61 / 81
陛下への拝謁
しおりを挟む
<sideクリス>
ジョバンニとタツオミを控えの間に残し、先に拝謁の間に進んだ。
「トモキ、少しの間だけ下ろすからな」
中央に進んだところで、トモキを腕から下ろし、ピッタリと隣に寄り添わせる。
「いいか、トモキ。陛下が顔を上げるように言うまでは頭を下げているんだぞ」
「わかりました」
私の真似をして片膝で立ち、頭をさげ陛下がやってくるのを待っているトモキが実に可愛らしい。
しっかりとこの目に焼き付けておきたいが、私も頭を下げていないといけないから仕方がない。
しばらく待っていると、奥の扉が開く音が聞こえた。
足音が二種類あるから、陛下と一緒に父上も来ているようだ。
陛下たちが椅子に腰をかけ、
「クリスティアーノ、隣におられるのが異世界より来られた救世主殿か? 顔をあげよ」
と呼びかけられた。
その声にトモキは緊張からか、一瞬身体を震わせたが
「大丈夫だ」
と囁いてやると、ゆっくりと顔をあげた。
「おおっ!!」
「なんと――っ!!」
トモキが顔を上げた瞬間から、陛下も父上も私のことなど一切目に入っていない。
そんなことわかっていた。
そうわかっていても挨拶をしないわけにはいかない。
「ご無沙汰をいたしまして申し訳ございません。陛下におかれましては――」
「挨拶など良い! それよりもクリスティアーノ、早く救世主殿を紹介してくれ!」
ああ、やはりな。
心の中で深いため息を吐きながら、私はトモキの腰に腕を回しぐっと抱き寄せた。
「彼はトモキ・ナナセ。私の大切な愛しい伴侶です」
「トモキ、とな? もっとよく顔を見せてくれ。こちらに来てくれ」
その言葉にトモキが立ちあがろうとしたのを制して、
「陛下。トモキはまだ病み上がりでございます。一人でそちらにいかせるわけには参りません」
と告げると、陛下の隣にいた父上が眉を顰める。
「クリスティアーノっ! お前、陛下に向かってそのようなことを――っ!」
「ははっ、ジュリアーノ。良い、良い。クリスティアーノがかなり過保護に溺愛しているとこちらまで噂が流れてきていたが、誇張ではなかったようだな。まさか、其方のそんな姿を見られるとは思いもしなかった」
笑って返してくれるとはさすが、陛下。
私の態度にも寛大な対応をしてくださる。
「では、クリスティアーノが救世主殿を連れてきてくれ」
「はっ」
トモキをそのまま抱きかかえようとすると、
「クリスさん、いいんですか?」
と不安そうに見つめる。
「いいんだ。陛下も仰っていただろう? 私と一緒に行こう」
「はい」
まだ少し緊張しているトモキを抱き上げ、そのまま陛下と父上の元に連れて行く。
「其方がトモキか」
「は、はい。トモキ・ナナセと申します。国王さまにお目にかかれて大変嬉しく思っています」
「おおっ、素晴らしい挨拶だな。それにしてもまだ幼く見えるが、クリスティアーノ。お前まさか……」
「ご心配なさらずに。トモキは成人を疾うに超えております」
「まことか?! こんなにも可愛らしいのに成人しておるとは……異世界は皆そのようであったのか?」
「トモキが特別なのです。陛下は私の伴侶に何かご不満でもございますか?」
「い、いや、そのようなつもりはない。あまりにも美しいから気になっただけだ。不快にさせてしまったのなら申し訳ない。それから……」
陛下は詫びの言葉を述べると、続けて
「それからトモキ、其方にはこの愚弟が辛い思いをさせてしまったようだな。兄として心から詫びをいう」
と頭を下げた。
一国の王がトモキに頭を下げる姿に驚きを隠せないが、それほど陛下も心を痛めてくださったのだろう。
陛下の隣で父上も一緒に深々と頭を下げている。
「そんな――っ、あの、頭を上げてください。僕……確かにクリスさんと離れ離れになった時はとても辛くて……生きている意味さえなくなったって思ってましたけど、今、こうしてクリスさんのそばにいられるので……あの時のことは忘れました。だから、国王さまも……それからクリスさんのお父さまも謝らないでください。それに……ジョバンニさんのためにも、僕とクリスさんが離れることも必要だったと思ってるので……だから、大丈夫です」
「なに? ジョバンニのために? ジョバンニに何かあったのか?」
陛下はタツオミのことを知らないのだから突然ジョバンニの話が出て驚きしかないだろうな。
さて、そろそろジョバンニとタツオミを呼ぶとしようか。
ジョバンニとタツオミを控えの間に残し、先に拝謁の間に進んだ。
「トモキ、少しの間だけ下ろすからな」
中央に進んだところで、トモキを腕から下ろし、ピッタリと隣に寄り添わせる。
「いいか、トモキ。陛下が顔を上げるように言うまでは頭を下げているんだぞ」
「わかりました」
私の真似をして片膝で立ち、頭をさげ陛下がやってくるのを待っているトモキが実に可愛らしい。
しっかりとこの目に焼き付けておきたいが、私も頭を下げていないといけないから仕方がない。
しばらく待っていると、奥の扉が開く音が聞こえた。
足音が二種類あるから、陛下と一緒に父上も来ているようだ。
陛下たちが椅子に腰をかけ、
「クリスティアーノ、隣におられるのが異世界より来られた救世主殿か? 顔をあげよ」
と呼びかけられた。
その声にトモキは緊張からか、一瞬身体を震わせたが
「大丈夫だ」
と囁いてやると、ゆっくりと顔をあげた。
「おおっ!!」
「なんと――っ!!」
トモキが顔を上げた瞬間から、陛下も父上も私のことなど一切目に入っていない。
そんなことわかっていた。
そうわかっていても挨拶をしないわけにはいかない。
「ご無沙汰をいたしまして申し訳ございません。陛下におかれましては――」
「挨拶など良い! それよりもクリスティアーノ、早く救世主殿を紹介してくれ!」
ああ、やはりな。
心の中で深いため息を吐きながら、私はトモキの腰に腕を回しぐっと抱き寄せた。
「彼はトモキ・ナナセ。私の大切な愛しい伴侶です」
「トモキ、とな? もっとよく顔を見せてくれ。こちらに来てくれ」
その言葉にトモキが立ちあがろうとしたのを制して、
「陛下。トモキはまだ病み上がりでございます。一人でそちらにいかせるわけには参りません」
と告げると、陛下の隣にいた父上が眉を顰める。
「クリスティアーノっ! お前、陛下に向かってそのようなことを――っ!」
「ははっ、ジュリアーノ。良い、良い。クリスティアーノがかなり過保護に溺愛しているとこちらまで噂が流れてきていたが、誇張ではなかったようだな。まさか、其方のそんな姿を見られるとは思いもしなかった」
笑って返してくれるとはさすが、陛下。
私の態度にも寛大な対応をしてくださる。
「では、クリスティアーノが救世主殿を連れてきてくれ」
「はっ」
トモキをそのまま抱きかかえようとすると、
「クリスさん、いいんですか?」
と不安そうに見つめる。
「いいんだ。陛下も仰っていただろう? 私と一緒に行こう」
「はい」
まだ少し緊張しているトモキを抱き上げ、そのまま陛下と父上の元に連れて行く。
「其方がトモキか」
「は、はい。トモキ・ナナセと申します。国王さまにお目にかかれて大変嬉しく思っています」
「おおっ、素晴らしい挨拶だな。それにしてもまだ幼く見えるが、クリスティアーノ。お前まさか……」
「ご心配なさらずに。トモキは成人を疾うに超えております」
「まことか?! こんなにも可愛らしいのに成人しておるとは……異世界は皆そのようであったのか?」
「トモキが特別なのです。陛下は私の伴侶に何かご不満でもございますか?」
「い、いや、そのようなつもりはない。あまりにも美しいから気になっただけだ。不快にさせてしまったのなら申し訳ない。それから……」
陛下は詫びの言葉を述べると、続けて
「それからトモキ、其方にはこの愚弟が辛い思いをさせてしまったようだな。兄として心から詫びをいう」
と頭を下げた。
一国の王がトモキに頭を下げる姿に驚きを隠せないが、それほど陛下も心を痛めてくださったのだろう。
陛下の隣で父上も一緒に深々と頭を下げている。
「そんな――っ、あの、頭を上げてください。僕……確かにクリスさんと離れ離れになった時はとても辛くて……生きている意味さえなくなったって思ってましたけど、今、こうしてクリスさんのそばにいられるので……あの時のことは忘れました。だから、国王さまも……それからクリスさんのお父さまも謝らないでください。それに……ジョバンニさんのためにも、僕とクリスさんが離れることも必要だったと思ってるので……だから、大丈夫です」
「なに? ジョバンニのために? ジョバンニに何かあったのか?」
陛下はタツオミのことを知らないのだから突然ジョバンニの話が出て驚きしかないだろうな。
さて、そろそろジョバンニとタツオミを呼ぶとしようか。
230
あなたにおすすめの小説
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる