117 / 177
心に刺さるもの
しおりを挟む
美術館の入り口には大勢の人が並んでいるのが見える。
この美術館には四ヶ所の入り口が存在するが、このガラスのピラミッド入り口から入場したいという観光客が多く、ここは時間を問わずいつでも並んでいる。
まぁ、混んでいるのはチケットを買い求めるためというよりは厳重なセキュリティチェックがあるためと言っても過言ではない。
私を含めロレーヌ一族はこの美術館に今まで多くの美術品を寄贈してきたという功績もあり、チケット購入する必要もない。
またジョルジュたち警備隊を同行しているため、セキュリティチェックも同様に必要がない。
これは私たちの同行者であるアヤシロたちも同じだ。
そのことをユヅルやミヅキたちに告げると、驚きつつも
「価値のある美術品を寄贈だなんて素晴らしいですね」
と言ってくれた。
ロレーヌ家で代々受け継いでいく家宝は我が家で大事に保管するしかないが、他の美術品は多くの目に触れてこそ価値がある。
その思いを持ってきた祖先たちの気持ちを私も受け継いでいくだけだが、改めてミヅキに褒められるとなんだか嬉しくなる。
おそらく私も含めてロレーヌ家の祖先たちに敬意を払ってくれたことが嬉しかったのかもしれない。
車を降りる時はもちろんジョルジュとリュカたちから。
安全を確認してから、ミヅキたち、そして最後に私とユヅルが車から降りる。
ここは今までの比ではないくらい、一般人たちとの距離が近くなる。
その証拠に車から降りた途端、夥しい視線が注がれる。
ユヅルはその視線に少し怯えているように見えて、コートの中にいれ抱きしめるとユヅルの方からもギュッと抱きついてくれた。
ふふっ。これでいい。
みれば、ミヅキのコートの中にもリオの姿が見える。
ここが一番安心安全にいられる場所だからな。
後ろの車から降りてきたユウキとアヤシロもコートの中に愛しい伴侶をいれている。
やはりそれが一番安全なのだ。
流石にセルジュとスオウはしていないようだが、ピッタリと身体に寄り添わせて見せつけているのが、周りへのいい牽制になっているようだ。
リュカの案内でガラスのピラミッドを通り、セキュリティチェックの列も通過して、まず最初に見せたい場所に向かう。
世界的な名画 モナ・リザだ。
教科書で見たのとおんなじだ! と声をあげるリオ。
すごーい! と感嘆の声をあげ続けるソラ。
やはり初めて観た時の反応はこれに尽きる。
ユヅルも感嘆の声をあげたまま、じっと絵から目を離さずに見入っている。
ああ、これがユヅルの心に刺さったのか。
それならじっくりと心行くまで観させておこう。
元々みんなとはここで別行動の予定だったし問題ない。
私はユヅルが目と心にその絵を焼き付ける間、ずっとそのユヅルの姿を見つめていた。
ユヅルの新たな一面が見られたな。
今日はこれだけでここにきた甲斐があったというものだ。
しばらく鑑賞していたユヅルは私に長時間付き合わせたことに謝罪してきたが、謝ることなど何もない。
私はユヅルのそばにいられたらそれでいいのだから。
たっぷりとモナ・リザを鑑賞し、その後はいろいろな絵を観に行く。
とはいえ、この美術館は広い。
どの絵にもたっぷりと時間をかけて鑑賞しようとすれば数日は平気でかかるだろう。
とりあえず今日は主要なものだけを鑑賞して回ることにした。
ニコラも絵を観るのが好きだった。
ふふっ。やはり親子なのだな。
ふとした瞬間にニコラとやはり親子なのだと感じさせられる。
今度は早朝にでも一緒に観にこようと約束をして、アヤシロたちとの集合場所に戻る。
朝から精力的に動いたユヅルは相当疲れたことだろう。
ユヅルを抱き上げて出口まで戻っている間に、ユヅルはすっかり眠ってしまっていた。
腕の中で安心したように眠るユヅルをみて微笑ましく思いながら、出口への道を急いだ。
『ユヅルくん、眠ったのか?』
『ああ、それほど真剣に絵を観ていたのだろうな』
『確かに。最初身動き一つせずにモナ・リザに釘付けになっていたから驚いたよ』
『あの絵はアマネも好きだったようだよ』
『そうなのか?』
『ああ、ニコラが話していた。初めて美術館に行った時、アマネがじっとあの絵を見入っていたって。だからユヅルもそうじゃないかと思っていたんだ』
『そうか、だから先に観せに行ったんだな?』
『ああ。だから、今日観せて回ったのはニコラとアマネが好きだと聞いたものばかりだよ』
きっと家族で一緒に回ったように思えただろう。
今日はいい思い出になってよかったな。
この美術館には四ヶ所の入り口が存在するが、このガラスのピラミッド入り口から入場したいという観光客が多く、ここは時間を問わずいつでも並んでいる。
まぁ、混んでいるのはチケットを買い求めるためというよりは厳重なセキュリティチェックがあるためと言っても過言ではない。
私を含めロレーヌ一族はこの美術館に今まで多くの美術品を寄贈してきたという功績もあり、チケット購入する必要もない。
またジョルジュたち警備隊を同行しているため、セキュリティチェックも同様に必要がない。
これは私たちの同行者であるアヤシロたちも同じだ。
そのことをユヅルやミヅキたちに告げると、驚きつつも
「価値のある美術品を寄贈だなんて素晴らしいですね」
と言ってくれた。
ロレーヌ家で代々受け継いでいく家宝は我が家で大事に保管するしかないが、他の美術品は多くの目に触れてこそ価値がある。
その思いを持ってきた祖先たちの気持ちを私も受け継いでいくだけだが、改めてミヅキに褒められるとなんだか嬉しくなる。
おそらく私も含めてロレーヌ家の祖先たちに敬意を払ってくれたことが嬉しかったのかもしれない。
車を降りる時はもちろんジョルジュとリュカたちから。
安全を確認してから、ミヅキたち、そして最後に私とユヅルが車から降りる。
ここは今までの比ではないくらい、一般人たちとの距離が近くなる。
その証拠に車から降りた途端、夥しい視線が注がれる。
ユヅルはその視線に少し怯えているように見えて、コートの中にいれ抱きしめるとユヅルの方からもギュッと抱きついてくれた。
ふふっ。これでいい。
みれば、ミヅキのコートの中にもリオの姿が見える。
ここが一番安心安全にいられる場所だからな。
後ろの車から降りてきたユウキとアヤシロもコートの中に愛しい伴侶をいれている。
やはりそれが一番安全なのだ。
流石にセルジュとスオウはしていないようだが、ピッタリと身体に寄り添わせて見せつけているのが、周りへのいい牽制になっているようだ。
リュカの案内でガラスのピラミッドを通り、セキュリティチェックの列も通過して、まず最初に見せたい場所に向かう。
世界的な名画 モナ・リザだ。
教科書で見たのとおんなじだ! と声をあげるリオ。
すごーい! と感嘆の声をあげ続けるソラ。
やはり初めて観た時の反応はこれに尽きる。
ユヅルも感嘆の声をあげたまま、じっと絵から目を離さずに見入っている。
ああ、これがユヅルの心に刺さったのか。
それならじっくりと心行くまで観させておこう。
元々みんなとはここで別行動の予定だったし問題ない。
私はユヅルが目と心にその絵を焼き付ける間、ずっとそのユヅルの姿を見つめていた。
ユヅルの新たな一面が見られたな。
今日はこれだけでここにきた甲斐があったというものだ。
しばらく鑑賞していたユヅルは私に長時間付き合わせたことに謝罪してきたが、謝ることなど何もない。
私はユヅルのそばにいられたらそれでいいのだから。
たっぷりとモナ・リザを鑑賞し、その後はいろいろな絵を観に行く。
とはいえ、この美術館は広い。
どの絵にもたっぷりと時間をかけて鑑賞しようとすれば数日は平気でかかるだろう。
とりあえず今日は主要なものだけを鑑賞して回ることにした。
ニコラも絵を観るのが好きだった。
ふふっ。やはり親子なのだな。
ふとした瞬間にニコラとやはり親子なのだと感じさせられる。
今度は早朝にでも一緒に観にこようと約束をして、アヤシロたちとの集合場所に戻る。
朝から精力的に動いたユヅルは相当疲れたことだろう。
ユヅルを抱き上げて出口まで戻っている間に、ユヅルはすっかり眠ってしまっていた。
腕の中で安心したように眠るユヅルをみて微笑ましく思いながら、出口への道を急いだ。
『ユヅルくん、眠ったのか?』
『ああ、それほど真剣に絵を観ていたのだろうな』
『確かに。最初身動き一つせずにモナ・リザに釘付けになっていたから驚いたよ』
『あの絵はアマネも好きだったようだよ』
『そうなのか?』
『ああ、ニコラが話していた。初めて美術館に行った時、アマネがじっとあの絵を見入っていたって。だからユヅルもそうじゃないかと思っていたんだ』
『そうか、だから先に観せに行ったんだな?』
『ああ。だから、今日観せて回ったのはニコラとアマネが好きだと聞いたものばかりだよ』
きっと家族で一緒に回ったように思えただろう。
今日はいい思い出になってよかったな。
192
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる