大富豪ロレーヌ総帥の初恋

波木真帆

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子猫たちの戯れ

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シュウゴたちと楽しそうに話すのを邪魔したくなくて、公園の中は少し離れていたが道路に出ればそうもいかない。

可愛いユヅルたちだけで並んで歩いていれば、よからぬものが近寄ってきてトラブルになってしまう。
もちろん周りは警備隊に囲まれているから、ユヅルたちに近づくことなどできないが、そもそも火種になるようなことをしない方がいい。

公園を出る前にユヅルを抱き寄せて、コートの中に入れると、

「ふふっ。こうしているとやっぱりあったかいですね」

と嬉しそうに笑ってくれる。

お互いに幸せの温もりを感じながら、エッフェル塔への道を歩き進めた。


エッフェル塔の全体が綺麗に見渡せる広場に到着すると、ユヅルたちはその美しさに感嘆の声を上げた。

ユヅルやリオ、ソラならともかく、シュウゴやケイトまでこんなにも喜んでくれるとは思わなかったな。

なんせ、日本には高い塔が東京だけでも二つ。
それだけでなく日本中至る所に大きな塔が建っているのだからそこまで珍しいものではないと思ったが、よく見てみれば、一番はしゃいでいるのはシュウゴとケイトのようだ。

綺麗だねと言い合っているユヅルたちの隣で、スマホで何度も写真を撮っている。

本当に意外だったな。

リュカが入場チケットを取りに行ってくれている間、ユヅルたちが芝生広場で戯れているのを見ながらスオウに話しかけた。

『パリには何度か来ているのではなかったか? シュウゴはそんなにエッフェル塔が好きなのか?』

『そうですね、エッフェル塔にも何度か上っているんですが、いつも夜になっていて……こんなに明るい時間に立ち寄るのは初めてなので少しはしゃいでいるのかもしれないですね。昼間は美術館に行ったり、母親たちに連れられて買い物に行ったり、だから自然とエッフェル塔は観光の最終地点みたいになっていて……』

『ああ、なるほど。そういうことか。確かに美術館は夜は開いていないからな』

『はい。それに……秀吾はいつも写真を撮られる方なんで、きっと嬉しいんでしょう。家族旅行で秀吾は一番年下なので、みんな甘やかしまくりで何もさせないですから』

『ははっ。わかる気がするな』

ユヅルたちと同じ時間を過ごして、もうすっかり兄のように振舞ってくれている。
一人っ子だと言っていたし、幼い頃からスオウや家族に溺愛されていたのだから、今のこの環境が楽しくて仕方がないのかもしれないな。

ケイトがユヅルに写真を撮ろうと声をかけるのが聞こえる。

ユヅルは嬉しそうにその誘いに乗り、リオたちと並んで撮ったり、逆に写真を撮ってあげたりしている。
こういうことをしたことがなかったのだろう。
本当に楽しそうだ。

お揃いのコートに身を包み、はしゃいでるユヅルたちを見ているだけで我慢できなくなったのだろう。
アヤシロがスマホを片手にユヅルたちを集める。

それを見た瞬間、示し合わせたように私たちもアヤシロの周りに集まり、スマホを取り出した。
可愛いつまたちの集合写真だ。
もちろん、我々は自分の夫にしか目に入っていないが、旅の思い出として、集合写真を撮るのはいいことだ。

ちょうどチケットを取って戻ってきたリュカもユヅルたちの輪に入り写真を撮る。

それをジュルジュが嬉しそうに何枚も撮っているのが印象的だった。

写真撮影も一段落して、そろそろ行こうかと声をかけユヅルを抱きかかえる。

先ほどの凱旋門同様に外国人も多いこの地域は、スリやひったくりなどの犯罪も悲しいことだが多い。
警備隊の目を掻い潜ってユヅルたちに近づくのは可能性としては0だが、用心に越したことはない。

案の定、歩けると言い出したユヅルを説得させるために、リオの名を出したが、その効果は覿面。
リオに体力がなく、疲れさせてはいけないとわかっているユヅルはリオのためにも私の腕に留まってくれた。
ユヅルを見てリオやソラたちも皆、大人しく抱きかかえられていた。

みんなが抱きかかえられていれば、恥ずかしいと思う気持ちも軽減されるのだろう。
大人数で出かけるのはこれができていい。

エッフェル塔への入場はパリ警視庁からの要請で規制を張っているから、我々だけでゆっくりと回ることができる。
なんせ、エッフェル塔の展望エリアの通路は狭いところが多いから、一般客と一緒では警備上に問題が出るためだ。
私としてもユヅルたちを守るためのものはありがたい。

二時間後に一時間半ほど規制をかけているから、それまでは食事をして待っているスケジュールになっている。

エッフェル塔の入り口とは違う方向に足を進めていると、ユヅルにどこに行くのかと尋ねられた。

楽しくて昼食時間だということを忘れているのだろう。
先に昼食にしようと話をすると、ユヅルの腹から可愛い音が響いた。

その音にユヅルは恥ずかしそうにしていたが、私には可愛いとしか思えない。

「じゃあ、すぐにユヅルのお腹にご飯を食べさせてやろう」

そう言って、レストランに足を進めた。
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