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私のわがまま
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<sideジョバンニ>
トモキさまのご体調が回復して落ち着いてからタツオミさんとのことをご報告しようと思っていたのに、まさか、団長に私の気持ちが気づかれていたなんて……。
私はいつだって自分の感情など出さずに生きてきたというのに、表情や視線で気づかれるなんて夢にも思っていなかった。
それくらい、タツオミさんへの感情が止められないのだろう。
さっきもそうだ。
団長がタツオミさんにここに残るか、それともあちらに帰るかを尋ねたときも、思いを伝え合ったばかりだというのにもしかしたらタツオミさんがここを離れてあちらに帰ることを選ぶのではないかと怖くなってしまった。
口づけまで交わして、タツオミさんがそんな不誠実なことをしないとわかっているのに、それでもはっきりと言葉で聞くのが怖かった。
けれど、タツオミさんはやっぱり誠実で……私に聞かせるようにここに骨を埋める覚悟だと言ってくれた。
しかも団長に理由を問われ、
――失いたくない大切な人ができました。その方とここで一生添い遂げると誓ったのです。ですから、私はここで新しい人生を歩む決意をしました。
と何も隠すことなくはっきりと言ってくれた時はあまりの嬉しさに思わず抱きついてしまいそうになってしまった。
それを団長の前だからと必死に我慢したのに……。
まさかその時には団長に知られているとは思いもしなかった。
本当に私としたことが……実に恥ずかしい。
タツオミさんがここに骨を埋める覚悟だと話した時、団長に働き口を紹介してほしいと頼んでいた。
けれど私は、慣れないこの地に私のために留まってくれたタツオミさんを働かせる気など毛頭なかった。
だって、タツオミさんに働いていただかなくても私のもらっている手当で十分に生活できる。
親から譲り受けた財産だってあるし、二人で暮らすには十分な屋敷もある。
タツオミさんにはゆっくりと過ごしていただければそれでいいと思っていたのに。
団長から騎士団で料理人として働いてもらうのはどうかという提案に、手放しで喜んでいるように見えた。
タツオミさんと騎士団で一緒に働けるならこんなに嬉しいことはない。
それはわかっている。
きっと団長もそう思ってくれたからこそ、そんな提案をしてくれたのだろう。
だけど……私は……。
タツオミさんが私以外の人のために食事を作るのが嫌でたまらないのだ。
体調の悪いトモキさま相手の食事なら百歩譲って仕方ないと思えるにしても、騎士団の者たちがタツオミさんの食事を食べられるなんて……。
料理人が料理を作って振る舞うなんて当たり前のことだというのに、そんなことも許せない狭量な自分に腹がたつ。
わかってるんだ、これがただのわがままだって……。
でもそれでも心のモヤモヤが止まらない。
私は本当に愚か者だ。
「ジョバンニさん、何か怒っていますか?」
部屋に戻った瞬間、そう問いかけられて驚いてしまった。
「えっ……」
「私が勝手にクリスさんにあなたとのことを話してしまったことを怒っているのでしょう?」
「いえ、そんなことは……」
「いいえ。わかっているんです。私も勝手なことをしたと反省していたところです。クリスさんはあなたの上官だというのに、相談もなく私たちの仲を明かしてしまって……手順というものを何も知らずに申し訳ありません」
「そんな――っ、頭を上げてください」
私のつまらない嫉妬のせいで、タツオミさんに余計な誤解を与えてしまった。
「ジョバンニさん……許してくれるんですか?」
「そんな、許すも許さないもありません。私はタツオミさんが団長にはっきりと言ってくださったこと、すごく嬉しかったんですよ」
「えっ? 嬉しい? 本当ですか?」
「はい。嬉しすぎてあの場でタツオミさんに抱きついてしまいそうになったくらいです」
「――っ、それは……ふふっ。嬉しすぎますね」
「――っ!!」
タツオミさんの不意打ちの笑顔にドキドキしてしまう。
もうなんでこの人はこんなにも優しい笑顔を見せてくれるのだろう。
「ジョバンニさん?」
「あ、あの……だから怒ってるなんてないですから」
恥ずかしさを隠すようにそう必死に告げると、
「あの、ならどうしてさっき働き口を紹介していただいた時に様子がおかしかったのですか?」
とタツオミさんに問いかけられる。
やっぱり説明はしないとこのまま誤解されたままはダメだろうな。
「あ、あの……その、いや……だったんです……」
「えっ? いや?」
「はい……タツオミさんの作った食事を、その……私以外の人が食べるのが、いや、だったんです……」
「――っ!!! それって……」
「ごめんなさい……本当なら喜ぶべきなのに――わっ!!!」
頭を下げていると突然タツオミさんに抱きしめられて思わず声が出た。
「あ、あの……タツオミ、さん?」
「ああ、もうなんてあなたはこんなにも私を喜ばせるのですか?!」
「えっ? 喜ばせるなんて……」
「だって、嫉妬、してくれたんでしょう? ジョバンニさんにこんなふうに嫉妬してもらえるなんてこんな嬉しいことはないですよ!!」
満面の笑みで嬉しそうに抱きしめられて、顔がどんどん赤くなってしまう。
わがままだと思っていたのに……まさか、嫉妬だったなんて……。
「ああ、もう私は我慢できそうにありません」
「えっ?」
我慢できないって、もしかして……。
「ジョバンニさん……いえ、ジョバンニ……あなたが欲しい……」
「――っ!!!」
初めての呼び捨てと共に、獣のような鋭い視線でそう望まれて身体の奥が疼くのがわかる。
そうか。私も、そして私の身体もタツオミさんが欲しいと望んでるんだ。
こうなったら、自分の気持ちに正直になるしかない。
私は緊張で胸が張り裂けそうになりながら、タツオミさんの声に頷いた。
トモキさまのご体調が回復して落ち着いてからタツオミさんとのことをご報告しようと思っていたのに、まさか、団長に私の気持ちが気づかれていたなんて……。
私はいつだって自分の感情など出さずに生きてきたというのに、表情や視線で気づかれるなんて夢にも思っていなかった。
それくらい、タツオミさんへの感情が止められないのだろう。
さっきもそうだ。
団長がタツオミさんにここに残るか、それともあちらに帰るかを尋ねたときも、思いを伝え合ったばかりだというのにもしかしたらタツオミさんがここを離れてあちらに帰ることを選ぶのではないかと怖くなってしまった。
口づけまで交わして、タツオミさんがそんな不誠実なことをしないとわかっているのに、それでもはっきりと言葉で聞くのが怖かった。
けれど、タツオミさんはやっぱり誠実で……私に聞かせるようにここに骨を埋める覚悟だと言ってくれた。
しかも団長に理由を問われ、
――失いたくない大切な人ができました。その方とここで一生添い遂げると誓ったのです。ですから、私はここで新しい人生を歩む決意をしました。
と何も隠すことなくはっきりと言ってくれた時はあまりの嬉しさに思わず抱きついてしまいそうになってしまった。
それを団長の前だからと必死に我慢したのに……。
まさかその時には団長に知られているとは思いもしなかった。
本当に私としたことが……実に恥ずかしい。
タツオミさんがここに骨を埋める覚悟だと話した時、団長に働き口を紹介してほしいと頼んでいた。
けれど私は、慣れないこの地に私のために留まってくれたタツオミさんを働かせる気など毛頭なかった。
だって、タツオミさんに働いていただかなくても私のもらっている手当で十分に生活できる。
親から譲り受けた財産だってあるし、二人で暮らすには十分な屋敷もある。
タツオミさんにはゆっくりと過ごしていただければそれでいいと思っていたのに。
団長から騎士団で料理人として働いてもらうのはどうかという提案に、手放しで喜んでいるように見えた。
タツオミさんと騎士団で一緒に働けるならこんなに嬉しいことはない。
それはわかっている。
きっと団長もそう思ってくれたからこそ、そんな提案をしてくれたのだろう。
だけど……私は……。
タツオミさんが私以外の人のために食事を作るのが嫌でたまらないのだ。
体調の悪いトモキさま相手の食事なら百歩譲って仕方ないと思えるにしても、騎士団の者たちがタツオミさんの食事を食べられるなんて……。
料理人が料理を作って振る舞うなんて当たり前のことだというのに、そんなことも許せない狭量な自分に腹がたつ。
わかってるんだ、これがただのわがままだって……。
でもそれでも心のモヤモヤが止まらない。
私は本当に愚か者だ。
「ジョバンニさん、何か怒っていますか?」
部屋に戻った瞬間、そう問いかけられて驚いてしまった。
「えっ……」
「私が勝手にクリスさんにあなたとのことを話してしまったことを怒っているのでしょう?」
「いえ、そんなことは……」
「いいえ。わかっているんです。私も勝手なことをしたと反省していたところです。クリスさんはあなたの上官だというのに、相談もなく私たちの仲を明かしてしまって……手順というものを何も知らずに申し訳ありません」
「そんな――っ、頭を上げてください」
私のつまらない嫉妬のせいで、タツオミさんに余計な誤解を与えてしまった。
「ジョバンニさん……許してくれるんですか?」
「そんな、許すも許さないもありません。私はタツオミさんが団長にはっきりと言ってくださったこと、すごく嬉しかったんですよ」
「えっ? 嬉しい? 本当ですか?」
「はい。嬉しすぎてあの場でタツオミさんに抱きついてしまいそうになったくらいです」
「――っ、それは……ふふっ。嬉しすぎますね」
「――っ!!」
タツオミさんの不意打ちの笑顔にドキドキしてしまう。
もうなんでこの人はこんなにも優しい笑顔を見せてくれるのだろう。
「ジョバンニさん?」
「あ、あの……だから怒ってるなんてないですから」
恥ずかしさを隠すようにそう必死に告げると、
「あの、ならどうしてさっき働き口を紹介していただいた時に様子がおかしかったのですか?」
とタツオミさんに問いかけられる。
やっぱり説明はしないとこのまま誤解されたままはダメだろうな。
「あ、あの……その、いや……だったんです……」
「えっ? いや?」
「はい……タツオミさんの作った食事を、その……私以外の人が食べるのが、いや、だったんです……」
「――っ!!! それって……」
「ごめんなさい……本当なら喜ぶべきなのに――わっ!!!」
頭を下げていると突然タツオミさんに抱きしめられて思わず声が出た。
「あ、あの……タツオミ、さん?」
「ああ、もうなんてあなたはこんなにも私を喜ばせるのですか?!」
「えっ? 喜ばせるなんて……」
「だって、嫉妬、してくれたんでしょう? ジョバンニさんにこんなふうに嫉妬してもらえるなんてこんな嬉しいことはないですよ!!」
満面の笑みで嬉しそうに抱きしめられて、顔がどんどん赤くなってしまう。
わがままだと思っていたのに……まさか、嫉妬だったなんて……。
「ああ、もう私は我慢できそうにありません」
「えっ?」
我慢できないって、もしかして……。
「ジョバンニさん……いえ、ジョバンニ……あなたが欲しい……」
「――っ!!!」
初めての呼び捨てと共に、獣のような鋭い視線でそう望まれて身体の奥が疼くのがわかる。
そうか。私も、そして私の身体もタツオミさんが欲しいと望んでるんだ。
こうなったら、自分の気持ちに正直になるしかない。
私は緊張で胸が張り裂けそうになりながら、タツオミさんの声に頷いた。
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