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友人で良かった
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アヤシロとの会食は楽しいがあまり長居すると明日が辛くなる。
フランスまでは12時間はかかるからな。
ユヅルにとっては初めてのフライトだろうから万全にしてやりたい。
アヤシロたちとはまたフランスでも会えそうだし、今日のところはこれでお開きにしよう。
さっきのホテルの宿泊日程が決まったら部屋を押さえておくから連絡してくれというと、アヤシロは詳細はメールで送ってくれると言ってくれた。
フランスに帰れば、しばらくユヅルとの時間を持つつもりだとわかってくれているのだろう。
本当にアヤシロは気が利く男だ。
「ロレーヌ、彼と幸せに。弓弦くんも新しい生活は大変だろうが、どんなに些細なことでもロレーヌに相談するように。決して一人で悩んだりしたらダメだぞ」
ユヅルは私に迷惑をかけないようにと一人で悩んでしまうところがある。
そんなユヅルの性格をアヤシロはこの短時間で見抜いたようだ。
ああ、さすがだな。
そのアヤシロの言葉にケイトくんは
「直己さん、大丈夫ですよ。弓弦くん、ロレーヌさんのことものすごく信頼してますから、なんでも話し合ういいカップルですよ」
と優しい言葉をユヅルにかけてあげている。
本当にこの二人は素晴らしい夫夫だな。
ユヅルは嬉しそうに笑顔を見せながら、二人にお礼の言葉を言う。
最初緊張していたのが嘘のように打ち解けているのを見ると、今日二人に紹介して本当に良かったなと思う。
ユヅルの交流関係を広くできたことに嬉しくなりながら、ユヅルの手をとって部屋を出ようとしたその時、ケイトくんがユヅルに声をかけた。
メッセージアプリのIDを交換しようと言われて、ユヅルは一気に嬉しそうな表情になる。
そういえば、メッセージを交換するような友達はいなかったみたいだからな。
ユヅルはスマホのアプリを立ち上げ、画面を見てハッと息を呑んだ。
何事かと思って画面を覗き込めば、そこにはアマネからのメッセージがあった。
私がユヅルと出会った日の0時ぴったりに届いたアマネからのメッセージには、ユヅルへの愛が目一杯込められていた。
ユヅルはその日からのことを思い出したのだろう。
涙を潤ませその画面から目を逸らすことができずにいる。
ユヅルの姿にケイトくんが心配して声をかけると、必死に平静を装うとしている。
そんなユヅルに無理しなくていいと抱きしめると、ユヅルは涙を流し、アマネへの思いを我々に伝えてくれた。
ケイトくんはユヅルの話を真剣な表情で聞いていると思ったら、どうやら彼も両親を亡くしているようだ。
同じ痛みを分かち合うもの同士、きっと二人は私とアヤシロ以上の親友になるだろうな。
ケイトくんがユヅルに
「弓弦くんも毎日が楽しい日を過ごせるように前を向いていこうね。きっとご両親もその方が喜ぶはずだよ」
と声をかける。
彼もきっと前を向けるまでにかなりの時間を要したことだろう。
ユヅルもアマネを思い出し、きっと寂しくなることがあるはずだ。
その時はいつでも私がそばにいる。
ユヅルの悲しみも全て共有してやるからな。
ユヅルとケイトくんの間に固い友情が結ばれ、その証のように再びIDを交換し始めた。
私とアヤシロは、楽しそうにIDを交換する二人の様子を少し離れて見つめていたが、
「ロレーヌ、彼のスマホにGPSは入れているか?」
と尋ねられた。
「いや、あのスマホは元からユヅルが持っていたもので私はまだ何も関与していないんだ」
「そうか。それは心配だろう? 良かったらこのGPSアプリをインストールしておくといい。ロレーヌのスマホと同期させればいつでも弓弦くんがどこの家のどの部屋にいるかまでピンポイントで見つけられるぞ。しかも、弓弦くんのスマホの電源が切れててもわかる仕様になっている」
「それはすごいな!」
「ああ、これは世の中には出回っていないアプリだからな、良かったら使ってくれ。俺はもちろんあの友人たちも可愛い恋人のスマホに入れているぞ」
「助かるよ、アヤシロ。もしよければセルジュにもこのアプリを教えてもいいか? もちろん金は出す」
「ふふっ。もちろんセルジュさんも使ってくれて構わないよ。金なんて気にしないでくれ。俺は佳都が気に入っている弓弦くんを守りたいだけだからさ」
「アヤシロ……君の友人でよかったよ。ありがとう。フランス滞在時は思いっきりもてなすから楽しみにしていてくれ」
「いいのか?」
「ああ、もちろん」
「じゃあ、楽しみにしてるよ」
アヤシロと固く握手を交わし、ケイトくんとの別れを名残惜しそうにしているユヅルを連れホテルへと戻った。
フランスまでは12時間はかかるからな。
ユヅルにとっては初めてのフライトだろうから万全にしてやりたい。
アヤシロたちとはまたフランスでも会えそうだし、今日のところはこれでお開きにしよう。
さっきのホテルの宿泊日程が決まったら部屋を押さえておくから連絡してくれというと、アヤシロは詳細はメールで送ってくれると言ってくれた。
フランスに帰れば、しばらくユヅルとの時間を持つつもりだとわかってくれているのだろう。
本当にアヤシロは気が利く男だ。
「ロレーヌ、彼と幸せに。弓弦くんも新しい生活は大変だろうが、どんなに些細なことでもロレーヌに相談するように。決して一人で悩んだりしたらダメだぞ」
ユヅルは私に迷惑をかけないようにと一人で悩んでしまうところがある。
そんなユヅルの性格をアヤシロはこの短時間で見抜いたようだ。
ああ、さすがだな。
そのアヤシロの言葉にケイトくんは
「直己さん、大丈夫ですよ。弓弦くん、ロレーヌさんのことものすごく信頼してますから、なんでも話し合ういいカップルですよ」
と優しい言葉をユヅルにかけてあげている。
本当にこの二人は素晴らしい夫夫だな。
ユヅルは嬉しそうに笑顔を見せながら、二人にお礼の言葉を言う。
最初緊張していたのが嘘のように打ち解けているのを見ると、今日二人に紹介して本当に良かったなと思う。
ユヅルの交流関係を広くできたことに嬉しくなりながら、ユヅルの手をとって部屋を出ようとしたその時、ケイトくんがユヅルに声をかけた。
メッセージアプリのIDを交換しようと言われて、ユヅルは一気に嬉しそうな表情になる。
そういえば、メッセージを交換するような友達はいなかったみたいだからな。
ユヅルはスマホのアプリを立ち上げ、画面を見てハッと息を呑んだ。
何事かと思って画面を覗き込めば、そこにはアマネからのメッセージがあった。
私がユヅルと出会った日の0時ぴったりに届いたアマネからのメッセージには、ユヅルへの愛が目一杯込められていた。
ユヅルはその日からのことを思い出したのだろう。
涙を潤ませその画面から目を逸らすことができずにいる。
ユヅルの姿にケイトくんが心配して声をかけると、必死に平静を装うとしている。
そんなユヅルに無理しなくていいと抱きしめると、ユヅルは涙を流し、アマネへの思いを我々に伝えてくれた。
ケイトくんはユヅルの話を真剣な表情で聞いていると思ったら、どうやら彼も両親を亡くしているようだ。
同じ痛みを分かち合うもの同士、きっと二人は私とアヤシロ以上の親友になるだろうな。
ケイトくんがユヅルに
「弓弦くんも毎日が楽しい日を過ごせるように前を向いていこうね。きっとご両親もその方が喜ぶはずだよ」
と声をかける。
彼もきっと前を向けるまでにかなりの時間を要したことだろう。
ユヅルもアマネを思い出し、きっと寂しくなることがあるはずだ。
その時はいつでも私がそばにいる。
ユヅルの悲しみも全て共有してやるからな。
ユヅルとケイトくんの間に固い友情が結ばれ、その証のように再びIDを交換し始めた。
私とアヤシロは、楽しそうにIDを交換する二人の様子を少し離れて見つめていたが、
「ロレーヌ、彼のスマホにGPSは入れているか?」
と尋ねられた。
「いや、あのスマホは元からユヅルが持っていたもので私はまだ何も関与していないんだ」
「そうか。それは心配だろう? 良かったらこのGPSアプリをインストールしておくといい。ロレーヌのスマホと同期させればいつでも弓弦くんがどこの家のどの部屋にいるかまでピンポイントで見つけられるぞ。しかも、弓弦くんのスマホの電源が切れててもわかる仕様になっている」
「それはすごいな!」
「ああ、これは世の中には出回っていないアプリだからな、良かったら使ってくれ。俺はもちろんあの友人たちも可愛い恋人のスマホに入れているぞ」
「助かるよ、アヤシロ。もしよければセルジュにもこのアプリを教えてもいいか? もちろん金は出す」
「ふふっ。もちろんセルジュさんも使ってくれて構わないよ。金なんて気にしないでくれ。俺は佳都が気に入っている弓弦くんを守りたいだけだからさ」
「アヤシロ……君の友人でよかったよ。ありがとう。フランス滞在時は思いっきりもてなすから楽しみにしていてくれ」
「いいのか?」
「ああ、もちろん」
「じゃあ、楽しみにしてるよ」
アヤシロと固く握手を交わし、ケイトくんとの別れを名残惜しそうにしているユヅルを連れホテルへと戻った。
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