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番外編
独占したい!
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もういくつか番外編を書いているつもりでしたが、初めてで自分で驚いてます(汗)
久しぶりの二人のお話。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideクリス>
私としたことが……一生の不覚だ。訓練中に足を捻挫するとはな。
団長として気が緩んでいると言われても仕方がない。
「団長。無理はせずに医務室に行かれた方がいいですよ。こう言うのは早く治しておかないと癖になりますから。私が医務室まで付き添います」
「ああ、ありがとう。だが、そこまでひどくはないから一人でも大丈夫だ。部下たちを放っては置けないからな。医務室に行ったらジョバンニに代わりにこちらに行くように指示を出しておくからあとは頼むよ」
「――っ、はい。お任せください!」
タツオミは正直だな。私に付き添うと言ってくれるのは優しさももちろんあっただろうが、ジョバンニの顔を見たいからという理由もあっただろう。だからジョバンニをこちらによこすと提案したのだが、その瞬間タツオミの表情が緩んだ。まぁ、いつも頑張ってくれているからこういう時間があってもいいだろう。
痛めた足に負担をかけないように、訓練場をでて医務室に向かった。
医務室の扉を開けると、
「えっ? クリスさん? どうしたんですか?」
と白衣姿のトモキに出迎えられた。
「え、いや。軽く左足を捻挫したようだ。それよりどうして智己が白衣を?」
突然の見慣れない白衣姿のトモキに驚きつつも、いつもとは違う姿になんとも興奮する。ああ、なんて白衣がよく似合うんだろう。可愛くて見惚れてしまうな。
「今日は実習でニコラス先生の助手ということで怪我人が来たら僕がお世話をすることになってたんです。でも今日は誰も怪我人が来ないから優秀な日だねって話してたところだったんですよ」
実習か。今まではみているだけだったが、今日は実際にトモキが手当てをするのだな。
午前中は筋力トレーニングを兼ねた訓練だったから怪我をすることはなかったが、血が出るような怪我人が出るとしたらこの後の訓練だろう。騎士たちの誰かが怪我をして私を差し置いてトモキの世話になっていたかと思うと腹が立っていただろうから、この捻挫はある意味幸運だったのかもしれない。
「そうだったのか。トモキの手を煩わせて申し訳ないな」
「そんなことないです。クリスさんのお世話ができるんですよ、お医者さんの勉強をしてよかったです。あ、無理しないでここに座ってください」
ずっと立ちっぱなしだったことを気にして椅子に座らせてくれた。
視線の奥に笑顔のジョバンニとニコラスの姿が見える。
「ジョバンニ。悪いが、私の代わりに訓練場に行ってくれないか?」
「えっ? 私が行ってもよろしいのですか?」
「ああ。 流石に午後の訓練を全てタツオミ一人でやるのは大変だろうからな。私は手当をしてもらったら代わりに事務仕事をやっておこう」
ジョバンニは私の意図に気づいたのか、すぐに了承して医務室を出て行った。これでお互いにいい時間が過ごせるだろう。
「じゃあちょっと患部を見てみますね」
目の前の椅子に座ったトモキは私の足を持ち上げると膝に乗せて靴を脱がせ始めた。
「ああ、靴が汚れているから自分でするよ」
「いいんです。これも大切な仕事ですから。靴を脱ぐときに捻挫を酷くすることもあるんですよ」
そう言われれば反論もできない。
訓練の最中だったし、汗もかいている。トモキに臭いなんて思われたらという不安が込み上げるが、トモキは嫌がるそぶりを見せずに靴と靴下を脱がせてくれた。
「少し腫れてますね。でも骨には異常はなさそうです。ここはどうですか? 痛みますか?」
「ああ、少し痛むが堪えられないほどではない」
「クリスさんは無理をしがちなので痛い時は痛いと言ってくれていいんですよ」
「ははっ。そうだな」
きっと最初の出会いのことを言ったんだろう。あの時はかなりの深いダメージを負っていたが隠していたら怒られたのだったな。そんなに昔の話ではないが懐かしく感じる。
「ニコラス先生、軽い捻挫だと思いますが湿布を貼る処置でいいですか?」
トモキの声にニコラスが近寄って私の足を見る。
「ええ。よろしいですよ」
湿布と包帯を渡しながらニコラスが言うと、トモキはホッとしたように笑顔を見せた。
きっと自分の診断が当たっていて嬉しかったのだろう。
「じゃあ処置していきますね」
智己の手が私の患部に触れ、優しく湿布を貼ってくれ、上から包帯を巻いてくれる。
その手際の良さにニコラスも目を丸くしていた。
「本当にお上手ですね。緩みもなく、きつくもなく、合格です」
「わぁ、ありがとうございます!」
ニコラスとの関係も気になっていたが、いい師弟関係が築けているようだな。
普段はジョバンニもいるし安心だ。
「これから二日は無理しないようにしてくださいね。その間はちゃんと僕がお世話しますから」
「ああ。頼むよ」
処置を終え、私はジョバンニがしていた事務仕事に取り掛かった。
久々の事務仕事に悪戦苦闘していると時々トモキがやってきてこれはこうですよと教えてくれる。
トモキは医師としても文官としてもかなり優秀なようだ。
午後の訓練が始まり、怪我人が医務室にやってきたが、その度にトモキに声をかけて世話をお願いすると、ニコラスは呆れた表情を見せながらもトモキにやらせることはなかった。
そのおかげでトモキを独占できたのだが、後でジョバンニに
「実習になりませんよ!」
と怒られたのは言うまでもない。
久しぶりの二人のお話。楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<sideクリス>
私としたことが……一生の不覚だ。訓練中に足を捻挫するとはな。
団長として気が緩んでいると言われても仕方がない。
「団長。無理はせずに医務室に行かれた方がいいですよ。こう言うのは早く治しておかないと癖になりますから。私が医務室まで付き添います」
「ああ、ありがとう。だが、そこまでひどくはないから一人でも大丈夫だ。部下たちを放っては置けないからな。医務室に行ったらジョバンニに代わりにこちらに行くように指示を出しておくからあとは頼むよ」
「――っ、はい。お任せください!」
タツオミは正直だな。私に付き添うと言ってくれるのは優しさももちろんあっただろうが、ジョバンニの顔を見たいからという理由もあっただろう。だからジョバンニをこちらによこすと提案したのだが、その瞬間タツオミの表情が緩んだ。まぁ、いつも頑張ってくれているからこういう時間があってもいいだろう。
痛めた足に負担をかけないように、訓練場をでて医務室に向かった。
医務室の扉を開けると、
「えっ? クリスさん? どうしたんですか?」
と白衣姿のトモキに出迎えられた。
「え、いや。軽く左足を捻挫したようだ。それよりどうして智己が白衣を?」
突然の見慣れない白衣姿のトモキに驚きつつも、いつもとは違う姿になんとも興奮する。ああ、なんて白衣がよく似合うんだろう。可愛くて見惚れてしまうな。
「今日は実習でニコラス先生の助手ということで怪我人が来たら僕がお世話をすることになってたんです。でも今日は誰も怪我人が来ないから優秀な日だねって話してたところだったんですよ」
実習か。今まではみているだけだったが、今日は実際にトモキが手当てをするのだな。
午前中は筋力トレーニングを兼ねた訓練だったから怪我をすることはなかったが、血が出るような怪我人が出るとしたらこの後の訓練だろう。騎士たちの誰かが怪我をして私を差し置いてトモキの世話になっていたかと思うと腹が立っていただろうから、この捻挫はある意味幸運だったのかもしれない。
「そうだったのか。トモキの手を煩わせて申し訳ないな」
「そんなことないです。クリスさんのお世話ができるんですよ、お医者さんの勉強をしてよかったです。あ、無理しないでここに座ってください」
ずっと立ちっぱなしだったことを気にして椅子に座らせてくれた。
視線の奥に笑顔のジョバンニとニコラスの姿が見える。
「ジョバンニ。悪いが、私の代わりに訓練場に行ってくれないか?」
「えっ? 私が行ってもよろしいのですか?」
「ああ。 流石に午後の訓練を全てタツオミ一人でやるのは大変だろうからな。私は手当をしてもらったら代わりに事務仕事をやっておこう」
ジョバンニは私の意図に気づいたのか、すぐに了承して医務室を出て行った。これでお互いにいい時間が過ごせるだろう。
「じゃあちょっと患部を見てみますね」
目の前の椅子に座ったトモキは私の足を持ち上げると膝に乗せて靴を脱がせ始めた。
「ああ、靴が汚れているから自分でするよ」
「いいんです。これも大切な仕事ですから。靴を脱ぐときに捻挫を酷くすることもあるんですよ」
そう言われれば反論もできない。
訓練の最中だったし、汗もかいている。トモキに臭いなんて思われたらという不安が込み上げるが、トモキは嫌がるそぶりを見せずに靴と靴下を脱がせてくれた。
「少し腫れてますね。でも骨には異常はなさそうです。ここはどうですか? 痛みますか?」
「ああ、少し痛むが堪えられないほどではない」
「クリスさんは無理をしがちなので痛い時は痛いと言ってくれていいんですよ」
「ははっ。そうだな」
きっと最初の出会いのことを言ったんだろう。あの時はかなりの深いダメージを負っていたが隠していたら怒られたのだったな。そんなに昔の話ではないが懐かしく感じる。
「ニコラス先生、軽い捻挫だと思いますが湿布を貼る処置でいいですか?」
トモキの声にニコラスが近寄って私の足を見る。
「ええ。よろしいですよ」
湿布と包帯を渡しながらニコラスが言うと、トモキはホッとしたように笑顔を見せた。
きっと自分の診断が当たっていて嬉しかったのだろう。
「じゃあ処置していきますね」
智己の手が私の患部に触れ、優しく湿布を貼ってくれ、上から包帯を巻いてくれる。
その手際の良さにニコラスも目を丸くしていた。
「本当にお上手ですね。緩みもなく、きつくもなく、合格です」
「わぁ、ありがとうございます!」
ニコラスとの関係も気になっていたが、いい師弟関係が築けているようだな。
普段はジョバンニもいるし安心だ。
「これから二日は無理しないようにしてくださいね。その間はちゃんと僕がお世話しますから」
「ああ。頼むよ」
処置を終え、私はジョバンニがしていた事務仕事に取り掛かった。
久々の事務仕事に悪戦苦闘していると時々トモキがやってきてこれはこうですよと教えてくれる。
トモキは医師としても文官としてもかなり優秀なようだ。
午後の訓練が始まり、怪我人が医務室にやってきたが、その度にトモキに声をかけて世話をお願いすると、ニコラスは呆れた表情を見せながらもトモキにやらせることはなかった。
そのおかげでトモキを独占できたのだが、後でジョバンニに
「実習になりませんよ!」
と怒られたのは言うまでもない。
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