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ユヅルを愛するものたち
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私たち以外はもう車に乗っているだろう。
車の停車場に足を進めると、突然前方の車の後部座席の扉が開き、コートも着ないままのリオがユヅルの名前を呼びながら飛び出してきた。
あれほど一人になるのを怖がっていたはずのリオの突然の行動に驚かされる。
もちろん、車の周りには警備隊を配備しているし、その後すぐにミヅキも出てきたから、リオに何かあることは絶対にないが、リオはそれを知らない。
知らずにユヅルのことをただ純粋に心配して飛び出してきたのだ。
リオがどれほどユヅルを思ってくれているのかがわかる。
きっと後方の車ではリオが飛び出していったのを見て、ユウキやアヤシロがソラとケイトが飛び出して行かないように抱きしめたことだろう。
それくらいにユヅルはみんなから愛されている。
ニコラ、アマネ……ユヅルには愛してくれる人がたくさんできたぞ。
ふふっ。私がそう言わなくてもきっとこれもずっと見てくれているのだろうな。
後ろからやってきたミヅキがリオを抱きしめて、自分のコートに入れる。
私はそっとミヅキに目で謝罪の意を示したが、ミヅキはニコリと笑って、
「弓弦くんのことを心配していたから、なんともなくてよかった」
とユヅルに優しい言葉をかけてくれた。
リオにもミヅキにも感謝しかないな。
車に乗り込んだが、さっきのことがどうにも忘れられずユヅルと離れがたくて、抱きかかえたまま座った。
最初こそ遠慮していたユヅルだったが、
「じゃあ、もっとぎゅってしてください」
と可愛い言葉をかけてくれる。
ああ、私は幸せ者だな。
「わぁ、だいぶ暗くなったからイルミネーションが綺麗に見える!! ほら、理央くんみえる? リュカもみてー!」
すっかり元気を取り戻したユヅルが声をあげると、リオを抱きかかえたままミヅキが移動してくる。
リュカもすっかり友人の表情でユヅルの近くで笑顔を見せる。
ユヅルと出会うまでは警備隊としてのリュカしかあまり見たことがなかったから、ジョルジュからリュカにも可愛いところがあると惚気られてもあまりピンとこなかったが、ユヅルたちと過ごしているリュカを見ているとジョルジュの言葉がようやく理解できた。
年齢が違っても親しい友人にはなれるものだな。
それもユヅルの人柄かもしれない。
普段は薄暗いパリの夜景もこの時期は煌めくイルミネーションがあちらこちらで見られて、なんとも美しい。
ユヅルたちのテンションが上がるのもわかる。
可愛い子猫たちが窓の外に釘付けになるのを見ながら、私とミヅキ、そしてジョルジュは笑顔を見合わせた。
クリスマスが終わっても、年末まで開催されるクリスマスマーケットには大勢の人が集まっている。
ここではそれぞれが自分の愛しい伴侶を守ることが重要だ。
もちろん警備隊も配備するが、決して一人にはさせてはいけない。
ここではユヅルを抱きかかえるからと伝えると、ユヅルも前回の人混みの多さを覚えてくれていたようですぐに納得してくれた。
ああ、本当にユヅルはいい子だ。
リオはミヅキの腕にしっかりと抱えられている。
以前迷子になって怖かった経験があるらしい。
そんな記憶があれば人混みが恐ろしくなるのも無理はない。
だが、ミヅキにとっては安心だろうな。
リオはその時のことを詳細にユヅルに伝え始めた。
そのあまりにもリアルな体験にユヅルの身体が震えている。
きっと自分なら……と想像してしまったのだろう。
その日はミヅキはリオと離れて、シュウゴとスオウにリオを任せていたらしい。
だがリオがいなくなったことを知って慌てて駆けつけたのだろう。
「あれ? でもどうして理央くんがいなくなったってわかったんですか?」
ユヅルのそんな素朴な疑問に一瞬ミヅキの目が泳ぐ。
ユヅルの言葉に
「あっ、そういえば……凌也さん、どうしてわかったんですか?」
とリオも疑問の声をあげるが、おそらくミヅキはGPSをつけているからと話していないのだろう。
「ああ、確か周防くんに連絡をもらったんだったな。理央がいなくなったって。それよりも、理央は鳴宮教授と緑川教授にもお土産買っていくんだろう? おしゃべりもいいがプレゼントを探した方がいいんじゃないか?」
慌てながらも冷静に話題をすり替えたが、素直なリオとユヅルはもうプレゼント探しに夢中のようだ。
ふふっ。さすがだな。
きっと後でスオウに話を合わせるように言うのだろう。
可愛い子猫たちを守るために裏で画策していることは知らなくていいことだからな。
それにしてもミヅキがリオにつけているGPSの優秀さが際立ったということか。
ユヅルにも新たに増やしてもいいかもしれないな。
車の停車場に足を進めると、突然前方の車の後部座席の扉が開き、コートも着ないままのリオがユヅルの名前を呼びながら飛び出してきた。
あれほど一人になるのを怖がっていたはずのリオの突然の行動に驚かされる。
もちろん、車の周りには警備隊を配備しているし、その後すぐにミヅキも出てきたから、リオに何かあることは絶対にないが、リオはそれを知らない。
知らずにユヅルのことをただ純粋に心配して飛び出してきたのだ。
リオがどれほどユヅルを思ってくれているのかがわかる。
きっと後方の車ではリオが飛び出していったのを見て、ユウキやアヤシロがソラとケイトが飛び出して行かないように抱きしめたことだろう。
それくらいにユヅルはみんなから愛されている。
ニコラ、アマネ……ユヅルには愛してくれる人がたくさんできたぞ。
ふふっ。私がそう言わなくてもきっとこれもずっと見てくれているのだろうな。
後ろからやってきたミヅキがリオを抱きしめて、自分のコートに入れる。
私はそっとミヅキに目で謝罪の意を示したが、ミヅキはニコリと笑って、
「弓弦くんのことを心配していたから、なんともなくてよかった」
とユヅルに優しい言葉をかけてくれた。
リオにもミヅキにも感謝しかないな。
車に乗り込んだが、さっきのことがどうにも忘れられずユヅルと離れがたくて、抱きかかえたまま座った。
最初こそ遠慮していたユヅルだったが、
「じゃあ、もっとぎゅってしてください」
と可愛い言葉をかけてくれる。
ああ、私は幸せ者だな。
「わぁ、だいぶ暗くなったからイルミネーションが綺麗に見える!! ほら、理央くんみえる? リュカもみてー!」
すっかり元気を取り戻したユヅルが声をあげると、リオを抱きかかえたままミヅキが移動してくる。
リュカもすっかり友人の表情でユヅルの近くで笑顔を見せる。
ユヅルと出会うまでは警備隊としてのリュカしかあまり見たことがなかったから、ジョルジュからリュカにも可愛いところがあると惚気られてもあまりピンとこなかったが、ユヅルたちと過ごしているリュカを見ているとジョルジュの言葉がようやく理解できた。
年齢が違っても親しい友人にはなれるものだな。
それもユヅルの人柄かもしれない。
普段は薄暗いパリの夜景もこの時期は煌めくイルミネーションがあちらこちらで見られて、なんとも美しい。
ユヅルたちのテンションが上がるのもわかる。
可愛い子猫たちが窓の外に釘付けになるのを見ながら、私とミヅキ、そしてジョルジュは笑顔を見合わせた。
クリスマスが終わっても、年末まで開催されるクリスマスマーケットには大勢の人が集まっている。
ここではそれぞれが自分の愛しい伴侶を守ることが重要だ。
もちろん警備隊も配備するが、決して一人にはさせてはいけない。
ここではユヅルを抱きかかえるからと伝えると、ユヅルも前回の人混みの多さを覚えてくれていたようですぐに納得してくれた。
ああ、本当にユヅルはいい子だ。
リオはミヅキの腕にしっかりと抱えられている。
以前迷子になって怖かった経験があるらしい。
そんな記憶があれば人混みが恐ろしくなるのも無理はない。
だが、ミヅキにとっては安心だろうな。
リオはその時のことを詳細にユヅルに伝え始めた。
そのあまりにもリアルな体験にユヅルの身体が震えている。
きっと自分なら……と想像してしまったのだろう。
その日はミヅキはリオと離れて、シュウゴとスオウにリオを任せていたらしい。
だがリオがいなくなったことを知って慌てて駆けつけたのだろう。
「あれ? でもどうして理央くんがいなくなったってわかったんですか?」
ユヅルのそんな素朴な疑問に一瞬ミヅキの目が泳ぐ。
ユヅルの言葉に
「あっ、そういえば……凌也さん、どうしてわかったんですか?」
とリオも疑問の声をあげるが、おそらくミヅキはGPSをつけているからと話していないのだろう。
「ああ、確か周防くんに連絡をもらったんだったな。理央がいなくなったって。それよりも、理央は鳴宮教授と緑川教授にもお土産買っていくんだろう? おしゃべりもいいがプレゼントを探した方がいいんじゃないか?」
慌てながらも冷静に話題をすり替えたが、素直なリオとユヅルはもうプレゼント探しに夢中のようだ。
ふふっ。さすがだな。
きっと後でスオウに話を合わせるように言うのだろう。
可愛い子猫たちを守るために裏で画策していることは知らなくていいことだからな。
それにしてもミヅキがリオにつけているGPSの優秀さが際立ったということか。
ユヅルにも新たに増やしてもいいかもしれないな。
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