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久々の訓練
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<side龍臣>
新入団騎士ルイージとの模範試合は他の騎士たちへの刺激になったようだ。
まだ荒削りではあるが、ルイージの剣捌きは目を惹くものがある。
それがわかっているからこそ、クリスさん……いや、団長もルイージの攻めをしっかりと見ているようだ。
こんな機会は滅多にないようだから、もうしばらく相手をしてあげるのだろうな。
優しい団長の姿が垣間見れたと嬉しくなっていると、突然訓練場内に智己の声が響き渡った。
いや、現実にはそこまで大きな声ではなかったが、団長の耳には何よりも最優先で飛び込んでいったことだろう。
「クリスさんっ! 頑張ってっ!! 勝ってーっ!!」
智己の応援の声を私の脳が理解した瞬間、今までルイージの力に合わせて相手をしていたはずの団長の力が一気に最高潮に達し、攻め入っていたルイージは一瞬で剣を奪われた。
ドォーンと激しい破壊音が場内を包み込み、ルイージはその場に呆然と立ち尽くしていた。
おそらく智己の応援の声に、団長は一瞬にして我を失ったのだろう。
それでも吹っ飛ばしたのが剣だけだったのはさすがとしか言いようがない。
ジョバンニは団長の所業にかなり怒っていた様子だったが、私ももし、ジョバンニにあのように応援されたら……
――タツオミっ! 頑張ってっ!! 勝ってーっ!!
くぅ――っ!!
同じ未来しか見えない……。
いや、私はルイージを避けることすらできないかもしれないな。
それくらい愛しいものからの応援の声には、途轍もない破壊力がある。
それこそ、剣を天井に吹っ飛ばしてしまうくらいには……。
ジョバンニの怒りの声に、団長は慌てた様子でルイージに謝っていたがどうやらルイージは団長がなぜ本気を出してしまったのかをよく理解していなかったようだ。
おそらく間近にいすぎてあまりの迫力にわからなくなっているのだろう。
自分が団長に本気を出させたと喜んでいるのなら、それをわざわざ訂正させる必要もない。
団長はホッとしたように智己の元へ向かっていった。
私に残りの騎士たちの訓練を任せて……。
正直なところを言うと、訓練の相手をするのは嫌いではない。
高校時代は先輩たちよりも、言うなればコーチよりも常に上手かったから、いつでも練習相手となり、的確な助言も与えてきた。
社会人になってからは、自分の練習の傍ら、未来の剣士たちを育てるべく、この騎士たちよりも随分と小さな子を相手に教えていたものだ。
実際問題、もうしっかりと自分の形を手に入れた騎士たちのような大人より、まだ未成熟でこれからの可能性を存分に秘めている子どもたちを教える方が格段に難しい。
数十人の騎士たちを相手にするのは体力的に大変ではあるが、久々に教えられることに喜びも感じていた。
と同時に、私の実力を訝しんでいる者にもきっと納得してもらえるはずだ。
上位の者たちを3人づつ相手にしていく。
ルイージほどではないが彼らもかなり将来性がある。
相手をするたびにどんどん彼らの瞳に輝きが満ちていく。
私と手合わせすることで私の実力を感じてくれたに違いない。
そうして、あっという間に2時間ほどが経っていた。
「よし、そこまでっ!」
団長の声が訓練場内に響き渡り、皆の剣が止まった。
ふぅ……なんとか終わらせることができたか。
私に副団長の地位を与えてくれた団長の顔に泥を塗るようなことにならずに済んでよかった。
久々に身体を動かしたと言うのに、初っ端から流石にこれだけの相手は辛かったな……。
少し足元がおぼつかなくなったのを感じ、ゆっくりと端に置いてある椅子に腰を下ろそうと向かっていると、ふっと私の右腕を取り肩を貸してくれる人がいた。
「――っ!!」
「タツオミ、お疲れさまでした」
「ジョバンニっ!! 体調が万全ではないのに無理しないでください」
「何を言ってるんですか、今は私よりタツオミの方がずっと辛そうです」
「あ、いえ。ここのところ、稽古をしていなかったもので身体が鈍っていただけですよ」
「それでも血気盛んな騎士たちの訓練をひとりでなさったんです。私でもあれほどの人数を一人ではなかなか厳しいですよ。本当は途中でお手伝いに行こうと思ったんです。でも、団長が……」
「クリスさんがどうかなさったのですか?」
「タツオミが副団長として選ばれたのが救世主というだからではなく、実力だということを見せつけるには一人で最後までやらせる方がいいと仰るので、手出しはできなかったのですよ」
ああ、やはりクリスさんはこの騎士団をまとめる素晴らしい団長だ。
「心配かけてすみません。ですが、そのおかげで皆の信頼は勝ち取れたようですよ」
「私、訓練を見ながらトモキさまのお気持ちがよくわかりました。愛しい伴侶が頑張っている姿を見れば、頑張って! 勝って! と応援したくなりますね。ですから、今回だけは団長が理性を失ったことは不問にしておきました」
優しい笑顔を見せるジョバンニ。
その笑顔が可愛くて眩しくてたまらない。
と同時に、ジョバンニの笑顔を勝手にみた騎士たちに威嚇の視線をぶつけたのはいうまでもない。
新入団騎士ルイージとの模範試合は他の騎士たちへの刺激になったようだ。
まだ荒削りではあるが、ルイージの剣捌きは目を惹くものがある。
それがわかっているからこそ、クリスさん……いや、団長もルイージの攻めをしっかりと見ているようだ。
こんな機会は滅多にないようだから、もうしばらく相手をしてあげるのだろうな。
優しい団長の姿が垣間見れたと嬉しくなっていると、突然訓練場内に智己の声が響き渡った。
いや、現実にはそこまで大きな声ではなかったが、団長の耳には何よりも最優先で飛び込んでいったことだろう。
「クリスさんっ! 頑張ってっ!! 勝ってーっ!!」
智己の応援の声を私の脳が理解した瞬間、今までルイージの力に合わせて相手をしていたはずの団長の力が一気に最高潮に達し、攻め入っていたルイージは一瞬で剣を奪われた。
ドォーンと激しい破壊音が場内を包み込み、ルイージはその場に呆然と立ち尽くしていた。
おそらく智己の応援の声に、団長は一瞬にして我を失ったのだろう。
それでも吹っ飛ばしたのが剣だけだったのはさすがとしか言いようがない。
ジョバンニは団長の所業にかなり怒っていた様子だったが、私ももし、ジョバンニにあのように応援されたら……
――タツオミっ! 頑張ってっ!! 勝ってーっ!!
くぅ――っ!!
同じ未来しか見えない……。
いや、私はルイージを避けることすらできないかもしれないな。
それくらい愛しいものからの応援の声には、途轍もない破壊力がある。
それこそ、剣を天井に吹っ飛ばしてしまうくらいには……。
ジョバンニの怒りの声に、団長は慌てた様子でルイージに謝っていたがどうやらルイージは団長がなぜ本気を出してしまったのかをよく理解していなかったようだ。
おそらく間近にいすぎてあまりの迫力にわからなくなっているのだろう。
自分が団長に本気を出させたと喜んでいるのなら、それをわざわざ訂正させる必要もない。
団長はホッとしたように智己の元へ向かっていった。
私に残りの騎士たちの訓練を任せて……。
正直なところを言うと、訓練の相手をするのは嫌いではない。
高校時代は先輩たちよりも、言うなればコーチよりも常に上手かったから、いつでも練習相手となり、的確な助言も与えてきた。
社会人になってからは、自分の練習の傍ら、未来の剣士たちを育てるべく、この騎士たちよりも随分と小さな子を相手に教えていたものだ。
実際問題、もうしっかりと自分の形を手に入れた騎士たちのような大人より、まだ未成熟でこれからの可能性を存分に秘めている子どもたちを教える方が格段に難しい。
数十人の騎士たちを相手にするのは体力的に大変ではあるが、久々に教えられることに喜びも感じていた。
と同時に、私の実力を訝しんでいる者にもきっと納得してもらえるはずだ。
上位の者たちを3人づつ相手にしていく。
ルイージほどではないが彼らもかなり将来性がある。
相手をするたびにどんどん彼らの瞳に輝きが満ちていく。
私と手合わせすることで私の実力を感じてくれたに違いない。
そうして、あっという間に2時間ほどが経っていた。
「よし、そこまでっ!」
団長の声が訓練場内に響き渡り、皆の剣が止まった。
ふぅ……なんとか終わらせることができたか。
私に副団長の地位を与えてくれた団長の顔に泥を塗るようなことにならずに済んでよかった。
久々に身体を動かしたと言うのに、初っ端から流石にこれだけの相手は辛かったな……。
少し足元がおぼつかなくなったのを感じ、ゆっくりと端に置いてある椅子に腰を下ろそうと向かっていると、ふっと私の右腕を取り肩を貸してくれる人がいた。
「――っ!!」
「タツオミ、お疲れさまでした」
「ジョバンニっ!! 体調が万全ではないのに無理しないでください」
「何を言ってるんですか、今は私よりタツオミの方がずっと辛そうです」
「あ、いえ。ここのところ、稽古をしていなかったもので身体が鈍っていただけですよ」
「それでも血気盛んな騎士たちの訓練をひとりでなさったんです。私でもあれほどの人数を一人ではなかなか厳しいですよ。本当は途中でお手伝いに行こうと思ったんです。でも、団長が……」
「クリスさんがどうかなさったのですか?」
「タツオミが副団長として選ばれたのが救世主というだからではなく、実力だということを見せつけるには一人で最後までやらせる方がいいと仰るので、手出しはできなかったのですよ」
ああ、やはりクリスさんはこの騎士団をまとめる素晴らしい団長だ。
「心配かけてすみません。ですが、そのおかげで皆の信頼は勝ち取れたようですよ」
「私、訓練を見ながらトモキさまのお気持ちがよくわかりました。愛しい伴侶が頑張っている姿を見れば、頑張って! 勝って! と応援したくなりますね。ですから、今回だけは団長が理性を失ったことは不問にしておきました」
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