から来られたお方のことが書かれていたはず。
先先代の国王であったジューリオさまの弟筋を曽祖父に持つ私は現国王からは遠戚ではあるが、歴とした王家の一員として、異世界より現れてこの国を救った救世主さまの話は知らされていた。
とはいえ、実際に救世主さまが現れたのはもう数百年も前のこと。
この時代にもう起こるとは思っても見なかったが、あの者の話を聞いてこのことを思い出したのは、偶然ではないだろう。
私の推測が正しいとするならば、おそらくクリスティアーノ団長が異世界に飛ばされたのは我が国の救世主さまを連れ帰ってくるためではないか?
「やはり、そうだ!!」
書庫の奥深くに隠されるように眠っていたかなり古い書物に救世主さまのことが書かれていた。
「私と彼の思いが通じ合ったその時、突然我々はこのビスカリア王国に転移した。それは異世界に飛ばされた時と同じ、一瞬の出来事であった。混乱し泣き叫ぶ彼を抱き寄せ、必死に愛を囁くと彼はようやく落ち着きを取り戻した。我々がこの世界に戻ったと同時に、世界の混乱はピタリと止まり平和な日常が戻った。これは全て救世主である彼のおかげだ。故郷も何もかも捨て私と共にこの国で生きていく決意をしてくれた彼を、私は自分の命を賭して一生守り抜く。そして、将来私と同じように異世界で愛する人に出会った子孫よ……。決して、その愛する人を裏切ってはならぬ。もし裏切れば、その瞬間、世界は滅びる……」
クリスティアーノ団長はおそらく、今、この国を救う救世主さまのもとにいらっしゃるのだ。
もし、神殿長の力で思いが通じる前に無理やり団長を呼び戻し、二人を引き離すようなことがあれば……。
――決して、その愛する人を裏切ってはならぬ。もし裏切れば、その瞬間、世界は滅びる。
このような事態になってしまうのではないか?
それはまずいっ!!!
私は神殿長とバーンスタイン公爵さまを止めるべく、その書物を手に急いで神殿へと向かった。
「すぐに開けてくれっ!!」
「なりませぬ。今、バーンスタイン公爵さまが神殿長さまと大切なお話をされております。誰も中には入れるなと申しつかっておりますのでジョバンニ副団長さまといえども、お通しするわけにはまいりませぬ」
「国家の一大事なのだぞ!! 責任は全て私が取るっ!! 急いで開けるんだ!!」
神殿の入り口を守っていた神官たちは私の勢いに慄き、ようやく扉を開けてくれた。
急げっ!!
間に合わない事態になれば、とんでもないことになってしまう!!
やっと神殿に辿り着き、思いっきり扉を開け
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大声で叫ぶと、突然神殿内がとてつもないほどの眩い光に包まれた。
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