54 / 81
トモキのために
しおりを挟む
<sideクリス>
トモキのあまりにも美しく淫らな姿にすっかり箍が外れてしまい、気づけばどちらのものともわからない蜜に塗れてぐったりとベッドに横たわるトモキの姿があった。
私は急いでトモキを抱き上げ、風呂場で綺麗に身体を清めてから夜着を着せた。
その間もトモキがぐったりと目を瞑ったまま、自らの力では動くのは不可能な状態だった。
――トモキさまの体力に合わせて差し上げてください。
――くれぐれもトモキさまにご無理はなさらないように!! 団長を信じますよ。
ニコラスとジョバンニ、二人の言葉が今頃になって胸に突き刺さる。
本当にあの時までは自制できると思っていたのだ。
だから、こんなことになるとは本当に夢にも思っていなかったのだ。
私は鬼畜ではない。
あの言葉に嘘はない……あの時までは。
だが、今の私はどうだ?
鬼畜以外の何ものでもないではないか。
トモキをソファーに寝かせ、汚れたシーツを剥ぎ取り新しいシーツに替えてからトモキをベッドに寝かせたものの、やはり身動きひとつない。
「んっ?」
見ればほんのり頬が赤い。
もしや……と思って、トモキの額に手をやると恐ろしく熱い。
すぐにニコラスに診せなければ、トモキを失ってしまうことになるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎった途端、途轍もない恐怖に襲われ急いでベルを鳴らした。
早く来てくれ!
トモキが、トモキが!
するとすぐに扉が叩かれ、マイルズが中に入ってきた。
私一人だけで寝室の前に立っているのを不審に思ったのだろう。
トモキはどうしたと尋ねてくるマイルズに、トモキが熱を出したと伝えるとマイルズは慌ててベッドに横たわるトモキに目をやった。
その姿を見るや否や、今まで見たこともないほど感情を消し冷ややかに私を見つめ、これはどういうことかと問いかけられた。
何もかもわかったような表情で尋ねられ身震いしてしまう。
「ついトモキの美しさに箍が外れて……」
そう話した途端、電光石火の如くマイルズが怒り狂った。
こんなにまで怒鳴りつけられたことは今まで一度たりともなかった。
それほどまでにトモキを傷つけてしまったのだと思うとただただ申し訳なくて、診察が済むまでトモキに触れるなと言われても素直に従うしかなかった。
「クリスティアーノさま。体力差をお考えくださいと申し上げましたよね?」
「ああ、何も言い訳はない。私が悪かった。反省している」
「はぁーっ。クリスティアーノさまのお気持ちはよくわかります。運命の相手にようやく出逢われて、しかも一度は引き裂かれたのです。しかも、体調回復のためにずっとそばで介護なさって今までずっと自制なさってこられたのです。そんなお相手とようやく交わりとなれば、箍が外れてしまうのもわかります。だからこそ、私もジョバンニさまも忠告したのです。それでも足りなかったのでしょうね」
「本当に申し訳ない。トモキにも申し訳ないと思っている。だから――」
「もう二度と触れないと仰るのだけはやめてください」
「えっ? ニコラス……」
「トモキさまが嫌だと一度でも申されたら、どんなに箍が外れていてもクリスティアーノさまは留まったはずでございます。けれど、それがなかったということは、トモキさまもクリスティアーノさまとの交わりを望んでいらっしゃったのでしょう。それが今回のことで、もう二度とトモキさまと交わりはなさらないとなれば、トモキさまはご自分のせいだとお責めになるはずでございます」
「――っ!!!」
「今、クリスティアーノさまがなさらなければいけないことは、離れることではありません。トモキさまに寄り添って誠心誠意尽くすことです」
「ニコラス……そうだな。その通りだ。私は一番考えなければいけないトモキの気持ちを考えていなかった」
そういうと、ニコラスはようやく安心したように笑顔を見せてくれた。
「トモキさまは回復なさったばかりでの激しい運動に、熱をお出しになっただけのようですのでこちらの薬を一日に二回。飲ませて差し上げてください。三日間は絶対安静。その後もしばらくはご自分で歩いたりするのはお控えください。クリスティアーノさま、トモキさまのお世話をお願いいたします」
「ああ、わかっている。任せてくれ」
「言っておきますが、回復中にトモキさまに無体な真似をなさった時は――」
「皆まで言うな。わかっている」
「何かあればすぐにお呼び下さい」
そう言ってニコラスは寝室を出て行った。
入れ替わるようにマイルズとジョバンニ、そしてタツオミもやってきた。
「マイルズ……さっきは叱ってくれて目が覚めた」
「言っておきますが、まだ許したわけではございませんよ。ですが、トモキさまにはクリスティアーノさまがおそばにおられるのが一番良いとニコラス医師も、それにタツオミさまも仰るので、そうしているだけでございます」
「ああ、わかってる、感謝している。もう決して過ちは繰り返さないと誓うよ」
私の言葉にようやく三人は納得してくれたようで部屋から出て行った。
二人きりになった寝室で、私はトモキの隣に身体を滑らせトモキを抱きしめた。
薬が効いているのか、先ほどまでの熱さは少し落ち着いているようだった。
ああ、トモキ……。
苦しい思いをさせてすまない。
だが、トモキが元気になるまでずっとそばにいるからな。
トモキが目を覚ましたのはそれから数時間後のことだった。
トモキのあまりにも美しく淫らな姿にすっかり箍が外れてしまい、気づけばどちらのものともわからない蜜に塗れてぐったりとベッドに横たわるトモキの姿があった。
私は急いでトモキを抱き上げ、風呂場で綺麗に身体を清めてから夜着を着せた。
その間もトモキがぐったりと目を瞑ったまま、自らの力では動くのは不可能な状態だった。
――トモキさまの体力に合わせて差し上げてください。
――くれぐれもトモキさまにご無理はなさらないように!! 団長を信じますよ。
ニコラスとジョバンニ、二人の言葉が今頃になって胸に突き刺さる。
本当にあの時までは自制できると思っていたのだ。
だから、こんなことになるとは本当に夢にも思っていなかったのだ。
私は鬼畜ではない。
あの言葉に嘘はない……あの時までは。
だが、今の私はどうだ?
鬼畜以外の何ものでもないではないか。
トモキをソファーに寝かせ、汚れたシーツを剥ぎ取り新しいシーツに替えてからトモキをベッドに寝かせたものの、やはり身動きひとつない。
「んっ?」
見ればほんのり頬が赤い。
もしや……と思って、トモキの額に手をやると恐ろしく熱い。
すぐにニコラスに診せなければ、トモキを失ってしまうことになるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎった途端、途轍もない恐怖に襲われ急いでベルを鳴らした。
早く来てくれ!
トモキが、トモキが!
するとすぐに扉が叩かれ、マイルズが中に入ってきた。
私一人だけで寝室の前に立っているのを不審に思ったのだろう。
トモキはどうしたと尋ねてくるマイルズに、トモキが熱を出したと伝えるとマイルズは慌ててベッドに横たわるトモキに目をやった。
その姿を見るや否や、今まで見たこともないほど感情を消し冷ややかに私を見つめ、これはどういうことかと問いかけられた。
何もかもわかったような表情で尋ねられ身震いしてしまう。
「ついトモキの美しさに箍が外れて……」
そう話した途端、電光石火の如くマイルズが怒り狂った。
こんなにまで怒鳴りつけられたことは今まで一度たりともなかった。
それほどまでにトモキを傷つけてしまったのだと思うとただただ申し訳なくて、診察が済むまでトモキに触れるなと言われても素直に従うしかなかった。
「クリスティアーノさま。体力差をお考えくださいと申し上げましたよね?」
「ああ、何も言い訳はない。私が悪かった。反省している」
「はぁーっ。クリスティアーノさまのお気持ちはよくわかります。運命の相手にようやく出逢われて、しかも一度は引き裂かれたのです。しかも、体調回復のためにずっとそばで介護なさって今までずっと自制なさってこられたのです。そんなお相手とようやく交わりとなれば、箍が外れてしまうのもわかります。だからこそ、私もジョバンニさまも忠告したのです。それでも足りなかったのでしょうね」
「本当に申し訳ない。トモキにも申し訳ないと思っている。だから――」
「もう二度と触れないと仰るのだけはやめてください」
「えっ? ニコラス……」
「トモキさまが嫌だと一度でも申されたら、どんなに箍が外れていてもクリスティアーノさまは留まったはずでございます。けれど、それがなかったということは、トモキさまもクリスティアーノさまとの交わりを望んでいらっしゃったのでしょう。それが今回のことで、もう二度とトモキさまと交わりはなさらないとなれば、トモキさまはご自分のせいだとお責めになるはずでございます」
「――っ!!!」
「今、クリスティアーノさまがなさらなければいけないことは、離れることではありません。トモキさまに寄り添って誠心誠意尽くすことです」
「ニコラス……そうだな。その通りだ。私は一番考えなければいけないトモキの気持ちを考えていなかった」
そういうと、ニコラスはようやく安心したように笑顔を見せてくれた。
「トモキさまは回復なさったばかりでの激しい運動に、熱をお出しになっただけのようですのでこちらの薬を一日に二回。飲ませて差し上げてください。三日間は絶対安静。その後もしばらくはご自分で歩いたりするのはお控えください。クリスティアーノさま、トモキさまのお世話をお願いいたします」
「ああ、わかっている。任せてくれ」
「言っておきますが、回復中にトモキさまに無体な真似をなさった時は――」
「皆まで言うな。わかっている」
「何かあればすぐにお呼び下さい」
そう言ってニコラスは寝室を出て行った。
入れ替わるようにマイルズとジョバンニ、そしてタツオミもやってきた。
「マイルズ……さっきは叱ってくれて目が覚めた」
「言っておきますが、まだ許したわけではございませんよ。ですが、トモキさまにはクリスティアーノさまがおそばにおられるのが一番良いとニコラス医師も、それにタツオミさまも仰るので、そうしているだけでございます」
「ああ、わかってる、感謝している。もう決して過ちは繰り返さないと誓うよ」
私の言葉にようやく三人は納得してくれたようで部屋から出て行った。
二人きりになった寝室で、私はトモキの隣に身体を滑らせトモキを抱きしめた。
薬が効いているのか、先ほどまでの熱さは少し落ち着いているようだった。
ああ、トモキ……。
苦しい思いをさせてすまない。
だが、トモキが元気になるまでずっとそばにいるからな。
トモキが目を覚ましたのはそれから数時間後のことだった。
231
あなたにおすすめの小説
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる