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ミヅキの後悔
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「エヴァンさん、今観月さんなんて言ったの?」
かなり威嚇の強い言葉だったから、ユヅルが理解していなければいいと思っていたから、ホッとした。
少し和らげながら説明しながらも、本当は最初から理解していたはずだというと、ユヅルも賛同した。
リオの発音はかなり拙かったが、理解できない訳ではない。
ただ単純に可愛すぎて耳に入らなかっただけだ。
なんで理解できなかったんだろうと不思議がるユヅルに私は、リオたちがジュールと初めて挨拶をした日のことを例に出した。
日本から来る可愛い客人のために必死で日本語の挨拶を覚えていたジュール。
それだけでも場は和み、楽しい旅行の始まりだと思った瞬間、リオとソラとケイトが可愛らしいフランス語で挨拶をしたのだ。
『ぼんじゅーる、ぱぴー』
『あんしゃんて!』
『じゅ、しー、うーるーどぅぶ、らんこんとれ!』
一生懸命練習してきてくれたのだろう。
少し得意げな表情を見せてくれた彼らはまるで天使そのものに見えた。
それを目の前でまともにくらったジュールはあまりの可愛さに膝から崩れ落ちそうになったところをジョルジュに支えられたのだ。
その様子を思い出したのか、ユヅルは先ほどの店員もジュールと同じ状態になったのだと理解した。
そういえば、ユヅルがここでショコラショーを頼んだ時も同じだったな。
あの時、最後に寒さのせいだと誤魔化したから覚えていなかったのかもしれない。
もし、ユヅルに話をしていたら、リオに初めから店員の様子は気にしないようにと注意もしていただろうに。
ああ、リオを泣かせてしまった原因は私にもあるな……。
思いがけない事実の発覚に少し反省しつつも、リオの様子を見守っていると、リオは少し涙声でもう一度注文をした。
さっきのミヅキの喝が聞いたのだろう。
涙声で先ほどよりも可愛さが増していたが、店員は
『D’accord!』
とリオに返し、すぐにヴァンショーをカップに注いでいた。
きっと店員のどこかには自分を抓った痕があるに違いない。
それくらいしなければ、あの可愛さを堪えることはできないだろうからな。
無事に注文できたヴァンショーをリオが受け取ろうとすると、ミヅキがすかさず受け取る。
ふふっ。あれはミヅキの嫉妬だな。
やはり同じだ。
リオに手渡せなかった店員はがっかりしているようだったが、リオが
『める、しぃ』
とお礼を言ったのを嬉しそうに見ていた。
ユヅルの時も同じだったのだろうな。
今回リオの様子を俯瞰でみてやはりユヅルたちには一人で買い物はさせられないと痛感した。
ある意味私にとってもいい経験になったのかもしれない。
リオは無事に買えたことを本当に喜んでいたし、ミヅキも可愛い夫のいつもと違う面を見られて幸せだったことだろう。
その様子を見ていたユヅルも、続けて私のためにヴァンショーを注文してくれた。
リオほどは拙くはなかったが可愛いことに変わりはない。
隣でじろっと威嚇しながら店員を見れば、彼はユヅルの可愛さに落ちることなくすぐにヴァンショーを渡してくれた。
ああ、これが一番いい方法かもしれないな。
飲み物を手にみんなのいるテーブルに戻ると、たくさんの料理で溢れているがどれも美味しそうだ。
席をとってくれていたミシェルの声かけで食事が始まるが、やはり最初は飲み物で乾杯だ。
ユヅルとショコラショーとヴァンショーで乾杯をし、ユヅルが口をつけるのを待つ。
嬉しそうにショコラショーに口をつけたユヅルの唇にほのかにチョコレートがついていうのが見える。
「おいしっ!」
嬉しそうに笑うユヅルに味見だと言って、ユヅルの唇についたチョコレートを舐め取ってやった。
その様子を見ていたミヅキは、ああ……と小さな声をあげながらがっかりしていた。
おそらく、私がしたように舐め取ってやればよかったと後悔しているのだろう。
だが、すでにヴァンショーに口をつけているミヅキは、リオの唇についたチョコレートを舐めとることはできない。
なんと言ってもあの、『Berawecka』に入った酒でさえ酔ってしまうリオなのだ。
温めて多少アルコールが飛んでいるヴァンショーであってもリオを酔わせるには十分だ。
きっとリオが注文してくれたのが嬉しくてすぐに口をつけてしまったのだろうがな。
ミヅキは残念そうにしながらもリオの唇についたチョコレートを指で拭い、それを口に運んだ。
それでもリオは嬉しそうにしていたからまぁいいだろう。
ふふっ、次にここに来ることがあったらきっとミヅキはリオが口をつけるまで待っているのだろうな。
ミヅキのなんとも可愛い部分が見えて楽しくなってしまった。
かなり威嚇の強い言葉だったから、ユヅルが理解していなければいいと思っていたから、ホッとした。
少し和らげながら説明しながらも、本当は最初から理解していたはずだというと、ユヅルも賛同した。
リオの発音はかなり拙かったが、理解できない訳ではない。
ただ単純に可愛すぎて耳に入らなかっただけだ。
なんで理解できなかったんだろうと不思議がるユヅルに私は、リオたちがジュールと初めて挨拶をした日のことを例に出した。
日本から来る可愛い客人のために必死で日本語の挨拶を覚えていたジュール。
それだけでも場は和み、楽しい旅行の始まりだと思った瞬間、リオとソラとケイトが可愛らしいフランス語で挨拶をしたのだ。
『ぼんじゅーる、ぱぴー』
『あんしゃんて!』
『じゅ、しー、うーるーどぅぶ、らんこんとれ!』
一生懸命練習してきてくれたのだろう。
少し得意げな表情を見せてくれた彼らはまるで天使そのものに見えた。
それを目の前でまともにくらったジュールはあまりの可愛さに膝から崩れ落ちそうになったところをジョルジュに支えられたのだ。
その様子を思い出したのか、ユヅルは先ほどの店員もジュールと同じ状態になったのだと理解した。
そういえば、ユヅルがここでショコラショーを頼んだ時も同じだったな。
あの時、最後に寒さのせいだと誤魔化したから覚えていなかったのかもしれない。
もし、ユヅルに話をしていたら、リオに初めから店員の様子は気にしないようにと注意もしていただろうに。
ああ、リオを泣かせてしまった原因は私にもあるな……。
思いがけない事実の発覚に少し反省しつつも、リオの様子を見守っていると、リオは少し涙声でもう一度注文をした。
さっきのミヅキの喝が聞いたのだろう。
涙声で先ほどよりも可愛さが増していたが、店員は
『D’accord!』
とリオに返し、すぐにヴァンショーをカップに注いでいた。
きっと店員のどこかには自分を抓った痕があるに違いない。
それくらいしなければ、あの可愛さを堪えることはできないだろうからな。
無事に注文できたヴァンショーをリオが受け取ろうとすると、ミヅキがすかさず受け取る。
ふふっ。あれはミヅキの嫉妬だな。
やはり同じだ。
リオに手渡せなかった店員はがっかりしているようだったが、リオが
『める、しぃ』
とお礼を言ったのを嬉しそうに見ていた。
ユヅルの時も同じだったのだろうな。
今回リオの様子を俯瞰でみてやはりユヅルたちには一人で買い物はさせられないと痛感した。
ある意味私にとってもいい経験になったのかもしれない。
リオは無事に買えたことを本当に喜んでいたし、ミヅキも可愛い夫のいつもと違う面を見られて幸せだったことだろう。
その様子を見ていたユヅルも、続けて私のためにヴァンショーを注文してくれた。
リオほどは拙くはなかったが可愛いことに変わりはない。
隣でじろっと威嚇しながら店員を見れば、彼はユヅルの可愛さに落ちることなくすぐにヴァンショーを渡してくれた。
ああ、これが一番いい方法かもしれないな。
飲み物を手にみんなのいるテーブルに戻ると、たくさんの料理で溢れているがどれも美味しそうだ。
席をとってくれていたミシェルの声かけで食事が始まるが、やはり最初は飲み物で乾杯だ。
ユヅルとショコラショーとヴァンショーで乾杯をし、ユヅルが口をつけるのを待つ。
嬉しそうにショコラショーに口をつけたユヅルの唇にほのかにチョコレートがついていうのが見える。
「おいしっ!」
嬉しそうに笑うユヅルに味見だと言って、ユヅルの唇についたチョコレートを舐め取ってやった。
その様子を見ていたミヅキは、ああ……と小さな声をあげながらがっかりしていた。
おそらく、私がしたように舐め取ってやればよかったと後悔しているのだろう。
だが、すでにヴァンショーに口をつけているミヅキは、リオの唇についたチョコレートを舐めとることはできない。
なんと言ってもあの、『Berawecka』に入った酒でさえ酔ってしまうリオなのだ。
温めて多少アルコールが飛んでいるヴァンショーであってもリオを酔わせるには十分だ。
きっとリオが注文してくれたのが嬉しくてすぐに口をつけてしまったのだろうがな。
ミヅキは残念そうにしながらもリオの唇についたチョコレートを指で拭い、それを口に運んだ。
それでもリオは嬉しそうにしていたからまぁいいだろう。
ふふっ、次にここに来ることがあったらきっとミヅキはリオが口をつけるまで待っているのだろうな。
ミヅキのなんとも可愛い部分が見えて楽しくなってしまった。
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